インペルダウン大脱走
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「レニー!おかえりなさい」
『ああ、今帰った』
南の海のバテリラ。ここは年中暖かく。人々を陽気にさせる。
『いつ来てもいいな、ここは』
「あら、レニーがそんなこというなんて珍しい」
『そうか?』
レニーが聞き返すとルージュはふふ…とやわらかく笑った。
「おお!レニー!帰ってきたのか」
ルージュの次にレニーを迎えたのはロジャー。
『悪いか』
レニーはロジャーの物言いに、少し意固地に言葉を返す。
しかしそれがあのロジャーに効くわけがない。
「シシシ!!悪くねェに決まってんだろ!ほら、“エース”に顔見せてやれよ。おじいちゃん!」
『!!我は主らの親になった覚えは…』
「あ~あ~」
『!』
ロジャーに口上を立てようとしたとき、足元でズボンが引っ張られるのに気付いた。
下に目を向けると、ズボンを引っ張る小さな手。
「ほら、じじいだって“エース”も言ってるじゃねェか」
『黙らんか!』
「ふふ。“エース”はモテモテだね」
『……フン』
レニーはロジャーとルージュのからかいを一蹴すると、自分のスボンを引っ張る赤ん坊に手を差し出した。
レニーの真似をして手を伸ばして来た小さな体をレニーは優しく抱きかかえる。
その身体からは人間が持つ熱の温かさが感じられる。
『いい子にしておったか?“エース”』
レニーはその熱をとてもいとおしく思い、目を閉じた。
―――――――
―――――
――――ス~~~~~!!!!
『!』
レニーは瞼をあげた。誰かが誰かを呼ぶような叫び声が聞こえた気がしたからだ。
…が、目に見える石の天井が囚人を囲う檻だと思い出すと、声は気のせいだという結論に達するまでそう時間はかからなかった。
『……なんと都合のいい夢じゃ』
現実に引き戻された今でも、手に残った熱をレニーは感じた。しかしあの光景は夢でしかないことをレニーはもちろん知っている。
『…もう、どれくらい経つのか…』
自分の腕にはまっている紅い腕輪に目を向けたレニーの耳にある青年の声が聞こえてきた。
「―――おい、おれは上に行きてェんだよ!!カニちゃん!!階段閉じちまったらエースに追いつけねェよ!!」
『……エース?』
レニーはその名に身体を起こした。
「閉じる他ガスを止める方法がない。意識を失っては救出もクソもない」
「失ったって救出すんだよ!!!エースは死刑になるんだぞ!!!」
ルフィの物言いにイナズマは肩を落とす。
「無茶を言うな、単純だが敵の作戦勝ちだ。我々はこのLEVEL6に閉じ込められた。現状脱出の術はない」
「!!?」
「せめてもの抵抗はコレ…!!敵の情報を奪う事……!!」
イワンコフはLEVEL6内にある電伝虫を手に取りルフィに見せる。ルフィの表情はかたい。
「常識に考えて…もう間に合わナブルよ。エースボーイがリフトでスムーズに海上へ連行されるのに対し、こちらには立ちはだかる敵がいる!!!
軍の護送は迅速。ビブルカードをごらん。真上を差してないんじゃない?」
ルフィはイワンコフに言われビブルカードを見た。
確かにビブルカードは真上を指さず、ツツ…と動いている。
「…!!」
「―――もう身柄は海軍に引き渡された頃だわね」
イワンコフはルフィの手にあるビブルカードを見下ろしながら腕を組む。
「気持ちを切り替えてヴァターシはこの大監獄からヴァナタを無事脱獄させる事に全力を尽くす。
エースボーイの身柄はもう“海軍本部”へ渡ってしまう。諦めるんだね…―――いえ、後は“白ひげ”に賭けるしか…」
「だったら」
「!?」
ルフィが強く拳を握る。その眼には強い光が宿っている。
「おれは行くよ!!!“海軍本部”!!!!」
「「「!!?」」」
ルフィの決意にイワンコフは驚いた。
「ヴァカおっしゃい!!!この世界の頂点の戦キャブルよ!!!?
“白ひげ”の実力知ってんの!?迎え撃つ海軍の“大将”・“中将”・“七武海”の実力知ってんの!!?
