【CP9編】狂人
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ここは世界政府が所有するとある島。戦争や災害などで親を無くした子供達が集う島。この島で子供達は未来の正義を闇で支える諜報員、通称CP の一員になるために教育される。
CPとは世界に8つの拠点を持つ政府の優れた諜報機関で、世界でも公にされている組織。
―――だが、このCPには世界に公になっていない“CP9 ”というグループが存在する。
このCP9に選出される彼らはとてつもなく厳しい修行の下、人智を超えた“六式”という体術を修得していた。
六式―――“剃”“紙絵”“月歩”“鉄塊”“嵐脚”“指銃”の六つの超人的な体術を持つ者達には銃も刀も必要ない。
彼らの最強の武器は己自身なのだ。
“人間殺戮兵器”と囁かれながらも、闇で正義を振るう彼ら。その正義は本来護るべき者の殺人すらいとわない。
“冷酷非道”――。これほどまでに彼らに合う言葉はないだろう。
しかし…そんな彼らもこの島を“故郷”と呼ぶ。人間を捨てた訳ではないのだ。そんな故郷で“今”新たなCP9が誕生しようとしていた。
「ここに居たのか。探した狼牙」
『……』
「おい、聞いてんのか?」
『……』
「ルンペン!」
『……黙れ』
「な!!何だとォ…! 人がせっかく呼びに来てやったのにその言い草はねェだ狼牙!!」
『……頼んでない』
「チッ……」
腕を組み、舌打ちをするジャブラ。反射的に怒鳴ってしまったバツの悪さは否めないものの、目の前いる同い年の男、ルンペンのあまりの無反応さには呆れてしまう。
ジャブラを呆れさせている張本人、ライク・ルンペンは無造作に伸ばした白い髪とその間から垣間見える宝石のように赤い目が特徴の綺麗な青年だった。しかし視界を遮るように後ろ髪と同じくらい伸ばされた前髪で赤い目や表情がはっきり見えることはなかった。
たまに見える瞳にも優しさはなく、ただただ冷たい。しかし冷たい視線をフッと海にやるその姿はなんとも浮き世離れていて、ジャブラは、こいつは本当に同い年なのか、と疑わずにはいられなかった。
ジャブラは未だに自分に背を向けるルンペンに話しかける。
「とりあえず行くぞ」
『……どこへ?』
「連絡があった狼牙! 今日から新チーム結成でその顔合わせだって」
『……。興味ないな。勝手にやってろ』
「だー!!! んなこと出来る訳ねェだ狼牙!! てめェがいつまでたっても来ねェから連れて来いって長官に言われてんだよ!!」
『……はぁ。悪い。うるさいのがいるから、今日は帰るよ』
ルンペンは“誰か”にそう言うと立ち上がる。ジャブラはその行動にほっと胸を撫で下ろした。安心するジャブラを他所にスタスタとその前を通り過ぎる。
「って…! おれをおいて先に行くんじゃねェ!!!」
「長官! ルンペンを連れて来たぞ!!」
「おおし。来たな!」
ジャブラとルンペンが訓練所にやってくる。そこにはクマドリ、フクロウ、ブルーノと見知らぬ3つの視線がこちらを見ていた。ルンペンは全ての視線を無視する。
「ジャブラ、ルンペンこっちに来い!!」
『……』
「行くぞ」
手を振る長官の下へ二人は歩く。そして二人が輪の中に入ると、長官は意気揚々と話し始めた。
「よぉし、お前ら! 今日からこのメンバーでチームを組む。お前らは未来のCP9……!おれの息子の部下になるんだ。今まで以上に修行に励めよ!!」
「「「……」」」
「おいおい、なんだ!? 元気がねェな!!」
顔をしかめる長官に後ろから声が掛かる。
「長官、まずは互いを紹介してやるべきでは…?」
「ん? おお!!そういやぁしてねェな。じゃあ、自己紹介だ!」
