そろそろ一歩前進しよ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……?」
スモーカーは壁一枚隔てた会場が静かになったことに気付いた。
「あんだ?」
スモーカーは立ち上がり、バルコニーから会場に戻ろうと、足を一歩踏み出す。
♪♪♪~~~♪♪~~♪~~♪
「(バイオリン…?)」
スモーカーは煙を吐いた。音楽に詳しくはないスモーカーであってもこの弾き手がすごいことだけはわかる。
「すごい、綺麗…」
スモーカーが会場に入るとたしぎのうっとりとした言葉が聞こえた。
葉巻を吹かしながら、スモーカーは皆の視線が注がれる人物に目を向ける。その瞬間、葉巻が口からポロッと落ちた。
「なっ…!!?」
スモーカーは驚きの声を上げる。一瞬、近くの海兵がこっちを見たがスモーカーが睨んだのですぐにそっぽを向いた。
~♪♪♪~~~♪♪♪♪~♪~
スモーカーは海兵達からバイオリンを弾くアルトに再び目を向ける。アルトは演奏に集中しているためスモーカーには気づいていない様だ。
「………」
弦を動かすたび、揺れる黒髪。閉じられた瞳。そして奏でる音、その全てが自分の知っている“アルト”ではなかった。
スモーカーの目にはいつもよりも大人っぽいアルトが映っていた。
*
演奏終了後。また会場はまたわいわいと和み、2次会に突入していた。
「………ふぅー」
スモーカーはベランダの柵に寄りかかり、夜のマリンフォードを見下ろしていた。
『あ、スモーカークン!ここにいたんだ』
「!?」
スモーカーは驚き、後ろを振り返った。
「っ……なんだそれは…」
スモーカーはアルトの手に持っているものを見て顔をしかめた。
アルトは嬉々とした声を出す。
『ん?ケーキだよ!ヒナクンが用意してくれてたんだ』
「(見てるだけで、胸焼けしそうだな…)」
ホールケーキを食べながら話すアルトを見てスモーカーはため息混じりに煙を吐いた。
アルトはそんな気も知らずにスモーカーの隣に、柵へ背を向ける形でもたれる。
『ヒナクンからキミがいるって聞いてね』
「そうかよ」
『予想外だな。キミ、こういうの好きそうには見えないけど』
「……同期のよしみだ。好きで来た訳じゃねェ。そう言うアンタも好きそうに見えねェが」
『そう?まぁ、あんまり好きじゃないか~でもケーキ食べ放題なら構わないよ』
「……」
スモーカーは煙を吹かす。アルトはホールケーキを摘まんだ。
しーんっと沈黙が走る。しばらく続いたその沈黙が気まずくなったスモーカーがアルトを片隅に捉えながら言った。
「アンタにあんな特技があったとはな」
『ん?何の話?』
「バイオリンの話だ」
『ああ…。これね』
アルトはバイオリン足元においたバイオリンケースに目をやる。
「習ってたのか?」
『どうなんだろ?』
「あ?」
疑問を疑問で返され、スモーカーは怪訝な顔をする。
アルトは4分の1まで減ったホールケーキをまた一口、口にいれると話した。
『ん~っとね。どうなのか分からないんだ。僕、ここに来るまでの記憶がないから』
「!!?」
スモーカーは初耳な話に目を見開く。アルトはフォークをプラプラと揺らしながら続けた。
『楽器が出来るってわかったのはここに来て半年くらいかな。クザンクンがピアノのがある部屋に連れて行ってくれたのが、始まり』
「…悪ィな、個人的な話させちまって」
『いや構わないよ。それにこれが唯一、僕が知ってる自分の過去だから。話せるのこれくらいしかないしね』
そう言うとまたホールケーキを食べる。
「あんまり気にしてねェんだな」
『ん~まぁ。気にして思い出せるものじゃないし。知らないからって今の生活に不自由はしてない』
「……ふぅー―」
スモーカーは不服そうに煙を吹かした。
「(他の奴よりコイツのことを知ってるつもりでいたが)……自惚れてたか」
『……』
スモーカーが呟いた言葉にアルトはペロリと食べたホールケーキの皿を地面に置く。
そしてバイオリンケースを開け、バイオリンを出した。
~~~♪♪~~♪♪~♪~~
「!!?」
急に隣で演奏し出したアルトにスモーカー驚きの目を向ける。
~~♪♪♪~♪~~♪♪♪♪~~~♪♪~
「(なんで知ってんだ…)」
スモーカーは葉巻をグッと噛んだ。アルトが演奏している曲はスモーカーが好きな曲だった。
~♪♪~~♪.
