敵船現る
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
―――オーロ・ジャクソン号
ロジャー達は船からレニーの戦闘の観戦をしていた。
「なんだ急に1隻バラバラになった……!!」
「「「!!!」」」
「派手な野郎だな。どんな感じだ?」
ロジャーは笑いながら尋ねる。双眼鏡を見ていたレイリーは感嘆の息をもらした。
「一振りであれか。凄まじいな」
「ひ、一振り!?」
「スゲェ!!」
スポンッと驚きのあまり首が飛んだバギー。シャンクスは縁から乗り出した。すると黒い霧が残った1隻から発生し、その霧はオーロ・ジャクソン号に向かって来る。
「うわぁ、霧が来る!!」
「終わったみてェだな、レニー」
『フン…小物に時間は取らぬ』
黒い霧が1点に集まり人の形を成す。まもなく黒いフードを取った状態のレニーが現れた。
「「「……え?」」」
レニーの人形のように整った容姿にレニーの姿を知る4人以外が固まった。
『……? なんじゃ、我の顔に何かついておるのか?』
「シシシ。違うぜレニー。てめェに見惚れてんだ」
『はあ?』
「自覚ないのか、お前…?」
ロジャーとレイリーに言われ首を傾げる。
『我は成人を迎えてから約1000年、ずっとこの姿じゃ。わざわざ主らの好む容姿にした訳ではない』
「1000年…!?」
「スゲェな。不老不死か?」
「吸血鬼って歳とらねェの……??」
クルー達が口々に疑問を投げ掛ける。レイリーはそれを遮った。
「お前ら質問は後だ。まだ自己紹介もしてないからな」
「おうそうだったな。野郎共! 今日から新しく入る仲間だ」
ロジャーはレニーに顔を向ける。それにつられ、クルーの皆もレニーに目を向けた。レニーは、ふむっと頷き、クルーに向けて言った。
『我が名はレニー・レニゲイド。“吸血鬼”じゃ。世話になるぞ』
その日の晩、オーロ・ジャクソン号では新しい仲間のために宴が催された。
「おう、レニー呑んでるか?」
『程々にのォ。しかし…人間と言うものはいつの世も知りたがりが多い』
「そりゃお前、“吸血鬼”なんて珍しい奴がいるんだいろいろ聞きたくもなるだろうよ」
ロジャーは笑いながら、レニーの隣に座る。グラスには少量の酒でない飲み物が入っていた。
『……。主は飲まぬのか?』
「まぁな。それよりよ、レニー」
『なんじゃ?』
「この船に乗った限りてめェはおれに従わなきゃいけねェんだが……聞くか?」
『それが海賊と言うものなら従おう。ただし我には聞けるものと聞けんものがある』
「例えば何だ?」
『――今まさに主が言おうとしている“人間の血を吸うな”、とかじゃ』
「……やっぱダメか。だが、よくわかったな」
『人間ならば誰しも思うことじゃ。しかし、我はそれを許容することは出来ん』
レニーはクィッと酒を飲む。そして話しを続けた。
『我はこの様な人間の食事では腹…細かく言うと“渇き”じゃが。それが満たされることはない』
「おれ達でいうメシか。で、満たされなかったらどうなるんだ?」
『そうじゃな……。普通の奴ならば自我を無くして片っ端から人間を喰らう。…しかし自我を保ったままでおれる奴がおるのならば“死ぬ”だけじゃな』
「…お前はどっちだ?」
レニーは少し沈黙する。そしてフッと静かに笑う。
『我は後者じゃ』
「!! 経験あんのか…?」
『……。さぁ、どうだったかのォ。昔のことなどいちいち覚えておらぬ』
「……」
『まぁ、どちらにせよ我はまだ死ねぬのだ。最低4年は…な』
「4年? えらく具体的じゃねェか。何かあんのか?」
『フン…主の様な若造に話すことではないわ』
「ほ~。女か?」
『たわけが』
レニーは呆れて視線をロジャーに向けた。ロジャーはその視線さえも嬉しそうに笑う。
「まぁ、いい。これからまだ先は長ェからな。ゆっくり教えてくれ」
『教える気はない。ところで、先程の話だが……』
「ああ。無理なら言わねェよ。ただ、仲間の血を吸うのは禁止だ!」
『……それはわかっておる。我もそこまで浅はかではない』
「? じゃあなんだ??」
『“喰らう”のを最小限にすれば相手を死なすことはない』
「本当か!!?」
『ああ。その代わり数はいるようになるが……。最低限の約束として、主らが喰らうなと言う相手は喰らわん。それで良いじゃろう』
