ミズノオト
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バンッ!!
銃声が雨音を切り裂くように鳴った。
盾を隔てた青キジは目を大きく見開く。驚きを隠せなかった。
『………?』
アルトは目を開ける。自分を殺すために引き金を引いた筈の手は、その銃口ごと天を向いていた。
――いや、正確には誰かに腕を捕まれ撃つ直前に軌道をずらされたのだ。
『……』
もちろん盾を隔てた先にいる青キジに、こんなことが出来るはずはない。
アルトは、自分の腕を力強く掴む人物にゆっくりと目を向けた。
「……ハァ……ハァ」
『!!』
アルトは目を見張る。
『……なんで、キミがここに』
アルトの腕を掴むロールを見ながら感情通りの言葉を呟いた。ロールの表情は堅く、瞳は何かを決意しているように光る。
「中将、無礼をお許しください」
『え……!?』
ロールはアルトの腕を引き、腰に手を回し抱えると後ろへジャンプした。
アルトの後方、その方向は崖と海しかない。
『!?』
「!!?ロール!?アルト!!」
ロールはアルトを連れ、崖から飛び降りたのだ。青キジは叫ぶ。
ガタンッ!!と言う音と同時に“盾”が消えた。青キジは急いで崖から下を覗く。
ブロロロロ……
「!」
崖の下から勢いよく小型最速船が飛び出す。青キジが呆気に取られているうちに、その小型船に乗ったロールとアルトは港からいなくなった。
[―――ッ!!]
「?」
[――青キジ!!]
「センゴクさん!?」
船のエンジン音が止んだ途端、センゴクの声が聞こえた。青キジは木の上にある子電伝虫を見つけ、手を伸ばす。
[青キジ!!聞こえるか!!?]
「ええ。聞こえてます」
[状況を説明しろ]
「……はい」
『……ハァ、ハァ』
「中将、ご無事ですか…??」
トップスピードで舵を取りながら後方にいるアルトに尋ねる。
『……ロールクン、キミ…なんて無茶を』
船の縁にもたれて息を整えるアルトが、ロールの背に戸惑いの声をかけた。
「申し訳ありません」
『なんでこんなことを?』
「ジンベエ召集の任務以降、中将の様子に違和感を感じていました」
『……それで?』
「……」
アルトはため息をつく。
『ドフラミンゴとの話を…聞いてたんだね』
「……はい」
『そうか…ハァ』
アルトは視線を船底に落とす。
「……申し訳ありません」
『……。なら、自分が今何をしてるか……わかってるよね…?』
「わかっています」
『じゃあ…戻るんだ。ハァ…今ならまだ、間に合う……』
「戻りません!!」
ロールは強い口調で言った。アルトは顔をあげる。
『!隊は…どうするんだい……?』
「シュフォンに預けて来ました。大丈夫です。あいつは有能ですから」
『……でもダメだよ…。僕は…犯罪者なん…』
「中将は私の上官です!!」
『!!』
「私は我々の隊にとって“最良”を取りました。皆も納得してくれています」
『…ハァ…ハァ……』
アルトは銃をロールに突き付けた。
『止まるんだ。じゃないと…撃つよ』
「撃って頂いて構いません」
『!?』
アルトの方がビクッと揺れる。ロールは背を向けたまま言った。
「わかってください、中将…!!あなたは我が隊に必要な方なのです!!」
『……ハァ…』
「……ただ、シャボンティにお連れするまではお待ち下さい。
能力者である中将を海の真ん中に置いては逝けません」
『……っ、バカだな…。僕は………なのに』
ドサッ…
「中将!!?」
『……』
アルトはその場に倒れ込む、どうやら気を失ったようだ。
「……中将?中将!」
『……』
スピードを緩め、後ろを振り返る。凍った腕や脚はどうやら無事の様だ。ロールは前を向くとまたスピードを上げた。
「……っ。中将、もう少し頑張って下さい!!何とかしますから…!!」
シャボンティ諸島 20番G付近。
「中将、着きました!!」
『……』
小船を岸に付けたロールは後ろを振り返り、アルトに声をかける。しかしアルトから反応はない。
ロールはアルトに正義のコートを掛けると凍っている手足に気をつけながら抱えた。
「……駐屯所には行けない。早く、病院を探さなければ……!!」
今ここには海兵を始め、海兵の家族や記者が居る。もし見つかれば何かしら面倒になる事を予想し、ロールは閑散とした町の裏道を歩いた。
コツコツコツ……
「!!」
ロールは裏道の壁に隠れ、息をひそめる。
「(誰か…来る…!!)」
同じ道を来るようだ。足音は1つ。
「(こんな道を一般人は通らないだろうな)……中将失礼します」
ロールはアルトを壁に沿うように寝かせた。そしてその前に立ち、アルトを庇いながらロールは刀に手を添える。
「(あちらもこちらの存在に気付いたようだな)」
相手の殺気が増した。どうやら海賊で間違いないようだ。
「……ふぅ」
ロールは息を整えると刀を抜いた。
ガキィィン……!!
「!!」
「!!」
ロールの刃と相手の武器が金属音が響く。ロールは防がれたことへの驚きよりも、目の前の人物に目を見開いた。
「ドレーク……!?」
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