ミオサメノソラ
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《潜入報告書vol.2》
城に潜入して10日が過ぎた。今日は休暇で城内を調査している。
――――――
――――
「……詩(ウタ)?」
城内を転々としていた私の耳に、とても小さいがキレイなソプラノが聞こえてきた。
「これは、あの皇子じゃないわね…」
自分が教えている皇子テノの声ではないのを確かめてから、その声を辿る。
「あの鐘の塔からね。あそこは確か立ち入り禁止……」
私は鐘の塔を見上げた。そしてクスッと笑う。
「まぁ、私には関係ないけどね」
『♪♪~~♪~~』
「……」
気配を消し、塔を上がった。塔の最上階はには大きな鐘があり、その下で人影が見える。
「…(あれは)」
その人物は以前出逢ったアルトだった。
声が出ない、と言う訳ではなかったらしい。
『~♪~~~♪♪』
「歌上手いね」
『!』
アルトは私の声にビクッと驚き、口を閉じる。私は気にせずに続けた。
「こんにちわ!私のこと覚えてる?」
『……』
アルトはコクリと頷く。しかし話そうとはしない。
「……。隣、座っていいかな?」
『……』
アルトは一拍間をおいてから頷く。
「じゃあ、座ろ」
私はアルトの隣に座る。アルトはそんな私を不思議そうに見た。
警戒されているのだろうか。
「えっとアルトクン…だよね?」
『……』
アルトは頷く。
「私はアリア。よろしく」
『……』
「……アルトクンは話せないのかな?」
『……』
アルトはフルフルと首を振った。やはり話せない訳ではないようだ。
「?」
アルトは私の手を取る。そしてその掌を指でなぞった。手記で教えてくれるらしい。
『……』
「………(の、ど、を、ま、も、る)―――“のどを守る”?……歌うから?」
『……』
「そっか。じゃあ、歌ってくれる?」
『……?』
「さっきの歌、聞かせて」
『……』
アルトは頷いた。そして口ずさむ。
『~~♪♪~♪♪~』
「……」
先程聞いたのと同じとても綺麗な声だった。…でも、何か足りない気がする声だった。
アルトの歌が終わる。
パチパチパチパチ……
『「!」』
拍手の音に驚き、私はドアの方へ目を向けた。
そこに立つのはくせの強い黒髪に緑の瞳。白衣を纏った青年で、隣に座るアルトによく似ていた。
アルトとは違いは瞳が優しいところだろうか。その笑顔には誰でも好感が持てる。
アルトは立ち上がりその青年の下へ駆け寄る。青年は頭を撫でた。
「アルト、今日もいい声だな」
『……』
「……」
私はじっと彼を見た。もちろん見惚れた訳ではない。訓練を受けたCP1である自分に、気配を感じさせなかったことに驚いたのだ。
その青年は私の心境を知ってか知らずかニコッと笑う。
「失礼ですが、あなたは?」
「私は第一王子の音楽の講師をしているアリアと言います」
「ああ、テノの」
「アナタは…??」
「僕はソプラ。この国の科学者です」
「ソプラ…?――もしかして最年少で科学者の名誉を得た……??」
「おや?良くご存じですね」
「い…いえ。新聞で大々的に発表されていたので」
「そんなこともありましたね。もう昔の話ですよ」
「……」
このソプラと言う青年はある分野において、政府の天才科学者ペガパンクに並ぶとも言われる科学者。
驚愕すべきは点は、この天才が世界に認められたのはわずか14歳の時だということ。
「(でも、確か……)」
『……』
思考を巡らす私の前でアルトはソプラの服を引っ張る。ソプラはアルトの頭から手をどけた。
「ああ、アルト。話していいよ。でも、のどは大切にな」
『うん…』
「……」
「ああ、申し遅れました。この子はアルト。僕の弟です」
「ええ、お名前は先日バトラーさんからお聞きしました。似てらっしゃいますね」
「はは。良く言われます。ただアルトはこの通り目付きが少し悪いので、勘違いされやすいのですが……決して悪い子ではないので」
「ええ。歌が上手い子に悪い子はいないってのが、私の持論です」
「そう言ってもらえるとありがたい」
『ソプラ兄さん』
「ん?どうした??」
『この人だよ』
「?」
『このまえ、話した人』
「…――ああ。貴女でしたか」
「?」
首を傾げる私にソプラは言った。
「いやアルトがですね、キレイな人に出逢ったと言ってたので」
「あら、キレイだなんて」
『うそじゃない。アリアは、キレイだよ。アリアのまわりもキレイ。キラキラしてる』
「フフ……ありがとう。アルトクン」
「……。アリアさん。今、お時間はありますか?」
「?え…ええ。大丈夫ですよ」
「アルト、部屋に戻っててくれるか。兄さんはアリアさんと話をしてくるから」
