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程なくしてアルトの船がインペルダウンの港に接岸する。
『“退屈 ”』
アルトは手をジンベエに向け、ピースを解く。ジンベエは立ち上がった。
『話が途中になって悪いね』
「………。最後にお前さんに聞きたい」
『何だい?』
アルトは首を傾げる。ジンベエはアルトを見据えながら尋ねた。
「お前さんかて“戦争”に参加するんじゃろう?」
『まぁ…そうだね』
「なら、なぜ参加する戦争に興味がない? 命を落とすかもしれん戦いじゃ」
『……。別に戦争に興味がない訳じゃないさ。あくまでも“正しさ”に興味がないだけ。それに僕には参加するように“命令”があるからね、それに従うだけだよ』
「ふむ“命令”か……。そこまでして“海軍に尽くす”男には見えんが」
『“海軍に尽くす”? そんな風に考えたことはないな。海軍は―――』
ゴォッ
暴風でアルトの言葉がかき消される、一番近くにいたジンベエ以外には届かなかった。言葉を聞いたジンベエは耳を疑う。
「なんじゃと…??」
『……!?』
言葉を紡いだアルトはジンベエにもわかるくらい驚いた表情だった。手で口を覆う。
「……(…こやつ、自分が言ったことに驚いておるのか…)?」
「中将!!?」
『……』
駆け寄って来たロールがアルトの肩に触れる。驚いて振り返ったアルトの顔はロールでもわかるくらい青ざめていた。
「!? 中将…どうかなさいましたか? ご気分でも…」
『……いや、大丈夫だ。なんともない』
アルトは首を横に振ると、ロールに背を向ける。ロールは眉を潜めた。
『じゃあ行ってくる。ロールクン達は帰還準備を』
「はっ…」
ロールは敬礼し持ち場に戻る。
『待たせた。行こうか、ジンベエクン』
「……」
アルトはジンベエを連れ、船を降りた。
*
「開門~~!!」
城門にいる看守の声で、重く巨大な扉が開く。二人は看守に促され中に足を踏み入れた。
『ほんと空気が重いんだな…』
「………」
「ようこそ!!我がインペルダウンへ!! あァ、間違えました“我が”ってちょっと野心出ちゃった。
私“まだ”副署長のハンニャバルです!! よろしくお願いスマッシュ!!」
『ああ。僕は海軍本部中将、ノティ。よろしく』
アルトとハンニャバルは軽く握手を交わす。
「“0”のアルトさんですね、噂は聞いてマッシュ。男前な上に若くして中将でうちの女性看守らにもモテモテでムカつ……いえ、羨ましい限りです。
おれも早く署長になってモテモテになりたい。あ、あ、すいません野心出ちゃいました!!」
『……はぁ』
ハンニャバルの喋りにいまいちついて行けず、アルトは曖昧に答える。ハンニャバルは気にせず喋る。
「そちらが“七武海”のジンベエ氏ですね。連絡は聞いてマッシュ。署長のヤロ……署長のマゼランは只今署長室を“離れられない”ので、私とこちらの副看守長ドミノの二人で手続きさせて頂きマッシュ」
「失礼します。副看守長のドミノです。ノティ中将こちらの書類にサインを頂きたく……」
ハンニャバルの手の先にいたドミノがアルトにクリップボードを差し出す。アルトと目が合ったドミノの頬は微かに赤くなった。
『ありがとう』
アルトはドミノからクリップボードを受け取り、内容をさっと目を通す。 内容はもちろん引渡しについてだ。
「ご覧になられたらサインを。サインが済めばジンベエ氏をこちらに引渡して頂きます」
『……ふむ』
アルトは書類の一番下の欄にサインをする。
『これでいいかい?』
アルトはクリップボードをドミノに渡す。
「……。はい、確かに」
ドミノが書類のサインを確認し顔を上げた。すると目の前にはアルトの顔。
「!! あ、あの…何か?」
『キミ、少し顔が赤いけど大丈夫?』
「え!!? は、はい!!大丈夫です!!」
ドミノは慌てて答えた。アルトは顔を引く。
『そう。ならいいんだ。女性は無理をしすぎてしまうらしいから、気をつけてね』
「ご心配ありがとうございます…!」
「……くぅ」
アルトとドミノの会話をハンニャバルは悔しそうに見ていた。アルトはジンベエの方へ振り返る。
『ジンベエクン、僕らはここまでだ。“気が変わったら”連絡をくれ。すぐに迎えを寄越すから』
「……」
ジンベエはそれ答えず、アルトをじっと見た。アルトは首を傾げる。
『なんだい?』
「……お前さん、あの言葉が本当ならいつか“身を滅ぼすぞ”」
「「??」」
『……。…かもしれないね』
ジンベエの言葉に首を傾げるハンニャバルとドミノ。アルトはそれだけ答えると背を向ける。
『僕はこれで失礼するよ』
「は…はいっ! それではここで失礼しマッシュ!!」
「失礼します」
「……」
ハンニャバルとドミノがあいさつする。アルトはそれを背で受けたままインぺルダウンを後にした。
*
「中将、お疲れ様です!」
ロールが出迎える。
『……』
「? どうなさいましたか?」
『いや、何もない……訳ないな。少し疲れたみたいだ。部屋に戻るよ』
「はっ! 艦運営はお任せください!!何かお飲み物は…」
『今はいらない』
アルトは首を横に振る。
「……。わかりました」
『悪いね』
アルトはそう言うと部屋に向かって歩いて行く。ロールは呆然とアルトの背中を見送った。
「青キジさんに報告を入れるべき…か?」
―――アルトの様子を見て、何かあれば報告をくれないか?
