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海軍本部。
「今日で4日目。謹慎はまだ解けないか…」
お菓子の袋を片手にアルトの部屋に向かう青キジはそう呟いた。
青キジの下にアルトの謹慎の連絡が入ったのは、アルトがシャボンティ諸島から帰還した次の日の朝。
すぐにでも顔を出すつもりだったが、センゴクから丸投げされた天竜人の対応に追われ今日まで部屋に行けなかった。
「それにしても……」
青キジは眉間にしわを寄せる。この“非常事態”に中将であるアルトを謹慎処分にするのは、正直誉められた方法とは言えない。
しかしセンゴクとつるはあえて踏み切った。それが意味するのは…果たして何か。
「ドレークがアルトの記憶に関係していないのは、センゴクさんもわかってるはず…。……警戒しすぎてる気がするな」
青キジは大きく息をつく。しかしこう暢気に考察出来るのも、アルトが無事に帰還したからだと思った。
「今回はボルサリーノに救われたってことか」
今回アルトが起こした事はすでに青キジの耳に入っている。
青キジはその報告を聞いた時、正直アルトの行動を諌めることよりも、ホッとした。
自分でもなく黄猿でもなく、あの“赤犬”がシャボンティ諸島に出ていたら…アルトは少なくとも“無傷”で帰ってくる事はなかっただろうから。
「……とりあえずかる~く説教でもするか」
青キジは気分を切り替え、部屋へ向かって行った。
「青キジさん!!お疲れ様です」
「おう、見張りご苦労さん。中のお子様は元気にしてるか?」
「は…はい!中将は部屋から一歩も出ていません」
「あらら、いつも通り大人しくしてたか。じゃあ何もなかったみたいだな」
青キジの言葉にビクッと海兵が肩を震わす。青キジは首を傾げた。
「何かあったのか?」
「いえ!!…その…」
「しゃんと話しな」
「はっ、はい!!実は……スモーカー准将が今朝…数分間ですが、いらしていました。お止めはしたんですが…」
「あ~またか」
青キジはめんどくさそうに頭をかく。そして軽い調子で言った。
「まぁ、いいよ。アイツは止めて止まる奴じゃないし」
青キジがそう言うと、見張りの海兵が退いた先にあるドアノブに手をかける。
「(それにスモーカーが来たなら少しはアルトの気も晴れただろう)……アルト、入るぞ」
青キジはそれだけ言うとノックもせず、ガチャッとノブを回す。そしてドアを開け、部屋に入って行った。
アルトの部屋は相変わらず本が山積みの雑然とした部屋。
部屋に明かりはついておらず、窓から入る光のみ。そのせいか部屋は少し暗い。
「アルト~??寝てるのか?」
アルトは眠りが比較的浅い方なので部屋に入ると何かしらのリアクションがあるはずだが…返事はなかった。
「…?」
怪訝に思いながらも青キジはとりあえず、入り口近くの机にお菓子を置く。
「(案外疲れが溜まってて寝てんのかな)」
青キジは首を傾げつつ、ベットのある奥の部屋に歩を進めようとした。
「……ん?」
しかしふと、部屋の真ん中にあるテーブルとソファが目に入る。
そのテーブルには客人用の湯飲みとアルトが愛用しているカップ。
アルトのカップは机の上で倒れており、中のホットチョコが零れ固まっていた。
不可解な状況に、青キジの視線はカップから自然に下に移る。するとドアに背を向けているソファの裾から黒い影が見えた。
「!」
大股で歩み寄る。
「――アルト!?」
青キジはソファとテーブルの間にすっぽりはまるように倒れているアルトを見つけた。
すぐにソファを手で押し退け、うつ伏せになっているアルトに声を掛ける。
「アルト!アルト!!しっかりしろ!!」
『………』
反応がない。青キジはぐったりとするアルトを抱え、仰向けにした。苦しそうだが呼吸はしている。時計に目をやった。
「朝、スモーカーに会ってたんなら、倒れたのはその後…2時間くらいは経ってるか?くそ…!」
青キジはアルトを抱え立ち上がる。
「とりあえず医務室だな…」
青キジは外にいる海兵に声をかけ、ドアを開けてもらう。そして先に行って医者を待機させるように指示を出した。
自身は急ぎたい気持ちを抑え、アルトに無駄な振動が伝わらないように配慮しながら少し早めに歩く。
『――……あ』
「?」
しばらく歩いているとアルトがうわ言で何か言った。青キジは耳を傾ける。
『……、…あ…りあ……』
「!」
アルトがとても小さな声でボソッと呟く。
青キジはそれが“名前”だと気付き、ギョッとした。
「……“アリア”…」
アルトの顔を見る青キジの表情はとても厳しかった。
.
