郵便屋
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『こんにちわァ、郵便屋で~す!』
「おお!待ちわびたぞ。早ようこちらに来い!」
ここは九蛇海賊団の船。巨大な船体に乗り込んできたのは小さな"一人"の人物。その人物を七武海であり世界一美しくと称される海賊女帝"ボア・ハンコック"が出迎えた。
『ハンコック氏、こんにちわ~!』
「よく来た、至急そなたらに頼みたいことがあるじゃ!聞いてくれるか!?」
ハンコックはシロの肩を持ちぶんぶんと揺らす。シロはうわぁぁ……と目を回した。
(……!!ハンコック!揺らすな!)
『ハ…ハンコック氏ィ……め、目が回るぅぅ……』
「ハッ!」
ハンコックは息が絶え絶えになったシロの声に手を止める。
「す…すまぬ!!焦りすぎてしもうた。大丈夫か?」
(はぁ……。シロ大丈夫か?)
『……うー………なんとか』
(一体何なんだ??)
『んー…。ハンコック氏ィ、何をそんなに慌てているの?』
シロが尋ねる。するとハンコックは頬を赤く染め、モジモジと手をこねた後、決心したように二人に言った。
「そなた達に手紙の書き方を教えてほしいのじゃ…!!」
(『!?』)
【海賊女帝の恋文】
九蛇海賊団、ハンコックの部屋。
『ズズズ……』
シロは招かれた部屋で茶をすする。ふぅ、と一息ついた。
『なるほどなるほど。つまり、ハンコック氏は"ラブレター"を書きたいんだね?』
「そう、なのじゃ…」
照れた様子で、目をそらすハンコック。
「だが、書こうにもどう書いてよいのかわからなくてな。手紙を運んでるそなた達ならいいアドバイスをくれるのではないかと思ったのじゃ」
『そうだねェ~。"ラブレター"は一際気を使いたくなるもんねェ』
「そうなのじゃ。しかも"ラブレター"とやらを渡すことが出来れば必ず結ばれるというではないか!」
(おい、ちょっと待て!いくらなんでもそれは言い過ぎだろ!?)
「つまりわらわはあの方と……!」
―――ハンコック!!
――!…そなたなぜここへ
ハンコックの意中の人、"麦わら"のルフィの歯がキラッと光る。ハンコックは途端に頬を赤く染めた。
―――手紙、送ってくれたじゃねェか。読んでたらお前に会いたくなってな、来ちまった。
――!!わらわもそなたに会いたくて、手紙を出したのじゃ。そなたと結ばれたいと祈りを込めて……。こんなにも早く願いが叶うとは…――!!
ギュッとハンコックはルフィに抱きしめられる。
――!!ル、ル、ル…ルフィ!!どどど、どうしたのじゃ…!?
―――お前があんまりにもかわいいから、抱きしめたくなったんだ。
――そんな…!!わらわは美しいが、かわいくは、、
―――かわいいさ。この世界の誰よりもな。愛してるぜ、ハンコック。
――!!ルフィ…!!わらわも愛しておる…!!わらわ達はついに結ばれるのじゃな……!!
―――ついに?違うぞ、ハンコック。おれ達は"最初から"結ばれてんだ。――運命の赤い糸でな…!!
「はぁん…ルフィ……!!」
(聞けよ!)
『ハハハハ…!!』
クロの言葉が届く訳もなく、ハンコックは自身の肩を抱き、妄想に浸っていた。
(ハァ……たく。大丈夫なのか、あれ)
『ふふふ~♪大丈夫だよ、クロ。それにしてもハンコック氏、そのルフィって人がすごく好きなんだねェ~。女の子だなァ~』
(……多少、理解に苦しむがな)
ニコニコと微笑ましくハンコックを見るシロと呆れた様子のクロ。
その後復活したハンコックの頼みで、協力することになった。
『さてさて、ハンコック氏ィ。まずは相手の名前を書こう!』
筆と便箋の用意をしたハンコックの向かいに座るシロとクロ。シロは明るい声で言った。
「う、うぬ。"ルフィへ"でよいのか?」
『ううん…それでも構わないけど、ラブレターだからねェ。なんかいい文言があったと思うんだけど…クロ、覚える?』
(……。"Dear"か?)
