渡り鳥
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『ふむ。思ったより平和そうです』
公園のベンチに腰掛けながらジンは辺りを眺める。人通りは少ないものの、穏和な雰囲気を醸し出していた。
「ここはいいとこかい?」
『ええ。とても平和で……』
ジンは答えかけて口を噤む。現在自分はこんな会話を交わす相手はいない。
「そりゃ~よかったァ。ちょうどわっしらが海賊を一掃したばっかりだからねェ~」
『!!?』
ジンは冷や汗がドッと出る。いつの間にか隣には黄猿が座っていた。
『黄猿……!?』
「探したよォ~"渡り鳥"ィ」
『……なぜここに貴方が』
「たまたまだよォ。たまたまァ~」
ニコニコと笑う黄猿。もちろん、たまたまな訳はない。ジンは拳に力を入れる。
「大人しく本部に来てくれるかい?ベガパンクがキミを待ってるんだよォ~」
『……お断りします』
「ええ~!?」
黄猿は驚いた声を上げた。意外そうだ。ジンは肩を落とす。
『僕は貴方達の下には参りません』
「"赤目"の子が死んだのがそんなに悲しかったのかい?」
『!!』
ズバッ……!!
ジンはベンチごと黄猿を斬った。そして自身はトンッと間合いを取ると眼帯に手をかける。
『……』
「お~怖いねェ~」
もちろん、斬られただけで黄猿がどうにかなる訳はない。割れたベンチから一歩離れた場所に光が集まると、黄猿が平然とした姿で現れる。
「紳士的なキミがそんな怒っちゃダメでしょ~」
『……そんな言葉よく言えますね。貴方達はお嬢様にしたことを何も恥じていない……!!』
「世界平和のために協力を頼んでいただけだよ?キミも知ってるだろォ??」
『!!何が!!世界平和ですか!!!』
「まぁまぁそんな怖い顔しなさんな。せっかくの美人が台無しだ」
『……!!』
ジンは声が聞こえ、振り返る。目を疑った。黄猿だけでなく青キジまでもが目の前にいたからだ。想定外も甚だしい。
「あ~クザン。遅かったねェ」
「アンタが先に見つけるとはなァ、ボルサリーノ。しかももう仕掛けてるし」
「いやァ~"渡り鳥"を怒らせちゃってねェ~」
「アンタまたいらんこと言ったんだろ」
『青キジまでとは……』
「ううん?わっしはひとりで来たとは一言も言ってないよォ~」
黄猿は首を傾げる。ジンは奥歯をかんだ。
『……わかっています、そんなこと』
「で、肝心の話はどうなったんだ?大人しく来てくれんのか?」
『参りません。僕にはしなければならないことがあるんです』
「わっしら二人でも脅しにならないとは、怖いねェ~」
「まったくだ。あいつも呼ぶべきだったか?」
『誰が来ようとも、僕は海軍には屈しません!!』
青キジは頭をポリポリとかく。
「あららら~決意は固いようだ」
「仕方ないねェ~」
『……!!』
ジンは二人が戦闘態勢に入ったのを感じ、赤い目で二人を見た。
『黄猿!青キジ!"動くことを禁止します"』
ビリリリ……っと青キジと黄猿に電気が走る。
「まだまだ」
「効かないよォ~」
『……やはり無理ですか……』
「"アイス・タイムカプセル"!!」
『"文字化け(ガーブル)"!!』
ガキィィン……!!
「ほう……」
青キジは感心した。紙で出来た兵士が凍りながらもジンを守る。
『僕の紙は普通の紙ではありません。なので簡単には行きませんよ』
「なら一緒に貫けばいいよねェ~」
ピカァー――……ピュン ピュン…!!
『!!』
紙兵士を貫くビームが向けられる。ジンは上に大きく飛び上がる。
『はちゃめちゃな方ですね』
ドカーン……!!!!