「今日で4日目。謹慎はまだ解けないか…」
お菓子の袋を片手にアルトの部屋に向かう青キジはそう呟いた。
青キジの下にアルトの謹慎の連絡が入ったのは、アルトがシャボンティ諸島から帰還した次の日の朝。
すぐにでも顔を出すつもりだったが、センゴクから丸投げされた天竜人の対応に追われ今日まで部屋に行けなかった。
「それにしても……」
青キジは眉間にしわを寄せる。この“非常事態”に中将であるアルトを謹慎処分にするのは、正直誉められた方法とは言えない。
しかしセンゴクとつるはあえて踏み切った。それが意味するのは…果たして何か。
「ドレークがアルトの記憶に関係していないのは、センゴクさんもわかってるはず…。……警戒しすぎてる気がするな」
青キジは大きく息をつく。しかしこう暢気に考察出来るのも、アルトが無事に帰還したからだと思った。
「今回はボルサリーノに救われたってことか」
今回アルトが起こした事はすでに青キジの耳に入っている。
青キジはその報告を聞いた時、正直アルトの行動を諌めることよりも、ホッとした。
自分でもなく黄猿でもなく、あの“赤犬”がシャボンティ諸島に出ていたら…アルトは少なくとも“無傷”で帰ってくる事はなかっただろうから。
「……とりあえずかる~く説教でもするか」
青キジは気分を切り替え、部屋へ向かって行った。
「青キジさん!!お疲れ様です」
「おう、見張りご苦労さん。中のお子様は元気にしてるか?」
「は…はい!中将は部屋から一歩も出ていません」
「あらら、いつも通り大人しくしてたか。じゃあ何もなかったみたいだな」
青キジの言葉にビクッと海兵が肩を震わす。青キジは首を傾げた。
「何かあったのか?」
「いえ!!…その…」
「しゃんと話しな」
「はっ、はい!!実は……スモーカー准将が今朝…数分間ですが、いらしていました。お止めはしたんですが…」
「あ~またか」
青キジはめんどくさそうに頭をかく。そして軽い調子で言った。
「まぁ、いいよ。アイツは止めて止まる奴じゃないし」
青キジがそう言うと、見張りの海兵が退いた先にあるドアノブに手をかける。
「(それにスモーカーが来たなら少しはアルトの気も晴れただろう)……アルト、入るぞ」
青キジはそれだけ言うとノックもせず、ガチャッとノブを回す。そしてドアを開け、部屋に入って行った。
アルトの部屋は相変わらず本が山積みの雑然とした部屋。
部屋に明かりはついておらず、窓から入る光のみ。そのせいか部屋は少し暗い。
「アルト~??寝てるのか?」
アルトは眠りが比較的浅い方なので部屋に入ると何かしらのリアクションがあるはずだが…返事はなかった。
「…?」
怪訝に思いながらも青キジはとりあえず、入り口近くの机にお菓子を置く。
「(案外疲れが溜まってて寝てんのかな)」
青キジは首を傾げつつ、ベットのある奥の部屋に歩を進めようとした。
「……ん?」
しかしふと、部屋の真ん中にあるテーブルとソファが目に入る。
そのテーブルには客人用の湯飲みとアルトが愛用しているカップ。
アルトのカップは机の上で倒れており、中のホットチョコが零れ固まっていた。
不可解な状況に、青キジの視線はカップから自然に下に移る。するとドアに背を向けているソファの裾から黒い影が見えた。
「!」
大股で歩み寄る。
「――アルト!?」
青キジはソファとテーブルの間にすっぽりはまるように倒れているアルトを見つけた。
すぐにソファを手で押し退け、うつ伏せになっているアルトに声を掛ける。
「アルト!アルト!!しっかりしろ!!」
『………』
反応がない。青キジはぐったりとするアルトを抱え、仰向けにした。苦しそうだが呼吸はしている。時計に目をやった。
「朝、スモーカーに会ってたんなら、倒れたのはその後…2時間くらいは経ってるか?くそ…!」
青キジはアルトを抱え立ち上がる。
「とりあえず医務室だな…」
青キジは外にいる海兵に声をかけ、ドアを開けてもらう。そして先に行って医者を待機させるように指示を出した。
自身は急ぎたい気持ちを抑え、アルトに無駄な振動が伝わらないように配慮しながら少し早めに歩く。
『――……あ』
「?」
しばらく歩いているとアルトがうわ言で何か言った。青キジは耳を傾ける。
『……、…あ…りあ……』
「!」
アルトがとても小さな声でボソッと呟く。
青キジはそれが“名前”だと気付き、ギョッとした。
「……“アリア”…」
アルトの顔を見る青キジの表情はとても厳しかった。
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