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「ノティ中将、本部に到着しました!!」
ロールは眠っているアルトを揺り起こす。
『……んっ』
アルトはゆっくりと目を開けた。いつの間にか机に突っ伏して眠っていたらしい。視界にロールが入る。
『……夢…?…って当たり前か』
「?」
ロールは首を傾げる。アルトは目を擦りながら体を起こした。
『もう着いたの?』
「はい、少し前に。よく眠っていらしたので、先に皆を降ろしました」
『そうか……。ありがとう、おかげでよく眠れた』
「ご気分はどうですか?」
『ああ…ちょっと寝違えたけど、大丈夫。迷惑かけたね』
「いえ、そのお言葉を聞けて安心しました」
アルトは立ち上がり、んっと背を伸ばし、頭の覚醒をはかる。
『ん…。ああ、そうだ着替えないと…』
「正装ですか?」
『うん。七武海の“おもり”をさせられる上、正装だそうだ。ロールクン達は?』
「我々は本部にて待機です。本部の警護にあたると思われます」
『そうか…』
アルトは話しながら私服からスーツに着替える。ロールはふと机の上にある“白い箱”を見つけた。
「中将、これは……?」
アルトはロールの声に“白い箱”を見る。
『ああ。リコルの島の子にもらったんだ』
「リコルの特産ですか…?」
『いや、そうじゃないらしいけど』
アルトは最後にスーツの上着に袖を通す。ネクタイはしていない。そしてロールから受け取った白い箱をポケットにしまった。
「中将、コートを」
『ん、ありがとう』
「ケースはどうされますか?」
『もらって行くよ』
アルトはバイオリンケースと服を入れた袋、正義のコートを持って、部屋を出る。ロールと話をしながら下船し、アルトはマリンフォードに降り立った。
『海兵ってこんなにいるんだな……』
アルトは驚きの声を上げる。マリンフォードのどこを見渡しても海兵ばかり。本部がある場所とはいえ、異様な光景だった。
「はい。今回10万人近くがマリンフォードに集結すると言われております…!」
『10万か。すごいな…!!』
「しかも名だたる海兵ばかりで……。あ、中将そろそろ」
『ああ。ロールクンはここでだね』
「はっ!! 失礼します」
『うん。また後で』
アルトはロールの敬礼に手を挙げ答え、海兵達がぞろぞろといる広場へ歩いて行った。
*
『本当に多いな』
アルトはキョロキョロ辺りを見ながら呟く。と言っても、さして知り合いがいる訳ではないのでアルトは歩を休めず進んでいた。
「ノティ中将!!」
『ん?』
ふと、声がかかりアルトは声のする方に目を向ける。すると手を振っている人物、たしぎを見つけた。
「こんにちは! お久しぶりです」
『やぁ、たしぎクン。久しぶりだね』
「はい。“あの時”はろくに挨拶もせず、すいませんでした…!!」
頭を下げるたしぎ。
『気にしなくていいよ、僕らも任務だったしね。スモーカークンも来てるのかい?』
「当たり前だ。部下だけ来ることはねェだろ……」
「スモーカーさん…!!」
たしぎの後ろから2本ほどの葉巻を一気に吹かしているスモーカーが現れた。
『やぁ、スモーカークン』
ヘラヘラと手を振るアルト。スモーカーは息をつく。
「ふぅ」
『ん?? どうしかしたのかい?』
スモーカーが煙を吹かしたことにアルトは首を傾げた。
「アンタのことはアラバスタから帰って来た後に調べたが、かなり変わり者だな」
『そう? 僕にしたらキミやクザンクンの方が変わり者だけど』
「……」
スモーカーは苦虫を噛む様な顔をする。
『あれ? 悪いこと言った?』
「いえ…!! “青キジさん”とアラバスタの件で色々ありましたので…名前が出るとスモーカーさんすごく不機嫌に…」
「おい、いらねェこと言うな……!!」
「!? す…すいません!!!」
たしぎは慌てて話題を変える。
「そ、そうだ中将。今日はス-ツなんですね。どこか行かれてたんですか??」
『ああ、これはさっき着替えたんだ。これからマリージョアだから』
「マリージョア!! そう言えば、中将は七武海を担当されていましたね」
『そ。面倒極まりない話だけど』
「……ふん。おれが言うのもなんだが、アンタは出世しなさそうだな」
「スモーカーさん!!」