ヴァナタ命いくつ持ってんの!!?」
「もし諦めたらくいが残る!!!おれは行く!!」
「…………!!」
イワンコフはルフィにドラゴンの血を感じたのか、気迫に押される。イナズマが言った。
「行くも何も…!!まずこの階(フロア)から抜け出せないんだぞ」
「―――ここを抜けたきゃ、おれを解放しろ……!!」
「!?」
ルフィは後ろの檻から聞こえる声に振り返る。
「おれなら天井に穴を開けれる!!!」
「あ…」
振り返ったルフィは目を見張った。
「どうだ麦わら……クハハハハ」
「クロコダイル!!!!」
そこにいたのは囚人服を着て、両手に海楼石の手錠をはめたクロコダイル。
クロコダイルはニヤリと微笑む。
「もうシャバに出た所で面白みはねェと思っていたが……“白ひげ”と“海軍”が戦争を始めるって?あのジジイの首を取るチャンスが来るとはな」
「……!!」
「おれはその戦争に興味がある…!!!おれの能力があれば…おれもお前もここから抜け出せる。悪い話じゃねェハズだ。互いにメリットがある」
「フザけんな!!!お前はビビの国をメチャメチャにした奴だ!!!」
「昔の話だ。あの国にもう興味はねェ」
ルフィと牢獄にいるクロコダイルに喰ってかかる。
「解放しましょう、麦わらボーイ。確かにコイツがいれば相当な戦力になる。ヴァナタは止まらない…“海軍本部”へ行くなら尚更よ…!!!」
「えェ~!!?イワちゃん!!あのなコイツは……!!」
イワンコフの言葉にルフィは否定の言葉を述べる。イワンコフの姿を見たクロコダイルは眉をひそめた。
「……!!!イワンコフ…」
「お久しぶりだわねェ、クロコボーイ…」
「何だ知ってんのか!?」
「ちょっと昔ね…コイツがまだルーキーと呼ばれた時代……!!大丈夫よ。万が一、ヴァターシ達を裏切る様な行動に出てもヴァターシが抑え込むから
…一切信用できないけど…ン~~フフフ。ヴァターシはコイツの“弱み”を一つ握ってる…!!!」
「!!」
「大人しく力だけ貸すなら…黙っててあげるけど、ヒーハー!!!」
「貴様…!!!」
クロコダイルは苦虫を噛むようにぎりぎりと顔をしかめた。
「何だオイ!だったらおれも解放しろォ!!!」
「おれもおれも!!白ひげに恨みがある!!!」
「黙れ“DEATH WINK”!!」
「「どア!!」」
騒ぎ立てる囚人達はイワンコフの瞬きにより檻の奥まで吹っ飛んで行った。
「後生の頼みだ!!!」
「!?」
「?」
クロコダイルの檻と向かいの監獄からまた声が飛んだ。ルフィは顔をその声の主に向ける。
「わしも連れて行ってくれ!!!…ハァ…必ず役に立つ!!!」
『(この声は…)』
その男は先ほどLEVEL6に降りてきたルフィに、エースが連れて行かれたことを知らせた魚人、ジンベエだ。
「エースさんとは…彼が白ひげ海賊団に入った時からの付き合いじゃ。弟がいるという話はさんざん聞かされてきた…!!!
わしは、この戦争に反対した事でここにおる!!!エースさんを救いたいんじゃ!!!頼む!!!わしに死に場所をくれ!!!」
「……」
「ウ~~~これまた大物…!!」
イワンコフはジンベエの登場に唸った。ジンベエをじっと見ていたルフィは言う。
「いいぞ」
「おい、大丈夫か。我々はコイツの危険度も人格も一切知らない」
「いいんだ。出してやってくれ」
「……かたじけない!!!」
「オウ!!!おれもかたじけない!!」
「後生の頼みだ!!!」
「黙れ!!“DEATH WIN…」
ブワッと目の前の囚人達が服だけを残し姿を消した。
「!!?消えた…!?」
目の前で騒いでいた囚人達が服を残し姿を消す。まばたきが不発に終わったイワンコフは目を白黒させた。
『……騒がしい小僧共じゃ』
「!!?誰じゃ」
イナズマによって牢獄を出たジンベエは聞こえた声にあたりを見渡す。
するとひとつの牢屋から長い銀髪と貫くような紫の瞳が自分を捉えていることに気づく。
その容姿にジンベエは見覚えがあった。
「そんな…まさか!!!あんたは!!レニーさんか!!? 」
