シャボンダマノサキ
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「ふぅー」
パキパキパキ…と氷上に氷の塊が出来たかと思えば、それは人に姿を変える。
「ちぃっとやりすぎたかァ……」
そう呟いた青キジは自身が今さっき凍らした海面の上に一歩踏み出す。ふと遠くにアルトと対峙する海賊が見えた。
「ありゃ…16番隊隊長のイゾウか」
「大将青キジ!覚悟!」
「かかれー!!」
パキンッ…!!
「アルトの奴、隊長相手に頑張ってるじゃないの」
飛びかかってくる海賊を見ることなく凍らせた青キジ。その目にアルトを映しながらも、頭では“友人”との最後の会話が過った。
ポツリと呟く。
「アリア……。お前はあの時、この奇跡を願っていたのか?」
――――――
――――
15年前の海軍本部。海軍本部中将クザンの部屋
「……だぁ~面倒くせェ…!!」
現在自室に篭城を余儀なくされているおれは、机の上に出来た書類の山と格闘していた。
「サカヅキの野郎が余計なこと言うからだ」
「フフッ…!」
「!?」
悪態をついていたおれの耳に自分以外の声が聞こえる。フッと顔を上げると金色の髪がクスクスと揺れていた。
「キミは相変わらずなんだね」
「アリア…!?」
おれは驚きの声を上げる。アリアはそんなおれにニコッと笑った。
「久しぶりだね!クザンクン」
「久しぶりって…ノックもせずに人の部屋入る奴がよく言うよ」
「あら、休憩の口実になるのだからいいじゃない」
アリアは書類の山に越しにおれを見る。おれは、はぁ…とため息をつくとアリアの言葉通りサボる口実としてペンを置いた。
「今は任務に出てるんじゃなかったの?」
「任務中だよ。6日程休暇をもらったから帰って来たわ」
「おいおい…。任務中に帰って来るなんて」
「わかってる。だから、本部(こっち)に来たのよ。CPには戻ってないわ」
「……そう言う問題かねェ」
「そう言う問題よ。ところでクザンクン」
「?」
「“あの子”は元気?」
首を傾げ尋ねてくるアリア。おれは肩を落とす。
「……。あのな~おれが知るわけないでしょ」
おれの大きなため息にアリアは苦笑した。
「嘘だね」
「嘘じゃねェ」
「あら、“見守る”って決めたのでしょ?」
「“見張る”だ。サウロの残したアイツがどう生きるかを見極めるだけだ」
「ふぅん」
絶対納得してないな。とアリアの相槌からそう受け取ったおれは話題を変えようとアリアの手を見た。
「ところで、その袋はなんだ?」
おれはアリアの手に提げている紙袋に目を向けながら尋ねた。
「これ?プレゼントよ」
「え?おれに?」
「いいえ、違うわ」
「なんだ男にか?」
「!!」
「!(ヘェ…)」
アリアの頬が赤くなる。冗談で言ったのだが、どうやらそうではないらしい。おれはついニヤついた。
「に、任務先で必要なの!!」
「あら、そうなの。てっきり任務そっちのけで恋愛してんだと…」
「クザンクン!」
「あ~嘘だ。怒るな」
「もう、キミに仕事のことをどうこう言われたくないわ…!」
そっぽを向くアリアにおれは自然と笑みを零した。
プルプルプル……
「「!」」
2人の会話の間に入り込むように電話が鳴る。おれはアリアに目配せをしてから受話器を取った。
「はいはい」
[クザン中将!]
「あらら。何慌ててんの?」
受話器から聞こえたのは、海兵の焦る声。後ろからも指示を出す声が上がっていてやけに慌ただしい雰囲気だった。
[GLにある研究都市セレンが無くなりました…!!]
「「!」」
おれは受話器から聞こえて来る報告に耳を疑った。
セレンは研究都市と呼ばれる国。政府のベガパンクにはかなり劣るがそれでも科学の発展が目覚ましいとして高い評価を受けていた国だ。
「何が起こったかわかるのか?」
[いえ、今調査中です。現在わかってるのは昨日未明、島が崩れなくなったという情報だけで]
「……わかった。で、何か指示は?」
[はい、お伝えします…!]