「「「……」」」
「あ…あれ?」
「……はぁ。―――カリファ」
「!……はい」
「お前からいいなさい」
長官の部下の言葉に反応した少女。その子は長官の部下のひとり娘だ。
「あの…わたし、カリファといいます」
「わしはカクじゃ!」
カリファの隣に立っていた鼻の長い少年が元気よく言う。この中では一番幼いようで、空気に合わない活発な挨拶をした。
「ロブ・ルッチだ。こっちはハトのハットリ」
カクとは対照的に静かに自己紹介するのは肩に白いハトを乗せたルッチ。ジャブラ達はルッチから多少なりとも威圧感を感じていた。
「チャパパパ。ロブ・ルッチ聞いたことがあるぞ! おれはフクロウだ!」
威圧感を感じながらも軽い調子でフクロウが話す。続いてブルーノとクマドリ、ジャブラが名を名乗った。
『……』
「「「?」」」
自分の番が来たのに関わらず、ルンペンは何も言わない。ルッチ達が怪訝な顔をするのを見て、隣にいたジャブラが言った。
「おい、ルンペン。名前言えよ。てめェの番だ」
『…ライク・ルンペン』
ただ一言そう言ったルンペンは輪を離れる。長官は驚き、声を上げた。
「ルンペン! どこへ行くんだァ!!?」
『……。顔合わせはした』
「おい、待てよルンペン!!」
ジャブラの制止を聞かず、ルンペンは歩いて行ってしまった。皆、ポカンとルンペンの後ろ姿が消えるのを見送る。そんな中でただ一人、ルンペンを追うため走り出した。
「お、おい! ルッチ!!」
「ルッチ!」
カクはルッチの行動に目を丸くしながらも、ルッチの後を追い始める。 顔合わせの場はルンペンの退場で呆気なく壊れた。長官は頭を抱える。
「ああー!! せっかくの顔合わせが……。たく。あいつには協調性つうもんを身につけさせねェとな」
「あいや、そりゃ至難の技ァァア!」
「チャパパパ! 言えてるぞ」
「ジャブラ、どうするんだ?」
「どうもこうもねェだ狼牙。あの二人が殺されねェように止めに行くぞ」
尋ねて来たブルーノにジャブラはそう答えると3人を引き連れ、後を追った。
訓練所廊下
「待て!」
『……』
ルンペンに追いついたルッチが怒鳴る。だが、ルンペンは歩みを止めない。ルッチはカチンと頭にきた。
「待てって言ってるだろ!!」
『……』
ルッチは“剃”でルンペンの前に立ちはだかる。そしてルンペンの肩を強く掴んだ。
『……何の用だ?』
ルンペンの表情は髪に隠れよくわからないが、至極どうでもいいような言い方をする。それはルッチの神経を逆撫でするのには十分な態度だった。
「勝手な行動を取るな! おれ達は“仲間”になるんだぞ」
『“仲間”…?』
「そうだ」
『……。興味ないな』
「あ! ルッチ、ルンペン!」
カクが二人を見つけ声を掛ける。しかし、聞こえてきたのはルッチの怒鳴り声だ。
「ふざけるな!!」
「!」
ルッチの声に驚いたカクは足を止めた。ルッチはルンペンの肩を掴む手に力が入る。ギシギシと軋む腕に何も反応しないルンペンは面倒そうに言葉を発した。
『…ふざけてなどいない。おれは元々人間なんてものに興味がないだ……――っ!!』
「「!?」」
髪の間から見えたルンペンの赤い瞳を見張る。ルッチとカクは動きを止めたルンペンに首を傾げた。
「お父様、なぜルンペンはルッチ達を殺すの? わたし達仲間じゃないの??」
訓練所に残ったカリファが長官の隣にいる自分の父に尋ねた。
「……あいつが“自分の意思”で手を下すことはない。だが、ルンペンは少し異質な体質をしている」
「?」
「そう。あいつはまさに異質だ。だがその異質はCP9に必要な素質!」
長官が自慢気に話す。カリファはわからないと首を傾げた。カリファの父親が言う。
