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『これに僕の記憶の何かがある。たぶん“あの人”のことを思い出した方が早い』
アルトは力づくで“白い箱”を開けれるか試みる。だが青キジの時同様、ビクともしなかった。
仕方なく、隅々まで観察しようと窓に近づく。一面一面細かく見ていくと、ふと、ある一面に何かの影が見えた。
『……ん?』
アルトは怪訝な声を上げる。日中ではまったく気が付かなかったが、何かある。よく目を凝らすと何かが刻まれているようだ。
『なんだこれ……?』
その不鮮明な何かを確めるため、アルトはさらに窓の開けた。
そして見やすい高さに“白い箱”を持って来る。光量が増え、より鮮明になったその面には細かい細工で5本の線と黒い丸の記号が書かれていた。
『これは…五線譜?』
アルトはじっと見る。何かは“一行だけの五線譜”だった。並んでる記号の数からも曲ではないと判断出来る。
『この音符の羅列……!!』
アルトは目を見張る。自分が知っている暗号の法則に当てはめると言葉が出来た。アルトはそれを口に出す。
『……“う…た…って”……?』
――――ズキンッ!
『……痛っ!?』
瞬間、アルトは後頭部を鈍器で殴られたような痛みが走った。手から“白い箱”を落とす。
幸いにも窓から落ちることなく、“白い箱”は部屋の床に軽い音を立てて転がった。
『……っ…また…か』
アルトは息を整えつつ、床に落ちた白い箱を拾うため、屈んだ。
―――アルト
『!!?』
突然、頭に“男の声”が響いた。アルトは“白い箱”に手を伸ばしたまま動きを止めた。
『なんだ……これは』
アルトは顔を上げる。そこにはさっきまでいた部屋ではない街だった。視線がいつもより低い。
『白昼夢か?』
アルトの目の前には燃え上がる炎に包まれた街、倒れている人々。人々はすでに事切れているようで誰一人動かない。
そんな街の真ん中にアルトは立っていた。
『あれ…?』
アルトは違和感を覚えた。燃えているはずの炎の熱を感じない。人々も地面も空も炎も…全てが同じ色だった。
そして気付く。
(色が……ない)
(いや違う…。僕自身がわからないくなっているんだ、世界がどんな色をしてるか)
炎が何色だったか、人は何色だったか。まるで色の概念がなくなったようにアルトは世界の色が分からなくなっていた。
―――お前は何も心配しなくていい
『!』
呆然とするアルトの肩に後ろからそっと手が置かれる。
アルトは手が置かれたその部分にだけ黒い色が感じた。その黒から目を背けたアルトはその手の…声の主の名を知っていることに気付く。
『!……ソプラ…兄さん…?』
アルトの言葉に呼応する様に“兄”の言葉が響く。その声を聞くだけで、黒が広がる。
―――お前は何も悪いことはしていない
『……』
アルトは色のない世界を見渡す。
―――これでいいんだ
『……っ』
アルトは奥歯を噛みしめる。手に自然に力が入った。
―――お前は正しいことをしたんだよ、アルト
『違う……正しくなんか、なかった』
絞り出すようにアルトは声を否定する。
―――おれ達で終わらせるんだ。それがおれ達の…!!
『違う……違うんだ!!兄さん!!!』
アルトは兄の言葉を相殺する様に同時に声を上げる。その瞬間、声が消えた。
『……ハァ…ハァ』
アルトは肩で息をする。さっきの映像は消え、目の前には部屋の床。そして屈んだ姿勢から手を伸ばした先には“白い箱”があった。
『色が…ある』
“白い箱”を取り、アルトはゆっくり立ちあがる。月明かりに照らされた“白い箱”をグッと握りしめ、弱弱しく呟いた。
『今の街は……僕が…やったのか…?』
混乱しながら呟いた言葉は沈黙によって消される。アルトは落ち着くために深呼吸をした。
『……!』
少し落ち着いたアルトはフッと部屋の中に湧いた自分以外の“気配”に気が付いた。
『……』
アルトは気配を探りながら“白い箱”をポケットにしまう。
気配はドアの方。声をかけて来ないことから見張りやロールが来た訳ではないらしい。
『わざと……か』
アルトは“気配の主”が時を見計らってわざと自分に気配がわかるようにしたことを悟り、自分だけに聞こえる声で悪態をついた。
そして机にあるペーパーナイフを手に取り、“気配の主”の方へ思いっきり投げつける。
ドアの方は窓からの月明かりも届かないため、ただの暗闇だ。
アルトの投げたペーパーナイフはその暗闇に吸い込まれるように消える。しかしまるで何事もなかったように音はしなかった。
アルトは大きく舌打ちをし、暗闇に言葉を発する。同時に覇気を部屋に放った。
『なぜ、アンタがここにいる?』
………。
『アンタらには“マリージョア”で待機の命令が出ているハズだ』
アルトは銀色の銃を構える。何も答えない相手に憤りを感じ、アルトは怒鳴った。
『……答えろ!!ドフラミンゴ!!!!』
.
