狂人
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昔、私には友達と言える女の子がいた。
「カリファちゃん、遊ーぼ!」
「!…ルンぺン」
『……あまり遅くなるな』
「うん…!行ってきます!」
私はルンぺンに元気よく言って外に出た。
「カリファちゃん、よかった!今日も遊べるんだね」
「うん。ルンぺンお兄ちゃんがいいって。でもあんまり遅くなるなって」
「そっか。じゃあ、夕方まで遊ぼう」
「うん!」
【闇に咲く花】
夕方。
「ただいま!」
『……ああ』
ルンぺンは朝と変わらぬ姿勢で分厚い本を読んでいた。
「ご飯食べた?」
『いや……』
「じゃあ、準備するね」
私はキッチンに向かい、冷蔵庫を開ける。私とルンぺンはとある任務でこの港町に住んでいた。
任務と言っても私はルンぺンの妹としてルンぺンの生活の世話をすること。
実際の任務はルンぺンに一任されていた。
「ルンぺン、ご飯出来たよ!本しまって」
『…ああ』
ルンぺンは生活に関してはほとんど無関心。きっと私がいなかったら餓死してしまうだろう。
私は役に立っていることが嬉しかった。
「いただきます」
『……いただきます』
カリファの号令に合わせ、ルンぺンも手を合わす。そしてご飯を食べ始めた。
「あのね、今日しーちゃんと遊んだの!」
『ああ…』
「しーちゃんね、ルンぺンをかっこいいって言ってたよ!」
『…?』
「"カリファちゃんはいいなぁ、あんなかっこいいお兄ちゃんで"って」
『……そうか』
「本当の兄妹じゃないけど、私嬉しかった!ルンぺンは本当にかっこいいもん!」
『ごちそうさま』
「あ、ルンぺン!話聞いてないでしょ!」
『今日は早く寝ろ。任務は明日午前2時』
「!!」
『任務内容は要人暗殺。暗殺はおれが。カリファは見張りとして現場待機。任務終了後、速やかにこの島を出る』
「りょ、了解!」
『おれは先に休む。1時には準備を済ましておけ』
「はい!おやすみなさい!」
ルンぺンは分厚い本を持って部屋に入って行った。
「とうとう任務なんだ。でも見張りか…私も要人暗殺とかかっこいい任務がよかったなぁ」
見張りはよくある任務だった。けど今まで活躍することなく、ルンぺンやルッチの仕事が終わるのをぼーっと待つだけ。正直退屈な仕事だ。
「でも、もしかしたら戦うかもしれないよね!よぉし、早く寝て明日眠くならないようにしよ」
私はそう心に決め、洗い物を済ます。そしてお風呂に入って眠った。
午前2時。
「おい、交代の時間だ」
「ああ、そんな時間か」
ある屋敷を警備している男達がいた。今はちょうど交代の時間らしい。
「みんな一杯やってるから、お前も飲んでこい」
「おお!そうかそうか。いやぁ…身体が冷えたからなぁ。そうさせてもら…っ」
ゴキッ!!…ドサッ……
「ん?おい、どうした?」
見張りをしていた男は、交代で来た男が急に倒れたことに驚く。
「おい…って!?死んでる!なんで急に…もがっ!!」
暗闇と同じ、黒い手が男の背中から伸びてきた。ルンぺンだ。私は茂みに隠れながらルンぺンの鮮やかな手際を見ていた。
ルンぺンの白い髪は月明かりのない夜でも闇夜に浮かぶ。そんなルンぺンを政府の大人達は"白の狂気"と呼んでいたのを思い出した。
ルンぺンは右手で男の口を塞ぎ、左手で男の頭を抑えたのが見えた。そして次の瞬間には、ゴキッと鈍い音、男の首がダラリとうなだれた。
静かな夜だったせいか、骨が折れる音が私の耳にもしっかり届いた。
『……カリファ』
「は、はい!」
