ユレルココロ
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「―――!!すげェなあのおっさん。刺されたのにっ!!」
ルフィは湾内に降り立った白ひげに驚きと頼もしさを感じていた。
「とにかく今はエースだ!!!」
「ルフィくん!!」
ジンベエの静止を抜け走る。
「ジンベエ!!アレをご覧ナサーブル!!
いつの間にか敵は全員広場へ上がってるわ!!」
「んん…!!悪い予感しかせんわい。
―――だが、オヤジさんが動いた!!もう考えとる場合じゃない」
イワンコフにそういうとジンベエはルフィを追って走り出した。
「広場にゃ上げんぞ、“白ひげ海賊団”!!!」
「!!?」
ドゴォォン!!
「うわああああ!!」
「ジョン・ジャイアントだァ!!!」
「!」
巨人族の海兵、ジョン・ジャイアントが巨大な刀で海賊をなぎ払う。
そしてそのまま、刀を白ひげに振り上げた。
「!!」
ガキィン!!!
白ひげはその斬撃を槍で弾いた。
「邪魔だなおい…!!」
「ここは通すわけにいかんのだァ!!」
「……」
ががっ!!っと、槍を地面に刺した白ひげは空気を掴んだ。
「ぬう!!!」
「!!?え…!!?バランスが………」
グラッとジョン・ジャイアントの体が揺らぐ。
「わァ!!!地面が傾く!!!」
「オヤッさんには近づくなァ~~~!!!」
「うわァ」
それと平行するようにマリンフォードにいる海兵や海賊達も次々にバランスを失い、地面に這いつくばる。
「地震どころじゃねェ!!!」
「島ごと海も!!!傾いてるんだ!!!」
「うわああああぁぁ」
「フッフッフッフッフ!!何てデタラメなジジイだよ!!!」
「うわァ!!立ってられねェ!!!」
「町が崩れる!!」
「うわああああ!!」
ドォン!!!
「……………!!」
白ひげはバランスを崩したジョン・ジャイアントを振動で殴りつける。
振動がジョン・ジャイアントの身体をビキビキと破壊した。
そして振動はそのまま地面を駆け抜ける。
「止まらねェ!!うわっ!!」
「ぎゃああああ!!」
「やっちまえ、オヤジィ~~~!!」
白ひげの振動が処刑台に真っ直ぐ伸びる。
「処刑台に届くぞ!!!行け!!ぶっ壊せェ~~~!!!」
ズドォォン!!!!
「よっしゃァア!!!」
海賊達から歓声が上がる。砂煙の舞った。海兵が声を上げる。
「町が!!!」
「!?処刑台には当たってない!!!」
「何で逸れたんだ!?」
「「「あ」」」
海賊達が処刑台を見て、声を上げる。
「「「“三大将”!!!」」」
処刑台を守るように手を前に出す三大将。三人の力で白ひげの振動は逸らされたのだ。
「さっさと包囲壁張らねェからだ」
「お前の氷のせいじゃろうがい…!!!」
「オー…君が溶かせばいいよォー……!!サカズキ」
一方、ルフィは広場目前まで迫っていた。もうすぐだと意気込む。
『“軽率(レビティ)”』
コン…!