「ああ、それでいい! ありがとうなレニー!!」
『……礼はいらん。主の意見も最もじゃと思うただけじゃからな』
「レニーさん!!」
『?』
「お、なんだシャンクスじゃねェか」
ロジャーとレニーの後ろにはシャンクスが立っていた。
『主はロジャーと共にいた小僧じゃな』
「小僧じゃない!! おれはシャンクスだ」
「レニー、ちゃんと覚えろ。“船長命令”だ」
『……よかろう。ではシャンクス、我に何用じゃ?』
「おれに剣を教えてくれ!!」
『剣?』
「ほぉ。シャンクス、おめェレニーに習いたいのか」
「うん!! レニーさん、スゲー強いからおれ教わりたいんだ!!」
『面ど…』
「よし!! いいぞ!」
『!?』
「教えてもらえ。吸血鬼の剣技なんて滅多に見れねェからな」
「やったぁ!!」
『おい…ロジャー、待て。我は許可など…』
「お前どうせ、船の手伝いはしねェだろ?」
『……っ。しないのではない、出来ないのじゃ』
「なら、こいつら見習いの稽古をつけるくらいはしろってことだ」
「レイリーさん!!」
会話にレイリーも参加し、船内の注目が一気にレニー達に集まる。
『……ロジャーよ。それも、“船長命令”という奴か?』
「ああ!! そうだ」
ニコッとロジャーは笑う。レニーはグラスの酒を一気に飲み干した。
『……はぁ。よかろう。但し、我は容易くはないぞ。覚悟しておれ』
「良かったな! シャンクス!! バギー!!」
「うん!!」
「え!!? ちょっと待って、おれ入ってるのー――!!」
「当たり前だろ! 見習いって言ったらおれとバギーじゃねェか」
「バカヤロー!! おれを巻き込むんじゃねェよ!!このバカバカシャンクス!!」
「あん! なんだよ、2回もバカつけやがって!このバカバカバギー!! 赤っ鼻!!」
「誰が赤っ鼻だ!! やんのかコラー!!」
「やってやるよ!!」
「いいぞ~!」
「やれやれ~!!」
周りのガヤの引き立てもあり、単純な口喧嘩が取っ組み合いの喧嘩に発展した。
『(本当にガキじゃな……)』
「レニー」
『……なんじゃ、レイリー』
「止めろよ、あれ」
『!? それも我の仕事なのか?』
「ハハ…そうとは言わんが、喧嘩の原因は“お前”だ」
『……はぁ。面倒じゃ』
シャンクスとバギーは一瞬距離とった後、互いにパンチを繰り出していた。それを呆れた顔で見つつ、レニーは持っていたグラスでテーブルをコンコンと軽く叩いた。
『“弐匣 ”』
「「えっ!?」」
レニーがそう言うと、シャンクスとバキーの目の前、ちょうど向かい合っている二人の真ん中に“鏡”が現れた。驚く二人。しかし殴りかかっていたため勢いが止まらず、鏡にそのままパンチを入れることになった。
ぐにょん…
「「!!?」」
シャンクスとバギーのパンチに鏡は割れなかった。それどころか手は鏡を“通過”し……
ゴン!!!!
「痛っ!!」
「ぼはっ!!」
シャンクスとバギーは同時に悲鳴を上げる。なんと二人は自分の後頭部を“自分の手“で殴っていたのだ。
「痛ってー―!!」
「何だよ、これ!!?」
シャンクスとバギーは互いに両手で、いたたた…と自分の頭を抑える。涙目になりながら、後ろを振り返った。空中に浮かぶ何かは己の姿を写している。
「鏡……!?」
『止まったな』
レニーはそう言うと、鏡を消す。皆、呆然としていた。
「レニー、お前…!! 能力者か!?」
レイリーが尋ねる。レニーは首肯した。
「シシシシシ…!! レニー、てめェは本当におもしれェなァ!!」
ロジャーは大笑いする。レイリーは、そういうことは先に言えっとため息をついた。
『聞かぬ主らも悪いのではないか?』
「おう、そうだな。じゃあ、聞くぜ。ありゃ、なんの能力だ?」
『見たまま“鏡”じゃよ。我はミラミラの実を喰った。先の様に鏡を出せる能力じゃ』
「超人系か?」
『じゃろうな』
「“吸血鬼”で“能力者”だぁ…!? 無茶苦茶じゃねェか!!」
「すげー!!」
バギーが怒鳴る。シャンクスはさらに目を輝かせた。レニーは立ち上がる。
『それでは稽古は明日から始める。ロジャーよ、我はもう寝るぞ』
「おう!」
レニーはそう言うと、部屋へ戻っていった。
おまけ
「よかったなバギー!」
「嬉しくなんかねェよ!! バカシャンクス!」