『ターゲットは2階の奥の部屋だ。今回ガードは無視する。5分後に来い』
「はい!」
黒衣に黒い手袋をはめたルンぺンが男達を座らせ見張ってるように装うと、先に中へ入っていった。
5分後に屋敷に入った私は、静まり返った雰囲気に息をのんだ。屋敷は一切汚れることはなく、まさか暗殺者が侵入してるとは思わないだろう。
私は気配を消し、慎重にルンぺンの言っていた部屋に向かった。
「……ルンぺン」
『……』
私は2階の奥の部屋で待っていたルンぺンを口パクで呼ぶ。ルンぺンは手招きで私を呼ぶと、ここで待っていろと指示を出した。
私が頷くと、ルンぺンは頭をポンポンと軽く叩く。ルンぺンのくせだ。そしてノブに手をかけると、ノックをすることなくドアを開ける。
「!何だ、お前…!!」
『政府からの使者です、用件はわかりますね』
その言葉を最後に、静かにドアは閉まってしまった。私は話が気になったが、見張りを任された責任もあって、仕方なく辺りを見渡した。
「(この町のお屋敷はみんな同じ形なのね)」
つまらないなぁと私は思った。この町は景観を保つため、似たような建物が並んでいるとルンぺンは言っていた。
「(しーちゃんのお家もこんな感じだったわね。扉にライオンの置物もあったし…)」
「カリファちゃん?」
「―――!」
私の心臓が大きく鳴った。目を見張り、声の方へ向ける。そこにはパジャマ姿のしーちゃんがいた。
「しー……ちゃん?」
「やっぱり、カリファちゃんだ。なんでわたしのお家にいるの?」
眠たそうな目をこすりながら、しーちゃんは私に尋ねる。私の頭が真っ白になった。
似た家ではなく、ここは正真正銘、しーちゃんの家。ターゲットはしーちゃんの父親だったのだ。
「……」
「あれ?カリファちゃん?」
私は息をのんだ。今の私の役目はルンぺンの仕事を邪魔しないこと、そして―――姿を見られたらその相手を必ず殺すことだ。
「(しーちゃんを殺さなきゃいけない)」
私はギュッと拳を握りしめる。 仕事中に見つかったのだ。しーちゃんは殺さないといけない。
ちょうど寝ぼけいる今のしーちゃんならば、"指銃(シガン)"で心臓を一突きにすれば、悲鳴を上げられる心配はない。
「(やらないと…私は"CP9"なんだから)」
「ねェ、カリファちゃん」
「!」
「明日も遊ぼうね」
「!!!」
にっこりと笑うしーちゃんに私は動きを止めてしまった。
ザクッ…!
「!」
ピシャリと顔に液体が飛んできた。しかし私は目をしーちゃんからそらさない。いやそらせなかった。
しーちゃんはびっくりしたのだろう大きな瞳をさらに見開く。その顔すらかわいらしいと私は思った。
そのしーちゃんの心臓から生えるように伸びる黒い指。もちろんルンぺンだ。
ルンぺンがしーちゃんの心臓から指を抜く。途端にドバッとしーちゃんの胸から血が溢れる。
血の気が引いたしーちゃんは驚いた顔のまま、息を引き取っていた。
『……カリファ、任務終了だ。撤退する』
「はい……」
小さく消えそうな声で私はルンぺンに答える。しかし身体が動かない。
『カリファ』
「!やっ――!!」
ルンぺンが私の肩に手を置く。瞬間、私はその手を払ってしまった。
『……』
「あ……」
『……帰るぞ』
ルンぺンは払われた手を黒衣のポケットに突っ込むと、キビを返し階段を降りていく。
私はルンぺンの背からしーちゃんに目を向けた。
びっくりした顔のしーちゃんの急に恐く感じて、手でまぶたを閉じる。そしたら寝ているようだった。
私はそこから走って逃げた。
―――カリファちゃん、また明日遊ぼうね
ザクッ……!!!
