たったひとつの選択
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「「「!!?」」」
「静かにしないか…!!」
ロールが注意し、シュフォンに指示を出した。
シュフォンは頷き、ドフラミンゴを何とか部屋から出す。
「中じょ……っ!?」
ドアからアルトの方へ振り返ったロールは言葉を失う。
出て行ったドフラミンゴを睨みつけるアルトの瞳に覇気以上の力を感じ、背筋がゾッとしたのだ。
『………』
「……ノティ中将」
ロールは冷や汗を流しながら呼ぶ。アルトはその声に弾かれた様にロールに視線を向けた。
『……あっ、何…?』
「……お怪我は、ありませんか…??」
『ああ、ないと思う。キミの来るタイミングが良かったから』
「ええ。お部屋にお伺いしようとちょうどドアの前に来たんです。そうしたら中将の銃の銃声が聞こえまして…とっさに」
『そうか…ありがとう。危うくアイツを殺すとこだった』
「!」
『冗談だ。“命令外”だからそんなことしない』
アルトは、銃をしまう。いつも通りの無表情だが、少し疲れが見えていた。
「しかし驚きました。ドフラミンゴが本部の奥にまでやって来ているとは」
『……。処刑の日が迫っているから、外を警戒しすぎて中が疎かになってるのかもね』
「その様ですね。七武海とはいえ、海賊。監視を強めないといけませんね。このことは元帥に報告しておきます」
『いや、センゴクサンじゃなくてクザンクンに知らせよう』
「?」
アルトの言葉に疑問符を浮かべるロール。アルトは補足する。
『こうなってるってことはセンゴクサンは相当忙しいんだろう。
ならクザンクンに言って取り計らってもらう方がたぶん早い』
「なるほど、わかりました。では、青キジさんに連絡しておきます」
『うん。本部の警備強化だけ伝えといて』
「ドフラミンゴのことは…??」
『言う必要はない』
「!」
一瞬アルトの目つきがギッときつくなる。しかしすぐに、肩を落とした。
『いや、なんて言うか…アイツが来たのが僕のせいなら、また怒られるだろうし…面倒なんだ』
ふっと消えたアルトの覇気に戸惑いながらロールは頷く。
「…わかりました」
『あ……そうだ』
「?」
アルトは頭をかく。
『悪いけど、僕が部屋にいることを連絡しといてほしい。考え事してたら忘れてた』
「はい、では一緒に連絡しておきます」
『ありがとう。じゃあ僕、休むから戻ってくれていいよ』
「……。わかりました。明朝、部屋の掃除に伺いますね」
『ああ。わかった』
ロールは敬礼をして、出て行く。
ガチャっとドアがしまった瞬間、アルトは頭を抑えた。
我慢していた頭痛が鐘のように響く。
『………っ』
何もなければドフラミンゴの言葉を真に受けることはなかったかもしれない。
しかし今のアルトには思い当たることがいくつかあるのだ。
ジンベエに言った言葉…
リコルや頭痛の端々に見る記憶の欠片…
白い箱と“あの人”と“ソプラ”という兄
そして……ドフラミンゴが言ったあの言葉…
『“狂奏者”……か』
アルトはそう呟くと、外套(ポンチョ)と銃を持って静かに部屋を後にした。
.