「!うわっ!!」
ルフィは突然、見えない壁に思いっきりぶつかった。
壁にへばりついた形になったルフィは目を白黒させる。
「全然痛くねェけど、なんだァ?進めねェ??」
『久しぶりだね、麦わらクン』
「!!あ、“ワカメ”!!!」
ルフィは正面にいるアルトに声を出す。アルトはため息をついた。
『……ワカメじゃない、アルトだ。何度も同じことを言わせないでくれ』
「くそッ…また強ェのが来たな…!!広場は…エースは目の前なのに!!」
『……』
ルフィは処刑台に目を向ける。エースのいる広場は目前だ。
ここで捕まるわけにはいかないとルフィは構える。
「おれは…!!お前なんかと戦ってる…」
『―――暇はないかい?』
「え!?」
距離を取っていたはずなのにいつの間にかアルトはルフィの目の前にいた。
ルフィは咄嗟に拳を振り上げる。しかしその拳は空を切った。
『―――“指銃(シガン)”…!!』
「いでぇ!!」
アルトの指が、ルフィの肩に刺さる。
ルフィはその場から飛び退き、肩を押さえた。
「ぐっ……早ェ…全然見えェぞ…!!」
『悪いね。今日は仕事だから、手加減はなしだ』
ルフィを見下ろすようにいうアルト。
ルフィはアルトを睨む。―――しかしアルトの姿はなかった。
「え!?」
驚きの声を上げたルフィ。次にアルトを視界に捉えた時には自分の側頭部に脚が降り下ろされるところだった。
「!」
「ハッ!!!」
『!!』
ルフィとアルトの耳に互いのものでない声が届く。
瞬間、アルトの腹部に衝撃が走り、同時にアルトの身体はルフィの下から吹き飛ばされる。
『……っ、“軽率(レビティ)”!!』
アルトは吹き飛びながらも背中にピース出し勢いを殺した。
「ルフィくん無事か!!?」
「ジンベエ!!」
ルフィの側に、構えをとったジンベエがいた。ルフィを追ってきたのだ。
『……割り込みは良くないな、ジンベエクン』
背中の“盾”を消しながら、ルフィとジンベエに対峙するアルト。ジンベエは目を細める。
「(思ったより効いとらんな…)」
『モリアクンと闘っていたハズだけど退けたのかい?』
「高みの見物でもしとったのか。モリアの能力はわしには効かんからのォ、わしの相手じゃないわい」
『…役に立たないな。まぁ、いいや。元々期待していないし。2人とも僕が止めれば問題ない』
「「!!」」
アルトの言葉にルフィとジンベエは構える。
「ルフィくん、あいつの能力は“盾”じゃ。捕まったら最後じゃぞ」
「わかってる。今捕まったら、エースを助けらんねェ!!」
「わしが引き付ける。ルフィくんは隙を見て広場へ!!」
「ああ!」
「“魚人空手…”」
『―――“迷路(メイズ)”』
アルトはジンベエの周りに多数のピースが現れる。
「!」
『大人しくしてもらうよジンベエクン。キミの相手は麦わらクンを始末してからだ』
「!!」
「ジンベエ!」
「わしに構うな!早う行け!!」
「っ!ギア2(セカンド)…!!」
『……弍爪(ニソウ)』
ドルルルル……!!と煙をあげるルフィ。駆け出そうとした瞬間、左脚に何かが掠めた。
気付いた時には左脚に二本の太刀傷、そして鮮血が舞う。
「え?」
「! ルフィくん!」
ルフィは膝をつき、アルトに目をやる。
アルトは先程と変わらぬ姿勢で、瞑っていた目を開けた。
ルフィは何をされたかすらわからない。
『悪いけど、その技のスピードは“慣れた”』
「!」
『キミが来てから動きはずっと追っていたからね』
「??」
アルトはそういうと、歩いてルフィの下へ歩く。
「……いでェ…!!?」
『動かない方がいいよ。“二爪(ニソウ)”は“嵐脚(ランキャク)”を応用した僕のオリジナル。
“僕の間合い”にいる限りいつでも放てる』
「くっ…(これが“ゼロ”のアルトの実力か…) 」
ジンベエは奥歯をかむ。噂通り…いやそれ以上の実力を持っていると痛感させられた。
なぜならジンベエは盾を張られたときから一歩もルフィの下へ動けていないからだ。
背を向けているハズのアルト。その背中にはまるで目がついているかのようだ。
『ガープサンの孫で、“あの”ロブ・ルッチを抑えたって聞いたからもう少しやるのかと思ったけど…』
「……っ!!」
脚の出血を抑えるルフィの前でアルトは足を止め、指を構えた。
『まぁ、これで“懸念”は消えるかな…』
ヒュン…!!とルフィの心臓めがけて指を突き出した。
『―――!』
しかし―――ピタッとアルトは動きを止める。
止まった指はルフィの胸の前。ピクリとも動かない。
『!?』
「???」
アルトの瞳が少し見開いた。ルフィはその変化がわからず、
攻撃を止めたアルトを不思議そうに見上げる。