「……っ!!」
カリファは目をギュッとつぶった。だが、あの日の映像が、しーちゃんの笑顔が頭から離れない。
昨日も今日もあの日のような夜が来るせいでカリファは何度も思い出していたのだ。
「……嫌い。夜なんて嫌い」
カリファは呟く。途端に、視界が夜とはまた違う黒になった。
「……!?」
『嫌なら見なくていい』
「!!」
ルンぺンの声だ。カリファの目に優しく手をおくと、後ろから抱きしめた。
「……」
『……嫌なら見るな』
ルンぺンはその言葉以上何も言わず、ただずっとカリファを抱きしめている。
ルンぺンが作り出した黒は優しさかった。
その温もりはルンぺンが心を痛めない、人間だと言うことを否定する。
ルンぺンはカリファに友を殺させることをさせたくなかったのかもしれない。だから、自らの手でカリファの友を殺したのかもしれない。
……もちろん、真相はルンぺンの胸の中にだ。
だが、カリファはそれを思うと涙が止まらない。
「忘れなきゃ、ダメだよね」
『……』
「長官やルッチは忘れろって、私情をはさむなって……」
『……』
カリファの涙を掌に感じながらルンぺンは、ただただ静かに抱きしめた。
「ごめんなさいね、ルンぺン」
あれから数年。立派なCP9となったカリファは、相変わらず分厚い本に目を落としっぱなしのルンぺンにコーヒーを差し入れした。
『何のことだ?』
「ううん。なんでもない」
『そうか。カリファ、その花を頼む』
「ええ」
カリファは頷くと、机に置かれた花束を手に取った。毎年、この日にルンぺンは花を持って来る。
―――ルンぺン、この花は?
――忘れたくなければ、忘れなくていい
「……」
カリファは机に花を飾る。これは初めての友に送る花。私に忘れることを強要しないルンぺンの優しさ。
「ありがとう、ルンぺン」
『ああ』
fin
*************
書いててなんですが、甘くはないですね;;私的CP9はこんな感じです。あの闇の正義の中で良心だけは無くさない。そんなのだったらいいなぁと。これいいのかな;;
「カリファちゃん、遊ーぼ!」
「!…ルンぺン」
『……あまり遅くなるな』
「うん…!行ってきます!」
私はルンぺンに元気よく言って外に出た。
「カリファちゃん、よかった!今日も遊べるんだね」
「うん。ルンぺンお兄ちゃんがいいって。でもあんまり遅くなるなって」
「そっか。じゃあ、夕方まで遊ぼう」
「うん!」
【闇に咲く花】
夕方。
「ただいま!」
『……ああ』
ルンぺンは朝と変わらぬ姿勢で分厚い本を読んでいた。
「ご飯食べた?」
『いや……』
「じゃあ、準備するね」
私はキッチンに向かい、冷蔵庫を開ける。私とルンぺンはとある任務でこの港町に住んでいた。
任務と言っても私はルンぺンの妹としてルンぺンの生活の世話をすること。
実際の任務はルンぺンに一任されていた。
「ルンぺン、ご飯出来たよ!本しまって」
『…ああ』
ルンぺンは生活に関してはほとんど無関心。きっと私がいなかったら餓死してしまうだろう。
私は役に立っていることが嬉しかった。
「いただきます」
『……いただきます』
カリファの号令に合わせ、ルンぺンも手を合わす。そしてご飯を食べ始めた。
「あのね、今日しーちゃんと遊んだの!」
『ああ…』
「しーちゃんね、ルンぺンをかっこいいって言ってたよ!」
『…?』
「"カリファちゃんはいいなぁ、あんなかっこいいお兄ちゃんで"って」
『……そうか』
「本当の兄妹じゃないけど、私嬉しかった!ルンぺンは本当にかっこいいもん!」
『ごちそうさま』
「あ、ルンぺン!話聞いてないでしょ!」
『今日は早く寝ろ。任務は明日午前2時』
「!!」
『任務内容は要人暗殺。暗殺はおれが。カリファは見張りとして現場待機。任務終了後、速やかにこの島を出る』
「りょ、了解!」
『おれは先に休む。1時には準備を済ましておけ』
「はい!おやすみなさい!」