青キジがアルトを迎えに行くロールに言った言葉。ロールは真意を測り切れなかったため、あの時は曖昧に頷いて本部を出た。
「ただの親心と思ったが、まるで中将がああなるのを青キジさんは“予測”してた様だな…」
ロールは不思議に思いながら部下に帰還の指示を出し、青キジに連絡しに行った。
*
アルトの司令室。センゴクに電話を掛けていた。
『そう言うことで、ジンベエクンはインぺルダウンに送ったよ』
[仕方あるまいな…説得はこちらで続ける]
『そうしてくれ。僕らは今から帰還する。向かい風が思ったより強いから1時間くらいかかるかも』
[わかった。帰り次第お前はマリージョアへ迎え。…ちゃんと正装でな]
『えっ…めんどくさい』
[“命令”だ。おつるさんを困らせるなよ]
『……わかった。僕、今から少し休むから切るね』
[ああ]
アルトは受話器を置き、天を仰ぐ様に天井を見た。額に手を置く。異様に冷たい自分の手に驚きながらも、その冷たさが心地よかった。
『“身を滅ぼす”ね……』
ジンベエに言われたことを思い出し自嘲気味に笑う。天を仰ぐのをやめたアルトは、ゆっくりと目を瞑った。
『“
アルトは手をジンベエに向け、ピースを解く。ジンベエは立ち上がった。
『話が途中になって悪いね』
「………。最後にお前さんに聞きたい」
『何だい?』
アルトは首を傾げる。ジンベエはアルトを見据えながら尋ねた。
「お前さんかて“戦争”に参加するんじゃろう?」
『まぁ…そうだね』
「なら、なぜ参加する戦争に興味がない? 命を落とすかもしれん戦いじゃ」
『……。別に戦争に興味がない訳じゃないさ。あくまでも“正しさ”に興味がないだけ。それに僕には参加するように“命令”があるからね、それに従うだけだよ』
「ふむ“命令”か……。そこまでして“海軍に尽くす”男には見えんが」
『“海軍に尽くす”? そんな風に考えたことはないな。海軍は―――』
ゴォッ
暴風でアルトの言葉がかき消される、一番近くにいたジンベエ以外には届かなかった。言葉を聞いたジンベエは耳を疑う。
「なんじゃと…??」
『……!?』
言葉を紡いだアルトはジンベエにもわかるくらい驚いた表情だった。手で口を覆う。
「……(…こやつ、自分が言ったことに驚いておるのか…)?」
「中将!!?」
『……』
駆け寄って来たロールがアルトの肩に触れる。驚いて振り返ったアルトの顔はロールでもわかるくらい青ざめていた。
「!? 中将…どうかなさいましたか? ご気分でも…」
『……いや、大丈夫だ。なんともない』
アルトは首を横に振ると、ロールに背を向ける。ロールは眉を潜めた。
『じゃあ行ってくる。ロールクン達は帰還準備を』
「はっ…」
ロールは敬礼し持ち場に戻る。
『待たせた。行こうか、ジンベエクン』
「……」
アルトはジンベエを連れ、船を降りた。
*
「開門~~!!」
城門にいる看守の声で、重く巨大な扉が開く。二人は看守に促され中に足を踏み入れた。
『ほんと空気が重いんだな…』
「………」
「ようこそ!!我がインペルダウンへ!! あァ、間違えました“我が”ってちょっと野心出ちゃった。
私“まだ”副署長のハンニャバルです!! よろしくお願いスマッシュ!!」
『ああ。僕は海軍本部中将、ノティ。よろしく』
アルトとハンニャバルは軽く握手を交わす。
「“0”のアルトさんですね、噂は聞いてマッシュ。男前な上に若くして中将でうちの女性看守らにもモテモテでムカつ……いえ、羨ましい限りです。
おれも早く署長になってモテモテになりたい。あ、あ、すいません野心出ちゃいました!!」
『……はぁ』
ハンニャバルの喋りにいまいちついて行けず、アルトは曖昧に答える。ハンニャバルは気にせず喋る。