アルトは第一章を弾き終わると、すっと目を開けた。
『この曲、スモーカークンが好きな曲なんだよね。ヒナクンから聞いたんだ』
「………」
アルトはバイオリンを片手にスモーカーを見た。その表情はとても自然な笑顔。
『自惚れてもいいと思うよ。僕もキミのことスキだし』
「っ!!」
【そろそろ一歩前進しよう】
「ヒナさ~ん。スモーカーさん知りませんか?」
「知ってるけど…。今行ったら確実に怒られるから、やめときなさい」
「えっ?なんでですか??」
「フフ…ヒミツ」
「?」
「(後でスモーカーくんから話聞かなきゃね。ヒナ期待)」
バルコニーからボフンっと煙が上がるのを見ていたヒナは静かに笑った。
fin
スモーカーは壁一枚隔てた会場が静かになったことに気付いた。
「あんだ?」
スモーカーは立ち上がり、バルコニーから会場に戻ろうと、足を一歩踏み出す。
♪♪♪~~~♪♪~~♪~~♪
「(バイオリン…?)」
スモーカーは煙を吐いた。音楽に詳しくはないスモーカーであってもこの弾き手がすごいことだけはわかる。
「すごい、綺麗…」
スモーカーが会場に入るとたしぎのうっとりとした言葉が聞こえた。
葉巻を吹かしながら、スモーカーは皆の視線が注がれる人物に目を向ける。その瞬間、葉巻が口からポロッと落ちた。
「なっ…!!?」
スモーカーは驚きの声を上げる。一瞬、近くの海兵がこっちを見たがスモーカーが睨んだのですぐにそっぽを向いた。
~♪♪♪~~~♪♪♪♪~♪~
スモーカーは海兵達からバイオリンを弾くアルトに再び目を向ける。アルトは演奏に集中しているためスモーカーには気づいていない様だ。
「………」
弦を動かすたび、揺れる黒髪。閉じられた瞳。そして奏でる音、その全てが自分の知っている“アルト”ではなかった。
スモーカーの目にはいつもよりも大人っぽいアルトが映っていた。
*
演奏終了後。また会場はまたわいわいと和み、2次会に突入していた。
「………ふぅー」
スモーカーはベランダの柵に寄りかかり、夜のマリンフォードを見下ろしていた。
『あ、スモーカークン!ここにいたんだ』
「!?」
スモーカーは驚き、後ろを振り返った。
「っ……なんだそれは…」
スモーカーはアルトの手に持っているものを見て顔をしかめた。
アルトは嬉々とした声を出す。
『ん?ケーキだよ!ヒナクンが用意してくれてたんだ』
「(見てるだけで、胸焼けしそうだな…)」
ホールケーキを食べながら話すアルトを見てスモーカーはため息混じりに煙を吐いた。
アルトはそんな気も知らずにスモーカーの隣に、柵へ背を向ける形でもたれる。
『ヒナクンからキミがいるって聞いてね』
「そうかよ」
『予想外だな。キミ、こういうの好きそうには見えないけど』
「……同期のよしみだ。好きで来た訳じゃねェ。そう言うアンタも好きそうに見えねェが」
『そう?まぁ、あんまり好きじゃないか~でもケーキ食べ放題なら構わないよ』
「……」
スモーカーは煙を吹かす。アルトはホールケーキを摘まんだ。
しーんっと沈黙が走る。しばらく続いたその沈黙が気まずくなったスモーカーがアルトを片隅に捉えながら言った。
「アンタにあんな特技があったとはな」
『ん?何の話?』
「バイオリンの話だ」
『ああ…。これね』
アルトはバイオリン足元においたバイオリンケースに目をやる。
「習ってたのか?」
『どうなんだろ?』
「あ?」
疑問を疑問で返され、スモーカーは怪訝な顔をする。
アルトは4分の1まで減ったホールケーキをまた一口、口にいれると話した。
『ん~っとね。どうなのか分からないんだ。僕、ここに来るまでの記憶がないから』
「!!?」
スモーカーは初耳な話に目を見開く。アルトはフォークをプラプラと揺らしながら続けた。
『楽器が出来るってわかったのはここに来て半年くらいかな。クザンクンがピアノのがある部屋に連れて行ってくれたのが、始まり』
「…悪ィな、個人的な話させちまって」
『いや構わないよ。それにこれが唯一、僕が知ってる自分の過去だから。話せるのこれくらいしかないしね』
そう言うとまたホールケーキを食べる。
「あんまり気にしてねェんだな」
『ん~まぁ。気にして思い出せるものじゃないし。知らないからって今の生活に不自由はしてない』
「……ふぅー―」
スモーカーは不服そうに煙を吹かした。
「(他の奴よりコイツのことを知ってるつもりでいたが)……自惚れてたか」
『……』
スモーカーが呟いた言葉にアルトはペロリと食べたホールケーキの皿を地面に置く。
そしてバイオリンケースを開け、バイオリンを出した。
~~~♪♪~~♪♪~♪~~
「!!?」
急に隣で演奏し出したアルトにスモーカー驚きの目を向ける。
~~♪♪♪~♪~~♪♪♪♪~~~♪♪~
「(なんで知ってんだ…)」
スモーカーは葉巻をグッと噛んだ。アルトが演奏している曲はスモーカーが好きな曲だった。
~♪♪~~♪.
アルトは第一章を弾き終わると、すっと目を開けた。
『この曲、スモーカークンが好きな曲なんだよね。ヒナクンから聞いたんだ』
「………」
アルトはバイオリンを片手にスモーカーを見た。その表情はとても自然な笑顔。
『自惚れてもいいと思うよ。僕もキミのことスキだし』
「っ!!」
【そろそろ一歩前進しよう】
「ヒナさ~ん。スモーカーさん知りませんか?」
「知ってるけど…。今行ったら確実に怒られるから、やめときなさい」
「えっ?なんでですか??」
「フフ…ヒミツ」
「?」
「(後でスモーカーくんから話聞かなきゃね。ヒナ期待)」
バルコニーからボフンっと煙が上がるのを見ていたヒナは静かに笑った。
fin