渡り鳥のユメ
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『おはようございます。皆さん』
「おっ、ジン!! 起きたのか~!! よく寝てたなぁ、ゾロみたいだったぞ」
「うるせぇ」
ジンがサンジに起こされ、身なりを整えて食堂のドアを開けると、すでにクルーが食事を始めていた。ジンに手を挙げながら話すルフィ、ゾロはルフィに悪態をつく。
みんなからもおはようと声がかかる。 ジンは空いている席に着いた。
「ほらよ。てめえは病み上がりだから軽いのにした」
『ありがとうございます、サンジさん』
「ジン、体はダルくないか? よく寝れたか?」
『ええ。チョッパーくんがずっと側に居てくれたおかげでよく寝れました』
そうかぁっとニコニコ笑うチョッパー。ジンも笑顔を返す。サンジに早く食べろと怒られたので手を合わせ、ご飯を食べはじめる。
相変わらず嵐のような食事が展開され、ジンは微笑みながら食事を楽しんだ。
食事が終わり甲板に集まる。
「さて…と。前もこんなシチュエーションだったけど、ジンも復活したみたいだし話をしましょうか」
甲板のイスにクルーがそれぞれ腰掛けたを確認したナミが話す。みんなは頷き、ジンも笑って頷いた。
『なにから…お話しましょうか?』
「倒れた理由からだ」
サンジが煙草に火をつけながら言う。ジンはそうですね、それが一番でしょうねと頷き話し始めた。
『原因は“疲労”です。ある能力を使いすぎるとその代償で寝てしまいます』
「それはバーソロミュー・くまが言ってた、“コエコエ”の能力かしら?」
ロビンが聞く。
『そういえば、聞いていましたね。そうです。結論から言うと僕は“コエコエ”の能力を持っています』
「…マジかよ…」
「じゃ…じゃあ、紙人間の方が嘘なのか!?」
フランキーは目を丸くし、ウソップが聞く。ジンは静かに首を横に振る。
『いえ…“紙人間”であることも偽りではありませんよ、ウソップさん』
「じゃあ、やっぱりジンは2つの実の能力者なのね」
『そうです』
「すげぇなぁ!! 2つも能力があるのか!!?」
「………」
ルフィはニコニコと笑う。ゾロは腕を組みジンを見る。
「ヨホホ…2つの実を食べたのに死なないなんて、私びっくりして目が飛び出るかと。……あっ私、目なかった…」
「うるさい!!」
バコッとブルックにチョップを入れるナミ。ナミはそのまま続ける。
「でも、本当に2つも実を食べたの?」
『……それは』
ジンは目を伏せる。少し間を置き話す。
『…少し、違います。正確に言うと僕は2つの実を“食べた”訳ではないのです』
「「「???」」」
「どういうこった?」
フランキーが聞く。ジンは顔を上げる。
『僕が食べたのは紙人間になる“カミカミの実”。そして“コエコエの実”はある方から譲り受けました』
「譲り受け…た?」
ロビンが驚き、ジンの言葉を反復する。
『これが証拠です』
ジンが眼帯を取り右目を開く。紅い瞳がクルーを見る。
「目が紅い…!!?」
ルフィが驚く。ウソップが腕を組みながら聞く。
「オーズんときに見せてた目だな」
『そうです。しかし“これ”は僕の物ではありません。譲り受けた物です』
「「「!!?」」」
「目を譲り受けたっていうのかよ……!?」
サンジは驚き目を見開く。
『そうです……信じては頂けませんか?』
「信じろって言ったって“コエコエ”の能力だって怪しいもんだろ」
フランキーが言う。ジンは苦笑し、立ち上がる。
『なら、“コエコエ”の能力から証明してみましょう』
ジンは右目を眼帯で軽く抑えながらロビンをみる。
『ロビン。あそこのお花をひとつ使わせて頂いてよろしいでしょうか?』
花壇に咲いている花。ロビンのものだ。
「…? ええ。構わないわ」
ジンはロビンから了解を得てまだ蕾の花を取る。それをみんなに見せるように立つ。
「なんで花を?」
『実験です』
ナミは困惑を他所にジンは続ける。