「「レニー!!?」」
ジンベエの言葉にイワンコフ達は驚きの声をあげる。
『ジンベエ。久しく見ぬ間に血の気質が少し変わったのォ』
「やはり…!!」
レニーの変わらぬ姿、物言いにジンベエは歓喜に似た声を出す。しかし一人の男が首を傾げた。
「誰だレニーって?」
「!?」
『……』
その言葉にジンベエは驚き、 レニーは目を向ける。
『(この小僧の血の感じ…どこかで)』
「…?」
レニーは自分の吸ってきた血の気配をルフィから感じていた。
しかし関心はルフィの首にかかる麦らわ帽子に向く。
『…小僧、なぜシャンクスの帽子を持っておる?』
「!お前シャンクスを知ってんのか!?」
「ルフィくん!あんまり失礼ことを言っては…!!」
「あん?なんだお前偉いやつなのか??」
『さぁ…』
「偉いってどころじゃないチャブルよ、麦わらボーイ…!!」
「本物なのか…?」
なにやら顔面がひきつったイワンコフとカニちゃんが言った。ジンベエが深く頷くと2人は息をのんだ。
「??なんだ?イワちゃんもカニちゃんも…」
「麦わらボーイが知らないのは仕方がないかもチャブルけど…この人は」
『――我はレニー・レニゲイド、吸血鬼じゃ』
「吸血鬼…!?」
「クハハハ…まさかロジャー海賊団の残党がこんなとこにぶちこまれてやがったとはなァ」
まだ檻に留まっているクロコダイルは笑う。ルフィは驚いた。
「お前がおっさんが言ってた吸血鬼なのか!!?」
『おっさん…?』
「レイリーのおっさんだよ!会ったんだ!!シャボンティ諸島で」
『!レイリーに…?』
「おう!」
ルフィはレニーの言葉に頷く。
『そうか…ならば話が早いな。して、主の言うエースとは?』
「エースはおれの兄ちゃんだ!!」
「ポートガス・D・エース…!!白ひげ海賊団、2番隊隊長をしてるボーイチャブル」
ルフィの言葉にイワンコフが付け加え説明した。
『ポートガス…!!』
レニーの心臓が大きく鳴る。
『(ここにいたのか、ルージュの子が…。しかしそれならばなぜ、気づかなかった…?)』
レニーはルフィを見た。
「おれ、エースを助けに行かねェと…!!!」
『……。急ぎの様子故、詳細は後に聞くとしよう』
「「「??」」」
『小僧、我も連れていけ』
「「ええ!!?」」
ジンベエとイワンコフはびっくりした声をあげる。ルフィはレニーを見上げる。
「一緒に来てくれるのか??」
『ああ。我はエースに縁(エニシ)があるのじゃ』
「エニシ…?」
ルフィは言葉の意味がわからず、首を傾げる。レニーは言葉を続けた。
『彼の両親と我は友でな。我は彼を見守ると約束した』
「…!(ドラゴンとレニー・レニゲイドが旧知の仲…!?そんなこと知らなかったチャブル!!)」
イワンコフは心の中で動揺する。
「……」
『……』
ルフィは静かにレニーを見つめて、頷いた。
「やっぱレイリーの言った通り、いい奴だな!お前!!」
『…?』
「カニちゃん、こいつも出してやってくれ」
「いいのか…?」
「ああ」
「…わかった」
『……レイリーが主に何を吹き込んだか知らぬが…。まぁよい』
「じゃあ、開けるぞ!」
『その必要ない』
「!?」
イナズマを制すとレニーは己の身体を霧に変える。
ガシャンと海楼石の手錠が外れる音が響く頃には檻の外に黒い霧が収束し、人型になった。
「すげェ!!」
「海楼石の手錠が簡単に…さすが伝説の吸血鬼…!!インペルダウンから逃げ出すのはわけないってことチャブルね」
『伝説か…。後の世ではそう呼ばれておるのか…』
その後、イナズマの手によりクロコダイルの錠が外され、外に出る。
これで脱出メンバーは出揃った。
「――――さァてこうなったら時間がナッサブル……!!力技でこの監獄を突破するわよォオ!!!ヒーハー!!!」
「白ひげのオヤジさんには手出しはさせんぞ、クロコダイル!!」
「じゃあ今の内に殺し合っとくか?」
「“元”を含めて七武海が2人に伝説までいるとは…!!」
「七武海が2人?誰だ、あと一人?」
『―――…騒がしい奴らじゃのォ』