『"栞(ブックマーク)"……!!』
爆風をうまく利用し、空中に止まったジンは周りに細い短冊型の紙を出現させると二人に放った。
「"ア~イス・サーベル"……!!」
スパパパン……!!と青キジの氷の剣により"栞"はバラバラの紙になる。黄猿はニコッと笑った。
「紙屑じゃ何にも出来ないよォ~」
『――――』
「「??」」
ジンは何かを呟いたが、二人には届いていない。
『"栞(ブックマーク)"!!』
ジンはまた同じ攻撃を仕掛ける。青キジは肩を落とした。
「ちっとは感心したんだが、5億もこの程度か……?」
「万策尽きたねェ~」
青キジは再びアイスサーベルで栞を薙ぎ払う。同時に黄猿はジンに人差し指を向けた。
ジンは口角があがる。そしてパンッと両手を合わせた。
『"不器用な男(ハンプティ・ダンプティ)"』
「「!!」」
青キジと黄猿の身体から突然紙が生える。そしてその紙は2人の身体に巻きついた。
「ああ?なんだコリャ…!!」
「うっとおしいねェ……」
『僕の紙はただの紙ではない。先程そう申しました』
「「……」」
『そう。紙屑になろうとも、紙は紙。人知れず纏わせることも可能です』
「……けど、この程度でわっしらを止められると思ってるのかい?」
「……」
青キジ眉をひそめる。ジンに妙な余裕があるように見えるのだ。ジンは人差し指を口元に当てる。
『"ミスディレクション"――マジックを行う上で、観客の目を他に向けさせる。マジシャンのテクニックのひとつです』
「?」
「何が言いたいんだ?」
『要するに、貴方達の視線を僕(マジシャン)から一瞬でも反らせた時点で、僕の勝ちなのです』
そう言った途端、ジンは色素が抜け白くなる。そしてバサッとただの紙の塊になった。
同時に青キジと黄猿に巻きついていた紙もパサッと落ちる。
地面に落ちた紙は風に吹かれ、舞い上がると、粉々になって空に消えた。
「「……」」
青キジと黄猿は呆然と空を見上げる。
「コリャ……してやられたねェ~」
「奴の能力の持続範囲はわからねェが、あの調子じゃあ、もう島は出てるだろうな」
「そうだねェ~怒られるねェ~センゴクさんに」
「まぁ、しゃあねェわ。おれ達は見事にマジシャンにしてやられた訳だからな」
青キジは空を見上げながら黄猿にわからない程度にクスッと微笑んだ。
fin
************
大将にミスリードさせることで、見事脱出!……こんな感じでよかったのでしょうか(ドキドキ)
公園のベンチに腰掛けながらジンは辺りを眺める。人通りは少ないものの、穏和な雰囲気を醸し出していた。
「ここはいいとこかい?」
『ええ。とても平和で……』
ジンは答えかけて口を噤む。現在自分はこんな会話を交わす相手はいない。
「そりゃ~よかったァ。ちょうどわっしらが海賊を一掃したばっかりだからねェ~」
『!!?』
ジンは冷や汗がドッと出る。いつの間にか隣には黄猿が座っていた。
『黄猿……!?』
「探したよォ~"渡り鳥"ィ」
『……なぜここに貴方が』
「たまたまだよォ。たまたまァ~」
ニコニコと笑う黄猿。もちろん、たまたまな訳はない。ジンは拳に力を入れる。
「大人しく本部に来てくれるかい?ベガパンクがキミを待ってるんだよォ~」
『……お断りします』
「ええ~!?」
黄猿は驚いた声を上げた。意外そうだ。ジンは肩を落とす。
『僕は貴方達の下には参りません』
「"赤目"の子が死んだのがそんなに悲しかったのかい?」
『!!』
ズバッ……!!