『今、この瞬間にこの蕾が開き花が開くとしたらどう思いますか?』
「?」
「おいジン!!? なっ、何言ってんだ…それはまだ育て中の花だぜ? そんな簡単に…」
ウソップの言葉をよそにジンは眼帯を右目から離す。そして他の花には聞こえないくらいの“声”を出す。
『花よ。蕾から花を“咲かせて”ください』
ジンの言葉を受けた花は蕾から花を咲かす。
「「「………!!?」」」
「すっげぇ!!」
「マジックじゃないのか…?」
『…こうも出来ますよ。…花よ、“枯れて消えなさい”』
さっきまで満開だった花はみるみる枯れ、霧散する。ジンの手元には花はなくなっていた。
「「「………」」」
その光景に息を飲むクルーたち。ジンは眼帯をつけなおす。みんなの反応に淡く微笑んだ。
『では、次にこの目が僕の物でない理由です』
ジンは一枚の紙を宙に浮かす。手配書だ。それを見るクルーたち。
「!!?両目とも蒼い…」
『そうです。僕は元々両目とも蒼です。譲り受けた方は紅い瞳でした』
「……目と能力の関係性は?」
『この“目”がコエコエの能力の元です。つまりこの目を開いているときだけ能力を“発動”出来るのです』
ナミの問いに答えながら空を見上げる。
「政府はこの事を知っているのね」
『知っています。と言っても上層部の僅かな人間です。七武海ではバーソロミュー・くまが知っています。他はどうかはわかりません』
「それでも問題ね……」
『はい。状況はとても悪いです』
ロビンと問答をかわすジン。
「なんでだ?」
「悪魔の実の中でも軍事的に利用されたら最悪の部類に入る能力だからよ」
「?」
チョッパーの問いにロビンは顔を青くしながら話す。
「なぁ、バレてんならなんでお前はその声の能力を隠したんだ? 眼帯に海楼石まで仕込んで隠す必要があったのか?」
黙っていたゾロが声を出す。ジンはゾロを見つめ答える。
『それは、この能力が危険だからです』
「悪魔の実なんてどれもあぶねぇじゃねぇか」
『そうですね。しかしこの“声”の能力は生きている物全てに影響する力を持っているのです。この意味…お分かりですか?』
「……?」
「……人間にも効くから!?」
『半分正解です。しかし少し足りません』
「?」
ナミが答えた。ジンはナミに振り向き目を下に伏せる。
『この能力は“声”だけで相手を支配し、“生死”を操れるのです』
「「「……!?」」」
『簡単に言えば、今すぐ“死になさい”っと言えば皆さん死にます』
「なっ!!?」
「ひぃ―!!?」
「………」
ガタンっと席を立つクルーたち。ルフィとゾロとロビンは動かない。
「死にたくねぇ!?」
ガタガタと震えるウソップとチョッパー。ジンは眼帯に触れる。
『これを外していれば…の話です』
「そっ、そうか…」
「びびらせるな」
「絶対効くのか…?」
安心するウソップやフランキー。サンジが尋ねる。
『それは人によりますね。しかし僕と話せば話す程、僕が能力を発動する時間が長ければ長い程、精度は上がります』
「だから封印したと…??」
『残念ながら“封印”とはまではいきません。“抑制”程度です』
「ヨホホ…なるほど、では例え眼帯を外してなくても近くに長くいれば徐々に効力が現れるということですね」
『はい、その通りです』
ブルックの言葉で皆は一様にジンの決意を思い出す。
“仲間は作らない”
ルフィはダンッと立つ。
「ジン!! お前はおれの…」
ジンはルフィに手を向け話すのを制す。
『ルフィさん!! 今、僕にその言葉は言わないでください』
「………」
『もう少し時間をください…』
「「「……」」」
「………待って、雨がくる」
ナミが空を見上げる。するとポツンポツンと雨が降り始めた。すぐに大雨になる。
「うわっ、急だな!!」
「荒れるのか?」
「ううん。大丈夫! 通り雨よ。やり過ごしましょう」
「なら、とりあえず中に入りましょう。濡れた体を拭かないと」
「おう!!」