かくして、レニーは再び時代の表舞台に登場することとなるのであった。
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『ああ、今帰った』
南の海のバテリラ。ここは年中暖かく。人々を陽気にさせる。
『いつ来てもいいな、ここは』
「あら、レニーがそんなこというなんて珍しい」
『そうか?』
レニーが聞き返すとルージュはふふ…とやわらかく笑った。
「おお!レニー!帰ってきたのか」
ルージュの次にレニーを迎えたのはロジャー。
『悪いか』
レニーはロジャーの物言いに、少し意固地に言葉を返す。
しかしそれがあのロジャーに効くわけがない。
「シシシ!!悪くねェに決まってんだろ!ほら、“エース”に顔見せてやれよ。おじいちゃん!」
『!!我は主らの親になった覚えは…』
「あ~あ~」
『!』
ロジャーに口上を立てようとしたとき、足元でズボンが引っ張られるのに気付いた。
下に目を向けると、ズボンを引っ張る小さな手。
「ほら、じじいだって“エース”も言ってるじゃねェか」
『黙らんか!』
「ふふ。“エース”はモテモテだね」
『……フン』
レニーはロジャーとルージュのからかいを一蹴すると、自分のスボンを引っ張る赤ん坊に手を差し出した。
レニーの真似をして手を伸ばして来た小さな体をレニーは優しく抱きかかえる。
その身体からは人間が持つ熱の温かさが感じられる。
『いい子にしておったか?“エース”』
レニーはその熱をとてもいとおしく思い、目を閉じた。
―――――――
―――――
――――ス~~~~~!!!!
『!』
レニーは瞼をあげた。誰かが誰かを呼ぶような叫び声が聞こえた気がしたからだ。
…が、目に見える石の天井が囚人を囲う檻だと思い出すと、声は気のせいだという結論に達するまでそう時間はかからなかった。
『……なんと都合のいい夢じゃ』
現実に引き戻された今でも、手に残った熱をレニーは感じた。しかしあの光景は夢でしかないことをレニーはもちろん知っている。
『…もう、どれくらい経つのか…』
自分の腕にはまっている紅い腕輪に目を向けたレニーの耳にある青年の声が聞こえてきた。
「―――おい、おれは上に行きてェんだよ!!カニちゃん!!階段閉じちまったらエースに追いつけねェよ!!」
『……エース?』
レニーはその名に身体を起こした。
「閉じる他ガスを止める方法がない。意識を失っては救出もクソもない」
「失ったって救出すんだよ!!!エースは死刑になるんだぞ!!!」
ルフィの物言いにイナズマは肩を落とす。
「無茶を言うな、単純だが敵の作戦勝ちだ。我々はこのLEVEL6に閉じ込められた。現状脱出の術はない」
「!!?」
「せめてもの抵抗はコレ…!!敵の情報を奪う事……!!」
イワンコフはLEVEL6内にある電伝虫を手に取りルフィに見せる。ルフィの表情はかたい。
「常識に考えて…もう間に合わナブルよ。エースボーイがリフトでスムーズに海上へ連行されるのに対し、こちらには立ちはだかる敵がいる!!!
軍の護送は迅速。ビブルカードをごらん。真上を差してないんじゃない?」
ルフィはイワンコフに言われビブルカードを見た。
確かにビブルカードは真上を指さず、ツツ…と動いている。
「…!!」
「―――もう身柄は海軍に引き渡された頃だわね」
イワンコフはルフィの手にあるビブルカードを見下ろしながら腕を組む。
「気持ちを切り替えてヴァターシはこの大監獄からヴァナタを無事脱獄させる事に全力を尽くす。
エースボーイの身柄はもう“海軍本部”へ渡ってしまう。諦めるんだね…―――いえ、後は“白ひげ”に賭けるしか…」
「だったら」
「!?」
ルフィが強く拳を握る。その眼には強い光が宿っている。
「おれは行くよ!!!“海軍本部”!!!!」
「「「!!?」」」
ルフィの決意にイワンコフは驚いた。
「ヴァカおっしゃい!!!この世界の頂点の戦キャブルよ!!!?
“白ひげ”の実力知ってんの!?迎え撃つ海軍の“大将”・“中将”・“七武海”の実力知ってんの!!?
