ミズノオト
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本部から少し離れた所にやって来た。
「…この先は」
「岬だ」
そう言い、青キジは躊躇なく足を踏み入れる。ロールもそれに倣った。岬に入ったロールは辺りを見渡す。
「(所々整備されている…最近使われていたのか…??)」
「ロール、紹介するよ。あれがノティ中将だ」
「……!」
青キジが指さす先に黒い髪に黒い服、腰に銃と2本のナイフを提げた青年の後ろ姿があった。正義のコートは羽織っていない。
青年、アルトはこちらに気づかないのか、海に目を向けたまま。その後ろ姿にロールは一瞬魅入った。
「どうした?」
「!?あ、いえ…。あの青キジさん、確か中将はまだ20代だと」
「ん~確か23くらいじゃなかったかな」
「23!」
「若いか」
「ええ…23であの覇気を」
「ああ、式典の時のね」
青キジはロールの言葉を理解して頷いた。
「まぁとりあえず、会ってみてほしい。ロールがアルトと合わないなら、推薦は取り下げるからさ」
「!?決定ではないのですか?」
「ああ。実はあいつもこの人事に“納得していない”んだ。だからお互いに話してほしい」
「はあ…」
“納得していない”その言葉が引っ掛かった。何か不徳の至るところがあったのだろうか。
「アルト」
ロールがそんなことを考えている間に青キジが呼ぶ。しかし反応はない。
「?」
「また、ぼーっとしてんな。―――アルト!!」
『!』
力強く呼ばれ、ビクッとアルトの肩が揺れた。それからゆっくりと振り向く。
『……。なんだ、クザンクンか』
「なんだじゃないでしょ。何、ぼーっとしてんの」
『悪い。仕事かい?』
アルトはそう言いつつ、青キジの後ろにいたロールに気付いた。
『ロール少将……!』
「お、知ってたか」
『……。キミが言ったんだろ』
アルトは視線を反らし、青キジへ言葉を返す。
「そうだったか。まぁ、いいや。とりあえず、今度お前が所属する艦隊の現艦長、ロール少将だ」
ロールはアルトに敬礼した。
「失礼します、ノティ中将。ロールと申します」
『…ああ。僕はノティ・アルト。よろしく』
「よろしくお願いします」
握手をする二人。ロールが抱いたアルトへの印象は感情表現が希薄で…どことなく儚い。
とても式典で見せた覇気の持ち主には見えなかった。
「じゃあ、おれちょっと席外すから、適当に話してて」
『え…!?クザンクン!?』
アルトの驚きと抗議の声に、背中を向けて手を振る青キジ。そのまま歩いてどこかに行ってしまった。
青キジがいなくなり、2人になる。
『……えっとロール少将、すまない。クザンクンはいつもあんな感じで…』
アルトはたどたどしく会話の糸口を探そうと口を開く。表情は変わらないが困っているようだ。
ロールはそれを微笑ましく感じ、助け舟を出す。
「大将と仲がよろしいんですね」
『……たぶんね。世話になりっぱなしだけど』
アルトはそういうと、息をついた。何とか場をもたせたことに安堵したようだ。
そして改めてロールに目を向ける。
『ロール少将』
「はい……!」
ロールは一瞬で変わった雰囲気に、少し驚きつつも返事をした。
『今回の人事は断ってくれて構わないよ』
「!!」
ロールは目を見張る。
「なぜそうおっしゃるのか、お聞きしてもよろしいですか……?」
ロールの真剣な瞳にアルトは一瞬目を反らした後、言った。
『キミの隊に僕はいらないだろう』
「!?」
『艦の人選や出撃回数、任務内容、その達成率…合同艦隊の指揮実績』
「……?」
アルトが連ねた言葉にロールは首を傾げた。
『ああ、すまない。僕、艦隊のことを何も知らないんだ。知らされたのが一昨日で…だから資料だけでもって、キミの艦の記録を片っ端から読ませてもらった』
「……(たった2、3日で!?ただの記録だけでも10年分以上あったはず…)」
ロールは目を見張った。それを目の前の青年が約3日で全てを把握したと言うのだ。
『それと、一度任務中にキミを見たことが……』
「!!覚えていらっしゃいましたか」
『!…ああ。あんなに上手く艦を動かす人は珍しいと思ったから。キミも覚えてたの?』
