共闘
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
カランコロン…っとドアに吊るされた小さな鐘が揺れ、来客を告げる。
音を聞いた店員が機械的にいらっしゃいませっと声を上げた。
『おや…。ここも満席ですか』
店内に入ったジンはシルクハットを少し上げ、辺りを見渡す。
そんなに広くはない店内だが、人は多く、席は空いていないように見えた。
駆け寄って来た店員にジンは尋ねると店員はあたりを見渡して頷いた。
「申し訳ございません、お客様」
『いえ…お気遣いなく。しかし…この町は大きさの割に人が多いようですね』
「え…ええ。実は今日は年に一度あるかないかの祭りでして」
『それはそれは。しかし困りました。コーヒーを飲みに来ただけなのですが……』
「おい、兄ちゃん。相席で良かったらここに座っていいよい」
『!』
一瞬静まる店内。そんな店内の中央のテーブルで新聞片手にジンに手を振る男がいた。
見覚えのある顔にジンはいつもの癖で転写した手配書を検索する。そして検索がヒットした瞬間目を見開いた。
『……なるほど』
「?……お客様?」
『ウェイターさん、コーヒーを頂けますか?』
「え、あ…はい。わかりました」
店員はジンを怪訝に思いながら、厨房へ入って行く。店内が先程までのざわざわした空間になるのを感じながら、ジンは相席を申し出た男の下へ行った。
『お言葉に甘えさせて頂きます』
「おう。構わねェよい」
ジンは礼を言うと席に座る。男もコーヒーを注文していた様だが、飲む前に冷めてしまったようだ。
まもなくジンが頼んだコーヒーが運ばれてくる。男のカップを見た店員が、入れ直しましょうか?と男に尋ねたが、男は手をヒラヒラと振り断った。
店員は渋々下がって行く。男はそれを見届けてから新聞に目を戻すとジンに言った。
「アンタ、違うみたいだから言っておくが…」
『?』
「あんまり長居しねェ方がいいよい」
ジンはその言葉に笑顔で返す。
『“白ひげ”の一番隊隊長さんに心配して頂けるとは嬉しいですね』
「……」
男いや“白ひげ”一番隊隊長“不死鳥”のマルコは新聞を畳み、ジンを見た。
「どっかで見たことがあるとは思ってたが……“同業者”かよい」
『“同業者”と言うと語弊があるかもしれませんが…そんな感じです』
「?」
マルコが首を傾げるのを見てクスクスと笑うジン。マルコがそれに対し怪訝な顔をする。
ジンは失礼しましたとマルコに笑顔を向けた。
『僕はクロスロード・ジンと申します。通り名は“渡り鳥”』
「……なるほど。意味がわかったよい。で、アンタはこの状況わかってんのかよい?」
『ええ。お祭りらしいですね』
「祭りねェ…面倒なだけだよい。ここにいたらアンタまで巻き込まれるよい」
『承知の上です。それにどうやら僕もお祭りの参加者になったようです』
「……」
マルコはテーブルに肘をついた。そして目の片隅で奥の厨房から出てくる店員を捉えた後、ほほ笑む。
「…じゃあ、ここは任せてるよい」
『おや、良いのですか…??』
「今時のルーキーの実力ってのを見てみたいんだよい」
『!…お目に叶うと良いのですが』
ジンはニコッと笑う。そこへ店員が現れた。
「お客様、コーヒーのおかわりは……」
『いえ、結構ですよ』
「え…」
店員の言葉を切ったジンはニコニコと笑顔を向け、立ち上がる。
右目が隠れたジンの笑顔に店員は一瞬動揺を見せたが、ジンは気にせずに話しかけた。
『いくら僕 でも……さすがに“毒入り”コーヒーは飲めませんので』
「!知ってたのか…!!」
店員の声が上がった瞬間、ガタンッと店中の人間が立ち上がる。
『おやおや。お見事なほど賞金稼ぎさんばかりですね。狙いはこちらの“不死鳥のマルコ”さんですか?』
尋ねるジンに手に武器を持った賞金稼ぎ達を従え、店員が笑った。
「ああ、そうだ。だが、てめェも獲物だ!!“渡り鳥”!!」
ズバッ!!
