【過去】吸血鬼と少女
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『……朝か……』
レニーは自分に降り注ぐ柔らかい光を受け、目を開けた。
ここはサウスブルーのバテリラという名の島。バテリラは人間達が住む開拓された地と恵まれた豊かな森が隣り合う、平和な島だ。
『ふむ……』
レニーがいるのはその森にある洞窟を抜けた先、木が生えない不思議な空間。その空間には人間が“神の寝床”と崇める大きな石があり、レニーはその上で寝っていた。
『……だいぶ、動きが悪くなってきたのォ』
仰向けに寝転んだまま、手を天に向けるレニーはぎこちなく手を動かす。
『(後、どれ程待てばよいのだろう……)』
レニーは天に伸ばしたその手を瞼の上におき、ため息をつく。
ガサガサガサ
『……』
草が不自然な音を立てたのを受け、レニーは体を起こした。
『誰じゃ』
「………」
『そこにおるのはわかっておる。姿を見せよ』
またガサガサと草が音を立てる。スッと立ち上がる影に目をやると、レニーの前に美しい金髪を持った少女が現れた。
『………』
レニーは怪訝な顔をする。ここは住人達にとって神が住まうとされる神聖な領域。その領域に人間は入ってはならない、とされているとレニーは聞いていた。
人間のいない場所、“今の”レニーにとってここは絶好の場所……のはずだった。
『(じゃが、この子供は血と生気からして人間じゃな……)』
少女に目を向けるレニーは少女から感じる気配を正確に読み取る。
「……」
『……』
「……」
『ハァ……何の用じゃ?』
レニーは少女が自分に目を向けたまま何も話さないのに痺れを切らし尋ねた。少女は胸の前でギュッと両手を握りしめると、鈴のなるような綺麗な声で話す。
「……あなたが神様?」
『神……?』
レニーは呆れたような声を出した。少女は神妙な顔で、レニーの言葉に頷く。レニーはハァっとまたひとつため息をつくと少女の問いに答えた。
『……我は神ではない』
「え…!」
少女は驚きの声をあげた。レニーは眉をひそめる。少女は辺りを見渡してから視線をまたレニーに戻すと、不思議そうに尋ねた。
「? でもここ、神様のお家なんでしょ?」
『……らしいのォ。だが我が来たときには神と呼ばれる奴はおらんかった』
「じゃあ、あなたはお留守番してるんだね。私と一緒だ…!」
『留守番…?』
「そう。私、今お家でひとりなの。ずっとお留守番してるんだよ!」
『……。残念じゃが我は吸血鬼じゃ。神でもなければ、人間でもない。我はただここで寝ておっただけじゃ』
「吸血鬼…!?」
少女は目を見張る。
『そうじゃ。わかったのなら、帰れ。お嬢ちゃんが望む奴はここにはおらぬ』
「……」
『どうした、はよう去れ』
レニーは言葉と手で、去るように促す。しかし少女は動かない。
「……ねェ、吸血鬼さん。おなまえ、何て言うの…?」
『……』
少女は好奇心旺盛な瞳でレニーを見る。レニーは髪をかきあげた。
『これじゃから人間は……我はレニー。レニー・レニゲイドじゃ』
「レニー! 私はルージュって言うの」
『そうか。もう良いじゃろう、さっさと帰るんじゃ』
レニーは適当に相槌をうつ。ルージュは肩から提げたカバンからごそごそと袋を取り出した。
「ねェ、おやつ持って来たの! 一緒に食べよ」
『……。お嬢ちゃん、我の話を聞いておったか?』
レニーは自分に降り注ぐ柔らかい光を受け、目を開けた。
ここはサウスブルーのバテリラという名の島。バテリラは人間達が住む開拓された地と恵まれた豊かな森が隣り合う、平和な島だ。
『ふむ……』
レニーがいるのはその森にある洞窟を抜けた先、木が生えない不思議な空間。その空間には人間が“神の寝床”と崇める大きな石があり、レニーはその上で寝っていた。
『……だいぶ、動きが悪くなってきたのォ』
仰向けに寝転んだまま、手を天に向けるレニーはぎこちなく手を動かす。
『(後、どれ程待てばよいのだろう……)』
レニーは天に伸ばしたその手を瞼の上におき、ため息をつく。
ガサガサガサ
『……』
草が不自然な音を立てたのを受け、レニーは体を起こした。
『誰じゃ』
「………」
『そこにおるのはわかっておる。姿を見せよ』
またガサガサと草が音を立てる。スッと立ち上がる影に目をやると、レニーの前に美しい金髪を持った少女が現れた。
『………』
レニーは怪訝な顔をする。ここは住人達にとって神が住まうとされる神聖な領域。その領域に人間は入ってはならない、とされているとレニーは聞いていた。
人間のいない場所、“今の”レニーにとってここは絶好の場所……のはずだった。
『(じゃが、この子供は血と生気からして人間じゃな……)』
少女に目を向けるレニーは少女から感じる気配を正確に読み取る。
「……」
『……』
「……」
『ハァ……何の用じゃ?』
レニーは少女が自分に目を向けたまま何も話さないのに痺れを切らし尋ねた。少女は胸の前でギュッと両手を握りしめると、鈴のなるような綺麗な声で話す。
「……あなたが神様?」
『神……?』
レニーは呆れたような声を出した。少女は神妙な顔で、レニーの言葉に頷く。レニーはハァっとまたひとつため息をつくと少女の問いに答えた。
『……我は神ではない』
「え…!」
少女は驚きの声をあげた。レニーは眉をひそめる。少女は辺りを見渡してから視線をまたレニーに戻すと、不思議そうに尋ねた。
「? でもここ、神様のお家なんでしょ?」
『……らしいのォ。だが我が来たときには神と呼ばれる奴はおらんかった』
「じゃあ、あなたはお留守番してるんだね。私と一緒だ…!」
『留守番…?』
「そう。私、今お家でひとりなの。ずっとお留守番してるんだよ!」
『……。残念じゃが我は吸血鬼じゃ。神でもなければ、人間でもない。我はただここで寝ておっただけじゃ』
「吸血鬼…!?」
少女は目を見張る。
『そうじゃ。わかったのなら、帰れ。お嬢ちゃんが望む奴はここにはおらぬ』
「……」
『どうした、はよう去れ』
レニーは言葉と手で、去るように促す。しかし少女は動かない。
「……ねェ、吸血鬼さん。おなまえ、何て言うの…?」
『……』
少女は好奇心旺盛な瞳でレニーを見る。レニーは髪をかきあげた。
『これじゃから人間は……我はレニー。レニー・レニゲイドじゃ』
「レニー! 私はルージュって言うの」
『そうか。もう良いじゃろう、さっさと帰るんじゃ』
レニーは適当に相槌をうつ。ルージュは肩から提げたカバンからごそごそと袋を取り出した。
「ねェ、おやつ持って来たの! 一緒に食べよ」
『……。お嬢ちゃん、我の話を聞いておったか?』