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「フンフンフーン~♪」
陽気に鼻唄を歌う長身の骸骨、ブルック。音楽の街、オンカイ島にやって来た麦わら一味はそれぞれの余暇を楽しんでいた。
もちろんブルックも余暇を楽しむべくバイオリン片手に街を闊歩(カッポ)している。
「ヨホホホ~音楽がそこら中から聞こえてくる!なんて素敵なところなんでしょう……!!こんなところがあるなんて目からウロコ!!あ、私目がないからウロコ落ちない!!ヨホホホ~!!」
嬉しそうに歩くブルック。ちょうどいい路地の空きを見つけるとそこにバイオリンケースをおろした。
「ここはだれでも、どこでも自由に演奏することが許されている。なんて素晴らしいんでしょう♪私も僭越ながら一曲」
そういうとブルックはバイオリンを構える。一、二音鳴らしたかと思えば演奏を始めた。
~~♪~~♪♪~~♪~~♪♪♪
「フンフフーン~♪たのしー!!」
喜ぶブルック。もう一曲とバイオリンを構えると背中から音が聞こえた。
【背中合わせの二重奏】
~~♪~~♪♪~~♪~~♪♪♪
『いい音色だ』
ブルックの壁のちょうど裏にあたる反対側の路地に立っていたアルトは、壁の向こうから聞こえる音色に耳を傾けていた。
『かなり上手いな。音色が清々しい。バイオリンでこんな音が出せるのか』
感心するアルトは曲が終わるのを待って、自身もバイオリンを構える。
~~~~♪♪~♪.
♪♪~♪♪♪♪~
アルトはブルックの演奏に一拍を置いてから自身も音を奏で始めた。
♪♪~♪♪♪♪~
「ヨホ?」
ブルックは構えを解き、自分が背にしている壁に目を向ける。
~~~♪♪~~~♪♪~~~♪♪♪
「おおー!!なんて優しい音!!素晴らしいですね~~!!」
聞こえてくる音は、音楽家と名乗るブルックも舌を巻く演奏。
「優しい音で私の頬も緩んじゃいますねー・・・・・・あ!私緩む頬なかった!!ヨホホ~!!」
~~~♪♪♪ーー~~♪♪♪♪~~.
突然音が切れた。ブルックは首を傾げる。
「おや?この曲はまだ続くのですが……」
♪♪♪~~~♪~♪~~
「?……これは」
ブルックは新たに奏でられる曲に怪訝な顔をした。これは一人では演奏できないデュオの曲だ。
♪♪♪~~~♪~♪~~
「!」
同じ部分が繰り返される。まるで自分を誘っているようだとブルックは感じた。
「入っていいんですか……?」
♪♪♪~~~♪~♪~~
ブルックは恐る恐るバイオリンを構える。そして思い切って弦を弾いた。
♪~~♪♪~~♪♪~~
ドキドキするブルック。もしかしたら演奏の邪魔をしたのかと。しかし……
♪♪~~♪~♪~~
「……!!」
ブルックのない目が輝いた。自分は今、出会ったばかりの……正確には知らない人だが、その人とデュエットしている。
♪~~♪♪~♪~♪~~
♪♪♪~♪~♪♪~~~
二つの音が重なった。奏でる音は見事に重なり合う。初めて逢ったとは思えない、息の合った演奏だ。
『……♪』
「……♪」
二人は一枚の壁を隔てて気持ちよさそうに演奏する。
~~~♪~~♪~~
第一章の終わり、ブルックのソロに入った。
『ふう』
アルトは息をつく。この一時はブルックのソロを聞き入るのみ。
壁にもたれようとしたアルトの下に一人の将校がやって来た。
「ノティ中将、任務の時間です」
『……後3分で終わる』
「もう1秒も無駄には出来ません……!!」
『はぁ……邪推だな。ロールクンならそこら辺の調整をしてくれるんだけどね』
アルトはバイオリンをケースにしまうと、紙を取り出し何かを書き込む。
♪~♪♪~~~♪♪~~
「中将!!」
『わかってる。今行くよ』
アルトは壁にバンッと手を置くと、急かす海兵の後について行った。
~~~~♪.