ジンの頭が飛ぶ。どうやら隣のテーブルの賞金稼ぎが首をはね飛ばしたようだ。
「おれが仕留めた!!へへ、5億のルーキーも案外チョロイじゃねェか」
「海軍はケタ間違ったんじゃねぇのか?」
「なんにせよ、儲けだ!」
ゲラゲラと下品な笑いが店内を包む。マルコは何にも考えていない様な顔でその光景を見ていた。
「……」
「“不死鳥のマルコ”!なにを暢気に寛いでいてやがる!!次はてめェの…」
「“次があるなら”相手してやるよい」
「!!」
マルコは口上を切る賞金首に言葉を返す。
「なに言って…」
『短気は損気ですよ、皆さん』
「「「!!!」」」
いつの間にかマルコの後ろに立っているジンは肩を諌めた。皆ジンの登場に驚く。
「な、なんで!?さっき確かに首が…」
賞金稼ぎはジンの首をはねた体を見た。するとその体からみるみる色素が無くなり、ただの白い紙の塊と化す。
そしてバサッと崩れると霧散した。
『これくらいのことは造作もありません』
ジンは賞金稼ぎ達に向けてシルクハットを上げ、軽く会釈する。
『本当は派手に行きたいところですが、外にもお客様が大勢いらっしゃるようなので、ここは簡単に済ませますね』
「「「???」」」
ジンはそういうと右手を顔の横に上げる。賞金稼ぎ達は武器を構えた。ジンはそれを見てニコッと笑った。
『“固執する草 ”』
*
カランコロンっとドアを開け、店を出るジンとマルコ。
店内はミイラのように紙が全身にぐるぐる巻かれた賞金稼ぎ達がゴロゴロと転がっていた。
ドアを閉めたジンにマルコが言う。
「海賊のくせに命は取らねェのかよい?」
『僕は“海賊みたいな者”です。海賊ではありません』
ジンはマルコの問いにニコニコと笑顔を見せた。マルコはため息をつく。
「……変わった奴だよい」
『ありがとうございます』
「?誉めてねェよい」
『マジシャンにとっては誉め言葉ですよ』
「そうかよい」
マルコはそういいながら辺りを見渡す。そしてジンに尋ねた。
「……で、“渡り鳥”お前、酒は飲めるかよい?」
『え?あ…はい』
「この後の予定は?」
『特にありませんが…』
店を取り囲むように武器を構えた賞金稼ぎ達を前にマルコはニィっと笑う。
「じゃあ、さっさと終わらせて一杯やるよい。さっきから喉が渇いて仕方ねェ」
『!…ええ。喜んで』
飲めなかったコーヒーを思い出したジンはマルコの言葉に頷いた。
【共闘】
その後、別の島の居酒屋。
「さっきの言葉撤回したいよい」
マルコは道中で“おごってやるよい”っと言った言葉を思い出しながら、並ぶ酒瓶を見て呟いた。
『すいません。喉が渇いてたもので…』
「いや、いいよい。それにしてもこれだけ飲んでもジンは酔わねェのかよい」
マルコの問いにジンはワインを飲んでから、頷いた。
『ええ。シャンクスさん曰く、僕は“ザル”だそうですから』
「“赤髪”?……ってかそう言うのは先に言えよい」
fin
あとがき⇒
音を聞いた店員が機械的にいらっしゃいませっと声を上げた。
『おや…。ここも満席ですか』
店内に入ったジンはシルクハットを少し上げ、辺りを見渡す。
そんなに広くはない店内だが、人は多く、席は空いていないように見えた。
駆け寄って来た店員にジンは尋ねると店員はあたりを見渡して頷いた。
「申し訳ございません、お客様」
『いえ…お気遣いなく。しかし…この町は大きさの割に人が多いようですね』
「え…ええ。実は今日は年に一度あるかないかの祭りでして」
『それはそれは。しかし困りました。コーヒーを飲みに来ただけなのですが……』
「おい、兄ちゃん。相席で良かったらここに座っていいよい」
『!』
一瞬静まる店内。そんな店内の中央のテーブルで新聞片手にジンに手を振る男がいた。
見覚えのある顔にジンはいつもの癖で転写した手配書を検索する。そして検索がヒットした瞬間目を見開いた。
『……なるほど』
「?……お客様?」
『ウェイターさん、コーヒーを頂けますか?』
「え、あ…はい。わかりました」
店員はジンを怪訝に思いながら、厨房へ入って行く。店内が先程までのざわざわした空間になるのを感じながら、ジンは相席を申し出た男の下へ行った。
『お言葉に甘えさせて頂きます』
「おう。構わねェよい」
ジンは礼を言うと席に座る。男もコーヒーを注文していた様だが、飲む前に冷めてしまったようだ。
まもなくジンが頼んだコーヒーが運ばれてくる。男のカップを見た店員が、入れ直しましょうか?と男に尋ねたが、男は手をヒラヒラと振り断った。
店員は渋々下がって行く。男はそれを見届けてから新聞に目を戻すとジンに言った。
「アンタ、違うみたいだから言っておくが…」
『?』
「あんまり長居しねェ方がいいよい」
ジンはその言葉に笑顔で返す。