ヴァナタ命いくつ持ってんの!!?」
「もし諦めたらくいが残る!!!おれは行く!!」
「…………!!」
イワンコフはルフィにドラゴンの血を感じたのか、気迫に押される。イナズマが言った。
「行くも何も…!!まずこの階(フロア)から抜け出せないんだぞ」
「―――ここを抜けたきゃ、おれを解放しろ……!!」
「!?」
ルフィは後ろの檻から聞こえる声に振り返る。
「おれなら天井に穴を開けれる!!!」
「あ…」
振り返ったルフィは目を見張った。
「どうだ麦わら……クハハハハ」
「クロコダイル!!!!」
そこにいたのは囚人服を着て、両手に海楼石の手錠をはめたクロコダイル。
クロコダイルはニヤリと微笑む。
「もうシャバに出た所で面白みはねェと思っていたが……“白ひげ”と“海軍”が戦争を始めるって?あのジジイの首を取るチャンスが来るとはな」
「……!!」
「おれはその戦争に興味がある…!!!おれの能力があれば…おれもお前もここから抜け出せる。悪い話じゃねェハズだ。互いにメリットがある」
「フザけんな!!!お前はビビの国をメチャメチャにした奴だ!!!」
「昔の話だ。あの国にもう興味はねェ」
ルフィと牢獄にいるクロコダイルに喰ってかかる。
「解放しましょう、麦わらボーイ。確かにコイツがいれば相当な戦力になる。ヴァナタは止まらない…“海軍本部”へ行くなら尚更よ…!!!」
「えェ~!!?イワちゃん!!あのなコイツは……!!」
イワンコフの言葉にルフィは否定の言葉を述べる。イワンコフの姿を見たクロコダイルは眉をひそめた。
「……!!!イワンコフ…」
「お久しぶりだわねェ、クロコボーイ…」
「何だ知ってんのか!?」
「ちょっと昔ね…コイツがまだルーキーと呼ばれた時代……!!大丈夫よ。万が一、ヴァターシ達を裏切る様な行動に出てもヴァターシが抑え込むから
…一切信用できないけど…ン~~フフフ。ヴァターシはコイツの“弱み”を一つ握ってる…!!!」
「!!」
「大人しく力だけ貸すなら…黙っててあげるけど、ヒーハー!!!」
「貴様…!!!」
クロコダイルは苦虫を噛むようにぎりぎりと顔をしかめた。
「何だオイ!だったらおれも解放しろォ!!!」
「おれもおれも!!白ひげに恨みがある!!!」
「黙れ“DEATH WINK”!!」
「「どア!!」」
騒ぎ立てる囚人達はイワンコフの瞬きにより檻の奥まで吹っ飛んで行った。
「後生の頼みだ!!!」
「!?」
「?」
クロコダイルの檻と向かいの監獄からまた声が飛んだ。ルフィは顔をその声の主に向ける。
「わしも連れて行ってくれ!!!…ハァ…必ず役に立つ!!!」
『(この声は…)』
その男は先ほどLEVEL6に降りてきたルフィに、エースが連れて行かれたことを知らせた魚人、ジンベエだ。
「エースさんとは…彼が白ひげ海賊団に入った時からの付き合いじゃ。弟がいるという話はさんざん聞かされてきた…!!!
わしは、この戦争に反対した事でここにおる!!!エースさんを救いたいんじゃ!!!頼む!!!わしに死に場所をくれ!!!」
「……」
「ウ~~~これまた大物…!!」
イワンコフはジンベエの登場に唸った。ジンベエをじっと見ていたルフィは言う。
「いいぞ」
「おい、大丈夫か。我々はコイツの危険度も人格も一切知らない」
「いいんだ。出してやってくれ」
「……かたじけない!!!」
「オウ!!!おれもかたじけない!!」
「後生の頼みだ!!!」
「黙れ!!“DEATH WIN…」
ブワッと目の前の囚人達が服だけを残し姿を消した。
「!!?消えた…!?」
目の前で騒いでいた囚人達が服を残し姿を消す。まばたきが不発に終わったイワンコフは目を白黒させた。
『……騒がしい小僧共じゃ』
「!!?誰じゃ」
イナズマによって牢獄を出たジンベエは聞こえた声にあたりを見渡す。
するとひとつの牢屋から長い銀髪と貫くような紫の瞳が自分を捉えていることに気づく。
その容姿にジンベエは見覚えがあった。
「そんな…まさか!!!あんたは!!レニーさんか!!? 」
「「レニー!!?」」
ジンベエの言葉にイワンコフ達は驚きの声をあげる。
