己の幕を引く場所
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ロジャーが収監されて数日経ったある、満月の夜。
ロジャーはふと目を覚ました。
「……あんだァ?」
ロジャーは周囲を見渡す。見張りの気配が不思議なくらい感じられない。
「おい、誰かいねェのか?……いや、これは」
『……貴様、何をぶつぶつ言うておる?』
「しっしっしっ。やっぱりお前か、レニー」
ロジャーはベッドから起き上がると、鉄格子越しにいるレニーをみた。
『やはりとはなんじゃ』
「そろそろだと、思ってたからな」
『ほぅ…、身に覚えがあるか』
「まぁな。で、見張りはどうした?」
『殺してはおらん』
「そうか、さすがだな」
『フン…』
「それで、あれか? ルージュに聞いたのか?」
ニヤニヤと笑うロジャー。レニーはロジャーを睨みつけた。
『ああ、聞いた。まさか、子を孕んでいるとはな』
「しっしっし。驚いただろう!! 子供をナメてっと驚かされるって言っただろ?」
『フン…貴様がこんなところに居らぬのなら、今頃我の【陽】で八つ裂きじゃ』
「おっ、しねェのか?」
『…………。せぬ。それはあの子が一番悲しむことはわかっておる』
二人に沈黙が走る。少しの静寂を経て、ロジャーがポツリと聞いた。
「…………。元気か? その彼女は……」
『今は、順調じゃよ。日々、穏やかに暮らしている。だが、これからはわからぬ』
「!」
『主が処刑されれば、より広範囲な捜査がされるであろう。
我は当分の間、その手が彼女に行かぬように、囮になるつもりじゃ』
「……お前、本当にルージュが好きなんだな?」
『フン……。シャッキーが言うには”愛”らしいがな』
「愛! お前が愛ってか!!?」
『笑うな!! 貴様だけには笑われたくないわ』
鉄格子を握り、抗議の声を上げる。ロジャーはケラケラ笑った。
「しっしっし。いやぁ、そうかそうか。まぁルージュじゃ仕方ねェ」
『……ハァ。我は帰るぞ』
「おいおい、もうか?」
『主と話しておると、疲れるのでな』
「しっしっし。そうか。じゃあ、最後に一つ聞いてけ」
『なんじゃ?』
「船長命令だ!!」
『ハァ? 主が何を呆けて……』
レニーは最後まで言わず口を閉じる。目線の先にはロジャーの真剣な瞳が向いていた。
『……言うてみよ』
「しっしっし」
ロジャーはレニーの真剣な瞳に愉快そうに笑うと、話した。
『貴様……本気か? あいつに賭けると?』
「ああ、本気だ。お前が嫌なら構わねぇが」
『フン、断る理由がなかろう』
「しっしっし。さすがレニーだ」
『しれたこと。ならば我は行くぞ。準備をせねばならぬ』
「ああ、頼んだぞ」
『フン』
レニーはロジャーに背を向ける。
「レニー!おれのガキの名を教えといてやる!男ならエース。女ならアンだ!!」
『なんじゃ、急に?』
「いや、じじいになるお前にも言っておかねェとなと思ってよ」
『じじいじゃと?』
「俺とルージュの子が生まれたらお前は晴れてじじいだろ?覚えておけよ!」
『ああ。ではまた地獄でな』
「おうよ」
レニーはそう言うと黒い霧となって姿を消した。そして残ったロジャーは笑顔でそれを見送った。
【己の幕を引く場所】終
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ロジャーはふと目を覚ました。
「……あんだァ?」
ロジャーは周囲を見渡す。見張りの気配が不思議なくらい感じられない。
「おい、誰かいねェのか?……いや、これは」
『……貴様、何をぶつぶつ言うておる?』
「しっしっしっ。やっぱりお前か、レニー」
ロジャーはベッドから起き上がると、鉄格子越しにいるレニーをみた。
『やはりとはなんじゃ』
「そろそろだと、思ってたからな」
『ほぅ…、身に覚えがあるか』
「まぁな。で、見張りはどうした?」
『殺してはおらん』
「そうか、さすがだな」
『フン…』
「それで、あれか? ルージュに聞いたのか?」
ニヤニヤと笑うロジャー。レニーはロジャーを睨みつけた。
『ああ、聞いた。まさか、子を孕んでいるとはな』
「しっしっし。驚いただろう!! 子供をナメてっと驚かされるって言っただろ?」
『フン…貴様がこんなところに居らぬのなら、今頃我の【陽】で八つ裂きじゃ』
「おっ、しねェのか?」
『…………。せぬ。それはあの子が一番悲しむことはわかっておる』
二人に沈黙が走る。少しの静寂を経て、ロジャーがポツリと聞いた。
「…………。元気か? その彼女は……」
『今は、順調じゃよ。日々、穏やかに暮らしている。だが、これからはわからぬ』
「!」
『主が処刑されれば、より広範囲な捜査がされるであろう。
我は当分の間、その手が彼女に行かぬように、囮になるつもりじゃ』
「……お前、本当にルージュが好きなんだな?」
『フン……。シャッキーが言うには”愛”らしいがな』
「愛! お前が愛ってか!!?」
『笑うな!! 貴様だけには笑われたくないわ』
鉄格子を握り、抗議の声を上げる。ロジャーはケラケラ笑った。
「しっしっし。いやぁ、そうかそうか。まぁルージュじゃ仕方ねェ」
『……ハァ。我は帰るぞ』
「おいおい、もうか?」
『主と話しておると、疲れるのでな』
「しっしっし。そうか。じゃあ、最後に一つ聞いてけ」
『なんじゃ?』
「船長命令だ!!」
『ハァ? 主が何を呆けて……』
レニーは最後まで言わず口を閉じる。目線の先にはロジャーの真剣な瞳が向いていた。
『……言うてみよ』
「しっしっし」
ロジャーはレニーの真剣な瞳に愉快そうに笑うと、話した。
『貴様……本気か? あいつに賭けると?』
「ああ、本気だ。お前が嫌なら構わねぇが」
『フン、断る理由がなかろう』
「しっしっし。さすがレニーだ」
『しれたこと。ならば我は行くぞ。準備をせねばならぬ』
「ああ、頼んだぞ」
『フン』
レニーはロジャーに背を向ける。
「レニー!おれのガキの名を教えといてやる!男ならエース。女ならアンだ!!」
『なんじゃ、急に?』
「いや、じじいになるお前にも言っておかねェとなと思ってよ」
『じじいじゃと?』
「俺とルージュの子が生まれたらお前は晴れてじじいだろ?覚えておけよ!」
『ああ。ではまた地獄でな』
「おうよ」
レニーはそう言うと黒い霧となって姿を消した。そして残ったロジャーは笑顔でそれを見送った。
【己の幕を引く場所】終
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