認定!七武海“黒ひげ
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リコル島の港。
アルトはシャボン玉でコーティングされた海軍船を見つける。
『コーティングってことは行き先は“魚人島”か』
アルトそう理解し、船に乗り込んだ。
「「「ノティ中将、ご帰還お疲れ様です!!!」」」
『ああ、皆もご苦労様』
アルトが船に帰って来たのを見計らって、ザッと敬礼する海兵達。アルトは短く返事を返す。ロールが前に出てくる。
「中将、お疲れ様でした」
『悪いね、迎えに来てもらって』
「いえ。お気に為さらずに…。中将、こちらを。センゴク元帥からです」
ロールから1cmくらいの厚さがある封筒を受けとる。
『今回の資料だね。ロールクンは読んだ?』
「いえ、まだです!! 行き先が“魚人島”であることは聞いておりますが、任務については中将から仰ぐようにと厳命されております」
『そう、わかった。今から部屋で読む。20分後部屋に来てくれ。ーーーーシュフォンクン!!』
「は、はい!!」
アルトは見張り台にいるシュフォンに声をかける。シュフォンが顔を出した。
『任務を優先するから、害の出そうな敵船以外は無視して構わない。後、ロールクンが僕の部屋にいる間、艦運営を頼む』
「はっ!!」
シュフォンが見張り台から敬礼する。
「中将、お飲み物はいかが致しましょう?」
ロールが尋ねる。アルトはロールに顔を向けた。
『甘いのを頼むよ。持って来るのはキミが部屋に来る時で構わない。僕はとりあえず、センゴクサンに連絡を入れないといけないしね。船はすぐに“魚人島”へ出発してくれ』
「はっ!!」
ロールは敬礼する。アルトはそれに手を挙げて答え、部屋に向かった。
ロールの声が船中に響く。
「ただちにエニエス・ロビーを経由し“魚人島”へ出港!」
「「「はっ!!」」」
ガチャッと司令室に入るアルト。
『……なつかしいな』
新造された船にアルトが乗るのはこれが初めてだ。しかしアルトの部屋、司令室は前の船にあった部屋に再現されていたので不便はなかった。
まず机の横にバイオリンケースを置く。次に机の上に資料とお菓子、そしてスズにもらった白い箱を置き、久しぶりに司令室の椅子に腰かけた。用意されていたいつものチョコを一欠片食べる。それから封筒を破り、中の資料にざっと目を通した。
5分後。
『センゴク元帥に繋いでくれ』
[わかりました、お繋ぎします]
アルトは電伝虫を取り、センゴクの部屋に繋いでもらった。しばらくして電伝虫が話し出す。
[アルトか]
『うん。合流して“魚人島”に向かってる』
[資料は?]
『ザッとだけど見たよ』
[役割は理解したな?]
『まぁね。わかりやすいから。そうそう資料を見る限りじゃ“女帝”もまだ来てないんだね。誰か向かってるのかい?』
[ああ。それはモモンガに向かわせた]
『モモンガクンか…』
[なんだ?]
『いや…うらやましいなって思って。絶世の美女なんだろ?』
その言葉を聞いたセンゴクはアルトに思いっきり怒鳴った。
[ばかもん!! そんなこと言っとる場合か!!!!]
