ミズノオト
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――――――
――――
「右舷被弾!」
「損傷は!!」
「軽微です。ただ先程の被弾で距離が…!!!」
「スピード上げろ、牽制だ」
「回り込まれています!間に合いません!!」
「くそっ!」
「ロール少将、このままでは囲まれます!」
任務に予想外の事態が起き、窮地に陥ってしまったロール艦隊。海賊の手が迫っていた。
「白兵戦の準備!!シュフォン、退路を探すんだ!」
「は、はい!――――えっ!?」
シュフォンは目の片隅に黒い影が海賊船に入るのを捉えた。
「どうした、シュフォン!!」
「少将、今何かが海賊船に…」
「何……?」
ドカーン…!!!
「「「!!!」」」
1隻の海賊船から凄まじい音がした。船は真っ二つに割れ、海賊の悲鳴を飲み込みながら海へ沈んで行く。
「……」
『後ろ、来てるよ』
「!」
その言葉にロールの止まっていた思考が素早く動いた。
「左舷、砲撃しろ!」
ドドドーン!!!
ロールの指示で放った砲撃が海賊船に直撃する。その海賊船が沈むのを確認すると、難を逃れたロール達は安堵のため息をついた。
『これで終わりかい?』
トンッと軽い音を立て甲板に降り立った人物にロールは視線を向けた。
『どうかした?』
「……」
その人物は見た目と声の若さから青年のようだ。
クセのある黒髪、全身も全て黒い服、顔には黒いスナイパーゴーグルを掛けているため顔の全容、特に目は見えなかった。
「…手助けてくれたことには感謝する。すまないがキミは何者なんだ?」
ロールは目の前の青年へ失礼に当たらないように、気を使いつつ尋ねた。
『あ~……ちょっと待ってね』
青年はそう言うとポケットから紙を取り出す。それを開いて見た。
『えーっと…キミはこの艦の艦長?』
「あ、ああ。ロールと言う」
『ロールクンね。じゃあ、これ見て。キミには見せていいらしいから』
「?―――!!これは失礼した」
紙の内容を確認したロールは青年に紙を返却、謝罪する。青年は首を横に振った。
『構わない。じゃあ、僕はこれで。ああ一応、他言無用でよろしく。本来は参加してはいけない決まりだから』
「了解した。協力感謝する」
青年は背を向けたまま、手を上げる。そして次の瞬間、甲板から姿を消していた。
ここはマリンフォード内にある酒場。
ロールは同僚とカウンターで酒を酌み交わしていた。
「ノティ・アルト……?」
「そうだ。おれ達と同じ少将なんだが、お前は知っているか?」
「少将…??彼はCPじゃなかったのか?」
「!」
ロールはそういうと手元にある酒を飲む。隣に座っている同僚は嬉しそうな声を上げた。
「ロールはアルトを知っているのか?」
「あ…ああ、まぁな」
「なぜ知っている?」
「……」
「教えろ。おれ達の仲だろ」
同僚に酒を注がれる。ロールは観念したように口を開いた。
「6年程前だ。任務中にその彼に助けてもらったんだ。当時の彼の身分はCPだった」
「なるほどな」
「この件は他言無用と言われている。他に漏らすなよ」
ロールが強く言うと、わかっている、と同僚は頷く。
「しかしよく覚えていたな。6年も前だぞ」
「印象が強かったんだ。手際が見とれる程鮮やかだったからな」
「お前にそこまで言わすとは、なかなかだな。アルトとはそれ以来か?」
「ああ」
「そうか。なら、今度アルトに聞いてみよう」
「6年も前と言ったのはお前だ。あれは彼には元々無縁の状況だったし、一少将の名など覚えてないだろう」
「いや、あいつの記憶力は驚くほど抜群なんだ。きっと覚えているさ」
