【スキット】同僚はお子様
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【同僚はお子様】
コンコンコン
『おつるサン、いる?』
「アルトかい?お入り」
ガチャっとドアを開け、アルトがつるの執務室に入る。
「顔合わせは終わったのかい?」
『うん、さっきね』
「そうかい。無事済んでよかった」
『ああ』
つるは机に肘をつき、両手に顔を乗せる。
「とうとうアルトも私と同じ階級か。なんだか不思議な気分だね」
『それ、ガープサンも言ってたよ』
「ガープが?」
『“不思議なことが起こるもんじゃな”っとか“チビのくせに生意気だ”っとか』
「あいつらしい祝いの言葉だね」
『あれ祝ってくれてたの?? 全然気付かなかった』
「ガープは素直じゃないのさ、昔からどこか捻くれてる」
『ヘェ…そうなんだ。僕にはわからないな。やっぱり付き合いの差なのかな?』
「かもしれないね」
『ふむ。まぁ、たとえ階級が同じでもおつるサン達と僕とじゃ実力が雲泥の差だ。僕は所詮“お飾り”だしね』
「海軍はそんなもの置かないさ。昇進はアルト、お前の実力だよ。で、初めての部下はどうだった?」
アルトは少し考える様なそぶりを見せた後、頷く。
『うん。何て言うか……挨拶がすごかった。後、艦隊1つ動かすのにあんな人数がいるのにもびっくりしたけど』
「けど?」
『統制がきっちり取れてた。隅々までぬかりなく。あれはすごいな』
「ふふ。だろうね。ロールは有能な奴だから」
『ああ、ロールクン…彼はかなり有能だね。話の飲み込みが早いし、何より物分かりがいい。正直僕の下なんて勿体無いと思うんだけど…』
「それは適材適所って奴さ。ロールとは上手くやって行けそうかい?」
『たぶんね。と言ってもあの隊は元々ロールクンの隊だし、僕は僕の出来ることをするだけだから問題はないだろう』
「なら安心だ」
アルトの言葉につるは静かに微笑む。
ふとアルトの手に視線が行った。
「それは本かい?」
『ああ。前借りたやつだよ。読み終わったから返しに来たんだ』
アルトは脇に抱えた3冊程の本を掲げる。
「もう読んだのかい? 早いね」
『そうかな。面白かったからすぐ読めたよ。相変わらずおつるサンはセンスがいい』
そう言うとアルトは窓がある壁に背を向けた本棚の前に立ち、元の位置に本をしまう。そして次はどれにしようかとザッと本棚を眺めた。
『あっ、新しいのがある!』
「それは3日前に入れたやつだよ」
『読んでいい?』
つるが頷く。アルトは新しい本に手を伸ばし、ページをパラパラと捲った。
「アルトはすっかり本好きになったね」
『うん。僕に取っては全部が新しくて、珍しいことばかりだから。特にGL の歴史は面白い』
アルトはもう1冊に手を伸ばそうとして、ふと止まる。つるに目を向けた。
『そういえば、一番最初にクザンクンがくれた本っておつるサンのだったんだろ?』
「ああ。“Brag Men”かい? そうだよ。昔、青キジがアンタに何をしたらいいかって頭を抱えていたからね」
『聞いた。おつるサンが“これを読ませてやりな”って言って渡したんだろ』
アルトは壁に寄りかかる。そして腕を組んだ。
『あれは面白かったけど、読むのにすごく時間がかかったな』
「まぁ、流石に私も子供が読む様な簡単な本は持っていなかったからね。あれはおとぎ話みたいで比較的読みやすい本だったからいいと思ってね」
つるはコーヒーを口につける。そしてアルトをまじまじと見た。
「しかし、子供の成長は早いもんだね。あれから15年かい?」
『かなぁ?……って子供ね。僕はもう大人のつもりなんだけど』
アルトは息をつく。
「私から見たらまだまだ子供さ」
『それ、みんなに言われる。僕はいつ大人になれるのかな…』
つるの言葉にアルトは肩を竦める。つるは静かにほほ笑んだ。そして思い出した様に言う。