『“白ひげ”の一番隊隊長さんに心配して頂けるとは嬉しいですね』
「……」
男いや“白ひげ”一番隊隊長“不死鳥”のマルコは新聞を畳み、ジンを見た。
「どっかで見たことがあるとは思ってたが……“同業者”かよい」
『“同業者”と言うと語弊があるかもしれませんが…そんな感じです』
「?」
マルコが首を傾げるのを見てクスクスと笑うジン。マルコがそれに対し怪訝な顔をする。
ジンは失礼しましたとマルコに笑顔を向けた。
『僕はクロスロード・ジンと申します。通り名は“渡り鳥”』
「……なるほど。意味がわかったよい。で、アンタはこの状況わかってんのかよい?」
『ええ。お祭りらしいですね』
「祭りねェ…面倒なだけだよい。ここにいたらアンタまで巻き込まれるよい」
『承知の上です。それにどうやら僕もお祭りの参加者になったようです』
「……」
マルコはテーブルに肘をついた。そして目の片隅で奥の厨房から出てくる店員を捉えた後、ほほ笑む。
「…じゃあ、ここは任せてるよい」
『おや、良いのですか…??』
「今時のルーキーの実力ってのを見てみたいんだよい」
『!…お目に叶うと良いのですが』
ジンはニコッと笑う。そこへ店員が現れた。
「お客様、コーヒーのおかわりは……」
『いえ、結構ですよ』
「え…」
店員の言葉を切ったジンはニコニコと笑顔を向け、立ち上がる。
右目が隠れたジンの笑顔に店員は一瞬動揺を見せたが、ジンは気にせずに話しかけた。
『いくら
「!知ってたのか…!!」
店員の声が上がった瞬間、ガタンッと店中の人間が立ち上がる。
『おやおや。お見事なほど賞金稼ぎさんばかりですね。狙いはこちらの“不死鳥のマルコ”さんですか?』
尋ねるジンに手に武器を持った賞金稼ぎ達を従え、店員が笑った。
「ああ、そうだ。だが、てめェも獲物だ!!“渡り鳥”!!」
ズバッ!!
ジンの頭が飛ぶ。どうやら隣のテーブルの賞金稼ぎが首をはね飛ばしたようだ。
「おれが仕留めた!!へへ、5億のルーキーも案外チョロイじゃねェか」
「海軍はケタ間違ったんじゃねぇのか?」
「なんにせよ、儲けだ!」
ゲラゲラと下品な笑いが店内を包む。マルコは何にも考えていない様な顔でその光景を見ていた。
「……」
「“不死鳥のマルコ”!なにを暢気に寛いでいてやがる!!次はてめェの…」
「“次があるなら”相手してやるよい」
「!!」
マルコは口上を切る賞金首に言葉を返す。
「なに言って…」
『短気は損気ですよ、皆さん』
「「「!!!」」」
いつの間にかマルコの後ろに立っているジンは肩を諌めた。皆ジンの登場に驚く。
「な、なんで!?さっき確かに首が…」
賞金稼ぎはジンの首をはねた体を見た。するとその体からみるみる色素が無くなり、ただの白い紙の塊と化す。
そしてバサッと崩れると霧散した。
『これくらいのことは造作もありません』
ジンは賞金稼ぎ達に向けてシルクハットを上げ、軽く会釈する。
『本当は派手に行きたいところですが、外にもお客様が大勢いらっしゃるようなので、ここは簡単に済ませますね』
「「「???」」」
ジンはそういうと右手を顔の横に上げる。賞金稼ぎ達は武器を構えた。ジンはそれを見てニコッと笑った。
『“
*
カランコロンっとドアを開け、店を出るジンとマルコ。
店内はミイラのように紙が全身にぐるぐる巻かれた賞金稼ぎ達がゴロゴロと転がっていた。
ドアを閉めたジンにマルコが言う。
「海賊のくせに命は取らねェのかよい?」
『僕は“海賊みたいな者”です。海賊ではありません』
ジンはマルコの問いにニコニコと笑顔を見せた。マルコはため息をつく。
「……変わった奴だよい」
『ありがとうございます』
「?誉めてねェよい」
『マジシャンにとっては誉め言葉ですよ』
「そうかよい」
マルコはそういいながら辺りを見渡す。そしてジンに尋ねた。
「……で、“渡り鳥”お前、酒は飲めるかよい?」
『え?あ…はい』
「この後の予定は?」
『特にありませんが…』
店を取り囲むように武器を構えた賞金稼ぎ達を前にマルコはニィっと笑う。
「じゃあ、さっさと終わらせて一杯やるよい。さっきから喉が渇いて仕方ねェ」
『!…ええ。喜んで』
飲めなかったコーヒーを思い出したジンはマルコの言葉に頷いた。
【共闘】
その後、別の島の居酒屋。
「さっきの言葉撤回したいよい」
マルコは道中で“おごってやるよい”っと言った言葉を思い出しながら、並ぶ酒瓶を見て呟いた。
『すいません。喉が渇いてたもので…』
「いや、いいよい。それにしてもこれだけ飲んでもジンは酔わねェのかよい」
マルコの問いにジンはワインを飲んでから、頷いた。
『ええ。シャンクスさん曰く、僕は“ザル”だそうですから』
「“赤髪”?……ってかそう言うのは先に言えよい」
fin
あとがき⇒