ルンぺンは分厚い本を持って部屋に入って行った。
「とうとう任務なんだ。でも見張りか…私も要人暗殺とかかっこいい任務がよかったなぁ」
見張りはよくある任務だった。けど今まで活躍することなく、ルンぺンやルッチの仕事が終わるのをぼーっと待つだけ。正直退屈な仕事だ。
「でも、もしかしたら戦うかもしれないよね!よぉし、早く寝て明日眠くならないようにしよ」
私はそう心に決め、洗い物を済ます。そしてお風呂に入って眠った。
午前2時。
「おい、交代の時間だ」
「ああ、そんな時間か」
ある屋敷を警備している男達がいた。今はちょうど交代の時間らしい。
「みんな一杯やってるから、お前も飲んでこい」
「おお!そうかそうか。いやぁ…身体が冷えたからなぁ。そうさせてもら…っ」
ゴキッ!!…ドサッ……
「ん?おい、どうした?」
見張りをしていた男は、交代で来た男が急に倒れたことに驚く。
「おい…って!?死んでる!なんで急に…もがっ!!」
暗闇と同じ、黒い手が男の背中から伸びてきた。ルンぺンだ。私は茂みに隠れながらルンぺンの鮮やかな手際を見ていた。
ルンぺンの白い髪は月明かりのない夜でも闇夜に浮かぶ。そんなルンぺンを政府の大人達は"白の狂気"と呼んでいたのを思い出した。
ルンぺンは右手で男の口を塞ぎ、左手で男の頭を抑えたのが見えた。そして次の瞬間には、ゴキッと鈍い音、男の首がダラリとうなだれた。
静かな夜だったせいか、骨が折れる音が私の耳にもしっかり届いた。
『……カリファ』
「は、はい!」
『ターゲットは2階の奥の部屋だ。今回ガードは無視する。5分後に来い』
「はい!」
黒衣に黒い手袋をはめたルンぺンが男達を座らせ見張ってるように装うと、先に中へ入っていった。
5分後に屋敷に入った私は、静まり返った雰囲気に息をのんだ。屋敷は一切汚れることはなく、まさか暗殺者が侵入してるとは思わないだろう。
私は気配を消し、慎重にルンぺンの言っていた部屋に向かった。
「……ルンぺン」
『……』
私は2階の奥の部屋で待っていたルンぺンを口パクで呼ぶ。ルンぺンは手招きで私を呼ぶと、ここで待っていろと指示を出した。
私が頷くと、ルンぺンは頭をポンポンと軽く叩く。ルンぺンのくせだ。そしてノブに手をかけると、ノックをすることなくドアを開ける。
「!何だ、お前…!!」
『政府からの使者です、用件はわかりますね』
その言葉を最後に、静かにドアは閉まってしまった。私は話が気になったが、見張りを任された責任もあって、仕方なく辺りを見渡した。
「(この町のお屋敷はみんな同じ形なのね)」
つまらないなぁと私は思った。この町は景観を保つため、似たような建物が並んでいるとルンぺンは言っていた。
「(しーちゃんのお家もこんな感じだったわね。扉にライオンの置物もあったし…)」
「カリファちゃん?」
「―――!」
私の心臓が大きく鳴った。目を見張り、声の方へ向ける。そこにはパジャマ姿のしーちゃんがいた。
「しー……ちゃん?」
「やっぱり、カリファちゃんだ。なんでわたしのお家にいるの?」
眠たそうな目をこすりながら、しーちゃんは私に尋ねる。私の頭が真っ白になった。
似た家ではなく、ここは正真正銘、しーちゃんの家。ターゲットはしーちゃんの父親だったのだ。
「……」
「あれ?カリファちゃん?」
私は息をのんだ。今の私の役目はルンぺンの仕事を邪魔しないこと、そして―――姿を見られたらその相手を必ず殺すことだ。
「(しーちゃんを殺さなきゃいけない)」
私はギュッと拳を握りしめる。 仕事中に見つかったのだ。しーちゃんは殺さないといけない。
ちょうど寝ぼけいる今のしーちゃんならば、"指銃(シガン)"で心臓を一突きにすれば、悲鳴を上げられる心配はない。
「(やらないと…私は"CP9"なんだから)」
「ねェ、カリファちゃん」
「!」
「明日も遊ぼうね」
「!!!」
にっこりと笑うしーちゃんに私は動きを止めてしまった。
ザクッ…!
