【過去】吸血鬼と少女
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ルージュと出会って数日経ったある日、レニーは苦しそうに胸を抑えながら目覚めた。身体が重い。
『ハァ……そろそろか……』
レニーは身体を起こし、大きく肩を上下させる。
『……(ならば、もう)』
レニーは息苦しさを抑えながら、悲しそうに瞳を揺らした。
*
「レニー!」
『…ルージュか』
「? どうしたの??」
ルージュはレニーの下へ駆け寄って来る。心配そうな目でレニーを見上げた。レニーは無理やり口角をあげ笑う。
『なんて顔をしておるのじゃ』
「レニー…元気ないね」
『……』
「病気かもしれない…!! 町のお医者様に診てもらおうよ」
ルージュはそういうとレニーの手を掴んだ。
――――ドクンッ
『……っ』
ルージュのぬくもりを感じたレニーの心臓が波打つ。レニーは瞬間的にルージュの手を払った。
「!」
ルージュは目を見張る。払われた自分の手に一度目を向けると、驚いた顔のままレニーを見た。
「レニー……?」
『ルージュ…』
肩で息をするレニー。しかし目はしっかりとルージュを見る。
『もうここに来るのはやめよ』
「え!?」
驚くルージュにレニーは告げた。
『我はもうすぐ死ぬ』
「!! なんで!?どうして!!? どうしてレニーが死んじゃうの?」
ルージュは訴えるように強い口調で尋ねる。レニーは淡々とルージュの問いに答えた。
『……吸っておらんからじゃ』
「!」
『我はかれこれ二十数年、血を吸ってはおらん』
「!…じゃあ、吸わないと!! レニー、死んじゃうよ」
レニーは首を横に振る。
『吸わぬ』
「なんで……?」
『我はその“死”を望んでおるのじゃよ、ルージュ』
「ダメ!! 死んじゃダメだよ」
ルージュは手を出す。
『?』
「血を吸って、レニー!!」
『! ルージュ…!!』
「お願い、吸って!! 死なないで!!」
『……断る。主の血など、ハァ…欲しゅうない』
「やだ!! 吸って」
『いい加減にせよ!』
パチンッ!!
「……っ」
レニーはルージュの頬を平手打ちした。ルージュは叩かれた頬を抑える。
「……」
『我は……ハァ……死を選び血を吸わんかった。何者でもない、この“我が”選んだのじゃ…!! 今さら主の様な小娘にひっくり返せることではない…!!!』
「でも……!!」
『でもではない……』
「でも!! レニーだってひとりは淋しいでしょ?」
『……。我は別に淋しくなぞ』
「淋しいよ!!」
『!』
レニーの言葉を切ったルージュの瞳からポロポロと涙を流す。ルージュはその涙を止めることもなく言った。
「ひとりは淋しいよ!! 私はずっとひとりだもん。町の人はみんないい人だけど……お家に帰ったらひとりだもん!!」
小さな手をギュッときつく握る。レニーはそんなルージュを冷たくあしらった。
『……それは今でも変わらぬであろう』
「違うよ。レニーがいると思ったら淋しくないも…」
『……去れ』
「レニー…!?」
レニーは冷酷な声で、ルージュの言葉を切った。紫の瞳でルージュを睨みつける。
『去らぬか。我は吸血鬼。人間の悩みになぞ興味はない』
レニーはそう言うとルージュに背を向ける。
『我の前から消えよ。もう2度とここへは来るな』
「そんな!! レニー……」
『……』
「レニー」
『……』
「返事してよ……!! こんなのやだよォ……!!」
『……』
嗚咽交じりにルージュは言った。レニーはそれを目を瞑ってやり過ごす。ルージュの顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。
「うっ、うわーん!!」
ダダッと泣きながら走り去って行ったルージュ。その泣き声を聞きながらレニーは胸を強く握っていた。
『……』
ルージュの気配がなくなり、静かになった森。レニーは岩のベットに再び寝転ぶと手を瞼の上に置いた。
『……ルージュ……赦せ』
