友
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「なぁ、ジン。おれと来いよ!!」
『……エースさん』
【 友 】
「おーいジン!!どこだァ…?」
『………』
「どこだァーーーー!!?」
エースが街中で叫ぶ。ジンは路地に隠れてため息をついた。
『あんなに大きな声で呼ばれるとは……逃げたのは間違いだったのでしょうか』
ジンはエースのしつこい勧誘から逃げている最中。しかしエースの予想外の行動に街中を自由に歩けなくなっていた。
『まさか道を歩くのが恥ずかしい事態になるとは……』
ジンはシルクハットをなおし、手からこの島の地図を出す。
裏通りに抜けられる道を見つけたジンはそちらから港に向かうことにした。
*
『ここまで来れば、いいですかね』
ジンは裏通りを歩く。しかしそこは決していい場所ではなく。レベルの低そうな海賊がゲラゲラと笑っていた。
「なんだ、こんな裏通りに綺麗なねェちゃんがいるじゃねェか」
「本当だ!なぁ、遊ぼうぜ」
その海賊達がジンを見つけ、行く手に塞ぐように立ちはだかった。
『……』
「なんだ、喋れねェの??」
「恐がらなくてもいいよ~。お兄さん達は安心だから」
「その眼帯邪魔だな。綺麗な顔が見れないじゃねェか」
海賊の一人が眼帯に手を伸ばす。ジンは伸ばされた手を払った。
『触らないでください』
「おっ、喋れんじゃん!!」
「なになに眼帯触られるの嫌なの?」
「いいじゃん見せてくれよっ!!」
『!』
海賊がナイフを抜いたのが見えたジンは咄嗟に後ろへ下がる。しかしピチッと眼帯のひもが切れ、ハラリと地面に落ちた。
「やっぱない方がきれい…」
「あ、赤い目だ!!」
『……』
ジンは海賊達の目の色が変わるのを感じた。海賊の一人がケタケタと笑う。
「そうかそうか。赤い目たがら隠してたんだな」
「なんの話だ」
「あぁ?お前知らねェの?赤い目は災いを招くって言われてんだぜ」
「災い!!?」
「そうだ、赤は血の色。呪われた色だ」
「だから赤目を見たら殺せって有名……」
『―――言いたいことはそれだけですか』
「「「!!!」」」
ジンは海賊達の言葉を切り、睨んだ。その瞳は凍てつくように冷たい。
「なんだ急に…」
『“最後の言葉”はそれだけかと聞いているんです』
「ああん?」
「心配すんなってネェちゃんを殺すなら、楽しんだあと……」
ズバッ!!
「「え!?」」
ジンに近づいた海賊の一人が急に倒れる。その体には大きな斬り傷があり、ドクドクと血が流れていた。
「な…!!?」
『……』
死体になった仲間からジンに左手に目を凝視する。
ジンの左手には柄から刃まで全て白い小降りな鎌が握られていた。そして今、白い刃の端が赤く色づている。
「てめェ何したか分かってのかァ!!!」
『……僕を侮辱するのは構いません』
ズバッ!!
「……ぐう」
「!!」
『しかし……』
ズバッ!!
「……がはっ」
「ひぃ……!?」
一人また一人、ジンの鎌の餌食になる。相手を生かす気が微塵もない太刀筋。
『この瞳 を侮辱するのは“許さない”』
ズバッ!!
4人目斬る。とうとう海賊は残り一人になった。ジンはその男に向けて一歩を踏み出す。
「ま、待ってくれ……悪かった!!あ、謝るから」
『“黙りなさい”』
「!!……」
海賊は突然喋れなくなった。
『赤い目を持った者が、どれだけ苦しんでいたか…貴方は知っているのですか』
「……っ!!」
驚愕の目でジン見る海賊はとうとう腰を抜かした。必死に後退りしようとするガタガタと震えるばかり。
ジンはその海賊に一歩ずつ歩み寄る。
『知らないでしょうね。知っていなければ、あんなこと言えない……』
「っ!!っ!!」
ジンは鎌を振り上げる。
「っ!!!」
『どう弁解しても、もう“聞こえません”。それに貴方はここで終わりなんです』
「!!!!」
『“サヨナラ”……』
ジンは鎌を振りおろした。
「!!」
ガシッ
『!』
鎌が海賊を斬りつける直前に止まる。ジンの左腕が力強く掴まれたからだ。
ジンは腕からゆっくりとその人物に目を向ける。
ジンの目の前にいるエースはいつもの明るい表情はなく、真剣な表情でジンを見ていた。
「ジン、もう止めろ。十分だ」
『……エースさん』
「こいつら殺したって何にもならねェよ」
『……』
「武器をしまえ、ジン」
『……』
「っ!!」
ジンは刃の先にいる海賊を見下ろす。腕を数ミリ下ろせば、切り刻める命がそこにあった。