「!ルフィくんチャンスじゃ行け!!」
「!?あ、ああ!」
ジンベエが叫んだ。その声でルフィは我を取り戻し、脚の痛みをおして駆け出す。
『…っ!!!』
アルトは身体を動かそうとするが、ピクリとも動かない。
一方、ジンベエは急に動きを止めた“盾”から逃れることができた。ジンベエはアルトに目をやる。
「(あやつが動かんなった途端この“盾”も動きを止めた…。
この能力は能力者の精神が大きく影響するのか…?)」
「ジンベエ!!」
「先に行け!ルフィくん。わしもすぐ後を追う」
「おお!わかった!!」
『……』
ルフィが広場に向かって駆けて行くアルトは眉をひそめた。
『“聖域(ジ・ハード)”』
「!」
アルトは自身にピースを組み上げる。その行動にジンベエはアルトから距離を取った。
ピースが組み上がった途端、糸が切れたように動けるようになる。
『…“退屈(モノトナス)”…』
アルトは身体が自由になったことを確認すると、全てのピースを消し去った。
『なんのつもりだ…』
その表情はさほど変わらないが、怒りで覇気が露わになっていた。
ビリビリとジンベエの肌に電気が走るような感覚を与える。
「…さっき動きを止められたのは意図的じゃな」
『……キミには関係ない』
アルトの目は覇気を放っているのに関わらず、やけに冷めている。
ジンベエは眉をひそめた。
「お前さん、まだ海兵をやっとるんじゃな」
『…?』
「心根から出た言葉に従わんと本当に身を滅ぼすぞ」
『……ああ、あの時のことか。そのことだけど、僕はこの処刑を終えたら海兵をやめることになったよ』
「?なんじゃと!!?」
『そしてポートガスクンの次にあの処刑台に立つことになっている。これで心配はない』
「!!?」
ジンベエは目を見張った。
『何を驚いているんだい?』
「“何を”じゃと!!貴様、自分の言うてる言葉の意味をわかっとるのか!!」
『わかっている』
いつの間にかアルトはジンベエをまっすぐ見ていた。
『僕はそれだけのことをしたんだよ』
「…!!」
『……心根に従っただけさ』
そう言ったアルトの握られた拳が、微かに震えているように見えた。
「……お前さん…」
『……ハァ』
「?」
アルトは拳をゆるめると、覇気もおさまった。アルトは背を向ける。
『仕事に戻る。麦わらクンを足止め出来なかったのなら、ここに留まる意味はないからね』
「!ま、待て!!」
アルトはそういうとジンベエの目の前から姿を消した。
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ルフィは湾内に降り立った白ひげに驚きと頼もしさを感じていた。
「とにかく今はエースだ!!!」
「ルフィくん!!」
ジンベエの静止を抜け走る。
「ジンベエ!!アレをご覧ナサーブル!!
いつの間にか敵は全員広場へ上がってるわ!!」
「んん…!!悪い予感しかせんわい。
―――だが、オヤジさんが動いた!!もう考えとる場合じゃない」
イワンコフにそういうとジンベエはルフィを追って走り出した。
「広場にゃ上げんぞ、“白ひげ海賊団”!!!」
「!!?」
ドゴォォン!!
「うわああああ!!」
「ジョン・ジャイアントだァ!!!」
「!」
巨人族の海兵、ジョン・ジャイアントが巨大な刀で海賊をなぎ払う。
そしてそのまま、刀を白ひげに振り上げた。
「!!」
ガキィン!!!
白ひげはその斬撃を槍で弾いた。
「邪魔だなおい…!!」
「ここは通すわけにいかんのだァ!!」
「……」
ががっ!!っと、槍を地面に刺した白ひげは空気を掴んだ。
「ぬう!!!」
「!!?え…!!?バランスが………」
グラッとジョン・ジャイアントの体が揺らぐ。
「わァ!!!地面が傾く!!!」
「オヤッさんには近づくなァ~~~!!!」
「うわァ」
それと平行するようにマリンフォードにいる海兵や海賊達も次々にバランスを失い、地面に這いつくばる。
「地震どころじゃねェ!!!」
「島ごと海も!!!傾いてるんだ!!!」
「うわああああぁぁ」
「フッフッフッフッフ!!何てデタラメなジジイだよ!!!」
「うわァ!!立ってられねェ!!!」
「町が崩れる!!」
「うわああああ!!」
ドォン!!!
「……………!!」
白ひげはバランスを崩したジョン・ジャイアントを振動で殴りつける。
振動がジョン・ジャイアントの身体をビキビキと破壊した。
そして振動はそのまま地面を駆け抜ける。
「止まらねェ!!うわっ!!」
「ぎゃああああ!!」
「やっちまえ、オヤジィ~~~!!」
白ひげの振動が処刑台に真っ直ぐ伸びる。
「処刑台に届くぞ!!!行け!!ぶっ壊せェ~~~!!!」
ズドォォン!!!!
