永い眠り
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インペルダウンに収容されたレニーの下に、ある男が現れた。
「お~いレニー!」
『……』
「お~い、死んだのか?」
『――馬鹿者…我がそう簡単に死ぬと思うておるのか?』
「ぶわっはっはっはっ!!てめェは殺しても死なねェよ」
『相変わらず、貴様は五月蝿いのォ…』
レニーは自分の檻の前で座り込む海兵、ガープに目を向ける。ガープの口が笑っていても、目が笑っていないのに気づいた。
「レニー…子供は無事生まれたぜ。でっけぇガキだ…!!」
『……そうか』
「元気が良すぎてな、手に余るくらいだ」
ガープは笑顔で子供を抱きかかえるようにジェスチャーをし、大きさを表す。
レニーはそれをほほえましく思うと同時にその態度の裏側にあるモノを感じ取った。
『…あの子は逝ったのか?』
「!!」
ガープは目を見張り、閉口する。レニーが黙っていると、力なく肩を落とした。
「ガキを産んだ少し後に…な」
『…あの子は自分の子を抱けたのか?』
「ん?ああ、抱きしめて名前もつけた」
『……そうか』
レニーはポツリと言った。
「母親ってのはまったくもってスゲェ存在だ。華奢な身でガキをしっかり守りやがる」
『……人は昔からそうじゃよ』
「……」
レニーは穏やかな声でそう言った。
「なぁ、レニー」
『なんじゃ?』
「おれはあのガキを海兵にするぜ」
『……』
「親が“あいつ”である限り、きっと苦しむこともあるだろう。だが、海兵として立派になりゃ誰も文句は言いやしねェ…!!だから…!!」
ガープは拳を固く握る。その手は震えていた。
『…主の思うままにするがよい』
「!?」
レニーの言葉にガープの握った拳がフッとゆるむ。
『我は人ではない故、どの生き方が最良かはわからぬ。それにあやつは主に子を託したのじゃ』
「……」
『どう育てるかは主次第…そこからどう生きるかは子次第じゃ』
「……それは誰が育てようが、同じってことか?」
『いや。環境が人を作るとも言う故、主に育てられたことにより、海兵になるやもしれん』
「?」
『我はただ、あの子の産んだ子がどう生き、どう終えるかを見守るだけじゃ』
「……」
「――失礼します!!ガープ中将。そろそろお時間が…」
後ろに控えていた看守が時計を気にしながらガープに言った。ガープは看守に振り返る。
「わかった。すぐに行く。船の準備をしておけ」
「はっ!」
ガープはそう手短に言うと、看守はバタバタと走って行った。それを見送るとよっこしょっと立ちが上がる。
「じゃあな、レニー」
『ああ』
「もう来ることはねェかもしれなねェが…」
『…ガープよ』
「?」
『子は男か?女か?』
「?ああ、男だ。名は…」
『よい。知っておる』
「知ってる?」
『ああ』
―――レニー!おれのガキの名を教えといてやる!男ならエース。女ならアンだ!!