『………うっ』
アルトは耳がキーンとして顔をしかめた。
『冗談だよ。真に受けないでくれ』
[まったく……]
センゴクはゴホッと咳払いをする。
「とりあえず、お前はジンベイだ。早合点して“殺り合う”なよ。今、あいつと殺り合っても意味はないからな」
『………。わかってるさ』
[……]
アルトは少し間を置き答える。センゴクからはため息が聞こえた。アルトが尋ねる。
『ちなみに“交渉決裂”の場合、僕の考えは“インペルダウン”だけど構わない?』
[ああ、それでいい。だが、出来る限りの“交渉”はしてくれ]
『……あまり当てにしないでね。じゃあ、また終わったら連絡する』
[わかった]
センゴクから短い返事が返って来る。アルトはじゃあ…っと電伝虫を切ろうとしたが、センゴクの言葉が続いた。
[―――アルト]
『なに?』
[帰って来たら、お前にはおつるさんとマリージョアで七武海の相手をしてもらう。そのつもりでな]
『え、ああ…』
[特にドフラミンゴがうるさくてかなわん。早く戻れ]
『う……っ』
アルトはあからさまに嫌な声を出す。
[わかったな]
『……覚えておく』
念を押され仕方なく言葉を返し、電伝虫を切った。
『……はぁ』
アルトは深くため息をついた。
コンコンコン
ドアがノックされる。アルトは資料から顔を上げた。
「中将、ロールです」
『ああ、入って』
「失礼します」
ロールが部屋に入って来る。そしてアルトの机にホットチョコの入ったカップを置いた。
『ありがとう。簡単で構わないから目を通してくれ』
「はい」
アルトは資料をロールに渡す。ロールが目を通す。
………
……………
ロールが資料を読む間の数分沈黙が走る。アルトはその間目を瞑っていた。
「ありがとうございます」
資料を読み終え、差し返そうとするのをアルトが止める。
『持ったままでいいよ。僕は内容を覚えたから』
その言葉にロールは頷いた。
『さて…まず確認したいんだけど、七武海は“ジンベエ”と“女帝”以外は全員、マリージョアに居るのかい?』
「いえ…現在マリージョアで確認されているのは“ドンキホーテ・ドフラミンゴ”と“鷹の目”、“黒ひげティーチ”と聞いております」
『………そうか』
「何か?」
『いや。何もない』
アルトの言葉を濁す。ロールは首を傾げた。
『ところでロールクンは“ジンベエクン”を知ってるかい?』
「いえ、詳しくは…。しかしジンベエが召集を拒んだと言うのには驚きました」
『“海賊嫌い”だから?』
「はい。ジンベエは海賊嫌いでとても有名ですので。センゴク元帥も、いの一番で駆けつけると思っていらしたのではないかと」
『確かに言葉じりはそんな感じだったな…』
アルトは視線をロールから外し、椅子にグッともたれ天井を見上げる。
『ん~急に心境が変わったのか…それとも、昔から“白ひげ”と交友があるのかもしれないね』
「!? “白ひげ”とですか!?その様な事実は…」
ロールは首を大きく横に振る。アルトは視線を戻し、机にあるアメに手を伸ばした。
『……例えばの話だよ。でもお互い海賊なんだし、あり得ないことはないさ。それに関わってないのなら、称号剥奪がかかってる今回の召集に“拒否”はおかしいしね』
「そうですが…」
ロールの心配をよそにアルトはアメなめる。
『まぁ、僕らは細かいことは置いといてとりあえず任務をこなすだけ、だけどね』
「…はい、そうですね。では中将、説得方法はどうなさいますか?」
ロールが尋ねる。
『ん…。“説得”か…そう説得……ね』
アルトは机に片肘をつき、その上に顔をのせる。そしてため息をついた。ロールは首を傾げる。
「…?? どうなさいましたか?」
ロールの問いにアルトはさらにため息をついた。
『あのさロールクン…』
「はい…?」
『キミはセンゴクサンに説得出来なかった相手を“僕”が交渉して説得出来ると思うかい?』
「………」
『正直に言っていいよ。思ってることはたぶん一緒だ』
ロールは深く息をつく。そして言った。
「……とても難しいかと」
その答えにアルトは頷き、小さくなったアメをガリッと噛み砕く。
『僕は不可能だと思う。自分で言うのもなんだけど、僕は“説得役”には向かない』
「では、中将のお考えは“説得”ではないのですか?」
『いや、説得だ。……ただ正直、半分くらいは諦めてる』
「?」
『センゴクサンはこれからの“戦争”のために戦力を保ちたい。でもそんな時に、七武海であるジンベエクンが暴れたら困るよね?』
「ええ。それはもちろんです」
『だから今回の交渉、結果はどうであれ“確実”に両者を“無傷”で納めるのが望ましいんだ』
ロールは頭の中を整理する。そして結論を出した。
「つまり…我が隊の選抜理由は中将の“能力”ですか?」
『確証はない。けどたぶんそうだろう。“本気の説得”なら僕は選ばれないと思う。でも、“確保”を考えてるなら僕の方が安全だ』