「よっしゃァア!!!」
海賊達から歓声が上がる。砂煙の舞った。海兵が声を上げる。
「町が!!!」
「!?処刑台には当たってない!!!」
「何で逸れたんだ!?」
「「「あ」」」
海賊達が処刑台を見て、声を上げる。
「「「“三大将”!!!」」」
処刑台を守るように手を前に出す三大将。三人の力で白ひげの振動は逸らされたのだ。
「さっさと包囲壁張らねェからだ」
「お前の氷のせいじゃろうがい…!!!」
「オー…君が溶かせばいいよォー……!!サカズキ」
一方、ルフィは広場目前まで迫っていた。もうすぐだと意気込む。
『“軽率(レビティ)”』
コン…!
「!うわっ!!」
ルフィは突然、見えない壁に思いっきりぶつかった。
壁にへばりついた形になったルフィは目を白黒させる。
「全然痛くねェけど、なんだァ?進めねェ??」
『久しぶりだね、麦わらクン』
「!!あ、“ワカメ”!!!」
ルフィは正面にいるアルトに声を出す。アルトはため息をついた。
『……ワカメじゃない、アルトだ。何度も同じことを言わせないでくれ』
「くそッ…また強ェのが来たな…!!広場は…エースは目の前なのに!!」
『……』
ルフィは処刑台に目を向ける。エースのいる広場は目前だ。
ここで捕まるわけにはいかないとルフィは構える。
「おれは…!!お前なんかと戦ってる…」
『―――暇はないかい?』
「え!?」
距離を取っていたはずなのにいつの間にかアルトはルフィの目の前にいた。
ルフィは咄嗟に拳を振り上げる。しかしその拳は空を切った。
『―――“指銃(シガン)”…!!』
「いでぇ!!」
アルトの指が、ルフィの肩に刺さる。
ルフィはその場から飛び退き、肩を押さえた。
「ぐっ……早ェ…全然見えェぞ…!!」
『悪いね。今日は仕事だから、手加減はなしだ』
ルフィを見下ろすようにいうアルト。
ルフィはアルトを睨む。―――しかしアルトの姿はなかった。
「え!?」
驚きの声を上げたルフィ。次にアルトを視界に捉えた時には自分の側頭部に脚が降り下ろされるところだった。
「!」
「ハッ!!!」
『!!』
ルフィとアルトの耳に互いのものでない声が届く。
瞬間、アルトの腹部に衝撃が走り、同時にアルトの身体はルフィの下から吹き飛ばされる。
『……っ、“軽率(レビティ)”!!』
アルトは吹き飛びながらも背中にピース出し勢いを殺した。
「ルフィくん無事か!!?」
「ジンベエ!!」
ルフィの側に、構えをとったジンベエがいた。ルフィを追ってきたのだ。
『……割り込みは良くないな、ジンベエクン』
背中の“盾”を消しながら、ルフィとジンベエに対峙するアルト。ジンベエは目を細める。
「(思ったより効いとらんな…)」
『モリアクンと闘っていたハズだけど退けたのかい?』
「高みの見物でもしとったのか。モリアの能力はわしには効かんからのォ、わしの相手じゃないわい」
『…役に立たないな。まぁ、いいや。元々期待していないし。2人とも僕が止めれば問題ない』
「「!!」」
アルトの言葉にルフィとジンベエは構える。
「ルフィくん、あいつの能力は“盾”じゃ。捕まったら最後じゃぞ」
「わかってる。今捕まったら、エースを助けらんねェ!!」
「わしが引き付ける。ルフィくんは隙を見て広場へ!!」
「ああ!」
「“魚人空手…”」
『―――“迷路(メイズ)”』
アルトはジンベエの周りに多数のピースが現れる。
「!」
『大人しくしてもらうよジンベエクン。キミの相手は麦わらクンを始末してからだ』
「!!」
「ジンベエ!」
「わしに構うな!早う行け!!」
「っ!ギア2(セカンド)…!!」
『……弍爪(ニソウ)』
ドルルルル……!!と煙をあげるルフィ。駆け出そうとした瞬間、左脚に何かが掠めた。
気付いた時には左脚に二本の太刀傷、そして鮮血が舞う。
「え?」
「! ルフィくん!」
ルフィは膝をつき、アルトに目をやる。
アルトは先程と変わらぬ姿勢で、瞑っていた目を開けた。