「そうだ、アルト。ちょっとこっちにおいで」
『ん……?』
アルトはつるの手招きに誘われ、執務机の前に立つ。つるは大きな箱を机に出した。
『それは?』
「開けてみな」
アルトは促されるまま、箱を開ける。その中にあったのは“金色”と“銀色”の銃が1丁ずつと資料、ベルトと一体化したホルスター等、一式が収まっていた。
『!!? おつるサンこれ…!!』
アルトは驚きの声をあげ、つるを見る。 つるはアルトを見上げながら静かに言った。
「“中将昇進”祝いだよ。初任務前に間に合って良かった」
『……触っていい?』
「もちろん」
アルトはつるが頷くのを確認し、2丁の銃を手に取る。そして2丁の銃を構えたり、回したりと一通り動作をしながら扱う。ぱっと明るい顔になった。
『ちょっと重いけど、凄いしっくりくるな。誂えたみたいだ』
「誂えたのさ。アルトの戦い方じゃ銃はいくらあっても足りないからね」
『……戦い方? じゃあこれ近接用かい?』
「ああ。打撃や斬撃のガードにも使える装甲にしたんだ。少し重いのはそのせいさ。でも慣れれば気にならないだろう」
アルトは銃を構えたり、下ろしたりと銃の重さを感じながら答える。
『確かに。後、これ弾はどこから入れるの?』
「弾はないよ。その代わり衝撃を発射する仕組みさ。…まぁ、詳しいことはそこにあるペガバンクの設計資料を見て覚えたらいい」
『うん』
アルトは箱に銃をしまい、設計資料を取り出す。パラパラと見て行くうちにアルトの口元が自然に弧を描く。とても嬉しそうに。
『!!すごいこの銃…!! おつるサン、本当にありがとう!』
「ああ。後はアルトが使いこなすだけだよ」
『もちろん。僕、今から練習しに行くよ! 本はまた借りに来るね!じゃあ!!』
アルトは銃の箱を抱え、つるに手を振り部屋を後にした。
「まったく慌ただしいね…あの子は」
つるは呆れた声を出す。しかし表情はまるで自分の息子か孫に言うかの様に、優しい。
「やっぱりまだまだ子供だ」
そう静かに言いながらアルトが出て行ったドアに目を向けた。
コンコンコン
『おつるサン、いる?』
「アルトかい?お入り」
ガチャっとドアを開け、アルトがつるの執務室に入る。
「顔合わせは終わったのかい?」
『うん、さっきね』
「そうかい。無事済んでよかった」
『ああ』
つるは机に肘をつき、両手に顔を乗せる。
「とうとうアルトも私と同じ階級か。なんだか不思議な気分だね」
『それ、ガープサンも言ってたよ』
「ガープが?」
『“不思議なことが起こるもんじゃな”っとか“チビのくせに生意気だ”っとか』
「あいつらしい祝いの言葉だね」
『あれ祝ってくれてたの?? 全然気付かなかった』
「ガープは素直じゃないのさ、昔からどこか捻くれてる」
『ヘェ…そうなんだ。僕にはわからないな。やっぱり付き合いの差なのかな?』
「かもしれないね」
『ふむ。まぁ、たとえ階級が同じでもおつるサン達と僕とじゃ実力が雲泥の差だ。僕は所詮“お飾り”だしね』
「海軍はそんなもの置かないさ。昇進はアルト、お前の実力だよ。で、初めての部下はどうだった?」
アルトは少し考える様なそぶりを見せた後、頷く。
『うん。何て言うか……挨拶がすごかった。後、艦隊1つ動かすのにあんな人数がいるのにもびっくりしたけど』
「けど?」
『統制がきっちり取れてた。隅々までぬかりなく。あれはすごいな』
「ふふ。だろうね。ロールは有能な奴だから」
『ああ、ロールクン…彼はかなり有能だね。話の飲み込みが早いし、何より物分かりがいい。正直僕の下なんて勿体無いと思うんだけど…』
「それは適材適所って奴さ。ロールとは上手くやって行けそうかい?」
『たぶんね。と言ってもあの隊は元々ロールクンの隊だし、僕は僕の出来ることをするだけだから問題はないだろう』
「なら安心だ」
アルトの言葉につるは静かに微笑む。
ふとアルトの手に視線が行った。
「それは本かい?」