たしぎはスモーカーを諌める様な声を出す。
『ん~なんか昔、ガープサンにも同じこと言われたな……。まぁ、僕もそう思うけど』
「あらあら、お前ら仲いいじゃない」
「「『!?』」」
ポンッとアルトの肩に手が置かれる。アルトは上を見上げた。
『…噂をすればだね』
「噂?」
『いや、なんでもない』
「あ、青キジさんこんにちは……!!」
たしぎは急いで頭を下げる。
「ご丁寧にどうも。いやぁ、キミみたいなかわいいネェちゃんに言われると嬉しいねェ。上司も見習ったらいいのにな…」
「……」
青キジはチラッとスモーカーを見る。スモーカーは不機嫌そうに眉間にしわを寄せた。
「生憎、おれは見習うなんて言葉は持ち合せてねェんでね」
「あらあら」
青キジは肩をすくめた。アルトが青キジを見上げながら尋ねる。
『クザンクン、キミはなんでここに?』
「なんでって………。アルトが帰ってくるから出迎えに来たんだよ」
『……出迎え? わざわざ?』
「まぁ……ちょっとな。アルトが体調崩したってロールから聞いたから」
『ロールクンがそんなこと言ったの?』
「体調崩されたんですか……!?」
青キジの言葉にたしぎが驚きながら尋ねる。
『あ、いや。崩したって程じゃないよ』
たしぎの言葉にアルトは軽く答えた。 青キジが言う。
「まぁ、なんでもいいや。アルト、今時間あるよね?」
『えっ?……まぁ、あるけど』
「じゃあ、こっち来て。二人共悪いけど、失礼するよ」
「はい! 失礼します」
「………」
『じゃあ、またね』
青キジが先に歩き出したため、アルトはスモーカーとたしぎに手を挙げてから背を向け、青キジについて行った。
*
「アルト、こっち」
『ああ』
二人は少し人通りが少ない、静かな場所へ着いた。 青キジとアルトは立ったまま向かい合う。スッとアルトの額に青キジが手を置いた。
『??』
「熱はないみたいだな」
『…大丈夫だって言ってるじゃないか、もう子供じゃないんだよ』
「おれからしたら、お前はまだまだ子供だよ」
青キジはアルトの頭をガシガシと撫でる。
『……夢と同じだな…』
「夢?」
『ああ。さっき懐かしい夢を見た。クザンクンに楽譜の暗号を教えた時の』
「楽譜の暗号…? ああ、あれか。もう何年も前の話だな、アルトがまだこんくらいだった頃だ」
青キジが自分のひざ下よりもさらに低い位置に手を置く。
『もう少し背は高かったよ。……ところで話って?』
「ああ。リコルでは何ともなかったかなって思って…」
『? いや…特には。あ、そうだクザンクンこれ見て』
「ん?」
アルトは青キジにしまっていた“白い箱”を見せる。
「箱……?」
『うん、箱。でもなんか仕掛けがあるみたいなんだ。わかる?』
「………」
青キジは箱をいろんな角度で見る。そしてグッと箱に圧力をかけた。
「ビクともしないな」
『うん、すごく硬い。リコル島の消えた半島の跡地に浮かんでたらしいよ』
青キジの顔が一瞬険しくなる。
「リコルで手に入れたのか?」
『ああ。ガラスの話、したよね。その家にいたスズって子からもらったんだ』
「ふ~ん。しかし、おれじゃわからんな…。ペガバンクにでも見せるか?」
青キジはアルトに“白い箱”を返しながら提案する。アルトは首を横に振った。
『いや、やめておく。今渡してもすぐに調べてはくれないだろうし』
「まぁ、そうだな」
『それに…』
「それに?」
『いや、何にもない』
アルトは“白い箱”を再びしまう。 ふと、アルトは思い出したかの様に尋ねた。
『そうだ、クザンクン』
「なんだ?」
『キミって僕の過去調べてたよね? 何かわかった…?』
「!…残念だけど報告出来そうなことはないよ」
『そうか…ならいいんだ。じゃあ僕行くね。おつるサン待ってるだろうから』
アルトが歩き出そうとするのを青キジが腕を掴み止める。
「アルト」
『?』
「服とバイオリン部屋に入れといてやるよ」
『あ……うん。お願い』
アルトは青キジに服の入った袋とバイオリンケースを預ける。
「まぁ、気いつけてな。“七武海”の奴らはクセが強いから」
『ああ、覚悟はしてるよ』
アルトは肩を竦めた。
「後……何かあったらいつでもおれに言いに来い」
『え……?』
「ほら、行っておいで」
『……。…ああ、行ってくる』