ルフィは何をされたかすらわからない。
『悪いけど、その技のスピードは“慣れた”』
「!」
『キミが来てから動きはずっと追っていたからね』
「??」
アルトはそういうと、歩いてルフィの下へ歩く。
「……いでェ…!!?」
『動かない方がいいよ。“二爪(ニソウ)”は“嵐脚(ランキャク)”を応用した僕のオリジナル。
“僕の間合い”にいる限りいつでも放てる』
「くっ…(これが“ゼロ”のアルトの実力か…) 」
ジンベエは奥歯をかむ。噂通り…いやそれ以上の実力を持っていると痛感させられた。
なぜならジンベエは盾を張られたときから一歩もルフィの下へ動けていないからだ。
背を向けているハズのアルト。その背中にはまるで目がついているかのようだ。
『ガープサンの孫で、“あの”ロブ・ルッチを抑えたって聞いたからもう少しやるのかと思ったけど…』
「……っ!!」
脚の出血を抑えるルフィの前でアルトは足を止め、指を構えた。
『まぁ、これで“懸念”は消えるかな…』
ヒュン…!!とルフィの心臓めがけて指を突き出した。
『―――!』
しかし―――ピタッとアルトは動きを止める。
止まった指はルフィの胸の前。ピクリとも動かない。
『!?』
「???」
アルトの瞳が少し見開いた。ルフィはその変化がわからず、
攻撃を止めたアルトを不思議そうに見上げる。
「!ルフィくんチャンスじゃ行け!!」
「!?あ、ああ!」
ジンベエが叫んだ。その声でルフィは我を取り戻し、脚の痛みをおして駆け出す。
『…っ!!!』
アルトは身体を動かそうとするが、ピクリとも動かない。
一方、ジンベエは急に動きを止めた“盾”から逃れることができた。ジンベエはアルトに目をやる。
「(あやつが動かんなった途端この“盾”も動きを止めた…。
この能力は能力者の精神が大きく影響するのか…?)」
「ジンベエ!!」
「先に行け!ルフィくん。わしもすぐ後を追う」
「おお!わかった!!」
『……』
ルフィが広場に向かって駆けて行くアルトは眉をひそめた。
『“聖域(ジ・ハード)”』
「!」
アルトは自身にピースを組み上げる。その行動にジンベエはアルトから距離を取った。
ピースが組み上がった途端、糸が切れたように動けるようになる。
『…“退屈(モノトナス)”…』
アルトは身体が自由になったことを確認すると、全てのピースを消し去った。
『なんのつもりだ…』
その表情はさほど変わらないが、怒りで覇気が露わになっていた。
ビリビリとジンベエの肌に電気が走るような感覚を与える。
「…さっき動きを止められたのは意図的じゃな」
『……キミには関係ない』
アルトの目は覇気を放っているのに関わらず、やけに冷めている。
ジンベエは眉をひそめた。
「お前さん、まだ海兵をやっとるんじゃな」
『…?』
「心根から出た言葉に従わんと本当に身を滅ぼすぞ」
『……ああ、あの時のことか。そのことだけど、僕はこの処刑を終えたら海兵をやめることになったよ』
「?なんじゃと!!?」
『そしてポートガスクンの次にあの処刑台に立つことになっている。これで心配はない』
「!!?」
ジンベエは目を見張った。
『何を驚いているんだい?』
「“何を”じゃと!!貴様、自分の言うてる言葉の意味をわかっとるのか!!」
『わかっている』
いつの間にかアルトはジンベエをまっすぐ見ていた。
『僕はそれだけのことをしたんだよ』
「…!!」
『……心根に従っただけさ』
そう言ったアルトの握られた拳が、微かに震えているように見えた。
「……お前さん…」
『……ハァ』
「?」
アルトは拳をゆるめると、覇気もおさまった。アルトは背を向ける。
『仕事に戻る。麦わらクンを足止め出来なかったのなら、ここに留まる意味はないからね』
「!ま、待て!!」
アルトはそういうとジンベエの目の前から姿を消した。
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