「なんだ? 恐いのか?」
「恐いに決まってんだろうが!!」
【敵船現る】完
ロジャー達は船からレニーの戦闘の観戦をしていた。
「なんだ急に1隻バラバラになった……!!」
「「「!!!」」」
「派手な野郎だな。どんな感じだ?」
ロジャーは笑いながら尋ねる。双眼鏡を見ていたレイリーは感嘆の息をもらした。
「一振りであれか。凄まじいな」
「ひ、一振り!?」
「スゲェ!!」
スポンッと驚きのあまり首が飛んだバギー。シャンクスは縁から乗り出した。すると黒い霧が残った1隻から発生し、その霧はオーロ・ジャクソン号に向かって来る。
「うわぁ、霧が来る!!」
「終わったみてェだな、レニー」
『フン…小物に時間は取らぬ』
黒い霧が1点に集まり人の形を成す。まもなく黒いフードを取った状態のレニーが現れた。
「「「……え?」」」
レニーの人形のように整った容姿にレニーの姿を知る4人以外が固まった。
『……? なんじゃ、我の顔に何かついておるのか?』
「シシシ。違うぜレニー。てめェに見惚れてんだ」
『はあ?』
「自覚ないのか、お前…?」
ロジャーとレイリーに言われ首を傾げる。
『我は成人を迎えてから約1000年、ずっとこの姿じゃ。わざわざ主らの好む容姿にした訳ではない』
「1000年…!?」
「スゲェな。不老不死か?」
「吸血鬼って歳とらねェの……??」
クルー達が口々に疑問を投げ掛ける。レイリーはそれを遮った。
「お前ら質問は後だ。まだ自己紹介もしてないからな」
「おうそうだったな。野郎共! 今日から新しく入る仲間だ」
ロジャーはレニーに顔を向ける。それにつられ、クルーの皆もレニーに目を向けた。レニーは、ふむっと頷き、クルーに向けて言った。
『我が名はレニー・レニゲイド。“吸血鬼”じゃ。世話になるぞ』
その日の晩、オーロ・ジャクソン号では新しい仲間のために宴が催された。
「おう、レニー呑んでるか?」
『程々にのォ。しかし…人間と言うものはいつの世も知りたがりが多い』
「そりゃお前、“吸血鬼”なんて珍しい奴がいるんだいろいろ聞きたくもなるだろうよ」
ロジャーは笑いながら、レニーの隣に座る。グラスには少量の酒でない飲み物が入っていた。
『……。主は飲まぬのか?』
「まぁな。それよりよ、レニー」
『なんじゃ?』
「この船に乗った限りてめェはおれに従わなきゃいけねェんだが……聞くか?」
『それが海賊と言うものなら従おう。ただし我には聞けるものと聞けんものがある』
「例えば何だ?」
『――今まさに主が言おうとしている“人間の血を吸うな”、とかじゃ』
「……やっぱダメか。だが、よくわかったな」
『人間ならば誰しも思うことじゃ。しかし、我はそれを許容することは出来ん』
レニーはクィッと酒を飲む。そして話しを続けた。
『我はこの様な人間の食事では腹…細かく言うと“渇き”じゃが。それが満たされることはない』
「おれ達でいうメシか。で、満たされなかったらどうなるんだ?」
『そうじゃな……。普通の奴ならば自我を無くして片っ端から人間を喰らう。…しかし自我を保ったままでおれる奴がおるのならば“死ぬ”だけじゃな』
「…お前はどっちだ?」
レニーは少し沈黙する。そしてフッと静かに笑う。
『我は後者じゃ』
「!! 経験あんのか…?」
『……。さぁ、どうだったかのォ。昔のことなどいちいち覚えておらぬ』
「……」
『まぁ、どちらにせよ我はまだ死ねぬのだ。最低4年は…な』
「4年? えらく具体的じゃねェか。何かあんのか?」
『フン…主の様な若造に話すことではないわ』
「ほ~。女か?」
『たわけが』
レニーは呆れて視線をロジャーに向けた。ロジャーはその視線さえも嬉しそうに笑う。
「まぁ、いい。これからまだ先は長ェからな。ゆっくり教えてくれ」
『教える気はない。ところで、先程の話だが……』
「ああ。無理なら言わねェよ。ただ、仲間の血を吸うのは禁止だ!」
『……それはわかっておる。我もそこまで浅はかではない』
「? じゃあなんだ??」
『“喰らう”のを最小限にすれば相手を死なすことはない』
「本当か!!?」
『ああ。その代わり数はいるようになるが……。最低限の約束として、主らが喰らうなと言う相手は喰らわん。それで良いじゃろう』
「ああ、それでいい! ありがとうなレニー!!」
