知らされる病
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皆が眠りにつく夜。レニーは船長室のドアを開ける。中にはロジャー、レイリーそしてクロッカスがいた。
「よう、レニー! 今日は大活躍だったみたいだな」
『フン…白々しい』
ロジャーが笑う。レニーはそれを横目に見ながら席についた。
『早速、聞かせてもらおうかの』
「ああ」
ロジャーはゴホンッと一つ咳払いしてから話し出した。
「実はな…おれは病気なんだ」
『……クロッカスがおることから予想はつく。どの様な病気じゃ?』
「なんだレニー、怒ってんのか?」
『怒らせたとの自覚があるのならば、さっさと話せ』
「つれねェなァ」
ロジャーは笑う。レニーは怪訝な顔をし、ため息をついた。
「まぁ、簡単に言うと“不治の病”ってやつだ。命はそう長くねェ」
『……』
「今、こうやって航海出来るのはこのクロッカスに診てもらってるからだ」
しぃんとする船長室には、ロジャーの言葉が響く。
『酒を飲まぬのはそのせいか』
「ああ。今のロジャーに酒はよくなくてな」
クロッカスが補足する。
『なるほどな。我が乗船してからも兆候があったと言う訳か』
「だが、お前が入ってからは調子が良かったんだ」
『じゃから言わなかったと……?』
「ああ。おれがぶっ倒れるまでは言うなってな」
レイリーの言葉を受け、レニーが尋ねる。ロジャーは頷きながら答えた。
『……それで本当に倒れるとは情けないのォ』
「シシシ……まったくだな!!」
ロジャーはニンッと笑顔を見せる。しかしすぐに真剣な顔になった。
「この航海はおれ達ロジャー海賊団にとって最後の航海だ。その最後に、おれはてめェみてェなぶっ飛んだ野郎を仲間に入れたかった」
『……』
「この航海でおれは必ずラフテルと“ワンピース”を見つける…!!」
『つまらぬことを言う』
「「!」」
レニーの言葉にレイリーとクロッカスは驚きの目を向ける。レニーは淡々と話し出した。
『ロジャーよ。我は1000年近く生きておる。人の死など何万…いや何百、何千と見てきた』
「……」
『老衰、戦死、自殺、病気、災害……理由は様々じゃったが、その中には主の様に“不治の病”と言う理由の輩もおった』
レニーはそう言うとテーブルにある酒をグラスに注ぐ。
『主ら人間にとってそれは大事 やも知れぬ。しかし、我にとってその様な理由はほんの些細なこと』
レニーは注いだ酒をグイッと飲む。そしてガンッと叩きつけるようにグラスをテーブルに置くと、ロジャーを真っ正面から見据えた。
『我は主が“我を楽しませる”と言うたから来たのだ。病気か否か等どうでもよい。……だがその様なつまらぬ理由で先の約束を果たせぬと言うのであれば、今すぐ全員喰ろうてやるわ』
「………」
レニーは立ち上がるとロジャーを見下しながら言った。
『主は我を失望させぬ様にしておればよい』
「……シシシ。そうだな!! 悪かった」
ロジャーは真剣な顔からまた笑顔に戻った。レニーはそのロジャーを見て背を向けた。
『…良かろう。話は終わりじゃ。我は部屋に戻る』
「おう! また明日な」
「「………」」
ロジャー海賊団、船首。
「レニー」
『!』
レイリーは酒瓶を船首に佇むレニーに投げる。レニーはそれを受け取った。
「その銀髪は月の下でも映えるな」
『……』
船首に立つレニーの銀髪が月の光で輝くのを見ながら、レイリーは自分の手にある酒の封を切る。
『レイリー。あやつは後、どれくらいじゃ?』
「……正確にはわからない。ただこの航海が最後と言うのは確実だ」
『そうか……』
スーっと夜風が二人の間をすり抜ける。レニーは空を見上げた。
『なァ、レイリー。“不老不死”が手に入るとすれば、主はそれを望むか?』
「……」
レイリーは少し考えた後、静かに首を横に振る。
「おれは望まない。人にはそれぞれの命の長さがある。おれはその長さを全う出来たらいい」
『……。あやつも…ロジャーもそうであろうか?』
「フフッ…そう思ったから、あいつに言わなかったんだろ?」
『……っ』
レニーはバツが悪そうに目を反らすと、酒の封を切る。
「……。あいつに残された時間は短い。だからレニー、最後まで付き合ってくれ」
レイリーは自分の持つ酒瓶をレニーに向ける。
『……』
レニーは封を切ったばかりの瓶をレイリーの瓶に当てた。
カンッ…
静かな夜に短く響くそれはレイリーの言葉に無言の了解を告げる音。
「ありがとう、レニー」