「ええ。命の恩人を忘れる訳ありません」
『そんな大げさな』
「いえ。あの時はありがとうございました」
『……あ、そんな。本当に大したことはしていないから』
頭を下げたロールにアルトは慌てて顔をあげるように促す。
『話を戻すよ。今回の“人事”。つまり、僕がキミの艦隊の艦長になると言うのは、キミの作った艦隊を根本から壊してしまうと思うんだ』
「……だから“納得していない”のですか?」
『え…ああ、クザンクンから聞いたのか』
「ええ」
ロールは頷く。アルトは納得したように頷いた。
『そう。この艦隊に“お飾り”である僕が艦長として入るのは、キミの艦隊の“最良”にはならない。……そう思ったから』
「!!(この人は……!!)」
ロールは手をグッと握りしめた。アルトは腕を組む。
『―――でも、僕には決定権がない』
「?どういうことです??」
『クザンクンからの厳命。どうやら彼はキミに決めさせたいらしい』
「……」
『だからキミが決めてくれ』
「……」
ロールは手の力を抜いた。ふぅと小さく息をつく。
「それでは……ノティ中将」
『……』
「ぜひ我が隊の艦長になってください」
『!……なんで??僕、艦隊のこと何も知らないよ』
「艦隊運営は覚えて行けばよいのです。誰でも最初は初心者ですから」
『……ん~。予想外だな』
アルトは頭をかく。表情の変化がないため分かりにくいが、戸惑っているようだ。
しばらくしてその手をおろす。
『まぁ、決定権はキミだ。僕はそれに従おう。ただし条件を2つつけたい』
「?何でしょう?」
『1つは僕に艦隊運営のことを教えてほしい。実地で覚える方が早いからね』
「はい。私でよければ」
『ありがと』
「もうひとつは??」
ロールの問いにアルトは頷いた。
『もう1つは隊のために常に最良を選んで行動することを約束してくれ。もちろん僕も約束する』
「?どういう意味でしょうか…?」
アルトの強く真っ直ぐな瞳に圧されながらロールを尋ねる。アルトは目をそらさずに言った。
『もし僕が隊にとって“最良でなくなったら”いつでも切り捨ててくれって意味だよ』
「!!」
.
「…この先は」
「岬だ」
そう言い、青キジは躊躇なく足を踏み入れる。ロールもそれに倣った。岬に入ったロールは辺りを見渡す。
「(所々整備されている…最近使われていたのか…??)」
「ロール、紹介するよ。あれがノティ中将だ」
「……!」
青キジが指さす先に黒い髪に黒い服、腰に銃と2本のナイフを提げた青年の後ろ姿があった。正義のコートは羽織っていない。
青年、アルトはこちらに気づかないのか、海に目を向けたまま。その後ろ姿にロールは一瞬魅入った。
「どうした?」
「!?あ、いえ…。あの青キジさん、確か中将はまだ20代だと」
「ん~確か23くらいじゃなかったかな」
「23!」
「若いか」
「ええ…23であの覇気を」
「ああ、式典の時のね」
青キジはロールの言葉を理解して頷いた。
「まぁとりあえず、会ってみてほしい。ロールがアルトと合わないなら、推薦は取り下げるからさ」
「!?決定ではないのですか?」
「ああ。実はあいつもこの人事に“納得していない”んだ。だからお互いに話してほしい」
「はあ…」
“納得していない”その言葉が引っ掛かった。何か不徳の至るところがあったのだろうか。
「アルト」
ロールがそんなことを考えている間に青キジが呼ぶ。しかし反応はない。
「?」
「また、ぼーっとしてんな。―――アルト!!」
『!』
力強く呼ばれ、ビクッとアルトの肩が揺れた。それからゆっくりと振り向く。
『……。なんだ、クザンクンか』
「なんだじゃないでしょ。何、ぼーっとしてんの」
『悪い。仕事かい?』
アルトはそう言いつつ、青キジの後ろにいたロールに気付いた。
『ロール少将……!』
「お、知ってたか」
『……。キミが言ったんだろ』
アルトは視線を反らし、青キジへ言葉を返す。
「そうだったか。まぁ、いいや。とりあえず、今度お前が所属する艦隊の現艦長、ロール少将だ」
ロールはアルトに敬礼した。
「失礼します、ノティ中将。ロールと申します」
『…ああ。僕はノティ・アルト。よろしく』
「よろしくお願いします」