『それそれ!ハンコック氏、ボクの字をマネて!!』
シロは紙にスラスラと文字を書く。それをハンコックに見せた。
「…?なんと書いておるのだ?」
『これはねェ。"Dear"と読むの。外の海で使われてる言葉で、"親愛する~"や"大好きな~"って意味になるんだよ』
「"大好き"!?そう書けば伝えられるのじゃな!?」
(疎い奴には無理かもしれないが…)
『大丈夫大丈夫!きっと伝わるよ!』
「うぬ。そうじゃな。では、"Dearルフィ"……と。次はなんじゃ?」
『次は本文だね。ここは簡単だけどとっても難しいんだ』
「?どっちなのじゃ?」
『ふふ。どっちもなの。本文には"ルフィ氏への想い"を書くの』
「当たり前ではないのか?」
(まだ続きがある)
『そう。続きがあるんだ。その想いの中で"一番伝えたい"ことを書くんだ…!』
「!…一番伝えたいこと……」
(手紙は量を書けばいいというもんじゃない)
『そう、クロの言う通り!手紙はね、たくさん書けば書くほどいいっていう訳じゃないんだよ、ハンコック氏』
「?」
『たくさんの想いはね、紙と文字を使う手紙じゃ伝わりにくい場合があるんだ』
(そうなると、それはただ一方的な想いでしかない)
『手紙で一番大切なのは、相手に"自分の想いを押し付ける"んじゃなくて、手紙を受け取る"相手のことを想って"書くことなんだ』
「……相手のこと、想って」
『そう。ルフィ氏はお手紙をたくさん読む人なら、たくさん書くのもいいんだけど、男の人ってそうじゃない人が多いんだ』
(マメや奴でない限り、簡潔に書く方が無難だな)
「そうじゃな……ルフィはあまり読むようには思えぬ…」
『なら、"ルフィ氏に一番伝えたい想い"を書けばいいんだよ♪』
「……難しいな」
『そう。想いを書くのは簡単だけど、一番の想いを選んだりすることはとってもとっても難しい。だから、簡単で難しいんだ』
ポカンとするハンコックにシロはそうだそうだと言葉を付け加える。
『中身を書いたら、最後にハンコック氏の名前を忘れずに書いてね。名前を書くことも大切なことだから』
「……中身は手伝ってくれぬのか?」
シロは、戸惑いをみせるハンコックにニコニコと笑顔を向けた。
(無理だな…おれ達はアンタじゃない)
『そう。ボクらじゃ無理なんだ。この手紙の中身はハンコック氏にしか書けないんだよ』
「!」
『だからボクらはハンコック氏が手紙を書き終わるまで、ここで待ってる。手紙を受け取ったら一番に届けて行くよ!』
(……ちょうど、急ぎの郵便はないしな)
「……そうか、わかった。書けたら渡す」
次の日
『ハンコック氏ィ~ずっと部屋で書いてるらしいよォ』
(……熱心だな)
『嬉しいね。手紙を熱心に書いてくれる人がいるって』
(シロはお人好しだな。わざわざ手紙を待ってる)
『クロだって、待ってるじゃないか。いつもなら入れ替わって帰るもんね』
(……フン。おれはただあの女帝の書く手紙に興味があるだけだ)
『ふふふ…!クロは照れ屋だなァ』
(……)
「シロ!クロ!書けたぞ!!」
「蛇姫様!まずはお食事を…!!」
「ええい。そんなもの、後でよい!そんなことよりこれを…!!」
ハンコックは慌てる侍女達を退けると、シロに一通の手紙を渡した。
『はい。"郵便屋"のシロとクロが請け負います』
「頼んだぞ、二人共」
『もちろん、この大切な手紙は必ず、ルフィ氏に届けるよ!お返事ももらってくる!』
(おい!シロ、返事の約束は…!!)
「ああ。楽しみにしておる」
ハンコックは嬉しそうに微笑む。その笑顔は今まで見たハンコックの中で一番美しかった。
『わー…』
(……)
つい見とれる二人。ハッと我に帰ったシロはニコニコと笑った。
九蛇の船から一隻の小さな船が出航する。ハンコック達は九蛇海賊団は手を振って見送った。
『ルンルンルン♪♪』
気分良さそうに舵をとるシロ。
(ご機嫌だな)
『うん!あのね、クロ、ボク!!』
『"郵便屋"をしててよかった…!!』
("郵便屋"をしてて良かった…!)