「そちらが“七武海”のジンベエ氏ですね。連絡は聞いてマッシュ。署長のヤロ……署長のマゼランは只今署長室を“離れられない”ので、私とこちらの副看守長ドミノの二人で手続きさせて頂きマッシュ」
「失礼します。副看守長のドミノです。ノティ中将こちらの書類にサインを頂きたく……」
ハンニャバルの手の先にいたドミノがアルトにクリップボードを差し出す。アルトと目が合ったドミノの頬は微かに赤くなった。
『ありがとう』
アルトはドミノからクリップボードを受け取り、内容をさっと目を通す。 内容はもちろん引渡しについてだ。
「ご覧になられたらサインを。サインが済めばジンベエ氏をこちらに引渡して頂きます」
『……ふむ』
アルトは書類の一番下の欄にサインをする。
『これでいいかい?』
アルトはクリップボードをドミノに渡す。
「……。はい、確かに」
ドミノが書類のサインを確認し顔を上げた。すると目の前にはアルトの顔。
「!! あ、あの…何か?」
『キミ、少し顔が赤いけど大丈夫?』
「え!!? は、はい!!大丈夫です!!」
ドミノは慌てて答えた。アルトは顔を引く。
『そう。ならいいんだ。女性は無理をしすぎてしまうらしいから、気をつけてね』
「ご心配ありがとうございます…!」
「……くぅ」
アルトとドミノの会話をハンニャバルは悔しそうに見ていた。アルトはジンベエの方へ振り返る。
『ジンベエクン、僕らはここまでだ。“気が変わったら”連絡をくれ。すぐに迎えを寄越すから』
「……」
ジンベエはそれ答えず、アルトをじっと見た。アルトは首を傾げる。
『なんだい?』
「……お前さん、あの言葉が本当ならいつか“身を滅ぼすぞ”」
「「??」」
『……。…かもしれないね』
ジンベエの言葉に首を傾げるハンニャバルとドミノ。アルトはそれだけ答えると背を向ける。
『僕はこれで失礼するよ』
「は…はいっ! それではここで失礼しマッシュ!!」
「失礼します」
「……」
ハンニャバルとドミノがあいさつする。アルトはそれを背で受けたままインぺルダウンを後にした。
*
「中将、お疲れ様です!」
ロールが出迎える。
『……』
「? どうなさいましたか?」
『いや、何もない……訳ないな。少し疲れたみたいだ。部屋に戻るよ』
「はっ! 艦運営はお任せください!!何かお飲み物は…」
『今はいらない』
アルトは首を横に振る。
「……。わかりました」
『悪いね』
アルトはそう言うと部屋に向かって歩いて行く。ロールは呆然とアルトの背中を見送った。
「青キジさんに報告を入れるべき…か?」
―――アルトの様子を見て、何かあれば報告をくれないか?
青キジがアルトを迎えに行くロールに言った言葉。ロールは真意を測り切れなかったため、あの時は曖昧に頷いて本部を出た。
「ただの親心と思ったが、まるで中将がああなるのを青キジさんは“予測”してた様だな…」
ロールは不思議に思いながら部下に帰還の指示を出し、青キジに連絡しに行った。
*
アルトの司令室。センゴクに電話を掛けていた。
『そう言うことで、ジンベエクンはインぺルダウンに送ったよ』
[仕方あるまいな…説得はこちらで続ける]
『そうしてくれ。僕らは今から帰還する。向かい風が思ったより強いから1時間くらいかかるかも』
[わかった。帰り次第お前はマリージョアへ迎え。…ちゃんと正装でな]
『えっ…めんどくさい』
[“命令”だ。おつるさんを困らせるなよ]
『……わかった。僕、今から少し休むから切るね』
[ああ]
アルトは受話器を置き、天を仰ぐ様に天井を見た。額に手を置く。異様に冷たい自分の手に驚きながらも、その冷たさが心地よかった。
『“身を滅ぼす”ね……』
ジンベエに言われたことを思い出し自嘲気味に笑う。天を仰ぐのをやめたアルトは、ゆっくりと目を瞑った。