「ルンペンには“殺人衝動”があるんだ。そしてそれは突然やってくる」
「やって来たらどうなるの?」
「自制が利かなくなり、視界に入った者を全て殺すようになる。もちろん敵味方問わずな」
CPとは世界に8つの拠点を持つ政府の優れた諜報機関で、世界でも公にされている組織。
―――だが、このCPには世界に公になっていない“
このCP9に選出される彼らはとてつもなく厳しい修行の下、人智を超えた“六式”という体術を修得していた。
六式―――“剃”“紙絵”“月歩”“鉄塊”“嵐脚”“指銃”の六つの超人的な体術を持つ者達には銃も刀も必要ない。
彼らの最強の武器は己自身なのだ。
“人間殺戮兵器”と囁かれながらも、闇で正義を振るう彼ら。その正義は本来護るべき者の殺人すらいとわない。
“冷酷非道”――。これほどまでに彼らに合う言葉はないだろう。
しかし…そんな彼らもこの島を“故郷”と呼ぶ。人間を捨てた訳ではないのだ。そんな故郷で“今”新たなCP9が誕生しようとしていた。
「ここに居たのか。探した狼牙」
『……』
「おい、聞いてんのか?」
『……』
「ルンペン!」
『……黙れ』
「な!!何だとォ…! 人がせっかく呼びに来てやったのにその言い草はねェだ狼牙!!」
『……頼んでない』
「チッ……」
腕を組み、舌打ちをするジャブラ。反射的に怒鳴ってしまったバツの悪さは否めないものの、目の前いる同い年の男、ルンペンのあまりの無反応さには呆れてしまう。
ジャブラを呆れさせている張本人、ライク・ルンペンは無造作に伸ばした白い髪とその間から垣間見える宝石のように赤い目が特徴の綺麗な青年だった。しかし視界を遮るように後ろ髪と同じくらい伸ばされた前髪で赤い目や表情がはっきり見えることはなかった。
たまに見える瞳にも優しさはなく、ただただ冷たい。しかし冷たい視線をフッと海にやるその姿はなんとも浮き世離れていて、ジャブラは、こいつは本当に同い年なのか、と疑わずにはいられなかった。
ジャブラは未だに自分に背を向けるルンペンに話しかける。
「とりあえず行くぞ」
『……どこへ?』
「連絡があった狼牙! 今日から新チーム結成でその顔合わせだって」
『……。興味ないな。勝手にやってろ』
「だー!!! んなこと出来る訳ねェだ狼牙!! てめェがいつまでたっても来ねェから連れて来いって長官に言われてんだよ!!」
『……はぁ。悪い。うるさいのがいるから、今日は帰るよ』
ルンペンは“誰か”にそう言うと立ち上がる。ジャブラはその行動にほっと胸を撫で下ろした。安心するジャブラを他所にスタスタとその前を通り過ぎる。
「って…! おれをおいて先に行くんじゃねェ!!!」
「長官! ルンペンを連れて来たぞ!!」
「おおし。来たな!」
ジャブラとルンペンが訓練所にやってくる。そこにはクマドリ、フクロウ、ブルーノと見知らぬ3つの視線がこちらを見ていた。ルンペンは全ての視線を無視する。
「ジャブラ、ルンペンこっちに来い!!」
『……』
「行くぞ」
手を振る長官の下へ二人は歩く。そして二人が輪の中に入ると、長官は意気揚々と話し始めた。
「よぉし、お前ら! 今日からこのメンバーでチームを組む。お前らは未来のCP9……!おれの息子の部下になるんだ。今まで以上に修行に励めよ!!」
「「「……」」」
「おいおい、なんだ!? 元気がねェな!!」
顔をしかめる長官に後ろから声が掛かる。
「長官、まずは互いを紹介してやるべきでは…?」
「ん? おお!!そういやぁしてねェな。じゃあ、自己紹介だ!」
「「「……」」」
「あ…あれ?」
「……はぁ。―――カリファ」
「!……はい」
「お前からいいなさい」
長官の部下の言葉に反応した少女。その子は長官の部下のひとり娘だ。