『……礼はいらん。主の意見も最もじゃと思うただけじゃからな』
「レニーさん!!」
『?』
「お、なんだシャンクスじゃねェか」
ロジャーとレニーの後ろにはシャンクスが立っていた。
『主はロジャーと共にいた小僧じゃな』
「小僧じゃない!! おれはシャンクスだ」
「レニー、ちゃんと覚えろ。“船長命令”だ」
『……よかろう。ではシャンクス、我に何用じゃ?』
「おれに剣を教えてくれ!!」
『剣?』
「ほぉ。シャンクス、おめェレニーに習いたいのか」
「うん!! レニーさん、スゲー強いからおれ教わりたいんだ!!」
『面ど…』
「よし!! いいぞ!」
『!?』
「教えてもらえ。吸血鬼の剣技なんて滅多に見れねェからな」
「やったぁ!!」
『おい…ロジャー、待て。我は許可など…』
「お前どうせ、船の手伝いはしねェだろ?」
『……っ。しないのではない、出来ないのじゃ』
「なら、こいつら見習いの稽古をつけるくらいはしろってことだ」
「レイリーさん!!」
会話にレイリーも参加し、船内の注目が一気にレニー達に集まる。
『……ロジャーよ。それも、“船長命令”という奴か?』
「ああ!! そうだ」
ニコッとロジャーは笑う。レニーはグラスの酒を一気に飲み干した。
『……はぁ。よかろう。但し、我は容易くはないぞ。覚悟しておれ』
「良かったな! シャンクス!! バギー!!」
「うん!!」
「え!!? ちょっと待って、おれ入ってるのー――!!」
「当たり前だろ! 見習いって言ったらおれとバギーじゃねェか」
「バカヤロー!! おれを巻き込むんじゃねェよ!!このバカバカシャンクス!!」
「あん! なんだよ、2回もバカつけやがって!このバカバカバギー!! 赤っ鼻!!」
「誰が赤っ鼻だ!! やんのかコラー!!」
「やってやるよ!!」
「いいぞ~!」
「やれやれ~!!」
周りのガヤの引き立てもあり、単純な口喧嘩が取っ組み合いの喧嘩に発展した。
『(本当にガキじゃな……)』
「レニー」
『……なんじゃ、レイリー』
「止めろよ、あれ」
『!? それも我の仕事なのか?』
「ハハ…そうとは言わんが、喧嘩の原因は“お前”だ」
『……はぁ。面倒じゃ』
シャンクスとバギーは一瞬距離とった後、互いにパンチを繰り出していた。それを呆れた顔で見つつ、レニーは持っていたグラスでテーブルをコンコンと軽く叩いた。
『“
「「えっ!?」」
レニーがそう言うと、シャンクスとバキーの目の前、ちょうど向かい合っている二人の真ん中に“鏡”が現れた。驚く二人。しかし殴りかかっていたため勢いが止まらず、鏡にそのままパンチを入れることになった。
ぐにょん…
「「!!?」」
シャンクスとバギーのパンチに鏡は割れなかった。それどころか手は鏡を“通過”し……
ゴン!!!!
「痛っ!!」
「ぼはっ!!」
シャンクスとバギーは同時に悲鳴を上げる。なんと二人は自分の後頭部を“自分の手“で殴っていたのだ。
「痛ってー―!!」
「何だよ、これ!!?」
シャンクスとバギーは互いに両手で、いたたた…と自分の頭を抑える。涙目になりながら、後ろを振り返った。空中に浮かぶ何かは己の姿を写している。
「鏡……!?」
『止まったな』
レニーはそう言うと、鏡を消す。皆、呆然としていた。
「レニー、お前…!! 能力者か!?」
レイリーが尋ねる。レニーは首肯した。
「シシシシシ…!! レニー、てめェは本当におもしれェなァ!!」
ロジャーは大笑いする。レイリーは、そういうことは先に言えっとため息をついた。
『聞かぬ主らも悪いのではないか?』
「おう、そうだな。じゃあ、聞くぜ。ありゃ、なんの能力だ?」
『見たまま“鏡”じゃよ。我はミラミラの実を喰った。先の様に鏡を出せる能力じゃ』
「超人系か?」
『じゃろうな』
「“吸血鬼”で“能力者”だぁ…!? 無茶苦茶じゃねェか!!」
「すげー!!」
バギーが怒鳴る。シャンクスはさらに目を輝かせた。レニーは立ち上がる。
『それでは稽古は明日から始める。ロジャーよ、我はもう寝るぞ』
「おう!」
レニーはそう言うと、部屋へ戻っていった。
おまけ
「よかったなバギー!」
「嬉しくなんかねェよ!! バカシャンクス!」
「なんだ? 恐いのか?」
「恐いに決まってんだろうが!!」
【敵船現る】完