「………」
『間違ってたら言ってくれ。間違ってないなら、僕はそれを踏えた打ち合わせをしたい』
アルトの言葉に、ロールは目を瞑って考えた。そして息をつく。
「………間違いはないでしょう。“交渉決裂”を踏まえた打ち合わせを推奨します」
『良かった。なら、始めようか』
「はい!」
ロールとの打ち合わせも終わり、後は魚人島に行くだけ。船が順調に進むのを感じながらアルトは執務の椅子に深く座り、手に取った白い箱を眺めていた。
アルトはリコルで見た映像を思い出す。
―――あなたを守る“お守り”だと思って
『……お守りか。結局顔が見えなかったけど、あれは誰なんだ…?』
アルトは考える。しかし、何もわからない。
『……っ!?』
ズキッと頭が軋む様に痛む。アルトは頭をおさえた。
『また、頭痛か……』
アルトはグッと背もたれに体重をかけ、大きくため息をつく。考えるのをやめ、暫く静かにしていると頭痛は収まった。
『………よし』
アルトは再び、女の人の声を頭に再生しながら、白い箱を観察し始める。すると、ある感覚を覚えた。
『ん…? この感じ、なんて言うんだっけ……??』
アルトは今の感覚に当てはまる言葉を探す。
『“見たことがある”…? いや、もっと自分に近い感覚だ』
アルトはさらにしばらく考えた末、言葉を見つけた。
『“懐かしい”……』
そう呟いた瞬間、肌にピタッと合う様にしっくりきた。アルトは箱に目を向ける。
『そうだ。…僕はあの声の人を知ってる。この箱も……つまり、あの子供は“僕”……?』
アルトはもっと考えるため、目を瞑り思考を落とそうする。しかしその行動はドアのノックにより、遮られた。
コンコンコン
アルトは息をつき、目を開ける。
『……どうした?』
「ノティ中将、まもなく“魚人島”に到着致します。甲板へお越しください」
『……。ああ、わかった。今、行くよ』
アルトは思考を中断し、白い箱を机に置いた。そして椅子から立ち上がり、身支度を簡単に整える。正義のコートには袖を通さなかった。
身支度が終わり、辺りを見渡した後、白い箱に目を向ける。
『……。まぁ、まずは仕事だな』
アルトはそう呟くと、白い箱の隣に置いていた板チョコを一枚持って甲板へ向かって行った。
⇒あとがき
アルトはシャボン玉でコーティングされた海軍船を見つける。
『コーティングってことは行き先は“魚人島”か』
アルトそう理解し、船に乗り込んだ。
「「「ノティ中将、ご帰還お疲れ様です!!!」」」
『ああ、皆もご苦労様』
アルトが船に帰って来たのを見計らって、ザッと敬礼する海兵達。アルトは短く返事を返す。ロールが前に出てくる。
「中将、お疲れ様でした」
『悪いね、迎えに来てもらって』
「いえ。お気に為さらずに…。中将、こちらを。センゴク元帥からです」
ロールから1cmくらいの厚さがある封筒を受けとる。
『今回の資料だね。ロールクンは読んだ?』
「いえ、まだです!! 行き先が“魚人島”であることは聞いておりますが、任務については中将から仰ぐようにと厳命されております」
『そう、わかった。今から部屋で読む。20分後部屋に来てくれ。ーーーーシュフォンクン!!』
「は、はい!!」
アルトは見張り台にいるシュフォンに声をかける。シュフォンが顔を出した。
『任務を優先するから、害の出そうな敵船以外は無視して構わない。後、ロールクンが僕の部屋にいる間、艦運営を頼む』
「はっ!!」
シュフォンが見張り台から敬礼する。
「中将、お飲み物はいかが致しましょう?」
ロールが尋ねる。アルトはロールに顔を向けた。
『甘いのを頼むよ。持って来るのはキミが部屋に来る時で構わない。僕はとりあえず、センゴクサンに連絡を入れないといけないしね。船はすぐに“魚人島”へ出発してくれ』
「はっ!!」
ロールは敬礼する。アルトはそれに手を挙げて答え、部屋に向かった。
ロールの声が船中に響く。
「ただちにエニエス・ロビーを経由し“魚人島”へ出港!」
「「「はっ!!」」」
ガチャッと司令室に入るアルト。
『……なつかしいな』
新造された船にアルトが乗るのはこれが初めてだ。しかしアルトの部屋、司令室は前の船にあった部屋に再現されていたので不便はなかった。
まず机の横にバイオリンケースを置く。次に机の上に資料とお菓子、そしてスズにもらった白い箱を置き、久しぶりに司令室の椅子に腰かけた。用意されていたいつものチョコを一欠片食べる。それから封筒を破り、中の資料にざっと目を通した。
5分後。
『センゴク元帥に繋いでくれ』
[わかりました、お繋ぎします]
アルトは電伝虫を取り、センゴクの部屋に繋いでもらった。しばらくして電伝虫が話し出す。
[アルトか]
『うん。合流して“魚人島”に向かってる』
[資料は?]
