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『……音?』
「あ、はい…また、怪談みたくなりましたね。つまり“狂奏者”はその音が聞こえたという証言から、狂った音を奏でる者…“狂奏者”という異名がついたそうです。
実際これが犯罪者と関わりがあるかわかりませんが……」
『……』
(あれ……?)
アルトはまた不思議な感覚に陥っていた。目の前の海兵も部屋も、本棚もいつの間にかさっき見た映像のように全て色が抜けていた。
(また……色がない)
「中将?」
『あ…いや』
余所見していた目を海兵に向ける。今の今まで話をしていたのに目の前の海兵はどんな髪の色をしていたのか、制服がどんな色だったのかまったくわからなくなっていた。
「ああ、結構話したので疲れましたね。お茶、淹れましょうか」
海兵はそう言ってアルトに背を向ける。その瞬間、アルトに声が降って来た。
―――“――せ”
『!』
目の前が全て黒くなった。まるで深海の“闇”の中にいるようで、何も見えない。
―――“――わせ”
『……』
フッとアルトの瞳から光が消えた。そしてアルトは“兄の言葉”に誘われるまま、どこまでも続く闇に向けて大きく息を吸い込んだ。
―――“壊せ”
グラグラグラグラ……!!
突然、部屋が揺れる。資料室の本棚から次々と本が落ちた。
「!?なんだ地震か…!?」
『……!?』
アルトはハッと我に返る。同時に瞳にも光が戻った。地震らしき揺れも終息する。
「…あれ?止まった。なんだったんでしょうか。まさか!!白ひげ……!!!?」
海兵はそういいながら後ろを振り返り、首を傾げた。後ろに居たはずのアルトの姿が見当たらない。
「あれ…?ノティ中将?」
辺りを見渡すが、アルトは資料室から姿を消していた。
「?中…将??」
30分後、海軍本部廊下。
青キジは月明かりに照らされる廊下を大股で歩く。
その足取りには少し焦りがあった。
「どこに行ったんだ、あいつは…」
ロールから連絡を受けていた青キジはアルトの部屋を訪れていた。
しかし部屋はもぬけの殻。部屋のいたるところで争った跡があったが、そんな報告をロールからは受けていない。
「……繋がらねェか」
それから子電伝虫で何度も掛けているが、アルトにもロールにも一向に繋がらない。青キジは子電伝虫の通信を切る。
「もしかしたらと思ったが…」
―――“アリア”
うなされるアルトが発したあの“名前”。あれが、青キジの疑念を確信に変えた。
「なんで今まで気付かなかったんだ」
青キジは自分の不甲斐なさに悪態をつく。さっきの揺れも相まって海軍本部は慌ただしい。
早くアルトを探さなければ、脳が警鐘を鳴らした。
「……雨が降るな」
青キジは空にある月に大きく厚い雲がかかるのを片隅に捉えながら、駆け出した。
⇒√A(P.4)へ
「あ、はい…また、怪談みたくなりましたね。つまり“狂奏者”はその音が聞こえたという証言から、狂った音を奏でる者…“狂奏者”という異名がついたそうです。
実際これが犯罪者と関わりがあるかわかりませんが……」
『……』
(あれ……?)
アルトはまた不思議な感覚に陥っていた。目の前の海兵も部屋も、本棚もいつの間にかさっき見た映像のように全て色が抜けていた。
(また……色がない)
「中将?」
『あ…いや』
余所見していた目を海兵に向ける。今の今まで話をしていたのに目の前の海兵はどんな髪の色をしていたのか、制服がどんな色だったのかまったくわからなくなっていた。
「ああ、結構話したので疲れましたね。お茶、淹れましょうか」
海兵はそう言ってアルトに背を向ける。その瞬間、アルトに声が降って来た。
―――“――せ”
『!』
目の前が全て黒くなった。まるで深海の“闇”の中にいるようで、何も見えない。
―――“――わせ”
『……』
フッとアルトの瞳から光が消えた。そしてアルトは“兄の言葉”に誘われるまま、どこまでも続く闇に向けて大きく息を吸い込んだ。
―――“壊せ”
グラグラグラグラ……!!
突然、部屋が揺れる。資料室の本棚から次々と本が落ちた。
「!?なんだ地震か…!?」
『……!?』
アルトはハッと我に返る。同時に瞳にも光が戻った。地震らしき揺れも終息する。
「…あれ?止まった。なんだったんでしょうか。まさか!!白ひげ……!!!?」
海兵はそういいながら後ろを振り返り、首を傾げた。後ろに居たはずのアルトの姿が見当たらない。
「あれ…?ノティ中将?」
辺りを見渡すが、アルトは資料室から姿を消していた。
「?中…将??」
30分後、海軍本部廊下。
青キジは月明かりに照らされる廊下を大股で歩く。
その足取りには少し焦りがあった。
「どこに行ったんだ、あいつは…」
ロールから連絡を受けていた青キジはアルトの部屋を訪れていた。
しかし部屋はもぬけの殻。部屋のいたるところで争った跡があったが、そんな報告をロールからは受けていない。
「……繋がらねェか」
それから子電伝虫で何度も掛けているが、アルトにもロールにも一向に繋がらない。青キジは子電伝虫の通信を切る。
「もしかしたらと思ったが…」
―――“アリア”
うなされるアルトが発したあの“名前”。あれが、青キジの疑念を確信に変えた。
「なんで今まで気付かなかったんだ」
青キジは自分の不甲斐なさに悪態をつく。さっきの揺れも相まって海軍本部は慌ただしい。
早くアルトを探さなければ、脳が警鐘を鳴らした。
「……雨が降るな」
青キジは空にある月に大きく厚い雲がかかるのを片隅に捉えながら、駆け出した。
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