「……」
嬉しそうに話す同僚に、ロールは不思議そうな顔をした。
「お前、そんなに彼と親しいのか?」
「ああ。お前が遠征に出ている間に出逢ってな。最近では仕事がなければアルトと話をしてる。考え方がユニークでバイオリンは世辞抜きでいいぞ」
「…バイオリン?えらく優雅な趣味だな」
「フフ。そうだな」
「しかし、本部の少将ならば出会っててもおかしくはない気がするが…彼はどこの部隊だ?」
ロールが尋ねる。すると同僚の眉間にしわが寄った。
ロールはそれを怪訝に思い、酒を飲む手を止める。同僚は静かに話し始めた。
「……。アルトは、青キジ殿の下で諜報員をしている」
「!!……おい、それは」
ロールは同僚の言葉を制止しようと声を掛ける。しかし同僚はそれを遮った。
「わかっている。お前が他言しないことを前提に話をしているんだ」
「……」
同僚の顔を見て、ロールは口を閉じる。そして同僚のグラスに酒を注いだ。
「……何か気になることがあるのか?」
「わかるか?」
「顔に出てる。お前は嘘が下手だからな」
「フン……。そういうお前はいつも他人の世話を焼くのが好きだな」
「?何の話だ?」
「はは。悪い悪い、こっちの話だ」
同僚の顔が少し和らぐ。ロールはそれを見て少し安心した。
「……で何が気になるんだ?」
「海軍がアルトに与えている役割だ」
「?」
同僚の言葉に首を傾げるロール。同僚はロールに真剣な表情を向ける。
「おかしいと思わないか?」
「何がだ?CP出身なら諜報員でもおかしくないだろ」
「確かにそうだ。だが、アルトの場合露出が極端に少なすぎる」
「……なるほど。そう言われるとわからない話ではないな。海軍の諜報員は諜報事実を隠すために普段肩書き通りの仕事をすることになっている」
「そう、通常ならな。だが、アルトは会議に参加してもいなければ、艦隊行動すらしたことがないらしい。つまり、密偵の仕事“しか”していないんだ」
同僚は十字の傷が入った顎を撫でながら、深刻そうな表情を浮かべた。
「まんまCPだな。だが、それは元帥の新しい試みという可能性もあるだろう?表に出ない方がいい仕事であるのは確かな話だ」
「それならいいんだが……」
「……。お前は何を危惧している?」
ロールは再度同僚に尋ねる。同僚は手の中にあるグラスを見つめながら言った。
「海軍はまるでアルトの存在自体を隠そうとしている様に思えるんだ」
「隠す??」
「ああ。そう感じる。諜報員という理由だけでなく…な。あいつに何かあるんだろうか……」
「……」
.
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「右舷被弾!」
「損傷は!!」
「軽微です。ただ先程の被弾で距離が…!!!」
「スピード上げろ、牽制だ」
「回り込まれています!間に合いません!!」
「くそっ!」
「ロール少将、このままでは囲まれます!」
任務に予想外の事態が起き、窮地に陥ってしまったロール艦隊。海賊の手が迫っていた。
「白兵戦の準備!!シュフォン、退路を探すんだ!」
「は、はい!――――えっ!?」
シュフォンは目の片隅に黒い影が海賊船に入るのを捉えた。
「どうした、シュフォン!!」
「少将、今何かが海賊船に…」
「何……?」
ドカーン…!!!
「「「!!!」」」
1隻の海賊船から凄まじい音がした。船は真っ二つに割れ、海賊の悲鳴を飲み込みながら海へ沈んで行く。
「……」
『後ろ、来てるよ』
「!」
その言葉にロールの止まっていた思考が素早く動いた。
「左舷、砲撃しろ!」
ドドドーン!!!