握手をする二人。ロールが抱いたアルトへの印象は感情表現が希薄で…どことなく儚い。
とても式典で見せた覇気の持ち主には見えなかった。
「じゃあ、おれちょっと席外すから、適当に話してて」
『え…!?クザンクン!?』
アルトの驚きと抗議の声に、背中を向けて手を振る青キジ。そのまま歩いてどこかに行ってしまった。
青キジがいなくなり、2人になる。
『……えっとロール少将、すまない。クザンクンはいつもあんな感じで…』
アルトはたどたどしく会話の糸口を探そうと口を開く。表情は変わらないが困っているようだ。
ロールはそれを微笑ましく感じ、助け舟を出す。
「大将と仲がよろしいんですね」
『……たぶんね。世話になりっぱなしだけど』
アルトはそういうと、息をついた。何とか場をもたせたことに安堵したようだ。
そして改めてロールに目を向ける。
『ロール少将』
「はい……!」
ロールは一瞬で変わった雰囲気に、少し驚きつつも返事をした。
『今回の人事は断ってくれて構わないよ』
「!!」
ロールは目を見張る。
「なぜそうおっしゃるのか、お聞きしてもよろしいですか……?」
ロールの真剣な瞳にアルトは一瞬目を反らした後、言った。
『キミの隊に僕はいらないだろう』
「!?」
『艦の人選や出撃回数、任務内容、その達成率…合同艦隊の指揮実績』
「……?」
アルトが連ねた言葉にロールは首を傾げた。
『ああ、すまない。僕、艦隊のことを何も知らないんだ。知らされたのが一昨日で…だから資料だけでもって、キミの艦の記録を片っ端から読ませてもらった』
「……(たった2、3日で!?ただの記録だけでも10年分以上あったはず…)」
ロールは目を見張った。それを目の前の青年が約3日で全てを把握したと言うのだ。
『それと、一度任務中にキミを見たことが……』
「!!覚えていらっしゃいましたか」
『!…ああ。あんなに上手く艦を動かす人は珍しいと思ったから。キミも覚えてたの?』
「ええ。命の恩人を忘れる訳ありません」
『そんな大げさな』
「いえ。あの時はありがとうございました」
『……あ、そんな。本当に大したことはしていないから』
頭を下げたロールにアルトは慌てて顔をあげるように促す。
『話を戻すよ。今回の“人事”。つまり、僕がキミの艦隊の艦長になると言うのは、キミの作った艦隊を根本から壊してしまうと思うんだ』
「……だから“納得していない”のですか?」
『え…ああ、クザンクンから聞いたのか』
「ええ」
ロールは頷く。アルトは納得したように頷いた。
『そう。この艦隊に“お飾り”である僕が艦長として入るのは、キミの艦隊の“最良”にはならない。……そう思ったから』
「!!(この人は……!!)」
ロールは手をグッと握りしめた。アルトは腕を組む。
『―――でも、僕には決定権がない』
「?どういうことです??」
『クザンクンからの厳命。どうやら彼はキミに決めさせたいらしい』
「……」
『だからキミが決めてくれ』
「……」
ロールは手の力を抜いた。ふぅと小さく息をつく。
「それでは……ノティ中将」
『……』
「ぜひ我が隊の艦長になってください」
『!……なんで??僕、艦隊のこと何も知らないよ』
「艦隊運営は覚えて行けばよいのです。誰でも最初は初心者ですから」
『……ん~。予想外だな』
アルトは頭をかく。表情の変化がないため分かりにくいが、戸惑っているようだ。
しばらくしてその手をおろす。
『まぁ、決定権はキミだ。僕はそれに従おう。ただし条件を2つつけたい』
「?何でしょう?」
『1つは僕に艦隊運営のことを教えてほしい。実地で覚える方が早いからね』
「はい。私でよければ」
『ありがと』
「もうひとつは??」
ロールの問いにアルトは頷いた。
『もう1つは隊のために常に最良を選んで行動することを約束してくれ。もちろん僕も約束する』
「?どういう意味でしょうか…?」
アルトの強く真っ直ぐな瞳に圧されながらロールを尋ねる。アルトは目をそらさずに言った。
『もし僕が隊にとって“最良でなくなったら”いつでも切り捨ててくれって意味だよ』
「!!」
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