その数秒後、ブルックは演奏を終える。さて第二章だと、相手のソロパートを待った。
……………………
「おや??」
ブルックは首を傾げる。演奏はピタリと止まってしまった。
「もしも~し?忘れちゃったのですかー??」
……………………
「?」
怪訝に思ったブルックはその身長を生かし、んしょっと壁を登る。
「ちょっと失礼!ご気分でも悪くされましたか……ってあれェ??」
壁の上からその人物がいるであろう場所を見て、ブルックは驚きの声を上げる。そこには誰もいない。
「え?ええ!!?さっきまで確かにデュエットしてたハズ……まさか幽霊さんだったんですか……!?」
あらぬ想像にブルックはガタガタと震えた。
「幽霊さんがあんな綺麗な音を……ああァ!!」
ドスーン……!!
手を滑らせたブルックは幽霊がいたと思われる場所に落ちてしまう。
「あいたたた……尻餅ついてしまいました。あ!私、尻餅つくお肉ないんですけど!!」
ヨホホホ~!!とスカルジョークを言うブルック。そんなブルックは壁に白い紙が貼られてるのを見つけた。
「はて?何でしょうこれ……?」
ブルックは手を伸ばし、壁の割れ目に挟まった白い紙を取る。
―――悪い、仕事だ。この続きは またどこかで。
「……」
ブルックは紙をしみじみと眺めた。
「これを残した貴方……どなたか存じませんが、また演奏を共に出来るのですね!楽しみにしますよ、ヨホホホ~!!」
ブルックはニコッと笑うと紙を丁寧に折り畳む。そしてトーンダイヤルと共に頭の中に大事そうに入れた。
『顔ぐらい見たかったな』
島を出発した軍艦の甲板で、アルトはため息をつく。残念そうだ。
『まぁ、音は覚えた。この海にいるのならいつかまた会えるだろう』
風になびく黒髪の先に広がる青空、それを見ながらアルトは板チョコをパリッと食べた。
Fin
**********
「壁越しの演奏」と言うのに憧れました(笑)
陽気に鼻唄を歌う長身の骸骨、ブルック。音楽の街、オンカイ島にやって来た麦わら一味はそれぞれの余暇を楽しんでいた。
もちろんブルックも余暇を楽しむべくバイオリン片手に街を闊歩(カッポ)している。
「ヨホホホ~音楽がそこら中から聞こえてくる!なんて素敵なところなんでしょう……!!こんなところがあるなんて目からウロコ!!あ、私目がないからウロコ落ちない!!ヨホホホ~!!」
嬉しそうに歩くブルック。ちょうどいい路地の空きを見つけるとそこにバイオリンケースをおろした。
「ここはだれでも、どこでも自由に演奏することが許されている。なんて素晴らしいんでしょう♪私も僭越ながら一曲」
そういうとブルックはバイオリンを構える。一、二音鳴らしたかと思えば演奏を始めた。
~~♪~~♪♪~~♪~~♪♪♪
「フンフフーン~♪たのしー!!」
喜ぶブルック。もう一曲とバイオリンを構えると背中から音が聞こえた。
【背中合わせの二重奏】
~~♪~~♪♪~~♪~~♪♪♪
『いい音色だ』
ブルックの壁のちょうど裏にあたる反対側の路地に立っていたアルトは、壁の向こうから聞こえる音色に耳を傾けていた。
『かなり上手いな。音色が清々しい。バイオリンでこんな音が出せるのか』
感心するアルトは曲が終わるのを待って、自身もバイオリンを構える。
~~~~♪♪~♪.
♪♪~♪♪♪♪~
アルトはブルックの演奏に一拍を置いてから自身も音を奏で始めた。
♪♪~♪♪♪♪~
「ヨホ?」
ブルックは構えを解き、自分が背にしている壁に目を向ける。
~~~♪♪~~~♪♪~~~♪♪♪
「おおー!!なんて優しい音!!素晴らしいですね~~!!」
聞こえてくる音は、音楽家と名乗るブルックも舌を巻く演奏。
「優しい音で私の頬も緩んじゃいますねー・・・・・・あ!私緩む頬なかった!!ヨホホ~!!」
~~~♪♪♪ーー~~♪♪♪♪~~.
