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アルトは船にいる部下達の方を向く。
『さっきロールクンから聞いたと思うけど、僕らは港には降りない。皆は下がって、ジンベエクンを船に“迎え入れる”準備をしといてくれ』
「「「はっ!!」」」
「ちゅ、中将!!!」
『ん?』
部下の声でアルトは舳先を見る。すると、もの凄く早い速度で何かがこちらに向かってくる。
『あの勢いで当たられてもコーティングは無事なのかな……?』
「強度的には問題ないかと」
「中将!少将!! のんきに構えている場合では!!!」
慌てる周りの部下を尻目にアルトはまた一口板チョコをかじる。
『ん? 避ける必要はないよ。ねっ、ロールクン』
「はい。おい、お前ら落ち着け!! あれは“客人”だ」
「「「は……??」」」
ロールの言葉を部下達が理解しきる前に船のコーティングを抜け、船の甲板…アルトの目の前に着地する。その場所に、現れたのは七武海“海狭”のジンベエ。
「「「!!?」」」
「船の進行はここまでにしてもらおう……!」
ジンベエの言葉にアルトは片手を後ろに見えるように挙げ、指示を出す。程なく船は止まった。それを確認した後、アルトがジンベイに尋ねる。
『キミが“海峡”のジンベエクンだね?』
「そうじゃ。……お前さんは?」
『はじめまして、僕はノティ・アルト。海軍本部中将をしている。こっちはロールクン。少将だ』
ロールはジンベイに会釈する。ジンベエはロールを確認した後、怪訝な顔でアルトを見た。
「お前さんが中将だと…??」
『そうだよ。キミ達“七武海”を担当している』
アルトはそう答え、板チョコをかじる。その異様な光景にジンベイはより怪訝な顔になった。
「………お前さんの様な奴が中将とは信じられんな。海軍は余程の人員不足なのか…?」
「貴様……!!」
『いいんだよ。いつものことだし、言わせとけばいい』
「いえ…しかし」
『ロールクン…』
「!!?……申し訳ありません…!!!」
「……(覇気か…!)」
アルトの言葉と一瞬出てきた覇気にロールとジンベエは背筋がぞくっとした。アルトはロールを少し下がらせ、ジンベエを見る。
『悪いけど僕は中将なんだ。確認は後でセンゴクサンにでも取って。今は時間がないから早速だけど“要件”に入るよ』
「…ふん。電伝虫でも直接でも答えは変わらん。わしは“召集”には応じん!!」
『だからって“はい、そうですか”って訳にはいかないんだ。納得行く理由を聞かせてもらわないと。特に今回は世界政府の“厳命”……。これを破ればどうなるかキミだってわかってるだろ?』
首を傾げ尋ねるアルト。ジンベエはギッとアルトを睨んだ。
「“剥奪”したければすればいい!! わしは自分の理 を曲げてまでオヤジさんに拳は向けん!!」
『ヘェ…“白ひげ”と関係があることは否定しないんだね』
「今さら隠し立てする気はないわ!!」
アルトは板チョコを全て食べ切り、腕を組んだ。
『それは立派だ。じゃあ、なぜキミは政府側の“七武海”なんだい? 白ひげと敵対する位置じゃないか』
「わしが七武海におるのはオヤジさんが救ってくれたこの“魚人島”を守るためじゃ!! 野放しにした貴様ら海軍に仁義を通す必要がどこにあるんじゃ!!」
『ふむ、なるほど。そういうカラクリがあったのか』
「しかもティーチにほだされてエースくんを処刑するなどと……!! 貴様とてわかるだろう!! 海の王であるオヤジさんと戦争なんぞ起こせば海がどうなるか!!!」
『“そんなこと”センゴクサンは百も承知だろうさ。その均衡を潰してでも価値がある“何か”があるから戦争するんだろ』
「この戦争に価値があるとは思えん!! 貴様ら海軍の行動は海を乱すだけじゃ!!」
『海を乱す…?? それは海賊がいるからだろう?』
「その考え方がいかんと言っておるんじゃ!!!」
『はぁ…話し合いにならないな。つまり。キミは僕らがどんな言葉を並べても“世界政府”との協定を果たす気はないと?』
