渡り鳥、風邪を引く
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『……ん』
「おやおや、起きられましたか?」
『ブルックさん…』
目を開けた先にはそわそわしているブルックがいた。
「30分程前に、ゾロさんと代わりまして僭越ながら、お側に居させて頂きました!!」
『それはそれは…ありがとうございます』
「いえ!!そうだジンさん!!喉、渇いてませんか??サンジさんに何か頼んで参りますよ!」
『あ…では、お水をお願いします』
「わっかりました!!今すぐとって来ますよ~待っててください!!ヨホホホホ~!!」
バタンッと医務室から飛び出して行くブルック。
ガシャン、バリンッ
『?』
「アアアアアアァアァァァァ!!」
『!?』
食器の割れる音がしたかと思えば、ブルックの叫び声が聞こえた。
『……ブルックさん…?』
「おう、ジン起きたか」
医務室に入って来たのはブルックではなく、サンジだった。
『サンジさん…。あのブルックさんは…?』
「ああ?気にすんな。それよりほら水だ」
『ありがとうございます』
ジンはゆっくりと起き上がり、受け取る。
「どうだ、調子は?」
『ええ。薬が効いたようで、少し楽になりました』
「そりゃよかった。メシは食えそうか?消化にいいスープを作ったんだが」
『はい、頂きます』
じゃあ、持って来るっとサンジは医務室を出る。入れ替わりにフランキ-がやって来た。
「おう、ジン!起きてんじゃねェか」
『フランキーさん。わざわざすいません』
「いいってことよ。弟分が弱ってる時にアニキのおれ様が見舞いに来ねェ訳にはいかねェからな」
フランキーが両腕を合わせ、ポーズを決める。ジンはニコッと笑った。
「ところでジン。どうだ、おれ様の開発した水をつかわねェ前衛的なヒンヤリタオルの効力はよォ」
ジンは額にある、ヒンヤリタオルに手を置き、頷く。
『とても気持ちいいです。これのおかげでだいぶ楽になりました』
「そうかそうか!!おれはまたスーパーなモンを作っちまったみたいだな。他に欲しいモンはねェか?」
『ええ。今はこれだけで。本当にありがとうございます』
「お、ジン!!元気になったか??」
「バカ!!まだどう見ても顔が紅いじゃねェか!!」
開いていたドアから医務室に入って来たのはルフィと突っ込むウソップ。
ケガはすっかり良くなったようだ。
「ジン、本当に大丈夫かァ?」
『ええ、ウソップさん。良くなっていますのでお気になさらずに』
「ジンのために肉持ってきたんだ!食えよ!!元気になるぞ」
ルフィは持っていた肉を差し出す。とても珍しいことに3人は驚いたが、ルフィの口からは涎がダラダラと垂れているのを見てフランキーとウソップは呆れた視線を向けた。
『……えっと。せっかくのご厚意ですが、僕はサンジさんから頂けるスープだけでお腹がいっぱいになると思いますので、良かったらルフィさん、そのお肉食べてください』
「え!?いいのか??」
『ええ。どうぞ』
ジンはニコッと笑い、頷く。ルフィは肉にかぶりついた。
「お~いジン、スープ持って…」
「ぶぱっ…サ、サンビ!!」
肉を口いっぱいに頬張るルフィを見たサンジは、一瞬固まった。
しかし、トコトコとルフィ達を越え、ジンにスープを手渡す。
「ジン、おかわりいるようなら言え」
『は…はい』
ジンはスープを受け取った。サンジはジンに背を向けるとタバコに火をつける。フーっと煙を吐いた。
『……』
サンジの後ろ姿からは只ならぬ殺気が漂っていた。
「おい、ルフィ…てめェメシはさっき食ったよな」
「ぶべばぶげに(これがジンに…)…」
「ジンの分ならなんでてめェが食ってやがんだ」
『(ルフィさんの言葉)』
「(よくわかったな……)」
ジンとウソップそう思いながら、二人の動向を見守る。
ルフィは嘘がばれぬようサンジから目を反らすが、冷や汗をダラダラかいていた。
サンジの目が光る。
「お前ら、おろす!!」
「ちょっと待て、なんでおれまで…!!ギャー!!」
鬼と化したサンジが、ルフィだけでなくなぜかウソップも一緒に追いかけ始める。3人はバタバタと医務室から走り去って行った。
「『……』」
フランキーとジンはそれに触らず見送ることにした。
それから、ジンが食事をしているとチョッパーが現れる。それを機にフランキーは仕事に戻ると言って、出て行った。
食事が終わると、チョッパーから薬をもらい、飲む。