おれは海兵から指示内容を聞き、受話器を置いた。
「セレンが無くなった…?」
「?」
小さくそう呟いたアリア。おれは受話器から顔をあげる。おれが見たアリアの顔からは血の気が引いていた。
「?どうした?」
「クザンクン、さっきの話は真実?」
「ああ。なんだ任務に関係あ……」
「私、帰るわ」
おれの言葉を切ると、アリアは背を向けドアに向かう。そのまま出ると思いきや足をとめた。
「……ねェ、クザンクン」
「…なんだ?」
「サウロは何で命懸けであの子を守ったのかな?」
「??」
「キミが…海軍が迫っているあの状況で、自分が死んでしまってはあの子を守れない」
「……さぁな。その理由を知ってるのはサウロだけだ」
「うん。でもね、私思うんだ」
「?」
アリアは振り返る。その表情の柔らかさにおれはつい目を奪われた。
「サウロはきっと信じたんだよ。死ぬあの瞬間、“キミがあの子を生かすと”」
「……。あれは、おれの気まぐれだ」
アリアから目を反らしたおれは冷たく言葉を返す。おれの心根を知られたくなかったからだ。
「そうだね。でも……私も信じる」
「!」
「あの時、サウロの立場が私だったとしても、キミが助けてくれるって信じる」
アリアの決意にも似た声色におれは首を傾げる。
「何が言いたいんだ?」
「わからない?」
「今のでわかる訳がない」
「フフッ…信頼してるよって言ってるの。サウロもキミを信じ、そう願ったから“奇跡”が起こったんだよ」
おれは肩を落とした。
「お前……おれの気まぐれが“奇跡”だって?」
「そうだよ。なんたってキミの気まぐれなんだから」
「…はあ」
アリアの言葉におれは頭をかいた。不思議な奴だと思っていたが、おれの想像力ではこいつには敵わないらしい。
頭を抱えるおれを尻目にアリアはドアを開けた。
「アリア…?」
「ありがとね」
「?」
アリアはそう言うと今まで一番いい笑顔を見せ、ドアを閉める。
おれはアリアが出て行ったドアを呆然と眺めるしか出来なかった。
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パキパキパキ…と氷上に氷の塊が出来たかと思えば、それは人に姿を変える。
「ちぃっとやりすぎたかァ……」
そう呟いた青キジは自身が今さっき凍らした海面の上に一歩踏み出す。ふと遠くにアルトと対峙する海賊が見えた。
「ありゃ…16番隊隊長のイゾウか」
「大将青キジ!覚悟!」
「かかれー!!」
パキンッ…!!
「アルトの奴、隊長相手に頑張ってるじゃないの」
飛びかかってくる海賊を見ることなく凍らせた青キジ。その目にアルトを映しながらも、頭では“友人”との最後の会話が過った。
ポツリと呟く。
「アリア……。お前はあの時、この奇跡を願っていたのか?」
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15年前の海軍本部。海軍本部中将クザンの部屋
「……だぁ~面倒くせェ…!!」
現在自室に篭城を余儀なくされているおれは、机の上に出来た書類の山と格闘していた。
「サカヅキの野郎が余計なこと言うからだ」
「フフッ…!」
「!?」
悪態をついていたおれの耳に自分以外の声が聞こえる。フッと顔を上げると金色の髪がクスクスと揺れていた。
「キミは相変わらずなんだね」
「アリア…!?」
おれは驚きの声を上げる。アリアはそんなおれにニコッと笑った。
「久しぶりだね!クザンクン」
「久しぶりって…ノックもせずに人の部屋入る奴がよく言うよ」
「あら、休憩の口実になるのだからいいじゃない」
アリアは書類の山に越しにおれを見る。おれは、はぁ…とため息をつくとアリアの言葉通りサボる口実としてペンを置いた。
「今は任務に出てるんじゃなかったの?」
「任務中だよ。6日程休暇をもらったから帰って来たわ」
「おいおい…。任務中に帰って来るなんて」
「わかってる。だから、本部(こっち)に来たのよ。CPには戻ってないわ」
「……そう言う問題かねェ」
「そう言う問題よ。ところでクザンクン」
「?」