「!」
ピシャリと顔に液体が飛んできた。しかし私は目をしーちゃんからそらさない。いやそらせなかった。
しーちゃんはびっくりしたのだろう大きな瞳をさらに見開く。その顔すらかわいらしいと私は思った。
そのしーちゃんの心臓から生えるように伸びる黒い指。もちろんルンぺンだ。
ルンぺンがしーちゃんの心臓から指を抜く。途端にドバッとしーちゃんの胸から血が溢れる。
血の気が引いたしーちゃんは驚いた顔のまま、息を引き取っていた。
『……カリファ、任務終了だ。撤退する』
「はい……」
小さく消えそうな声で私はルンぺンに答える。しかし身体が動かない。
『カリファ』
「!やっ――!!」
ルンぺンが私の肩に手を置く。瞬間、私はその手を払ってしまった。
『……』
「あ……」
『……帰るぞ』
ルンぺンは払われた手を黒衣のポケットに突っ込むと、キビを返し階段を降りていく。
私はルンぺンの背からしーちゃんに目を向けた。
びっくりした顔のしーちゃんの急に恐く感じて、手でまぶたを閉じる。そしたら寝ているようだった。
私はそこから走って逃げた。
―――カリファちゃん、また明日遊ぼうね
ザクッ……!!!
「……っ!!」
カリファは目をギュッとつぶった。だが、あの日の映像が、しーちゃんの笑顔が頭から離れない。
昨日も今日もあの日のような夜が来るせいでカリファは何度も思い出していたのだ。
「……嫌い。夜なんて嫌い」
カリファは呟く。途端に、視界が夜とはまた違う黒になった。
「……!?」
『嫌なら見なくていい』
「!!」
ルンぺンの声だ。カリファの目に優しく手をおくと、後ろから抱きしめた。
「……」
『……嫌なら見るな』
ルンぺンはその言葉以上何も言わず、ただずっとカリファを抱きしめている。
ルンぺンが作り出した黒は優しさかった。
その温もりはルンぺンが心を痛めない、人間だと言うことを否定する。
ルンぺンはカリファに友を殺させることをさせたくなかったのかもしれない。だから、自らの手でカリファの友を殺したのかもしれない。
……もちろん、真相はルンぺンの胸の中にだ。
だが、カリファはそれを思うと涙が止まらない。
「忘れなきゃ、ダメだよね」
『……』
「長官やルッチは忘れろって、私情をはさむなって……」
『……』
カリファの涙を掌に感じながらルンぺンは、ただただ静かに抱きしめた。
「ごめんなさいね、ルンぺン」
あれから数年。立派なCP9となったカリファは、相変わらず分厚い本に目を落としっぱなしのルンぺンにコーヒーを差し入れした。
『何のことだ?』
「ううん。なんでもない」
『そうか。カリファ、その花を頼む』
「ええ」
カリファは頷くと、机に置かれた花束を手に取った。毎年、この日にルンぺンは花を持って来る。
―――ルンぺン、この花は?
――忘れたくなければ、忘れなくていい
「……」
カリファは机に花を飾る。これは初めての友に送る花。私に忘れることを強要しないルンぺンの優しさ。
「ありがとう、ルンぺン」
『ああ』
fin
*************
書いててなんですが、甘くはないですね;;私的CP9はこんな感じです。あの闇の正義の中で良心だけは無くさない。そんなのだったらいいなぁと。これいいのかな;;