「寒気は引いたみたいだけど、まだまだ熱があるから気をつけるんだぞ」
『はい』
「チョッパー。代わるわよ」
ロビンが本を一冊持って医務室に入って来た。
チョッパーは新たな薬の調合をウソップ工場でしてるから何かあれば呼ぶようにとロビンに言伝、部屋を後にした。
「ジン、横になったら?辛いでしょ?」
『あ…はい。すいません』
ジンは横になる。ロビンはチョッパーの椅子に腰を下ろした。
『……本当に皆さん交代制なんですね。なんだか申し訳ないです』
「気にしないで。みんなしたくてしてるんだから」
『……』
「フフ…」
『?どうしましたか?』
ジンの顔を見たロビンがクスッと笑うのを見て、ジンは尋ねた。
「病気の時は心が弱くなるとは言うけど、本当ね」
『心が弱く…ですか』
「ええ」
『確かにそうかもしれませんね』
仰向けになり、天井を見上げるジン。
そして、ポツリと呟くように話す。
『たまにですが…“次に起きた時には誰もいないのではないか”と思ってしまう』
「……だから寝るのが恐い?」
『ええ…今は平気なんですよ。でも稀に…』
「……」
『はは、本当に弱くなるものですね。このようなお話をロビンにしてしまうとは…』
ジンは自嘲気味に笑い、忘れて下さいと言った。
「……。ジン、手を出して」
『手ですか?』
ジンは布団の中から右手を出す。ロビンはその手を優しく握った。
『!……ロビン…??』
「あなたが次に起きるまで、こうしておくわ。その方が安心できるでしょ?」
『…で…でも』
「フフ…安心して。私達はあなたの側からいなくならないから」
『……』
ジンは手からロビンの温もりを感じる。その温もりに笑みを静かにほほ笑んだ。
『…少しだけ、甘えさせて頂きます』
「ええ。いいわよ」
『ありがとう、ロビン』
「フフ…おやすみなさい、ジン」
『おやすみなさい』
ジンはゆっくりと目を瞑る。そして久々に深い眠りにつくことが出来た。
(なんか、入りづらいわね……!)
医務室の窓から少し中を覗くナミ。するとロビンが窓の方を向いた。
ナミの姿を見つけ、人差し指を口元にあてニコッと笑う。
(……)
ナミは仕方ないと頷き、医務室から甲板に向かう。そして他のクルーに当分医務室には行かない様に釘をさした。
fin
「おやおや、起きられましたか?」
『ブルックさん…』
目を開けた先にはそわそわしているブルックがいた。
「30分程前に、ゾロさんと代わりまして僭越ながら、お側に居させて頂きました!!」
『それはそれは…ありがとうございます』
「いえ!!そうだジンさん!!喉、渇いてませんか??サンジさんに何か頼んで参りますよ!」
『あ…では、お水をお願いします』
「わっかりました!!今すぐとって来ますよ~待っててください!!ヨホホホホ~!!」
バタンッと医務室から飛び出して行くブルック。
ガシャン、バリンッ
『?』
「アアアアアアァアァァァァ!!」
『!?』
食器の割れる音がしたかと思えば、ブルックの叫び声が聞こえた。
『……ブルックさん…?』
「おう、ジン起きたか」
医務室に入って来たのはブルックではなく、サンジだった。
『サンジさん…。あのブルックさんは…?』
「ああ?気にすんな。それよりほら水だ」
『ありがとうございます』
ジンはゆっくりと起き上がり、受け取る。
「どうだ、調子は?」
『ええ。薬が効いたようで、少し楽になりました』
「そりゃよかった。メシは食えそうか?消化にいいスープを作ったんだが」
『はい、頂きます』
じゃあ、持って来るっとサンジは医務室を出る。入れ替わりにフランキ-がやって来た。
「おう、ジン!起きてんじゃねェか」
『フランキーさん。わざわざすいません』
「いいってことよ。弟分が弱ってる時にアニキのおれ様が見舞いに来ねェ訳にはいかねェからな」
フランキーが両腕を合わせ、ポーズを決める。ジンはニコッと笑った。
「ところでジン。どうだ、おれ様の開発した水をつかわねェ前衛的なヒンヤリタオルの効力はよォ」
ジンは額にある、ヒンヤリタオルに手を置き、頷く。
『とても気持ちいいです。これのおかげでだいぶ楽になりました』
「そうかそうか!!おれはまたスーパーなモンを作っちまったみたいだな。他に欲しいモンはねェか?」
『ええ。今はこれだけで。本当にありがとうございます』
「お、ジン!!元気になったか??」
「バカ!!まだどう見ても顔が紅いじゃねェか!!」