二人の声がぴったりと重なった。シロは目を見張る。
『あれあれ?なんでわかったの?』
(そんなの"簡単"だ。――おれはお前、お前はおれなんだから)
『!……そっか!!』
(さっさと届けるぞ)
『うん!!』
fin
***********
Dearには諸説あると思いますが、今回は最愛の~系の意味として捉えてます。
「おお!待ちわびたぞ。早ようこちらに来い!」
ここは九蛇海賊団の船。巨大な船体に乗り込んできたのは小さな"一人"の人物。その人物を七武海であり世界一美しくと称される海賊女帝"ボア・ハンコック"が出迎えた。
『ハンコック氏、こんにちわ~!』
「よく来た、至急そなたらに頼みたいことがあるじゃ!聞いてくれるか!?」
ハンコックはシロの肩を持ちぶんぶんと揺らす。シロはうわぁぁ……と目を回した。
(……!!ハンコック!揺らすな!)
『ハ…ハンコック氏ィ……め、目が回るぅぅ……』
「ハッ!」
ハンコックは息が絶え絶えになったシロの声に手を止める。
「す…すまぬ!!焦りすぎてしもうた。大丈夫か?」
(はぁ……。シロ大丈夫か?)
『……うー………なんとか』
(一体何なんだ??)
『んー…。ハンコック氏ィ、何をそんなに慌てているの?』
シロが尋ねる。するとハンコックは頬を赤く染め、モジモジと手をこねた後、決心したように二人に言った。
「そなた達に手紙の書き方を教えてほしいのじゃ…!!」
(『!?』)
【海賊女帝の恋文】
九蛇海賊団、ハンコックの部屋。
『ズズズ……』
シロは招かれた部屋で茶をすする。ふぅ、と一息ついた。
『なるほどなるほど。つまり、ハンコック氏は"ラブレター"を書きたいんだね?』
「そう、なのじゃ…」
照れた様子で、目をそらすハンコック。
「だが、書こうにもどう書いてよいのかわからなくてな。手紙を運んでるそなた達ならいいアドバイスをくれるのではないかと思ったのじゃ」
『そうだねェ~。"ラブレター"は一際気を使いたくなるもんねェ』
「そうなのじゃ。しかも"ラブレター"とやらを渡すことが出来れば必ず結ばれるというではないか!」
(おい、ちょっと待て!いくらなんでもそれは言い過ぎだろ!?)
「つまりわらわはあの方と……!」
―――ハンコック!!
――!…そなたなぜここへ
ハンコックの意中の人、"麦わら"のルフィの歯がキラッと光る。ハンコックは途端に頬を赤く染めた。
―――手紙、送ってくれたじゃねェか。読んでたらお前に会いたくなってな、来ちまった。
――!!わらわもそなたに会いたくて、手紙を出したのじゃ。そなたと結ばれたいと祈りを込めて……。こんなにも早く願いが叶うとは…――!!
ギュッとハンコックはルフィに抱きしめられる。
――!!ル、ル、ル…ルフィ!!どどど、どうしたのじゃ…!?
―――お前があんまりにもかわいいから、抱きしめたくなったんだ。
――そんな…!!わらわは美しいが、かわいくは、、
―――かわいいさ。この世界の誰よりもな。愛してるぜ、ハンコック。
――!!ルフィ…!!わらわも愛しておる…!!わらわ達はついに結ばれるのじゃな……!!
―――ついに?違うぞ、ハンコック。おれ達は"最初から"結ばれてんだ。――運命の赤い糸でな…!!
「はぁん…ルフィ……!!」
(聞けよ!)
『ハハハハ…!!』
クロの言葉が届く訳もなく、ハンコックは自身の肩を抱き、妄想に浸っていた。
(ハァ……たく。大丈夫なのか、あれ)
『ふふふ~♪大丈夫だよ、クロ。それにしてもハンコック氏、そのルフィって人がすごく好きなんだねェ~。女の子だなァ~』
(……多少、理解に苦しむがな)
ニコニコと微笑ましくハンコックを見るシロと呆れた様子のクロ。
その後復活したハンコックの頼みで、協力することになった。
『さてさて、ハンコック氏ィ。まずは相手の名前を書こう!』
筆と便箋の用意をしたハンコックの向かいに座るシロとクロ。シロは明るい声で言った。
「う、うぬ。"ルフィへ"でよいのか?」
『ううん…それでも構わないけど、ラブレターだからねェ。なんかいい文言があったと思うんだけど…クロ、覚える?』
(……。"Dear"か?)