『……』
「ジン…」
ジンは目を瞑る。
『……“リセット”』
ジンの白い鎌が言葉と共にフワッと細かな紙になり、消えた。
エースはジンの腕を取ったまま、海賊を睨む。
「おい。お前、気が変わんねェうちに消えろ。次は“白ひげ”を敵に回すぜ…!!」
「!!!」
海賊は“白ひげ”と言う言葉に更に肝を冷やした。抜けた腰を無理矢理上げ、ふらつきながら逃げて行く。
『……』
ジンは逃げる海賊を呆然と見送った。
「あ~あ、眼帯千切れてるじゃねェか」
ジンの腕を離したエースは地面に落ちた眼帯を拾い上げ、埃を払う。
「これ、なおせるのか?」
『ええ……大丈夫です』
ジンはエースから眼帯を受けとる。
『“原点の紙 ”』
ジンは手から紙を精製すると眼帯を補修する。みるみるうちに眼帯はなおった。
「おー!スゲー!!」
エースの歓喜の声にジンはクスッと笑い、眼帯を右目につけた。
「眼帯つけるといつものジンだな!」
『……はい、エースさん。ご迷惑をおかけしました』
「迷惑じゃねェよ。でもお前も怒ることあんだな」
『それは…』
ジンは目を背ける。そこにエースの言葉が飛び込んで来た。
「安心した。お前はやっぱいい奴だな!!」
『え…?』
エースはニコッと笑う。ジンは首を傾げた。
「いっつも笑ってる奴が怒ると恐ェってマルコが言ってけど、本当だった。
でも…誰かのためにそこまで熱くなれる奴。おれは好きだぜ!」
『そう、ですか…?』
ジンはエースとの会話をしている内に気持ちが穏やかになった気がした。
「ああ。なぁ、ジン。船に来いよ!」
『……。すいませんそれは…』
「今日はもう仲間になれって言わねェよ。友達として酒を飲むだけだ!!」
『友達……』
「ああ。だったらいいだろ?久々に会ったんだ。飲もうぜ!」
『凄い人だ……』
「ん?」
あの光景を見ても尚、エースは自分を友と言う。その優しさに縋ってはいけないことは知っていたが、ジンは素直に嬉しく感じていた。
「…どうしたんだ?ジン?」
心配するエースに、大切な友に、ジンはふんわりとした笑顔を見せた。
『はい。飲みましょう!お付き合いします』
「おう!」
fin
『……エースさん』
【 友 】
「おーいジン!!どこだァ…?」
『………』
「どこだァーーーー!!?」
エースが街中で叫ぶ。ジンは路地に隠れてため息をついた。
『あんなに大きな声で呼ばれるとは……逃げたのは間違いだったのでしょうか』
ジンはエースのしつこい勧誘から逃げている最中。しかしエースの予想外の行動に街中を自由に歩けなくなっていた。
『まさか道を歩くのが恥ずかしい事態になるとは……』
ジンはシルクハットをなおし、手からこの島の地図を出す。
裏通りに抜けられる道を見つけたジンはそちらから港に向かうことにした。
*
『ここまで来れば、いいですかね』
ジンは裏通りを歩く。しかしそこは決していい場所ではなく。レベルの低そうな海賊がゲラゲラと笑っていた。
「なんだ、こんな裏通りに綺麗なねェちゃんがいるじゃねェか」
「本当だ!なぁ、遊ぼうぜ」
その海賊達がジンを見つけ、行く手に塞ぐように立ちはだかった。
『……』
「なんだ、喋れねェの??」
「恐がらなくてもいいよ~。お兄さん達は安心だから」
「その眼帯邪魔だな。綺麗な顔が見れないじゃねェか」
海賊の一人が眼帯に手を伸ばす。ジンは伸ばされた手を払った。
『触らないでください』
「おっ、喋れんじゃん!!」
「なになに眼帯触られるの嫌なの?」
「いいじゃん見せてくれよっ!!」
『!』
海賊がナイフを抜いたのが見えたジンは咄嗟に後ろへ下がる。しかしピチッと眼帯のひもが切れ、ハラリと地面に落ちた。
「やっぱない方がきれい…」
「あ、赤い目だ!!」
『……』
ジンは海賊達の目の色が変わるのを感じた。海賊の一人がケタケタと笑う。
「そうかそうか。赤い目たがら隠してたんだな」
「なんの話だ」
「あぁ?お前知らねェの?赤い目は災いを招くって言われてんだぜ」
「災い!!?」
「そうだ、赤は血の色。呪われた色だ」
「だから赤目を見たら殺せって有名……」
『―――言いたいことはそれだけですか』
「「「!!!」」」
ジンは海賊達の言葉を切り、睨んだ。その瞳は凍てつくように冷たい。
「なんだ急に…」
『“最後の言葉”はそれだけかと聞いているんです』
「ああん?」
「心配すんなってネェちゃんを殺すなら、楽しんだあと……」
ズバッ!!