開いていたドアから医務室に入って来たのはルフィと突っ込むウソップ。
ケガはすっかり良くなったようだ。
「ジン、本当に大丈夫かァ?」
『ええ、ウソップさん。良くなっていますのでお気になさらずに』
「ジンのために肉持ってきたんだ!食えよ!!元気になるぞ」
ルフィは持っていた肉を差し出す。とても珍しいことに3人は驚いたが、ルフィの口からは涎がダラダラと垂れているのを見てフランキーとウソップは呆れた視線を向けた。
『……えっと。せっかくのご厚意ですが、僕はサンジさんから頂けるスープだけでお腹がいっぱいになると思いますので、良かったらルフィさん、そのお肉食べてください』
「え!?いいのか??」
『ええ。どうぞ』
ジンはニコッと笑い、頷く。ルフィは肉にかぶりついた。
「お~いジン、スープ持って…」
「ぶぱっ…サ、サンビ!!」
肉を口いっぱいに頬張るルフィを見たサンジは、一瞬固まった。
しかし、トコトコとルフィ達を越え、ジンにスープを手渡す。
「ジン、おかわりいるようなら言え」
『は…はい』
ジンはスープを受け取った。サンジはジンに背を向けるとタバコに火をつける。フーっと煙を吐いた。
『……』
サンジの後ろ姿からは只ならぬ殺気が漂っていた。
「おい、ルフィ…てめェメシはさっき食ったよな」
「ぶべばぶげに(これがジンに…)…」
「ジンの分ならなんでてめェが食ってやがんだ」
『(ルフィさんの言葉)』
「(よくわかったな……)」
ジンとウソップそう思いながら、二人の動向を見守る。
ルフィは嘘がばれぬようサンジから目を反らすが、冷や汗をダラダラかいていた。
サンジの目が光る。
「お前ら、おろす!!」
「ちょっと待て、なんでおれまで…!!ギャー!!」
鬼と化したサンジが、ルフィだけでなくなぜかウソップも一緒に追いかけ始める。3人はバタバタと医務室から走り去って行った。
「『……』」
フランキーとジンはそれに触らず見送ることにした。
それから、ジンが食事をしているとチョッパーが現れる。それを機にフランキーは仕事に戻ると言って、出て行った。
食事が終わると、チョッパーから薬をもらい、飲む。
「寒気は引いたみたいだけど、まだまだ熱があるから気をつけるんだぞ」
『はい』
「チョッパー。代わるわよ」
ロビンが本を一冊持って医務室に入って来た。
チョッパーは新たな薬の調合をウソップ工場でしてるから何かあれば呼ぶようにとロビンに言伝、部屋を後にした。
「ジン、横になったら?辛いでしょ?」
『あ…はい。すいません』
ジンは横になる。ロビンはチョッパーの椅子に腰を下ろした。
『……本当に皆さん交代制なんですね。なんだか申し訳ないです』
「気にしないで。みんなしたくてしてるんだから」
『……』
「フフ…」
『?どうしましたか?』
ジンの顔を見たロビンがクスッと笑うのを見て、ジンは尋ねた。
「病気の時は心が弱くなるとは言うけど、本当ね」
『心が弱く…ですか』
「ええ」
『確かにそうかもしれませんね』
仰向けになり、天井を見上げるジン。
そして、ポツリと呟くように話す。
『たまにですが…“次に起きた時には誰もいないのではないか”と思ってしまう』
「……だから寝るのが恐い?」
『ええ…今は平気なんですよ。でも稀に…』
「……」
『はは、本当に弱くなるものですね。このようなお話をロビンにしてしまうとは…』
ジンは自嘲気味に笑い、忘れて下さいと言った。
「……。ジン、手を出して」
『手ですか?』
ジンは布団の中から右手を出す。ロビンはその手を優しく握った。
『!……ロビン…??』
「あなたが次に起きるまで、こうしておくわ。その方が安心できるでしょ?」
『…で…でも』
「フフ…安心して。私達はあなたの側からいなくならないから」
『……』
ジンは手からロビンの温もりを感じる。その温もりに笑みを静かにほほ笑んだ。
『…少しだけ、甘えさせて頂きます』
「ええ。いいわよ」
『ありがとう、ロビン』
「フフ…おやすみなさい、ジン」
『おやすみなさい』
ジンはゆっくりと目を瞑る。そして久々に深い眠りにつくことが出来た。
(なんか、入りづらいわね……!)
医務室の窓から少し中を覗くナミ。するとロビンが窓の方を向いた。
ナミの姿を見つけ、人差し指を口元にあてニコッと笑う。
(……)
ナミは仕方ないと頷き、医務室から甲板に向かう。そして他のクルーに当分医務室には行かない様に釘をさした。
fin