『それそれ!ハンコック氏、ボクの字をマネて!!』
シロは紙にスラスラと文字を書く。それをハンコックに見せた。
「…?なんと書いておるのだ?」
『これはねェ。"Dear"と読むの。外の海で使われてる言葉で、"親愛する~"や"大好きな~"って意味になるんだよ』
「"大好き"!?そう書けば伝えられるのじゃな!?」
(疎い奴には無理かもしれないが…)
『大丈夫大丈夫!きっと伝わるよ!』
「うぬ。そうじゃな。では、"Dearルフィ"……と。次はなんじゃ?」
『次は本文だね。ここは簡単だけどとっても難しいんだ』
「?どっちなのじゃ?」
『ふふ。どっちもなの。本文には"ルフィ氏への想い"を書くの』
「当たり前ではないのか?」
(まだ続きがある)
『そう。続きがあるんだ。その想いの中で"一番伝えたい"ことを書くんだ…!』
「!…一番伝えたいこと……」
(手紙は量を書けばいいというもんじゃない)
『そう、クロの言う通り!手紙はね、たくさん書けば書くほどいいっていう訳じゃないんだよ、ハンコック氏』
「?」
『たくさんの想いはね、紙と文字を使う手紙じゃ伝わりにくい場合があるんだ』
(そうなると、それはただ一方的な想いでしかない)
『手紙で一番大切なのは、相手に"自分の想いを押し付ける"んじゃなくて、手紙を受け取る"相手のことを想って"書くことなんだ』
「……相手のこと、想って」
『そう。ルフィ氏はお手紙をたくさん読む人なら、たくさん書くのもいいんだけど、男の人ってそうじゃない人が多いんだ』
(マメや奴でない限り、簡潔に書く方が無難だな)
「そうじゃな……ルフィはあまり読むようには思えぬ…」
『なら、"ルフィ氏に一番伝えたい想い"を書けばいいんだよ♪』
「……難しいな」
『そう。想いを書くのは簡単だけど、一番の想いを選んだりすることはとってもとっても難しい。だから、簡単で難しいんだ』
ポカンとするハンコックにシロはそうだそうだと言葉を付け加える。
『中身を書いたら、最後にハンコック氏の名前を忘れずに書いてね。名前を書くことも大切なことだから』
「……中身は手伝ってくれぬのか?」
シロは、戸惑いをみせるハンコックにニコニコと笑顔を向けた。
(無理だな…おれ達はアンタじゃない)
『そう。ボクらじゃ無理なんだ。この手紙の中身はハンコック氏にしか書けないんだよ』
「!」
『だからボクらはハンコック氏が手紙を書き終わるまで、ここで待ってる。手紙を受け取ったら一番に届けて行くよ!』
(……ちょうど、急ぎの郵便はないしな)
「……そうか、わかった。書けたら渡す」
次の日
『ハンコック氏ィ~ずっと部屋で書いてるらしいよォ』
(……熱心だな)
『嬉しいね。手紙を熱心に書いてくれる人がいるって』
(シロはお人好しだな。わざわざ手紙を待ってる)
『クロだって、待ってるじゃないか。いつもなら入れ替わって帰るもんね』
(……フン。おれはただあの女帝の書く手紙に興味があるだけだ)
『ふふふ…!クロは照れ屋だなァ』
(……)
「シロ!クロ!書けたぞ!!」
「蛇姫様!まずはお食事を…!!」
「ええい。そんなもの、後でよい!そんなことよりこれを…!!」
ハンコックは慌てる侍女達を退けると、シロに一通の手紙を渡した。
『はい。"郵便屋"のシロとクロが請け負います』
「頼んだぞ、二人共」
『もちろん、この大切な手紙は必ず、ルフィ氏に届けるよ!お返事ももらってくる!』
(おい!シロ、返事の約束は…!!)
「ああ。楽しみにしておる」
ハンコックは嬉しそうに微笑む。その笑顔は今まで見たハンコックの中で一番美しかった。
『わー…』
(……)
つい見とれる二人。ハッと我に帰ったシロはニコニコと笑った。
九蛇の船から一隻の小さな船が出航する。ハンコック達は九蛇海賊団は手を振って見送った。
『ルンルンルン♪♪』
気分良さそうに舵をとるシロ。
(ご機嫌だな)
『うん!あのね、クロ、ボク!!』
『"郵便屋"をしててよかった…!!』
("郵便屋"をしてて良かった…!)
二人の声がぴったりと重なった。シロは目を見張る。
『あれあれ?なんでわかったの?』
(そんなの"簡単"だ。――おれはお前、お前はおれなんだから)
『!……そっか!!』
(さっさと届けるぞ)
『うん!!』
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Dearには諸説あると思いますが、今回は最愛の~系の意味として捉えてます。