『ああ。前借りたやつだよ。読み終わったから返しに来たんだ』
アルトは脇に抱えた3冊程の本を掲げる。
「もう読んだのかい? 早いね」
『そうかな。面白かったからすぐ読めたよ。相変わらずおつるサンはセンスがいい』
そう言うとアルトは窓がある壁に背を向けた本棚の前に立ち、元の位置に本をしまう。そして次はどれにしようかとザッと本棚を眺めた。
『あっ、新しいのがある!』
「それは3日前に入れたやつだよ」
『読んでいい?』
つるが頷く。アルトは新しい本に手を伸ばし、ページをパラパラと捲った。
「アルトはすっかり本好きになったね」
『うん。僕に取っては全部が新しくて、珍しいことばかりだから。特に
アルトはもう1冊に手を伸ばそうとして、ふと止まる。つるに目を向けた。
『そういえば、一番最初にクザンクンがくれた本っておつるサンのだったんだろ?』
「ああ。“Brag Men”かい? そうだよ。昔、青キジがアンタに何をしたらいいかって頭を抱えていたからね」
『聞いた。おつるサンが“これを読ませてやりな”って言って渡したんだろ』
アルトは壁に寄りかかる。そして腕を組んだ。
『あれは面白かったけど、読むのにすごく時間がかかったな』
「まぁ、流石に私も子供が読む様な簡単な本は持っていなかったからね。あれはおとぎ話みたいで比較的読みやすい本だったからいいと思ってね」
つるはコーヒーを口につける。そしてアルトをまじまじと見た。
「しかし、子供の成長は早いもんだね。あれから15年かい?」
『かなぁ?……って子供ね。僕はもう大人のつもりなんだけど』
アルトは息をつく。
「私から見たらまだまだ子供さ」
『それ、みんなに言われる。僕はいつ大人になれるのかな…』
つるの言葉にアルトは肩を竦める。つるは静かにほほ笑んだ。そして思い出した様に言う。
「そうだ、アルト。ちょっとこっちにおいで」
『ん……?』
アルトはつるの手招きに誘われ、執務机の前に立つ。つるは大きな箱を机に出した。
『それは?』
「開けてみな」
アルトは促されるまま、箱を開ける。その中にあったのは“金色”と“銀色”の銃が1丁ずつと資料、ベルトと一体化したホルスター等、一式が収まっていた。
『!!? おつるサンこれ…!!』
アルトは驚きの声をあげ、つるを見る。 つるはアルトを見上げながら静かに言った。
「“中将昇進”祝いだよ。初任務前に間に合って良かった」
『……触っていい?』
「もちろん」
アルトはつるが頷くのを確認し、2丁の銃を手に取る。そして2丁の銃を構えたり、回したりと一通り動作をしながら扱う。ぱっと明るい顔になった。
『ちょっと重いけど、凄いしっくりくるな。誂えたみたいだ』
「誂えたのさ。アルトの戦い方じゃ銃はいくらあっても足りないからね」
『……戦い方? じゃあこれ近接用かい?』
「ああ。打撃や斬撃のガードにも使える装甲にしたんだ。少し重いのはそのせいさ。でも慣れれば気にならないだろう」
アルトは銃を構えたり、下ろしたりと銃の重さを感じながら答える。
『確かに。後、これ弾はどこから入れるの?』
「弾はないよ。その代わり衝撃を発射する仕組みさ。…まぁ、詳しいことはそこにあるペガバンクの設計資料を見て覚えたらいい」
『うん』
アルトは箱に銃をしまい、設計資料を取り出す。パラパラと見て行くうちにアルトの口元が自然に弧を描く。とても嬉しそうに。
『!!すごいこの銃…!! おつるサン、本当にありがとう!』
「ああ。後はアルトが使いこなすだけだよ」
『もちろん。僕、今から練習しに行くよ! 本はまた借りに来るね!じゃあ!!』
アルトは銃の箱を抱え、つるに手を振り部屋を後にした。
「まったく慌ただしいね…あの子は」
つるは呆れた声を出す。しかし表情はまるで自分の息子か孫に言うかの様に、優しい。
「やっぱりまだまだ子供だ」
そう静かに言いながらアルトが出て行ったドアに目を向けた。