アルトは力づくで“白い箱”を開けれるか試みる。だが青キジの時同様、ビクともしなかった。
仕方なく、隅々まで観察しようと窓に近づく。一面一面細かく見ていくと、ふと、ある一面に何かの影が見えた。
『……ん?』
アルトは怪訝な声を上げる。日中ではまったく気が付かなかったが、何かある。よく目を凝らすと何かが刻まれているようだ。
『なんだこれ……?』
その不鮮明な何かを確めるため、アルトはさらに窓の開けた。
そして見やすい高さに“白い箱”を持って来る。光量が増え、より鮮明になったその面には細かい細工で5本の線と黒い丸の記号が書かれていた。
『これは…五線譜?』
アルトはじっと見る。何かは“一行だけの五線譜”だった。並んでる記号の数からも曲ではないと判断出来る。
『この音符の羅列……!!』
アルトは目を見張る。自分が知っている暗号の法則に当てはめると言葉が出来た。アルトはそれを口に出す。
『……“う…た…って”……?』
――――ズキンッ!
『……痛っ!?』
瞬間、アルトは後頭部を鈍器で殴られたような痛みが走った。手から“白い箱”を落とす。
幸いにも窓から落ちることなく、“白い箱”は部屋の床に軽い音を立てて転がった。
『……っ…また…か』
アルトは息を整えつつ、床に落ちた白い箱を拾うため、屈んだ。
―――アルト
『!!?』
突然、頭に“男の声”が響いた。アルトは“白い箱”に手を伸ばしたまま動きを止めた。
『なんだ……これは』
アルトは顔を上げる。そこにはさっきまでいた部屋ではない街だった。視線がいつもより低い。
『白昼夢か?』
アルトの目の前には燃え上がる炎に包まれた街、倒れている人々。人々はすでに事切れているようで誰一人動かない。
そんな街の真ん中にアルトは立っていた。
『あれ…?』
アルトは違和感を覚えた。燃えているはずの炎の熱を感じない。人々も地面も空も炎も…全てが同じ色だった。
そして気付く。
(色が……ない)
(いや違う…。僕自身がわからないくなっているんだ、世界がどんな色をしてるか)
炎が何色だったか、人は何色だったか。まるで色の概念がなくなったようにアルトは世界の色が分からなくなっていた。
―――お前は何も心配しなくていい
『!』
呆然とするアルトの肩に後ろからそっと手が置かれる。
アルトは手が置かれたその部分にだけ黒い色が感じた。その黒から目を背けたアルトはその手の…声の主の名を知っていることに気付く。
『!……ソプラ…兄さん…?』
アルトの言葉に呼応する様に“兄”の言葉が響く。その声を聞くだけで、黒が広がる。
―――お前は何も悪いことはしていない
『……』
アルトは色のない世界を見渡す。
―――これでいいんだ
『……っ』
アルトは奥歯を噛みしめる。手に自然に力が入った。
―――お前は正しいことをしたんだよ、アルト
『違う……正しくなんか、なかった』
絞り出すようにアルトは声を否定する。
―――おれ達で終わらせるんだ。それがおれ達の…!!
『違う……違うんだ!!兄さん!!!』
アルトは兄の言葉を相殺する様に同時に声を上げる。その瞬間、声が消えた。
『……ハァ…ハァ』
アルトは肩で息をする。さっきの映像は消え、目の前には部屋の床。そして屈んだ姿勢から手を伸ばした先には“白い箱”があった。
『色が…ある』
“白い箱”を取り、アルトはゆっくり立ちあがる。月明かりに照らされた“白い箱”をグッと握りしめ、弱弱しく呟いた。
『今の街は……僕が…やったのか…?』
混乱しながら呟いた言葉は沈黙によって消される。アルトは落ち着くために深呼吸をした。
『……!』
少し落ち着いたアルトはフッと部屋の中に湧いた自分以外の“気配”に気が付いた。
『……』
アルトは気配を探りながら“白い箱”をポケットにしまう。
気配はドアの方。声をかけて来ないことから見張りやロールが来た訳ではないらしい。
『わざと……か』
アルトは“気配の主”が時を見計らってわざと自分に気配がわかるようにしたことを悟り、自分だけに聞こえる声で悪態をついた。
そして机にあるペーパーナイフを手に取り、“気配の主”の方へ思いっきり投げつける。
ドアの方は窓からの月明かりも届かないため、ただの暗闇だ。
アルトの投げたペーパーナイフはその暗闇に吸い込まれるように消える。しかしまるで何事もなかったように音はしなかった。
アルトは大きく舌打ちをし、暗闇に言葉を発する。同時に覇気を部屋に放った。
『なぜ、アンタがここにいる?』
………。
『アンタらには“マリージョア”で待機の命令が出ているハズだ』
アルトは銀色の銃を構える。何も答えない相手に憤りを感じ、アルトは怒鳴った。
『……答えろ!!ドフラミンゴ!!!!』
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