近くて遠い存在
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シャボンティ諸島:21番GR、無法地帯。
「暴れたきゃあ“新世界”へ!!!」
「「!!」」
ガキンッ!と街で暴れている“怪僧”ウルージと“殺戮武人”キラーの間を右手に4つ刃をもつ斧、左手にカトラスを持った男が割る。興を削がれた二人は構えは崩さぬまま、真ん中に立つ男に目を向けた。ウルージは男を確認し口角を上げる。
「堕ちた海軍将校ドレークか……」
「………」
その男…“赤旗”のドレークは依然として武器を構えたままウルージの言葉を受ける。ウルージは笑った。
「ふふ、命を拾いなさったな…マスクの人」
「…………」
そう言うとウルージはドレークとキラーに背を向け、その場から去る。 キラーも武器を引きどこかへ行ってしまった。
「まったく…荒い連中だな」
息をつき、ドレークは武器をしまう。そして待たせていたクルーを連れ、また歩き出した。
「今、いいとこだったのに…」
「!」
ふと、ドレークが男の前を通り過ぎようとした時にそんな声をかけられる。
「(こいつはトラファルガー・ローか)」
ドレークに声をかけたのは一見海賊には見えない出で立ちの男、“死の外科医”トラファルガー・ロー。ローは値踏みするかの様にドレークを見上げていた。
「ドレーク屋……!! お前…何人殺した?」
隈を携えたローの瞳が興味津々に尋ねる。ドレークは答えることなく、ローに視線をやるだけでその前を通り過ぎた。
その後少し進んだ所でクルーに指示を出し、解散させる。そしてドレークは辺りの気配を探りながら思った。
「……(心なしか諸島の海軍が少ないな)」
「ドレーク船長どうしましたか?」
立ち止ったまま動かないドレークに副船長が尋ねる。ドレークは何もないと答えた。
「………」
「…? どうした?」
副船長が黙ったことに対し、ドレークが尋ねる。彼は海軍時代、准将でドレークの元部下。海賊になった今でもドレークの側で尽力を尽くす、ドレークの腹心と言える人物だ。
「いえ……。ノティ少将のことを考えておられたのかと思いまして」
「ああ」
ドレークはその言葉に苦笑する。少し表情が和らいだ。
「実はなるべく考えない様にしていた」
「そうでしたか…!! すいません…」
「いや、構わない。これだけ本部が近ければ、どうせ考えてしまうからな。…ちなみに言うがあいつは今、中将だぞ」
「あ…」
「まぁ、あいつは階級なんて気にしないだろうが」
「そうですね、あの人は階級に囚われない、変わった方でした」
「はは。確かに変わった奴だ。とても海軍には見えないな」
ドレークの笑う顔は少し淋しそうで、見ていた副船長が静かに、願う様に言った。
「……。中将との交戦は避けたいですね」
「ああ…。そうだな」
ドレークは短くそう返すと、空に目を向ける。シャボン玉が飛ぶ幻想的な風景と青い空が見えた。同時に昔、隣でシャボン玉の浮かぶこの景色に目を輝かせていた一回り下の友人を思い出す。
―――すごい!ドレーククン!! 本当にシャボン玉だらけだ!
その時の情景と言葉を鮮明に記憶していることにドレークは苦笑した。そして呟く。
「それが今となっては…“敵同士”か……」
“敵同士”…この言葉はドレークにとって、とても現実味に欠ける言葉だった。
【近くて遠い存在】
「暴れたきゃあ“新世界”へ!!!」
「「!!」」
ガキンッ!と街で暴れている“怪僧”ウルージと“殺戮武人”キラーの間を右手に4つ刃をもつ斧、左手にカトラスを持った男が割る。興を削がれた二人は構えは崩さぬまま、真ん中に立つ男に目を向けた。ウルージは男を確認し口角を上げる。
「堕ちた海軍将校ドレークか……」
「………」
その男…“赤旗”のドレークは依然として武器を構えたままウルージの言葉を受ける。ウルージは笑った。
「ふふ、命を拾いなさったな…マスクの人」
「…………」
そう言うとウルージはドレークとキラーに背を向け、その場から去る。 キラーも武器を引きどこかへ行ってしまった。
「まったく…荒い連中だな」
息をつき、ドレークは武器をしまう。そして待たせていたクルーを連れ、また歩き出した。
「今、いいとこだったのに…」
「!」
ふと、ドレークが男の前を通り過ぎようとした時にそんな声をかけられる。
「(こいつはトラファルガー・ローか)」
ドレークに声をかけたのは一見海賊には見えない出で立ちの男、“死の外科医”トラファルガー・ロー。ローは値踏みするかの様にドレークを見上げていた。
「ドレーク屋……!! お前…何人殺した?」
隈を携えたローの瞳が興味津々に尋ねる。ドレークは答えることなく、ローに視線をやるだけでその前を通り過ぎた。
その後少し進んだ所でクルーに指示を出し、解散させる。そしてドレークは辺りの気配を探りながら思った。
「……(心なしか諸島の海軍が少ないな)」
「ドレーク船長どうしましたか?」
立ち止ったまま動かないドレークに副船長が尋ねる。ドレークは何もないと答えた。
「………」
「…? どうした?」
副船長が黙ったことに対し、ドレークが尋ねる。彼は海軍時代、准将でドレークの元部下。海賊になった今でもドレークの側で尽力を尽くす、ドレークの腹心と言える人物だ。
「いえ……。ノティ少将のことを考えておられたのかと思いまして」
「ああ」
ドレークはその言葉に苦笑する。少し表情が和らいだ。
「実はなるべく考えない様にしていた」
「そうでしたか…!! すいません…」
「いや、構わない。これだけ本部が近ければ、どうせ考えてしまうからな。…ちなみに言うがあいつは今、中将だぞ」
「あ…」
「まぁ、あいつは階級なんて気にしないだろうが」
「そうですね、あの人は階級に囚われない、変わった方でした」
「はは。確かに変わった奴だ。とても海軍には見えないな」
ドレークの笑う顔は少し淋しそうで、見ていた副船長が静かに、願う様に言った。
「……。中将との交戦は避けたいですね」
「ああ…。そうだな」
ドレークは短くそう返すと、空に目を向ける。シャボン玉が飛ぶ幻想的な風景と青い空が見えた。同時に昔、隣でシャボン玉の浮かぶこの景色に目を輝かせていた一回り下の友人を思い出す。
―――すごい!ドレーククン!! 本当にシャボン玉だらけだ!
その時の情景と言葉を鮮明に記憶していることにドレークは苦笑した。そして呟く。
「それが今となっては…“敵同士”か……」
“敵同士”…この言葉はドレークにとって、とても現実味に欠ける言葉だった。
【近くて遠い存在】