「ああ!! どれだけ説得されたとしても、わしは応じん!! さっさと本部に帰るんじゃ!!」
ジンベエは戦闘の構えをとる。これ以上の交渉は無用と言うかの様に…… アルトは腕を組んだままの姿勢で息をつき、ジンベエを見据える。
『……“手ぶらじゃ帰れない”って言ったら?』
「わしは“大人しく逃げ帰ってもらう”だけじゃ。“魚人空手”……」
ジンベエはハァ―――っと息を吐く。
「中将!! 下がってください!!」
『………問題ない』
「“唐草瓦正拳”!!!」
アルトに向けてばっ!!っと拳を向けた。
*
「……なぬ!?」
『“軽率 ”……』
ジンベエの攻撃はジンベエの拳の目の前に現れた“透明なピース”によって相殺する。
「なんじゃ…?? 力が消された……!?」
ジンベエは怪訝な顔でアルトを見た。アルトはつまらなそうに言う。
『勘違いしないでくれるかい、ジンベエクン。僕らの任務はね。キミ達七武海に、来てくださいって“お願い”することじゃない』
「……?」
アルトはピースを消す。そしてジンベエにドッと覇気を向けながら言った。
『キミらに“最後通告”をするために来てるんだよ…!!』
「!!?」
その言葉にジンベエがアルトを睨み返しつつ言う。
「ならば端 から交渉する気はなかったと言うことか……!!」
『あったさ、僕なりに努力はした。でもキミにその気はなかっただろ? だからもう終わり……“交渉決裂”だ。ジンベエクン、キミには“インペルダウン”に行ってもらうよ』
「!!! ならば尚更大人しく応じる訳にはいかん!!」
ジンベエはまたアルトに構えを取る。アルトはジンベエを見据えた。
『“応じる”必要はない。僕が“連行”するだけだから』
アルトは両手をジンベエに向けた。
『“牢 ”』
「!!」
透明なピースがジンベエの周りを囲む様に組み上がる。
「ぬ!? これは……さっきも…。お前さん、能力者か!!」
『そうだ。一応、キミとは“殺り合うな”ってセンゴクサンからの命令だからね。“心苦しい”けどこうさせてもらうよ』
「ぐっ……割れんのか!! この!!」
ジンベエがピースを殴るが、力を相殺するだけでビクともしない。
アルトはポーチから新たに板チョコを取り出し、口に入れる。
『ロールクン。このまま“インペルダウン”に向かう。反転して出発を』
「はっ!」
ロールが後ろの海兵達に指示を出しに行く。
*
「ハァ……ハァ…」
『満足したかい?』
抵抗したジンベエは肩で息をする。
「くっ……この様な能力者が居たとは……!!」
『悪いね。でも、“無傷”で済んでよかっただろ?』
「……っ」
『今からインペルダウンに向かう。最後に言い分を聞いた方がいいかい?』
「……わしの答えは変わらん。連れて行くなら連れて行け!」
ジンベエはドスンッと甲板に座った。
『潔いね。そういうのはスキだよ。船室に案内しようか?』
「必要ない……!!」
『そう。じゃあ、このままで』
ギギギッと船が反転し、インペルダウンへ船が進み出す。ロールに艦運営を任せ、アルトはジンベエに向き合っていた。
『………』
「………」
二人の間にピリピリした空気が流れる。その沈黙を破り、ジンベエがアルトに尋ねた。
「…お前さんは今回の“戦争”が本当に“正しい”ものだと思っておるのか…!!?」
『……“正しい”かどうか僕にはわからないな。というか興味ないね』
アルトは平然と答える。ジンベエは怒鳴った。
「なんじゃと!!? そんな無責任があるか!!」
ジンベエの言葉にアルトは最後の一欠片を口に含む。
『戦争が“正しい”かどうかなんて後世の歴史家でさえ判断できない。そんなものを当事者の僕らが考える必要はあるのかい?』
「判断できないから考えないというのか!!?」
『そうじゃない。けれど、それぞれの立場が絡むんだからそれぞれの正しさが生まれる。キミ達にとっては“正しくない”この戦争を海軍は“正しい”と判断した。つまり正しさなんて立場で変わってしまう』
「それでも……」