ロールの指示で放った砲撃が海賊船に直撃する。その海賊船が沈むのを確認すると、難を逃れたロール達は安堵のため息をついた。
『これで終わりかい?』
トンッと軽い音を立て甲板に降り立った人物にロールは視線を向けた。
『どうかした?』
「……」
その人物は見た目と声の若さから青年のようだ。
クセのある黒髪、全身も全て黒い服、顔には黒いスナイパーゴーグルを掛けているため顔の全容、特に目は見えなかった。
「…手助けてくれたことには感謝する。すまないがキミは何者なんだ?」
ロールは目の前の青年へ失礼に当たらないように、気を使いつつ尋ねた。
『あ~……ちょっと待ってね』
青年はそう言うとポケットから紙を取り出す。それを開いて見た。
『えーっと…キミはこの艦の艦長?』
「あ、ああ。ロールと言う」
『ロールクンね。じゃあ、これ見て。キミには見せていいらしいから』
「?―――!!これは失礼した」
紙の内容を確認したロールは青年に紙を返却、謝罪する。青年は首を横に振った。
『構わない。じゃあ、僕はこれで。ああ一応、他言無用でよろしく。本来は参加してはいけない決まりだから』
「了解した。協力感謝する」
青年は背を向けたまま、手を上げる。そして次の瞬間、甲板から姿を消していた。
ここはマリンフォード内にある酒場。
ロールは同僚とカウンターで酒を酌み交わしていた。
「ノティ・アルト……?」
「そうだ。おれ達と同じ少将なんだが、お前は知っているか?」
「少将…??彼はCPじゃなかったのか?」
「!」
ロールはそういうと手元にある酒を飲む。隣に座っている同僚は嬉しそうな声を上げた。
「ロールはアルトを知っているのか?」
「あ…ああ、まぁな」
「なぜ知っている?」
「……」
「教えろ。おれ達の仲だろ」
同僚に酒を注がれる。ロールは観念したように口を開いた。
「6年程前だ。任務中にその彼に助けてもらったんだ。当時の彼の身分はCPだった」
「なるほどな」
「この件は他言無用と言われている。他に漏らすなよ」
ロールが強く言うと、わかっている、と同僚は頷く。
「しかしよく覚えていたな。6年も前だぞ」
「印象が強かったんだ。手際が見とれる程鮮やかだったからな」
「お前にそこまで言わすとは、なかなかだな。アルトとはそれ以来か?」
「ああ」
「そうか。なら、今度アルトに聞いてみよう」
「6年も前と言ったのはお前だ。あれは彼には元々無縁の状況だったし、一少将の名など覚えてないだろう」
「いや、あいつの記憶力は驚くほど抜群なんだ。きっと覚えているさ」
「……」
嬉しそうに話す同僚に、ロールは不思議そうな顔をした。
「お前、そんなに彼と親しいのか?」
「ああ。お前が遠征に出ている間に出逢ってな。最近では仕事がなければアルトと話をしてる。考え方がユニークでバイオリンは世辞抜きでいいぞ」
「…バイオリン?えらく優雅な趣味だな」
「フフ。そうだな」
「しかし、本部の少将ならば出会っててもおかしくはない気がするが…彼はどこの部隊だ?」
ロールが尋ねる。すると同僚の眉間にしわが寄った。
ロールはそれを怪訝に思い、酒を飲む手を止める。同僚は静かに話し始めた。
「……。アルトは、青キジ殿の下で諜報員をしている」
「!!……おい、それは」
ロールは同僚の言葉を制止しようと声を掛ける。しかし同僚はそれを遮った。
「わかっている。お前が他言しないことを前提に話をしているんだ」
「……」
同僚の顔を見て、ロールは口を閉じる。そして同僚のグラスに酒を注いだ。
「……何か気になることがあるのか?」
「わかるか?」
「顔に出てる。お前は嘘が下手だからな」
「フン……。そういうお前はいつも他人の世話を焼くのが好きだな」
「?何の話だ?」
「はは。悪い悪い、こっちの話だ」
同僚の顔が少し和らぐ。ロールはそれを見て少し安心した。
「……で何が気になるんだ?」
「海軍がアルトに与えている役割だ」
「?」
同僚の言葉に首を傾げるロール。同僚はロールに真剣な表情を向ける。
「おかしいと思わないか?」
「何がだ?CP出身なら諜報員でもおかしくないだろ」
「確かにそうだ。だが、アルトの場合露出が極端に少なすぎる」
「……なるほど。そう言われるとわからない話ではないな。海軍の諜報員は諜報事実を隠すために普段肩書き通りの仕事をすることになっている」
「そう、通常ならな。だが、アルトは会議に参加してもいなければ、艦隊行動すらしたことがないらしい。つまり、密偵の仕事“しか”していないんだ」
同僚は十字の傷が入った顎を撫でながら、深刻そうな表情を浮かべた。
「まんまCPだな。だが、それは元帥の新しい試みという可能性もあるだろう?表に出ない方がいい仕事であるのは確かな話だ」
「それならいいんだが……」
「……。お前は何を危惧している?」
ロールは再度同僚に尋ねる。同僚は手の中にあるグラスを見つめながら言った。
「海軍はまるでアルトの存在自体を隠そうとしている様に思えるんだ」
「隠す??」
「ああ。そう感じる。諜報員という理由だけでなく…な。あいつに何かあるんだろうか……」
「……」
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