「あの…わたし、カリファといいます」
「わしはカクじゃ!」
カリファの隣に立っていた鼻の長い少年が元気よく言う。この中では一番幼いようで、空気に合わない活発な挨拶をした。
「ロブ・ルッチだ。こっちはハトのハットリ」
カクとは対照的に静かに自己紹介するのは肩に白いハトを乗せたルッチ。ジャブラ達はルッチから多少なりとも威圧感を感じていた。
「チャパパパ。ロブ・ルッチ聞いたことがあるぞ! おれはフクロウだ!」
威圧感を感じながらも軽い調子でフクロウが話す。続いてブルーノとクマドリ、ジャブラが名を名乗った。
『……』
「「「?」」」
自分の番が来たのに関わらず、ルンペンは何も言わない。ルッチ達が怪訝な顔をするのを見て、隣にいたジャブラが言った。
「おい、ルンペン。名前言えよ。てめェの番だ」
『…ライク・ルンペン』
ただ一言そう言ったルンペンは輪を離れる。長官は驚き、声を上げた。
「ルンペン! どこへ行くんだァ!!?」
『……。顔合わせはした』
「おい、待てよルンペン!!」
ジャブラの制止を聞かず、ルンペンは歩いて行ってしまった。皆、ポカンとルンペンの後ろ姿が消えるのを見送る。そんな中でただ一人、ルンペンを追うため走り出した。
「お、おい! ルッチ!!」
「ルッチ!」
カクはルッチの行動に目を丸くしながらも、ルッチの後を追い始める。 顔合わせの場はルンペンの退場で呆気なく壊れた。長官は頭を抱える。
「ああー!! せっかくの顔合わせが……。たく。あいつには協調性つうもんを身につけさせねェとな」
「あいや、そりゃ至難の技ァァア!」
「チャパパパ! 言えてるぞ」
「ジャブラ、どうするんだ?」
「どうもこうもねェだ狼牙。あの二人が殺されねェように止めに行くぞ」
尋ねて来たブルーノにジャブラはそう答えると3人を引き連れ、後を追った。
訓練所廊下
「待て!」
『……』
ルンペンに追いついたルッチが怒鳴る。だが、ルンペンは歩みを止めない。ルッチはカチンと頭にきた。
「待てって言ってるだろ!!」
『……』
ルッチは“剃”でルンペンの前に立ちはだかる。そしてルンペンの肩を強く掴んだ。
『……何の用だ?』
ルンペンの表情は髪に隠れよくわからないが、至極どうでもいいような言い方をする。それはルッチの神経を逆撫でするのには十分な態度だった。
「勝手な行動を取るな! おれ達は“仲間”になるんだぞ」
『“仲間”…?』
「そうだ」
『……。興味ないな』
「あ! ルッチ、ルンペン!」
カクが二人を見つけ声を掛ける。しかし、聞こえてきたのはルッチの怒鳴り声だ。
「ふざけるな!!」
「!」
ルッチの声に驚いたカクは足を止めた。ルッチはルンペンの肩を掴む手に力が入る。ギシギシと軋む腕に何も反応しないルンペンは面倒そうに言葉を発した。
『…ふざけてなどいない。おれは元々人間なんてものに興味がないだ……――っ!!』
「「!?」」
髪の間から見えたルンペンの赤い瞳を見張る。ルッチとカクは動きを止めたルンペンに首を傾げた。
「お父様、なぜルンペンはルッチ達を殺すの? わたし達仲間じゃないの??」
訓練所に残ったカリファが長官の隣にいる自分の父に尋ねた。
「……あいつが“自分の意思”で手を下すことはない。だが、ルンペンは少し異質な体質をしている」
「?」
「そう。あいつはまさに異質だ。だがその異質はCP9に必要な素質!」
長官が自慢気に話す。カリファはわからないと首を傾げた。カリファの父親が言う。
「ルンペンには“殺人衝動”があるんだ。そしてそれは突然やってくる」
「やって来たらどうなるの?」
「自制が利かなくなり、視界に入った者を全て殺すようになる。もちろん敵味方問わずな」