「ノティ中将、まもなくインペルダウンに到着します!!」
「『!』」
アルトとジンベエの会話を遮る様にロールの声が二人の耳に入った。
『さっきロールクンから聞いたと思うけど、僕らは港には降りない。皆は下がって、ジンベエクンを船に“迎え入れる”準備をしといてくれ』
「「「はっ!!」」」
「ちゅ、中将!!!」
『ん?』
部下の声でアルトは舳先を見る。すると、もの凄く早い速度で何かがこちらに向かってくる。
『あの勢いで当たられてもコーティングは無事なのかな……?』
「強度的には問題ないかと」
「中将!少将!! のんきに構えている場合では!!!」
慌てる周りの部下を尻目にアルトはまた一口板チョコをかじる。
『ん? 避ける必要はないよ。ねっ、ロールクン』
「はい。おい、お前ら落ち着け!! あれは“客人”だ」
「「「は……??」」」
ロールの言葉を部下達が理解しきる前に船のコーティングを抜け、船の甲板…アルトの目の前に着地する。その場所に、現れたのは七武海“海狭”のジンベエ。
「「「!!?」」」
「船の進行はここまでにしてもらおう……!」
ジンベエの言葉にアルトは片手を後ろに見えるように挙げ、指示を出す。程なく船は止まった。それを確認した後、アルトがジンベイに尋ねる。
『キミが“海峡”のジンベエクンだね?』
「そうじゃ。……お前さんは?」
『はじめまして、僕はノティ・アルト。海軍本部中将をしている。こっちはロールクン。少将だ』
ロールはジンベイに会釈する。ジンベエはロールを確認した後、怪訝な顔でアルトを見た。
「お前さんが中将だと…??」
『そうだよ。キミ達“七武海”を担当している』
アルトはそう答え、板チョコをかじる。その異様な光景にジンベイはより怪訝な顔になった。
「………お前さんの様な奴が中将とは信じられんな。海軍は余程の人員不足なのか…?」
「貴様……!!」
『いいんだよ。いつものことだし、言わせとけばいい』
「いえ…しかし」
『ロールクン…』
「!!?……申し訳ありません…!!!」
「……(覇気か…!)」
アルトの言葉と一瞬出てきた覇気にロールとジンベエは背筋がぞくっとした。アルトはロールを少し下がらせ、ジンベエを見る。
『悪いけど僕は中将なんだ。確認は後でセンゴクサンにでも取って。今は時間がないから早速だけど“要件”に入るよ』
「…ふん。電伝虫でも直接でも答えは変わらん。わしは“召集”には応じん!!」
『だからって“はい、そうですか”って訳にはいかないんだ。納得行く理由を聞かせてもらわないと。特に今回は世界政府の“厳命”……。これを破ればどうなるかキミだってわかってるだろ?』
首を傾げ尋ねるアルト。ジンベエはギッとアルトを睨んだ。
「“剥奪”したければすればいい!! わしは自分の
『ヘェ…“白ひげ”と関係があることは否定しないんだね』
「今さら隠し立てする気はないわ!!」
アルトは板チョコを全て食べ切り、腕を組んだ。
『それは立派だ。じゃあ、なぜキミは政府側の“七武海”なんだい? 白ひげと敵対する位置じゃないか』
「わしが七武海におるのはオヤジさんが救ってくれたこの“魚人島”を守るためじゃ!! 野放しにした貴様ら海軍に仁義を通す必要がどこにあるんじゃ!!」
『ふむ、なるほど。そういうカラクリがあったのか』
「しかもティーチにほだされてエースくんを処刑するなどと……!! 貴様とてわかるだろう!! 海の王であるオヤジさんと戦争なんぞ起こせば海がどうなるか!!!」
『“そんなこと”センゴクサンは百も承知だろうさ。その均衡を潰してでも価値がある“何か”があるから戦争するんだろ』
「この戦争に価値があるとは思えん!! 貴様ら海軍の行動は海を乱すだけじゃ!!」
『海を乱す…?? それは海賊がいるからだろう?』
「その考え方がいかんと言っておるんじゃ!!!」
『はぁ…話し合いにならないな。つまり。キミは僕らがどんな言葉を並べても“世界政府”との協定を果たす気はないと?』