その瞼の下に浮かぶのは涙を流すルージュ。レニーは口をきつく閉じた。
(主には見せたくないのじゃ……。我を友と呼んだ主に“友の最期”なぞ……)
『ハァ……そろそろか……』
レニーは身体を起こし、大きく肩を上下させる。
『……(ならば、もう)』
レニーは息苦しさを抑えながら、悲しそうに瞳を揺らした。
*
「レニー!」
『…ルージュか』
「? どうしたの??」
ルージュはレニーの下へ駆け寄って来る。心配そうな目でレニーを見上げた。レニーは無理やり口角をあげ笑う。
『なんて顔をしておるのじゃ』
「レニー…元気ないね」
『……』
「病気かもしれない…!! 町のお医者様に診てもらおうよ」
ルージュはそういうとレニーの手を掴んだ。
――――ドクンッ
『……っ』
ルージュのぬくもりを感じたレニーの心臓が波打つ。レニーは瞬間的にルージュの手を払った。
「!」
ルージュは目を見張る。払われた自分の手に一度目を向けると、驚いた顔のままレニーを見た。
「レニー……?」
『ルージュ…』
肩で息をするレニー。しかし目はしっかりとルージュを見る。
『もうここに来るのはやめよ』
「え!?」
驚くルージュにレニーは告げた。
『我はもうすぐ死ぬ』
「!! なんで!?どうして!!? どうしてレニーが死んじゃうの?」
ルージュは訴えるように強い口調で尋ねる。レニーは淡々とルージュの問いに答えた。
『……吸っておらんからじゃ』
「!」
『我はかれこれ二十数年、血を吸ってはおらん』
「!…じゃあ、吸わないと!! レニー、死んじゃうよ」
レニーは首を横に振る。
『吸わぬ』
「なんで……?」
『我はその“死”を望んでおるのじゃよ、ルージュ』
「ダメ!! 死んじゃダメだよ」
ルージュは手を出す。
『?』
「血を吸って、レニー!!」
『! ルージュ…!!』
「お願い、吸って!! 死なないで!!」
『……断る。主の血など、ハァ…欲しゅうない』
「やだ!! 吸って」
『いい加減にせよ!』
パチンッ!!
「……っ」
レニーはルージュの頬を平手打ちした。ルージュは叩かれた頬を抑える。
「……」
『我は……ハァ……死を選び血を吸わんかった。何者でもない、この“我が”選んだのじゃ…!! 今さら主の様な小娘にひっくり返せることではない…!!!』
「でも……!!」
『でもではない……』
「でも!! レニーだってひとりは淋しいでしょ?」
『……。我は別に淋しくなぞ』
「淋しいよ!!」
『!』
レニーの言葉を切ったルージュの瞳からポロポロと涙を流す。ルージュはその涙を止めることもなく言った。
「ひとりは淋しいよ!! 私はずっとひとりだもん。町の人はみんないい人だけど……お家に帰ったらひとりだもん!!」
小さな手をギュッときつく握る。レニーはそんなルージュを冷たくあしらった。
『……それは今でも変わらぬであろう』
「違うよ。レニーがいると思ったら淋しくないも…」
『……去れ』
「レニー…!?」
レニーは冷酷な声で、ルージュの言葉を切った。紫の瞳でルージュを睨みつける。
『去らぬか。我は吸血鬼。人間の悩みになぞ興味はない』
レニーはそう言うとルージュに背を向ける。
『我の前から消えよ。もう2度とここへは来るな』
「そんな!! レニー……」
『……』
「レニー」
『……』
「返事してよ……!! こんなのやだよォ……!!」
『……』
嗚咽交じりにルージュは言った。レニーはそれを目を瞑ってやり過ごす。ルージュの顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。
「うっ、うわーん!!」
ダダッと泣きながら走り去って行ったルージュ。その泣き声を聞きながらレニーは胸を強く握っていた。
『……』
ルージュの気配がなくなり、静かになった森。レニーは岩のベットに再び寝転ぶと手を瞼の上に置いた。
『……ルージュ……赦せ』
その瞼の下に浮かぶのは涙を流すルージュ。レニーは口をきつく閉じた。
(主には見せたくないのじゃ……。我を友と呼んだ主に“友の最期”なぞ……)