『ザッとだけど見たよ』
[役割は理解したな?]
『まぁね。わかりやすいから。そうそう資料を見る限りじゃ“女帝”もまだ来てないんだね。誰か向かってるのかい?』
[ああ。それはモモンガに向かわせた]
『モモンガクンか…』
[なんだ?]
『いや…うらやましいなって思って。絶世の美女なんだろ?』
その言葉を聞いたセンゴクはアルトに思いっきり怒鳴った。
[ばかもん!! そんなこと言っとる場合か!!!!]
『………うっ』
アルトは耳がキーンとして顔をしかめた。
『冗談だよ。真に受けないでくれ』
[まったく……]
センゴクはゴホッと咳払いをする。
「とりあえず、お前はジンベイだ。早合点して“殺り合う”なよ。今、あいつと殺り合っても意味はないからな」
『………。わかってるさ』
[……]
アルトは少し間を置き答える。センゴクからはため息が聞こえた。アルトが尋ねる。
『ちなみに“交渉決裂”の場合、僕の考えは“インペルダウン”だけど構わない?』
[ああ、それでいい。だが、出来る限りの“交渉”はしてくれ]
『……あまり当てにしないでね。じゃあ、また終わったら連絡する』
[わかった]
センゴクから短い返事が返って来る。アルトはじゃあ…っと電伝虫を切ろうとしたが、センゴクの言葉が続いた。
[―――アルト]
『なに?』
[帰って来たら、お前にはおつるさんとマリージョアで七武海の相手をしてもらう。そのつもりでな]
『え、ああ…』
[特にドフラミンゴがうるさくてかなわん。早く戻れ]
『う……っ』
アルトはあからさまに嫌な声を出す。
[わかったな]
『……覚えておく』
念を押され仕方なく言葉を返し、電伝虫を切った。
『……はぁ』
アルトは深くため息をついた。
コンコンコン
ドアがノックされる。アルトは資料から顔を上げた。
「中将、ロールです」
『ああ、入って』
「失礼します」
ロールが部屋に入って来る。そしてアルトの机にホットチョコの入ったカップを置いた。
『ありがとう。簡単で構わないから目を通してくれ』
「はい」
アルトは資料をロールに渡す。ロールが目を通す。
………
……………
ロールが資料を読む間の数分沈黙が走る。アルトはその間目を瞑っていた。
「ありがとうございます」
資料を読み終え、差し返そうとするのをアルトが止める。
『持ったままでいいよ。僕は内容を覚えたから』
その言葉にロールは頷いた。
『さて…まず確認したいんだけど、七武海は“ジンベエ”と“女帝”以外は全員、マリージョアに居るのかい?』
「いえ…現在マリージョアで確認されているのは“ドンキホーテ・ドフラミンゴ”と“鷹の目”、“黒ひげティーチ”と聞いております」
『………そうか』
「何か?」
『いや。何もない』
アルトの言葉を濁す。ロールは首を傾げた。
『ところでロールクンは“ジンベエクン”を知ってるかい?』
「いえ、詳しくは…。しかしジンベエが召集を拒んだと言うのには驚きました」
『“海賊嫌い”だから?』
「はい。ジンベエは海賊嫌いでとても有名ですので。センゴク元帥も、いの一番で駆けつけると思っていらしたのではないかと」
『確かに言葉じりはそんな感じだったな…』
アルトは視線をロールから外し、椅子にグッともたれ天井を見上げる。
『ん~急に心境が変わったのか…それとも、昔から“白ひげ”と交友があるのかもしれないね』
「!? “白ひげ”とですか!?その様な事実は…」
ロールは首を大きく横に振る。アルトは視線を戻し、机にあるアメに手を伸ばした。
『……例えばの話だよ。でもお互い海賊なんだし、あり得ないことはないさ。それに関わってないのなら、称号剥奪がかかってる今回の召集に“拒否”はおかしいしね』
「そうですが…」
ロールの心配をよそにアルトはアメなめる。