「ああ!! どれだけ説得されたとしても、わしは応じん!! さっさと本部に帰るんじゃ!!」
ジンベエは戦闘の構えをとる。これ以上の交渉は無用と言うかの様に…… アルトは腕を組んだままの姿勢で息をつき、ジンベエを見据える。
『……“手ぶらじゃ帰れない”って言ったら?』
「わしは“大人しく逃げ帰ってもらう”だけじゃ。“魚人空手”……」
ジンベエはハァ―――っと息を吐く。
「中将!! 下がってください!!」
『………問題ない』
「“唐草瓦正拳”!!!」
アルトに向けてばっ!!っと拳を向けた。
*
「……なぬ!?」
『“
ジンベエの攻撃はジンベエの拳の目の前に現れた“透明なピース”によって相殺する。
「なんじゃ…?? 力が消された……!?」
ジンベエは怪訝な顔でアルトを見た。アルトはつまらなそうに言う。
『勘違いしないでくれるかい、ジンベエクン。僕らの任務はね。キミ達七武海に、来てくださいって“お願い”することじゃない』
「……?」
アルトはピースを消す。そしてジンベエにドッと覇気を向けながら言った。
『キミらに“最後通告”をするために来てるんだよ…!!』
「!!?」
その言葉にジンベエがアルトを睨み返しつつ言う。
「ならば
『あったさ、僕なりに努力はした。でもキミにその気はなかっただろ? だからもう終わり……“交渉決裂”だ。ジンベエクン、キミには“インペルダウン”に行ってもらうよ』
「!!! ならば尚更大人しく応じる訳にはいかん!!」
ジンベエはまたアルトに構えを取る。アルトはジンベエを見据えた。
『“応じる”必要はない。僕が“連行”するだけだから』
アルトは両手をジンベエに向けた。
『“
「!!」
透明なピースがジンベエの周りを囲む様に組み上がる。
「ぬ!? これは……さっきも…。お前さん、能力者か!!」
『そうだ。一応、キミとは“殺り合うな”ってセンゴクサンからの命令だからね。“心苦しい”けどこうさせてもらうよ』
「ぐっ……割れんのか!! この!!」
ジンベエがピースを殴るが、力を相殺するだけでビクともしない。
アルトはポーチから新たに板チョコを取り出し、口に入れる。
『ロールクン。このまま“インペルダウン”に向かう。反転して出発を』
「はっ!」
ロールが後ろの海兵達に指示を出しに行く。
*
「ハァ……ハァ…」
『満足したかい?』
抵抗したジンベエは肩で息をする。
「くっ……この様な能力者が居たとは……!!」
『悪いね。でも、“無傷”で済んでよかっただろ?』
「……っ」
『今からインペルダウンに向かう。最後に言い分を聞いた方がいいかい?』
「……わしの答えは変わらん。連れて行くなら連れて行け!」
ジンベエはドスンッと甲板に座った。
『潔いね。そういうのはスキだよ。船室に案内しようか?』
「必要ない……!!」
『そう。じゃあ、このままで』
ギギギッと船が反転し、インペルダウンへ船が進み出す。ロールに艦運営を任せ、アルトはジンベエに向き合っていた。
『………』
「………」
二人の間にピリピリした空気が流れる。その沈黙を破り、ジンベエがアルトに尋ねた。
「…お前さんは今回の“戦争”が本当に“正しい”ものだと思っておるのか…!!?」
『……“正しい”かどうか僕にはわからないな。というか興味ないね』
アルトは平然と答える。ジンベエは怒鳴った。
「なんじゃと!!? そんな無責任があるか!!」
ジンベエの言葉にアルトは最後の一欠片を口に含む。
『戦争が“正しい”かどうかなんて後世の歴史家でさえ判断できない。そんなものを当事者の僕らが考える必要はあるのかい?』
「判断できないから考えないというのか!!?」
『そうじゃない。けれど、それぞれの立場が絡むんだからそれぞれの正しさが生まれる。キミ達にとっては“正しくない”この戦争を海軍は“正しい”と判断した。つまり正しさなんて立場で変わってしまう』
「それでも……」
「ノティ中将、まもなくインペルダウンに到着します!!」
「『!』」
アルトとジンベエの会話を遮る様にロールの声が二人の耳に入った。