ゼロ

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ある日の海軍本部。

「待たねェか!!!ノティ!!!」

ブワッと機関車のようにモクモクと白い煙が本部の廊下を駆け抜ける。
その標的は、煙から逃げるように前を走る若い将校、アルトだ。


『そんな剣幕で言われて待つ訳ないよね』

「なんか言ったかコラッ!!!!」

『え、聞こえたの!?』

ポツリと呟いたハズの言葉を聞き取られた驚きにアルトは声をあげた。


「てめェの言うことぐれェ予想がつく…!今日という今日は許さねェぞ!!!」

『そんな怒ることかい?僕、キミの健康に気を使っただけだよ』

「バカ野郎!!糖尿病になるわ」

『僕はなってないよ!』

「てめェと一緒にすんな!さっさと返せ!!」

『むー。なら、捕まえたら返してあげるよ!』

「あ、待たねェか、コラァ!!」

『ヤダね』

アルトはベーッと舌を出すとタンッと床を蹴り、"剃(ソル)"でスモーカーと距離を広げる。

「あら、ノティ中将」

『やぁ、ヒナクン。おはよう』

「朝から本部をジョギングですか?」

走るアルトの正面から歩いて来たヒナは尋ねた。アルトは首を横に振る。


『いや、鬼ごっこ中なんだ。今日は特に怒ってるみたいでさ。じゃあ、僕は逃げるね』

アルトはヒナにそう告げると再び走り出し、本部の角を曲がって行った。


「……?」

ヒナは首を傾げる。少しして白い煙がブワッとヒナの髪の毛を揺らす。


「ヒナ!!ノティはここを通ったか!!?」

「!……スモーカークン。またキミなの?」

「詳しく話してる暇はねェ。通ったか通ってないか、教えろ」

「……通ったわ」

「そうか、助かった」

スモーカーはそういうと、蒸気機関車のように白い煙を上げ、本部の角を曲がって行った。


「……」

「ヒ……ヒナ、さん!!」

ヒナは名を呼ばれ、振り返る。そこには肩を大きく上下させたたしぎがいた。


「あら、たしぎ。アナタも鬼ごっこ?」

「い、いえ……スモーカーさんを、止めようと、……ゲホゲホ」

だいぶ走ったのだろう。たしぎは膝に手をおき、汗だくで呼吸を整えていた。


「あの2人ならこの先よ。ねェ、たしぎ。今日は何があったの?顔に落書きされたようではなかったけど……またアナタ達の前でキスでもされた?」

「い!いえ!!今回はスモーカーさんの予備葉巻が全部チョコスティクになっていまして……」

「……それは、怒るわね。しかも気付いたってことは今吸っていたので最後かしら」

「は、はい……」

たしぎは曇ったメガネを吹きながら答える。ヒナは肩を諫めた。


「でも、今回はイタズラではないらしいんです」

「?」

「最近、ガープ中将に葉巻は健康に良くないと聞いたらしくて」

「ヒナ、納得。つまり、ノティ中将はスモーカーくんの健康を気遣ったわけね」

「はい…」

「なら、放っておきなさい」

「へっ?」

ヒナの言葉にたしぎは目を丸くする。ヒナはタバコを取り出すと火をつけた。


「痴話喧嘩に他人が口を出すべきではないわ。スモーカーくんがあの調子なら、アナタは暇よね?お茶にしましょう」

「え……でも」

「行くわよ」

「は、はい!」

ヒナはたしぎを連れ、2人が向かったのとは反対の道を歩く。







【やり方はとても間違っているけれど】







1時間後

「待たねェか!!ノティ!!」

『だから、捕まえたら待ってあげるって』

食堂の前をそんな会話で通り過ぎる2人。たしぎはティーカップを置くと、メガネをなおした。


「まだ続いてるんですね。お二人の体力、一体どれだけあるんだろう」

「本当にね。……お互いもっと素直になればいいのに」

ヒナはポツリと呟いた。たしぎは首を傾げる。


「何か言いましたか、ヒナさん?」

「フフ……何でもないわ」








fin


*********
お互いに気付いていない思いにヒナだけは気付いている。そんな甘いギャグを目指しました。
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