アルトは首を傾げながらも青キジに手を挙げ、マリージョアに向かって行った。
ロールは眠っているアルトを揺り起こす。
『……んっ』
アルトはゆっくりと目を開けた。いつの間にか机に突っ伏して眠っていたらしい。視界にロールが入る。
『……夢…?…って当たり前か』
「?」
ロールは首を傾げる。アルトは目を擦りながら体を起こした。
『もう着いたの?』
「はい、少し前に。よく眠っていらしたので、先に皆を降ろしました」
『そうか……。ありがとう、おかげでよく眠れた』
「ご気分はどうですか?」
『ああ…ちょっと寝違えたけど、大丈夫。迷惑かけたね』
「いえ、そのお言葉を聞けて安心しました」
アルトは立ち上がり、んっと背を伸ばし、頭の覚醒をはかる。
『ん…。ああ、そうだ着替えないと…』
「正装ですか?」
『うん。七武海の“おもり”をさせられる上、正装だそうだ。ロールクン達は?』
「我々は本部にて待機です。本部の警護にあたると思われます」
『そうか…』
アルトは話しながら私服からスーツに着替える。ロールはふと机の上にある“白い箱”を見つけた。
「中将、これは……?」
アルトはロールの声に“白い箱”を見る。
『ああ。リコルの島の子にもらったんだ』
「リコルの特産ですか…?」
『いや、そうじゃないらしいけど』
アルトは最後にスーツの上着に袖を通す。ネクタイはしていない。そしてロールから受け取った白い箱をポケットにしまった。
「中将、コートを」
『ん、ありがとう』
「ケースはどうされますか?」
『もらって行くよ』
アルトはバイオリンケースと服を入れた袋、正義のコートを持って、部屋を出る。ロールと話をしながら下船し、アルトはマリンフォードに降り立った。
『海兵ってこんなにいるんだな……』
アルトは驚きの声を上げる。マリンフォードのどこを見渡しても海兵ばかり。本部がある場所とはいえ、異様な光景だった。
「はい。今回10万人近くがマリンフォードに集結すると言われております…!」
『10万か。すごいな…!!』
「しかも名だたる海兵ばかりで……。あ、中将そろそろ」
『ああ。ロールクンはここでだね』
「はっ!! 失礼します」
『うん。また後で』
アルトはロールの敬礼に手を挙げ答え、海兵達がぞろぞろといる広場へ歩いて行った。
*
『本当に多いな』
アルトはキョロキョロ辺りを見ながら呟く。と言っても、さして知り合いがいる訳ではないのでアルトは歩を休めず進んでいた。
「ノティ中将!!」
『ん?』
ふと、声がかかりアルトは声のする方に目を向ける。すると手を振っている人物、たしぎを見つけた。
「こんにちは! お久しぶりです」
『やぁ、たしぎクン。久しぶりだね』
「はい。“あの時”はろくに挨拶もせず、すいませんでした…!!」
頭を下げるたしぎ。
『気にしなくていいよ、僕らも任務だったしね。スモーカークンも来てるのかい?』
「当たり前だ。部下だけ来ることはねェだろ……」
「スモーカーさん…!!」
たしぎの後ろから2本ほどの葉巻を一気に吹かしているスモーカーが現れた。
『やぁ、スモーカークン』
ヘラヘラと手を振るアルト。スモーカーは息をつく。
「ふぅ」
『ん?? どうしかしたのかい?』
スモーカーが煙を吹かしたことにアルトは首を傾げた。
「アンタのことはアラバスタから帰って来た後に調べたが、かなり変わり者だな」
『そう? 僕にしたらキミやクザンクンの方が変わり者だけど』
「……」
スモーカーは苦虫を噛む様な顔をする。
『あれ? 悪いこと言った?』
「いえ…!! “青キジさん”とアラバスタの件で色々ありましたので…名前が出るとスモーカーさんすごく不機嫌に…」
「おい、いらねェこと言うな……!!」
「!? す…すいません!!!」
たしぎは慌てて話題を変える。
「そ、そうだ中将。今日はス-ツなんですね。どこか行かれてたんですか??」
『ああ、これはさっき着替えたんだ。これからマリージョアだから』
「マリージョア!! そう言えば、中将は七武海を担当されていましたね」
『そ。面倒極まりない話だけど』
「……ふん。おれが言うのもなんだが、アンタは出世しなさそうだな」
「スモーカーさん!!」
たしぎはスモーカーを諌める様な声を出す。