レニーは獄中のロジャーが笑顔でそう言ったことを思い出し、クスッと笑った。ガープはそれを見て首を傾げる。
「レニー?」
『下がれ。もう貴様に用はない』
「何を!!」
『我は眠る。邪魔をするな』
「!!チッ!!もう来ねェよ!!」
悪態をついたレニーに、ガープは怒って背を向ける。
『ああ、来るな』
怒りにさらに拍車を立てるような言葉。ガープは思いっきり振り返る。
「!?」
ガープは目を見張った。檻の中が先ほどよりも闇が深くなったかのように、レニーの姿は見えなくなっていたのだ。
「……。レニー!!」
ガープは姿の見えないレニーを呼ぶ。そして…
「あとは任せてお前はずっと寝てろ!」
ガープは暗闇にそう言うと、背を向けドスドスと歩き去って行った。
『男か…』
レニーはガープが去った後、レニーはベットに仰向けに寝ながら腕にはまっている紅い腕輪を見た。
『ルージュ、ロジャー…我もいつか会えるだろうか。主らの子、“エース”に…』
レニーはそういうと、腕を胸の上におき、祈るような姿で眠りについた。
―――彼が次に目覚めるのは約20年後…麦わら帽子をかぶった青年が兄を助けにやってくるその時まで
【永い眠り】終
「お~いレニー!」
『……』
「お~い、死んだのか?」
『――馬鹿者…我がそう簡単に死ぬと思うておるのか?』
「ぶわっはっはっはっ!!てめェは殺しても死なねェよ」
『相変わらず、貴様は五月蝿いのォ…』
レニーは自分の檻の前で座り込む海兵、ガープに目を向ける。ガープの口が笑っていても、目が笑っていないのに気づいた。
「レニー…子供は無事生まれたぜ。でっけぇガキだ…!!」
『……そうか』
「元気が良すぎてな、手に余るくらいだ」
ガープは笑顔で子供を抱きかかえるようにジェスチャーをし、大きさを表す。
レニーはそれをほほえましく思うと同時にその態度の裏側にあるモノを感じ取った。
『…あの子は逝ったのか?』
「!!」
ガープは目を見張り、閉口する。レニーが黙っていると、力なく肩を落とした。
「ガキを産んだ少し後に…な」
『…あの子は自分の子を抱けたのか?』
「ん?ああ、抱きしめて名前もつけた」
『……そうか』
レニーはポツリと言った。
「母親ってのはまったくもってスゲェ存在だ。華奢な身でガキをしっかり守りやがる」
『……人は昔からそうじゃよ』
「……」
レニーは穏やかな声でそう言った。
「なぁ、レニー」
『なんじゃ?』
「おれはあのガキを海兵にするぜ」
『……』
「親が“あいつ”である限り、きっと苦しむこともあるだろう。だが、海兵として立派になりゃ誰も文句は言いやしねェ…!!だから…!!」
ガープは拳を固く握る。その手は震えていた。
『…主の思うままにするがよい』
「!?」
レニーの言葉にガープの握った拳がフッとゆるむ。
『我は人ではない故、どの生き方が最良かはわからぬ。それにあやつは主に子を託したのじゃ』
「……」
『どう育てるかは主次第…そこからどう生きるかは子次第じゃ』
「……それは誰が育てようが、同じってことか?」
『いや。環境が人を作るとも言う故、主に育てられたことにより、海兵になるやもしれん』
「?」
『我はただ、あの子の産んだ子がどう生き、どう終えるかを見守るだけじゃ』
「……」
「――失礼します!!ガープ中将。そろそろお時間が…」
後ろに控えていた看守が時計を気にしながらガープに言った。ガープは看守に振り返る。
「わかった。すぐに行く。船の準備をしておけ」
「はっ!」
ガープはそう手短に言うと、看守はバタバタと走って行った。それを見送るとよっこしょっと立ちが上がる。
「じゃあな、レニー」
『ああ』
「もう来ることはねェかもしれなねェが…」
『…ガープよ』
「?」
『子は男か?女か?』
「?ああ、男だ。名は…」
『よい。知っておる』
「知ってる?」
『ああ』
―――レニー!おれのガキの名を教えといてやる!男ならエース。女ならアンだ!!
レニーは獄中のロジャーが笑顔でそう言ったことを思い出し、クスッと笑った。ガープはそれを見て首を傾げる。
「レニー?」
『下がれ。もう貴様に用はない』
「何を!!」
『我は眠る。邪魔をするな』
「!!チッ!!もう来ねェよ!!」
悪態をついたレニーに、ガープは怒って背を向ける。
『ああ、来るな』
怒りにさらに拍車を立てるような言葉。ガープは思いっきり振り返る。
「!?」
ガープは目を見張った。檻の中が先ほどよりも闇が深くなったかのように、レニーの姿は見えなくなっていたのだ。
「……。レニー!!」
ガープは姿の見えないレニーを呼ぶ。そして…
「あとは任せてお前はずっと寝てろ!」
ガープは暗闇にそう言うと、背を向けドスドスと歩き去って行った。
『男か…』
レニーはガープが去った後、レニーはベットに仰向けに寝ながら腕にはまっている紅い腕輪を見た。
『ルージュ、ロジャー…我もいつか会えるだろうか。主らの子、“エース”に…』
レニーはそういうと、腕を胸の上におき、祈るような姿で眠りについた。
―――彼が次に目覚めるのは約20年後…麦わら帽子をかぶった青年が兄を助けにやってくるその時まで
【永い眠り】終