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城に潜入して10日が過ぎた。今日は休暇で城内を調査している。
――――――
――――
「……詩(ウタ)?」
城内を転々としていた私の耳に、とても小さいがキレイなソプラノが聞こえてきた。
「これは、あの皇子じゃないわね…」
自分が教えている皇子テノの声ではないのを確かめてから、その声を辿る。
「あの鐘の塔からね。あそこは確か立ち入り禁止……」
私は鐘の塔を見上げた。そしてクスッと笑う。
「まぁ、私には関係ないけどね」
『♪♪~~♪~~』
「……」
気配を消し、塔を上がった。塔の最上階はには大きな鐘があり、その下で人影が見える。
「…(あれは)」
その人物は以前出逢ったアルトだった。
声が出ない、と言う訳ではなかったらしい。
『~♪~~~♪♪』
「歌上手いね」
『!』
アルトは私の声にビクッと驚き、口を閉じる。私は気にせずに続けた。
「こんにちわ!私のこと覚えてる?」
『……』
アルトはコクリと頷く。しかし話そうとはしない。
「……。隣、座っていいかな?」
『……』
アルトは一拍間をおいてから頷く。
「じゃあ、座ろ」
私はアルトの隣に座る。アルトはそんな私を不思議そうに見た。
警戒されているのだろうか。
「えっとアルトクン…だよね?」
『……』
アルトは頷く。
「私はアリア。よろしく」
『……』
「……アルトクンは話せないのかな?」
『……』
アルトはフルフルと首を振った。やはり話せない訳ではないようだ。
「?」
アルトは私の手を取る。そしてその掌を指でなぞった。手記で教えてくれるらしい。
『……』
「………(の、ど、を、ま、も、る)―――“のどを守る”?……歌うから?」
『……』
「そっか。じゃあ、歌ってくれる?」
『……?』
「さっきの歌、聞かせて」
『……』
アルトは頷いた。そして口ずさむ。
『~~♪♪~♪♪~』
「……」
先程聞いたのと同じとても綺麗な声だった。…でも、何か足りない気がする声だった。
アルトの歌が終わる。
パチパチパチパチ……
『「!」』
拍手の音に驚き、私はドアの方へ目を向けた。
そこに立つのはくせの強い黒髪に緑の瞳。白衣を纏った青年で、隣に座るアルトによく似ていた。
アルトとは違いは瞳が優しいところだろうか。その笑顔には誰でも好感が持てる。
アルトは立ち上がりその青年の下へ駆け寄る。青年は頭を撫でた。
「アルト、今日もいい声だな」
『……』
「……」
私はじっと彼を見た。もちろん見惚れた訳ではない。訓練を受けたCP1である自分に、気配を感じさせなかったことに驚いたのだ。
その青年は私の心境を知ってか知らずかニコッと笑う。
「失礼ですが、あなたは?」
「私は第一王子の音楽の講師をしているアリアと言います」
「ああ、テノの」
「アナタは…??」
「僕はソプラ。この国の科学者です」
「ソプラ…?――もしかして最年少で科学者の名誉を得た……??」
「おや?良くご存じですね」
「い…いえ。新聞で大々的に発表されていたので」
「そんなこともありましたね。もう昔の話ですよ」
「……」
このソプラと言う青年はある分野において、政府の天才科学者ペガパンクに並ぶとも言われる科学者。
驚愕すべきは点は、この天才が世界に認められたのはわずか14歳の時だということ。
「(でも、確か……)」
『……』
思考を巡らす私の前でアルトはソプラの服を引っ張る。ソプラはアルトの頭から手をどけた。
「ああ、アルト。話していいよ。でも、のどは大切にな」
『うん…』
「……」
「ああ、申し遅れました。この子はアルト。僕の弟です」
「ええ、お名前は先日バトラーさんからお聞きしました。似てらっしゃいますね」
「はは。良く言われます。ただアルトはこの通り目付きが少し悪いので、勘違いされやすいのですが……決して悪い子ではないので」
「ええ。歌が上手い子に悪い子はいないってのが、私の持論です」
「そう言ってもらえるとありがたい」
『ソプラ兄さん』
「ん?どうした??」
『この人だよ』
「?」
『このまえ、話した人』
「…――ああ。貴女でしたか」
「?」
首を傾げる私にソプラは言った。
「いやアルトがですね、キレイな人に出逢ったと言ってたので」
「あら、キレイだなんて」
『うそじゃない。アリアは、キレイだよ。アリアのまわりもキレイ。キラキラしてる』
「フフ……ありがとう。アルトクン」
「……。アリアさん。今、お時間はありますか?」
「?え…ええ。大丈夫ですよ」
「アルト、部屋に戻っててくれるか。兄さんはアリアさんと話をしてくるから」
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