『まぁ、僕らは細かいことは置いといてとりあえず任務をこなすだけ、だけどね』
「…はい、そうですね。では中将、説得方法はどうなさいますか?」
ロールが尋ねる。
『ん…。“説得”か…そう説得……ね』
アルトは机に片肘をつき、その上に顔をのせる。そしてため息をついた。ロールは首を傾げる。
「…?? どうなさいましたか?」
ロールの問いにアルトはさらにため息をついた。
『あのさロールクン…』
「はい…?」
『キミはセンゴクサンに説得出来なかった相手を“僕”が交渉して説得出来ると思うかい?』
「………」
『正直に言っていいよ。思ってることはたぶん一緒だ』
ロールは深く息をつく。そして言った。
「……とても難しいかと」
その答えにアルトは頷き、小さくなったアメをガリッと噛み砕く。
『僕は不可能だと思う。自分で言うのもなんだけど、僕は“説得役”には向かない』
「では、中将のお考えは“説得”ではないのですか?」
『いや、説得だ。……ただ正直、半分くらいは諦めてる』
「?」
『センゴクサンはこれからの“戦争”のために戦力を保ちたい。でもそんな時に、七武海であるジンベエクンが暴れたら困るよね?』
「ええ。それはもちろんです」
『だから今回の交渉、結果はどうであれ“確実”に両者を“無傷”で納めるのが望ましいんだ』
ロールは頭の中を整理する。そして結論を出した。
「つまり…我が隊の選抜理由は中将の“能力”ですか?」
『確証はない。けどたぶんそうだろう。“本気の説得”なら僕は選ばれないと思う。でも、“確保”を考えてるなら僕の方が安全だ』
「………」
『間違ってたら言ってくれ。間違ってないなら、僕はそれを踏えた打ち合わせをしたい』
アルトの言葉に、ロールは目を瞑って考えた。そして息をつく。
「………間違いはないでしょう。“交渉決裂”を踏まえた打ち合わせを推奨します」
『良かった。なら、始めようか』
「はい!」
ロールとの打ち合わせも終わり、後は魚人島に行くだけ。船が順調に進むのを感じながらアルトは執務の椅子に深く座り、手に取った白い箱を眺めていた。
アルトはリコルで見た映像を思い出す。
―――あなたを守る“お守り”だと思って
『……お守りか。結局顔が見えなかったけど、あれは誰なんだ…?』
アルトは考える。しかし、何もわからない。
『……っ!?』
ズキッと頭が軋む様に痛む。アルトは頭をおさえた。
『また、頭痛か……』
アルトはグッと背もたれに体重をかけ、大きくため息をつく。考えるのをやめ、暫く静かにしていると頭痛は収まった。
『………よし』
アルトは再び、女の人の声を頭に再生しながら、白い箱を観察し始める。すると、ある感覚を覚えた。
『ん…? この感じ、なんて言うんだっけ……??』
アルトは今の感覚に当てはまる言葉を探す。
『“見たことがある”…? いや、もっと自分に近い感覚だ』
アルトはさらにしばらく考えた末、言葉を見つけた。
『“懐かしい”……』
そう呟いた瞬間、肌にピタッと合う様にしっくりきた。アルトは箱に目を向ける。
『そうだ。…僕はあの声の人を知ってる。この箱も……つまり、あの子供は“僕”……?』
アルトはもっと考えるため、目を瞑り思考を落とそうする。しかしその行動はドアのノックにより、遮られた。
コンコンコン
アルトは息をつき、目を開ける。
『……どうした?』
「ノティ中将、まもなく“魚人島”に到着致します。甲板へお越しください」
『……。ああ、わかった。今、行くよ』
アルトは思考を中断し、白い箱を机に置いた。そして椅子から立ち上がり、身支度を簡単に整える。正義のコートには袖を通さなかった。
身支度が終わり、辺りを見渡した後、白い箱に目を向ける。
『……。まぁ、まずは仕事だな』
アルトはそう呟くと、白い箱の隣に置いていた板チョコを一枚持って甲板へ向かって行った。
⇒あとがき