ジンはベンチごと黄猿を斬った。そして自身はトンッと間合いを取ると眼帯に手をかける。
『……』
「お~怖いねェ~」
もちろん、斬られただけで黄猿がどうにかなる訳はない。割れたベンチから一歩離れた場所に光が集まると、黄猿が平然とした姿で現れる。
「紳士的なキミがそんな怒っちゃダメでしょ~」
『……そんな言葉よく言えますね。貴方達はお嬢様にしたことを何も恥じていない……!!』
「世界平和のために協力を頼んでいただけだよ?キミも知ってるだろォ??」
『!!何が!!世界平和ですか!!!』
「まぁまぁそんな怖い顔しなさんな。せっかくの美人が台無しだ」
『……!!』
ジンは声が聞こえ、振り返る。目を疑った。黄猿だけでなく青キジまでもが目の前にいたからだ。想定外も甚だしい。
「あ~クザン。遅かったねェ」
「アンタが先に見つけるとはなァ、ボルサリーノ。しかももう仕掛けてるし」
「いやァ~"渡り鳥"を怒らせちゃってねェ~」
「アンタまたいらんこと言ったんだろ」
『青キジまでとは……』
「ううん?わっしはひとりで来たとは一言も言ってないよォ~」
黄猿は首を傾げる。ジンは奥歯をかんだ。
『……わかっています、そんなこと』
「で、肝心の話はどうなったんだ?大人しく来てくれんのか?」
『参りません。僕にはしなければならないことがあるんです』
「わっしら二人でも脅しにならないとは、怖いねェ~」
「まったくだ。あいつも呼ぶべきだったか?」
『誰が来ようとも、僕は海軍には屈しません!!』
青キジは頭をポリポリとかく。
「あららら~決意は固いようだ」
「仕方ないねェ~」
『……!!』
ジンは二人が戦闘態勢に入ったのを感じ、赤い目で二人を見た。
『黄猿!青キジ!"動くことを禁止します"』
ビリリリ……っと青キジと黄猿に電気が走る。
「まだまだ」
「効かないよォ~」
『……やはり無理ですか……』
「"アイス・タイムカプセル"!!」
『"文字化け(ガーブル)"!!』
ガキィィン……!!
「ほう……」
青キジは感心した。紙で出来た兵士が凍りながらもジンを守る。
『僕の紙は普通の紙ではありません。なので簡単には行きませんよ』
「なら一緒に貫けばいいよねェ~」
ピカァー――……ピュン ピュン…!!
『!!』
紙兵士を貫くビームが向けられる。ジンは上に大きく飛び上がる。
『はちゃめちゃな方ですね』
ドカーン……!!!!
『"栞(ブックマーク)"……!!』
爆風をうまく利用し、空中に止まったジンは周りに細い短冊型の紙を出現させると二人に放った。
「"ア~イス・サーベル"……!!」
スパパパン……!!と青キジの氷の剣により"栞"はバラバラの紙になる。黄猿はニコッと笑った。
「紙屑じゃ何にも出来ないよォ~」
『――――』
「「??」」
ジンは何かを呟いたが、二人には届いていない。
『"栞(ブックマーク)"!!』
ジンはまた同じ攻撃を仕掛ける。青キジは肩を落とした。
「ちっとは感心したんだが、5億もこの程度か……?」
「万策尽きたねェ~」
青キジは再びアイスサーベルで栞を薙ぎ払う。同時に黄猿はジンに人差し指を向けた。
ジンは口角があがる。そしてパンッと両手を合わせた。
『"不器用な男(ハンプティ・ダンプティ)"』
「「!!」」
青キジと黄猿の身体から突然紙が生える。そしてその紙は2人の身体に巻きついた。
「ああ?なんだコリャ…!!」
「うっとおしいねェ……」
『僕の紙はただの紙ではない。先程そう申しました』
「「……」」
『そう。紙屑になろうとも、紙は紙。人知れず纏わせることも可能です』
「……けど、この程度でわっしらを止められると思ってるのかい?」
「……」
青キジ眉をひそめる。ジンに妙な余裕があるように見えるのだ。ジンは人差し指を口元に当てる。
『"ミスディレクション"――マジックを行う上で、観客の目を他に向けさせる。マジシャンのテクニックのひとつです』
「?」
「何が言いたいんだ?」
『要するに、貴方達の視線を僕(マジシャン)から一瞬でも反らせた時点で、僕の勝ちなのです』
そう言った途端、ジンは色素が抜け白くなる。そしてバサッとただの紙の塊になった。
同時に青キジと黄猿に巻きついていた紙もパサッと落ちる。
地面に落ちた紙は風に吹かれ、舞い上がると、粉々になって空に消えた。
「「……」」
青キジと黄猿は呆然と空を見上げる。
「コリャ……してやられたねェ~」
「奴の能力の持続範囲はわからねェが、あの調子じゃあ、もう島は出てるだろうな」
「そうだねェ~怒られるねェ~センゴクさんに」
「まぁ、しゃあねェわ。おれ達は見事にマジシャンにしてやられた訳だからな」
青キジは空を見上げながら黄猿にわからない程度にクスッと微笑んだ。
fin
************
大将にミスリードさせることで、見事脱出!……こんな感じでよかったのでしょうか(ドキドキ)