『ん~なんか昔、ガープサンにも同じこと言われたな……。まぁ、僕もそう思うけど』
「あらあら、お前ら仲いいじゃない」
「「『!?』」」
ポンッとアルトの肩に手が置かれる。アルトは上を見上げた。
『…噂をすればだね』
「噂?」
『いや、なんでもない』
「あ、青キジさんこんにちは……!!」
たしぎは急いで頭を下げる。
「ご丁寧にどうも。いやぁ、キミみたいなかわいいネェちゃんに言われると嬉しいねェ。上司も見習ったらいいのにな…」
「……」
青キジはチラッとスモーカーを見る。スモーカーは不機嫌そうに眉間にしわを寄せた。
「生憎、おれは見習うなんて言葉は持ち合せてねェんでね」
「あらあら」
青キジは肩をすくめた。アルトが青キジを見上げながら尋ねる。
『クザンクン、キミはなんでここに?』
「なんでって………。アルトが帰ってくるから出迎えに来たんだよ」
『……出迎え? わざわざ?』
「まぁ……ちょっとな。アルトが体調崩したってロールから聞いたから」
『ロールクンがそんなこと言ったの?』
「体調崩されたんですか……!?」
青キジの言葉にたしぎが驚きながら尋ねる。
『あ、いや。崩したって程じゃないよ』
たしぎの言葉にアルトは軽く答えた。 青キジが言う。
「まぁ、なんでもいいや。アルト、今時間あるよね?」
『えっ?……まぁ、あるけど』
「じゃあ、こっち来て。二人共悪いけど、失礼するよ」
「はい! 失礼します」
「………」
『じゃあ、またね』
青キジが先に歩き出したため、アルトはスモーカーとたしぎに手を挙げてから背を向け、青キジについて行った。
*
「アルト、こっち」
『ああ』
二人は少し人通りが少ない、静かな場所へ着いた。 青キジとアルトは立ったまま向かい合う。スッとアルトの額に青キジが手を置いた。
『??』
「熱はないみたいだな」
『…大丈夫だって言ってるじゃないか、もう子供じゃないんだよ』
「おれからしたら、お前はまだまだ子供だよ」
青キジはアルトの頭をガシガシと撫でる。
『……夢と同じだな…』
「夢?」
『ああ。さっき懐かしい夢を見た。クザンクンに楽譜の暗号を教えた時の』
「楽譜の暗号…? ああ、あれか。もう何年も前の話だな、アルトがまだこんくらいだった頃だ」
青キジが自分のひざ下よりもさらに低い位置に手を置く。
『もう少し背は高かったよ。……ところで話って?』
「ああ。リコルでは何ともなかったかなって思って…」
『? いや…特には。あ、そうだクザンクンこれ見て』
「ん?」
アルトは青キジにしまっていた“白い箱”を見せる。
「箱……?」
『うん、箱。でもなんか仕掛けがあるみたいなんだ。わかる?』
「………」
青キジは箱をいろんな角度で見る。そしてグッと箱に圧力をかけた。
「ビクともしないな」
『うん、すごく硬い。リコル島の消えた半島の跡地に浮かんでたらしいよ』
青キジの顔が一瞬険しくなる。
「リコルで手に入れたのか?」
『ああ。ガラスの話、したよね。その家にいたスズって子からもらったんだ』
「ふ~ん。しかし、おれじゃわからんな…。ペガバンクにでも見せるか?」
青キジはアルトに“白い箱”を返しながら提案する。アルトは首を横に振った。
『いや、やめておく。今渡してもすぐに調べてはくれないだろうし』
「まぁ、そうだな」
『それに…』
「それに?」
『いや、何にもない』
アルトは“白い箱”を再びしまう。 ふと、アルトは思い出したかの様に尋ねた。
『そうだ、クザンクン』
「なんだ?」
『キミって僕の過去調べてたよね? 何かわかった…?』
「!…残念だけど報告出来そうなことはないよ」
『そうか…ならいいんだ。じゃあ僕行くね。おつるサン待ってるだろうから』
アルトが歩き出そうとするのを青キジが腕を掴み止める。
「アルト」
『?』
「服とバイオリン部屋に入れといてやるよ」
『あ……うん。お願い』
アルトは青キジに服の入った袋とバイオリンケースを預ける。
「まぁ、気いつけてな。“七武海”の奴らはクセが強いから」
『ああ、覚悟はしてるよ』
アルトは肩を竦めた。
「後……何かあったらいつでもおれに言いに来い」
『え……?』
「ほら、行っておいで」
『……。…ああ、行ってくる』
アルトは首を傾げながらも青キジに手を挙げ、マリージョアに向かって行った。