『ジンベエ。久しく見ぬ間に血の気質が少し変わったのォ』
「やはり…!!」
レニーの変わらぬ姿、物言いにジンベエは歓喜に似た声を出す。しかし一人の男が首を傾げた。
「誰だレニーって?」
「!?」
『……』
その言葉にジンベエは驚き、 レニーは目を向ける。
『(この小僧の血の感じ…どこかで)』
「…?」
レニーは自分の吸ってきた血の気配をルフィから感じていた。
しかし関心はルフィの首にかかる麦らわ帽子に向く。
『…小僧、なぜシャンクスの帽子を持っておる?』
「!お前シャンクスを知ってんのか!?」
「ルフィくん!あんまり失礼ことを言っては…!!」
「あん?なんだお前偉いやつなのか??」
『さぁ…』
「偉いってどころじゃないチャブルよ、麦わらボーイ…!!」
「本物なのか…?」
なにやら顔面がひきつったイワンコフとカニちゃんが言った。ジンベエが深く頷くと2人は息をのんだ。
「??なんだ?イワちゃんもカニちゃんも…」
「麦わらボーイが知らないのは仕方がないかもチャブルけど…この人は」
『――我はレニー・レニゲイド、吸血鬼じゃ』
「吸血鬼…!?」
「クハハハ…まさかロジャー海賊団の残党がこんなとこにぶちこまれてやがったとはなァ」
まだ檻に留まっているクロコダイルは笑う。ルフィは驚いた。
「お前がおっさんが言ってた吸血鬼なのか!!?」
『おっさん…?』
「レイリーのおっさんだよ!会ったんだ!!シャボンティ諸島で」
『!レイリーに…?』
「おう!」
ルフィはレニーの言葉に頷く。
『そうか…ならば話が早いな。して、主の言うエースとは?』
「エースはおれの兄ちゃんだ!!」
「ポートガス・D・エース…!!白ひげ海賊団、2番隊隊長をしてるボーイチャブル」
ルフィの言葉にイワンコフが付け加え説明した。
『ポートガス…!!』
レニーの心臓が大きく鳴る。
『(ここにいたのか、ルージュの子が…。しかしそれならばなぜ、気づかなかった…?)』
レニーはルフィを見た。
「おれ、エースを助けに行かねェと…!!!」
『……。急ぎの様子故、詳細は後に聞くとしよう』
「「「??」」」
『小僧、我も連れていけ』
「「ええ!!?」」
ジンベエとイワンコフはびっくりした声をあげる。ルフィはレニーを見上げる。
「一緒に来てくれるのか??」
『ああ。我はエースに縁(エニシ)があるのじゃ』
「エニシ…?」
ルフィは言葉の意味がわからず、首を傾げる。レニーは言葉を続けた。
『彼の両親と我は友でな。我は彼を見守ると約束した』
「…!(ドラゴンとレニー・レニゲイドが旧知の仲…!?そんなこと知らなかったチャブル!!)」
イワンコフは心の中で動揺する。
「……」
『……』
ルフィは静かにレニーを見つめて、頷いた。
「やっぱレイリーの言った通り、いい奴だな!お前!!」
『…?』
「カニちゃん、こいつも出してやってくれ」
「いいのか…?」
「ああ」
「…わかった」
『……レイリーが主に何を吹き込んだか知らぬが…。まぁよい』
「じゃあ、開けるぞ!」
『その必要ない』
「!?」
イナズマを制すとレニーは己の身体を霧に変える。
ガシャンと海楼石の手錠が外れる音が響く頃には檻の外に黒い霧が収束し、人型になった。
「すげェ!!」
「海楼石の手錠が簡単に…さすが伝説の吸血鬼…!!インペルダウンから逃げ出すのはわけないってことチャブルね」
『伝説か…。後の世ではそう呼ばれておるのか…』
その後、イナズマの手によりクロコダイルの錠が外され、外に出る。
これで脱出メンバーは出揃った。
「――――さァてこうなったら時間がナッサブル……!!力技でこの監獄を突破するわよォオ!!!ヒーハー!!!」
「白ひげのオヤジさんには手出しはさせんぞ、クロコダイル!!」
「じゃあ今の内に殺し合っとくか?」
「“元”を含めて七武海が2人に伝説までいるとは…!!」
「七武海が2人?誰だ、あと一人?」
『―――…騒がしい奴らじゃのォ』
かくして、レニーは再び時代の表舞台に登場することとなるのであった。
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