「“あの子”は元気?」
首を傾げ尋ねてくるアリア。おれは肩を落とす。
「……。あのな~おれが知るわけないでしょ」
おれの大きなため息にアリアは苦笑した。
「嘘だね」
「嘘じゃねェ」
「あら、“見守る”って決めたのでしょ?」
「“見張る”だ。サウロの残したアイツがどう生きるかを見極めるだけだ」
「ふぅん」
絶対納得してないな。とアリアの相槌からそう受け取ったおれは話題を変えようとアリアの手を見た。
「ところで、その袋はなんだ?」
おれはアリアの手に提げている紙袋に目を向けながら尋ねた。
「これ?プレゼントよ」
「え?おれに?」
「いいえ、違うわ」
「なんだ男にか?」
「!!」
「!(ヘェ…)」
アリアの頬が赤くなる。冗談で言ったのだが、どうやらそうではないらしい。おれはついニヤついた。
「に、任務先で必要なの!!」
「あら、そうなの。てっきり任務そっちのけで恋愛してんだと…」
「クザンクン!」
「あ~嘘だ。怒るな」
「もう、キミに仕事のことをどうこう言われたくないわ…!」
そっぽを向くアリアにおれは自然と笑みを零した。
プルプルプル……
「「!」」
2人の会話の間に入り込むように電話が鳴る。おれはアリアに目配せをしてから受話器を取った。
「はいはい」
[クザン中将!]
「あらら。何慌ててんの?」
受話器から聞こえたのは、海兵の焦る声。後ろからも指示を出す声が上がっていてやけに慌ただしい雰囲気だった。
[GLにある研究都市セレンが無くなりました…!!]
「「!」」
おれは受話器から聞こえて来る報告に耳を疑った。
セレンは研究都市と呼ばれる国。政府のベガパンクにはかなり劣るがそれでも科学の発展が目覚ましいとして高い評価を受けていた国だ。
「何が起こったかわかるのか?」
[いえ、今調査中です。現在わかってるのは昨日未明、島が崩れなくなったという情報だけで]
「……わかった。で、何か指示は?」
[はい、お伝えします…!]
おれは海兵から指示内容を聞き、受話器を置いた。
「セレンが無くなった…?」
「?」
小さくそう呟いたアリア。おれは受話器から顔をあげる。おれが見たアリアの顔からは血の気が引いていた。
「?どうした?」
「クザンクン、さっきの話は真実?」
「ああ。なんだ任務に関係あ……」
「私、帰るわ」
おれの言葉を切ると、アリアは背を向けドアに向かう。そのまま出ると思いきや足をとめた。
「……ねェ、クザンクン」
「…なんだ?」
「サウロは何で命懸けであの子を守ったのかな?」
「??」
「キミが…海軍が迫っているあの状況で、自分が死んでしまってはあの子を守れない」
「……さぁな。その理由を知ってるのはサウロだけだ」
「うん。でもね、私思うんだ」
「?」
アリアは振り返る。その表情の柔らかさにおれはつい目を奪われた。
「サウロはきっと信じたんだよ。死ぬあの瞬間、“キミがあの子を生かすと”」
「……。あれは、おれの気まぐれだ」
アリアから目を反らしたおれは冷たく言葉を返す。おれの心根を知られたくなかったからだ。
「そうだね。でも……私も信じる」
「!」
「あの時、サウロの立場が私だったとしても、キミが助けてくれるって信じる」
アリアの決意にも似た声色におれは首を傾げる。
「何が言いたいんだ?」
「わからない?」
「今のでわかる訳がない」
「フフッ…信頼してるよって言ってるの。サウロもキミを信じ、そう願ったから“奇跡”が起こったんだよ」
おれは肩を落とした。
「お前……おれの気まぐれが“奇跡”だって?」
「そうだよ。なんたってキミの気まぐれなんだから」
「…はあ」
アリアの言葉におれは頭をかいた。不思議な奴だと思っていたが、おれの想像力ではこいつには敵わないらしい。
頭を抱えるおれを尻目にアリアはドアを開けた。
「アリア…?」
「ありがとね」
「?」
アリアはそう言うと今まで一番いい笑顔を見せ、ドアを閉める。
おれはアリアが出て行ったドアを呆然と眺めるしか出来なかった。
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