突然音が切れた。ブルックは首を傾げる。
「おや?この曲はまだ続くのですが……」
♪♪♪~~~♪~♪~~
「?……これは」
ブルックは新たに奏でられる曲に怪訝な顔をした。これは一人では演奏できないデュオの曲だ。
♪♪♪~~~♪~♪~~
「!」
同じ部分が繰り返される。まるで自分を誘っているようだとブルックは感じた。
「入っていいんですか……?」
♪♪♪~~~♪~♪~~
ブルックは恐る恐るバイオリンを構える。そして思い切って弦を弾いた。
♪~~♪♪~~♪♪~~
ドキドキするブルック。もしかしたら演奏の邪魔をしたのかと。しかし……
♪♪~~♪~♪~~
「……!!」
ブルックのない目が輝いた。自分は今、出会ったばかりの……正確には知らない人だが、その人とデュエットしている。
♪~~♪♪~♪~♪~~
♪♪♪~♪~♪♪~~~
二つの音が重なった。奏でる音は見事に重なり合う。初めて逢ったとは思えない、息の合った演奏だ。
『……♪』
「……♪」
二人は一枚の壁を隔てて気持ちよさそうに演奏する。
~~~♪~~♪~~
第一章の終わり、ブルックのソロに入った。
『ふう』
アルトは息をつく。この一時はブルックのソロを聞き入るのみ。
壁にもたれようとしたアルトの下に一人の将校がやって来た。
「ノティ中将、任務の時間です」
『……後3分で終わる』
「もう1秒も無駄には出来ません……!!」
『はぁ……邪推だな。ロールクンならそこら辺の調整をしてくれるんだけどね』
アルトはバイオリンをケースにしまうと、紙を取り出し何かを書き込む。
♪~♪♪~~~♪♪~~
「中将!!」
『わかってる。今行くよ』
アルトは壁にバンッと手を置くと、急かす海兵の後について行った。
~~~~♪.
その数秒後、ブルックは演奏を終える。さて第二章だと、相手のソロパートを待った。
……………………
「おや??」
ブルックは首を傾げる。演奏はピタリと止まってしまった。
「もしも~し?忘れちゃったのですかー??」
……………………
「?」
怪訝に思ったブルックはその身長を生かし、んしょっと壁を登る。
「ちょっと失礼!ご気分でも悪くされましたか……ってあれェ??」
壁の上からその人物がいるであろう場所を見て、ブルックは驚きの声を上げる。そこには誰もいない。
「え?ええ!!?さっきまで確かにデュエットしてたハズ……まさか幽霊さんだったんですか……!?」
あらぬ想像にブルックはガタガタと震えた。
「幽霊さんがあんな綺麗な音を……ああァ!!」
ドスーン……!!
手を滑らせたブルックは幽霊がいたと思われる場所に落ちてしまう。
「あいたたた……尻餅ついてしまいました。あ!私、尻餅つくお肉ないんですけど!!」
ヨホホホ~!!とスカルジョークを言うブルック。そんなブルックは壁に白い紙が貼られてるのを見つけた。
「はて?何でしょうこれ……?」
ブルックは手を伸ばし、壁の割れ目に挟まった白い紙を取る。
―――悪い、仕事だ。この続きは またどこかで。
「……」
ブルックは紙をしみじみと眺めた。
「これを残した貴方……どなたか存じませんが、また演奏を共に出来るのですね!楽しみにしますよ、ヨホホホ~!!」
ブルックはニコッと笑うと紙を丁寧に折り畳む。そしてトーンダイヤルと共に頭の中に大事そうに入れた。
『顔ぐらい見たかったな』
島を出発した軍艦の甲板で、アルトはため息をつく。残念そうだ。
『まぁ、音は覚えた。この海にいるのならいつかまた会えるだろう』
風になびく黒髪の先に広がる青空、それを見ながらアルトは板チョコをパリッと食べた。
Fin
**********
「壁越しの演奏」と言うのに憧れました(笑)