『フン……』
レニーは酒をゴクゴクと飲んだ。レイリーはククッと笑うと空に浮かぶ月を見上げ、レニーの隣で酒を飲んだ。
【知らされる病】終
⇒おまけ
「よう、レニー! 今日は大活躍だったみたいだな」
『フン…白々しい』
ロジャーが笑う。レニーはそれを横目に見ながら席についた。
『早速、聞かせてもらおうかの』
「ああ」
ロジャーはゴホンッと一つ咳払いしてから話し出した。
「実はな…おれは病気なんだ」
『……クロッカスがおることから予想はつく。どの様な病気じゃ?』
「なんだレニー、怒ってんのか?」
『怒らせたとの自覚があるのならば、さっさと話せ』
「つれねェなァ」
ロジャーは笑う。レニーは怪訝な顔をし、ため息をついた。
「まぁ、簡単に言うと“不治の病”ってやつだ。命はそう長くねェ」
『……』
「今、こうやって航海出来るのはこのクロッカスに診てもらってるからだ」
しぃんとする船長室には、ロジャーの言葉が響く。
『酒を飲まぬのはそのせいか』
「ああ。今のロジャーに酒はよくなくてな」
クロッカスが補足する。
『なるほどな。我が乗船してからも兆候があったと言う訳か』
「だが、お前が入ってからは調子が良かったんだ」
『じゃから言わなかったと……?』
「ああ。おれがぶっ倒れるまでは言うなってな」
レイリーの言葉を受け、レニーが尋ねる。ロジャーは頷きながら答えた。
『……それで本当に倒れるとは情けないのォ』
「シシシ……まったくだな!!」
ロジャーはニンッと笑顔を見せる。しかしすぐに真剣な顔になった。
「この航海はおれ達ロジャー海賊団にとって最後の航海だ。その最後に、おれはてめェみてェなぶっ飛んだ野郎を仲間に入れたかった」
『……』
「この航海でおれは必ずラフテルと“ワンピース”を見つける…!!」
『つまらぬことを言う』
「「!」」
レニーの言葉にレイリーとクロッカスは驚きの目を向ける。レニーは淡々と話し出した。
『ロジャーよ。我は1000年近く生きておる。人の死など何万…いや何百、何千と見てきた』
「……」
『老衰、戦死、自殺、病気、災害……理由は様々じゃったが、その中には主の様に“不治の病”と言う理由の輩もおった』
レニーはそう言うとテーブルにある酒をグラスに注ぐ。
『主ら人間にとってそれは
レニーは注いだ酒をグイッと飲む。そしてガンッと叩きつけるようにグラスをテーブルに置くと、ロジャーを真っ正面から見据えた。
『我は主が“我を楽しませる”と言うたから来たのだ。病気か否か等どうでもよい。……だがその様なつまらぬ理由で先の約束を果たせぬと言うのであれば、今すぐ全員喰ろうてやるわ』
「………」
レニーは立ち上がるとロジャーを見下しながら言った。
『主は我を失望させぬ様にしておればよい』
「……シシシ。そうだな!! 悪かった」
ロジャーは真剣な顔からまた笑顔に戻った。レニーはそのロジャーを見て背を向けた。
『…良かろう。話は終わりじゃ。我は部屋に戻る』
「おう! また明日な」
「「………」」
ロジャー海賊団、船首。
「レニー」
『!』
レイリーは酒瓶を船首に佇むレニーに投げる。レニーはそれを受け取った。
「その銀髪は月の下でも映えるな」
『……』
船首に立つレニーの銀髪が月の光で輝くのを見ながら、レイリーは自分の手にある酒の封を切る。
『レイリー。あやつは後、どれくらいじゃ?』
「……正確にはわからない。ただこの航海が最後と言うのは確実だ」
『そうか……』
スーっと夜風が二人の間をすり抜ける。レニーは空を見上げた。
『なァ、レイリー。“不老不死”が手に入るとすれば、主はそれを望むか?』
「……」
レイリーは少し考えた後、静かに首を横に振る。
「おれは望まない。人にはそれぞれの命の長さがある。おれはその長さを全う出来たらいい」
『……。あやつも…ロジャーもそうであろうか?』
「フフッ…そう思ったから、あいつに言わなかったんだろ?」
『……っ』
レニーはバツが悪そうに目を反らすと、酒の封を切る。
「……。あいつに残された時間は短い。だからレニー、最後まで付き合ってくれ」
レイリーは自分の持つ酒瓶をレニーに向ける。
『……』
レニーは封を切ったばかりの瓶をレイリーの瓶に当てた。
カンッ…
静かな夜に短く響くそれはレイリーの言葉に無言の了解を告げる音。
「ありがとう、レニー」
『フン……』
レニーは酒をゴクゴクと飲んだ。レイリーはククッと笑うと空に浮かぶ月を見上げ、レニーの隣で酒を飲んだ。
【知らされる病】終
⇒おまけ