「「え!?」」
ジンに近づいた海賊の一人が急に倒れる。その体には大きな斬り傷があり、ドクドクと血が流れていた。
「な…!!?」
『……』
死体になった仲間からジンに左手に目を凝視する。
ジンの左手には柄から刃まで全て白い小降りな鎌が握られていた。そして今、白い刃の端が赤く色づている。
「てめェ何したか分かってのかァ!!!」
『……僕を侮辱するのは構いません』
ズバッ!!
「……ぐう」
「!!」
『しかし……』
ズバッ!!
「……がはっ」
「ひぃ……!?」
一人また一人、ジンの鎌の餌食になる。相手を生かす気が微塵もない太刀筋。
『この
ズバッ!!
4人目斬る。とうとう海賊は残り一人になった。ジンはその男に向けて一歩を踏み出す。
「ま、待ってくれ……悪かった!!あ、謝るから」
『“黙りなさい”』
「!!……」
海賊は突然喋れなくなった。
『赤い目を持った者が、どれだけ苦しんでいたか…貴方は知っているのですか』
「……っ!!」
驚愕の目でジン見る海賊はとうとう腰を抜かした。必死に後退りしようとするガタガタと震えるばかり。
ジンはその海賊に一歩ずつ歩み寄る。
『知らないでしょうね。知っていなければ、あんなこと言えない……』
「っ!!っ!!」
ジンは鎌を振り上げる。
「っ!!!」
『どう弁解しても、もう“聞こえません”。それに貴方はここで終わりなんです』
「!!!!」
『“サヨナラ”……』
ジンは鎌を振りおろした。
「!!」
ガシッ
『!』
鎌が海賊を斬りつける直前に止まる。ジンの左腕が力強く掴まれたからだ。
ジンは腕からゆっくりとその人物に目を向ける。
ジンの目の前にいるエースはいつもの明るい表情はなく、真剣な表情でジンを見ていた。
「ジン、もう止めろ。十分だ」
『……エースさん』
「こいつら殺したって何にもならねェよ」
『……』
「武器をしまえ、ジン」
『……』
「っ!!」
ジンは刃の先にいる海賊を見下ろす。腕を数ミリ下ろせば、切り刻める命がそこにあった。
『……』
「ジン…」
ジンは目を瞑る。
『……“リセット”』
ジンの白い鎌が言葉と共にフワッと細かな紙になり、消えた。
エースはジンの腕を取ったまま、海賊を睨む。
「おい。お前、気が変わんねェうちに消えろ。次は“白ひげ”を敵に回すぜ…!!」
「!!!」
海賊は“白ひげ”と言う言葉に更に肝を冷やした。抜けた腰を無理矢理上げ、ふらつきながら逃げて行く。
『……』
ジンは逃げる海賊を呆然と見送った。
「あ~あ、眼帯千切れてるじゃねェか」
ジンの腕を離したエースは地面に落ちた眼帯を拾い上げ、埃を払う。
「これ、なおせるのか?」
『ええ……大丈夫です』
ジンはエースから眼帯を受けとる。
『“
ジンは手から紙を精製すると眼帯を補修する。みるみるうちに眼帯はなおった。
「おー!スゲー!!」
エースの歓喜の声にジンはクスッと笑い、眼帯を右目につけた。
「眼帯つけるといつものジンだな!」
『……はい、エースさん。ご迷惑をおかけしました』
「迷惑じゃねェよ。でもお前も怒ることあんだな」
『それは…』
ジンは目を背ける。そこにエースの言葉が飛び込んで来た。
「安心した。お前はやっぱいい奴だな!!」
『え…?』
エースはニコッと笑う。ジンは首を傾げた。
「いっつも笑ってる奴が怒ると恐ェってマルコが言ってけど、本当だった。
でも…誰かのためにそこまで熱くなれる奴。おれは好きだぜ!」
『そう、ですか…?』
ジンはエースとの会話をしている内に気持ちが穏やかになった気がした。
「ああ。なぁ、ジン。船に来いよ!」
『……。すいませんそれは…』
「今日はもう仲間になれって言わねェよ。友達として酒を飲むだけだ!!」
『友達……』
「ああ。だったらいいだろ?久々に会ったんだ。飲もうぜ!」
『凄い人だ……』
「ん?」
あの光景を見ても尚、エースは自分を友と言う。その優しさに縋ってはいけないことは知っていたが、ジンは素直に嬉しく感じていた。
「…どうしたんだ?ジン?」
心配するエースに、大切な友に、ジンはふんわりとした笑顔を見せた。
『はい。飲みましょう!お付き合いします』
「おう!」
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