ダダッ船内へ走るクルー。しかしルフィとジンはお互い動かず、向き合ったまま雨に打たれている。ゾロが気づいて声をかけようとしたが思い留まり、見守る。
ルフィは麦わら帽子を手で抑えながらジンを見る。
「………」
『………』
「わかった、まだ言わねぇ。お前から言うまで待つ。賭けの途中だしな。けどなジン…もっとおれ達を信用していいんだぞ!!」
『………』
ジンは戸惑いの目でルフィを見る。ルフィはシシシと無邪気に笑う。その光景を見てゾロは口角を上げる。そして大きな声で呼ぶ。
「おい、二人共早く、中に入れ!!」
「おう!!」
『……はい』
「ほらよ。」
『ありがとうございます』
とりあえず、着替えも兼ねて女部屋と男部屋に戻ったクルー。ゾロはジンにタオルを投げた。
「なんだ、しおらしいな」
『…雨にあたり過ぎただけです』
シルクハットを置きバレッタを外し髪を拭くジン。 ポンっとゾロは頭にタオルを掛けているジンの頭に手を乗せる。
『…?』
「てめぇが思ってる程おれ達はやわじゃねぇよ」
『………そう、ですか』
ゾロの言葉にジンは小さな声で答えるとタオルの隙間から外をみた。
「おっ、ジン!! 起きたのか~!! よく寝てたなぁ、ゾロみたいだったぞ」
「うるせぇ」
ジンがサンジに起こされ、身なりを整えて食堂のドアを開けると、すでにクルーが食事を始めていた。ジンに手を挙げながら話すルフィ、ゾロはルフィに悪態をつく。
みんなからもおはようと声がかかる。 ジンは空いている席に着いた。
「ほらよ。てめえは病み上がりだから軽いのにした」
『ありがとうございます、サンジさん』
「ジン、体はダルくないか? よく寝れたか?」
『ええ。チョッパーくんがずっと側に居てくれたおかげでよく寝れました』
そうかぁっとニコニコ笑うチョッパー。ジンも笑顔を返す。サンジに早く食べろと怒られたので手を合わせ、ご飯を食べはじめる。
相変わらず嵐のような食事が展開され、ジンは微笑みながら食事を楽しんだ。
食事が終わり甲板に集まる。
「さて…と。前もこんなシチュエーションだったけど、ジンも復活したみたいだし話をしましょうか」
甲板のイスにクルーがそれぞれ腰掛けたを確認したナミが話す。みんなは頷き、ジンも笑って頷いた。
『なにから…お話しましょうか?』
「倒れた理由からだ」
サンジが煙草に火をつけながら言う。ジンはそうですね、それが一番でしょうねと頷き話し始めた。
『原因は“疲労”です。ある能力を使いすぎるとその代償で寝てしまいます』
「それはバーソロミュー・くまが言ってた、“コエコエ”の能力かしら?」
ロビンが聞く。
『そういえば、聞いていましたね。そうです。結論から言うと僕は“コエコエ”の能力を持っています』
「…マジかよ…」
「じゃ…じゃあ、紙人間の方が嘘なのか!?」
フランキーは目を丸くし、ウソップが聞く。ジンは静かに首を横に振る。
『いえ…“紙人間”であることも偽りではありませんよ、ウソップさん』
「じゃあ、やっぱりジンは2つの実の能力者なのね」
『そうです』
「すげぇなぁ!! 2つも能力があるのか!!?」
「………」
ルフィはニコニコと笑う。ゾロは腕を組みジンを見る。
「ヨホホ…2つの実を食べたのに死なないなんて、私びっくりして目が飛び出るかと。……あっ私、目なかった…」
「うるさい!!」
バコッとブルックにチョップを入れるナミ。ナミはそのまま続ける。
「でも、本当に2つも実を食べたの?」
『……それは』
ジンは目を伏せる。少し間を置き話す。
『…少し、違います。正確に言うと僕は2つの実を“食べた”訳ではないのです』
「「「???」」」
「どういうこった?」
フランキーが聞く。ジンは顔を上げる。
『僕が食べたのは紙人間になる“カミカミの実”。そして“コエコエの実”はある方から譲り受けました』
「譲り受け…た?」
ロビンが驚き、ジンの言葉を反復する。
『これが証拠です』
ジンが眼帯を取り右目を開く。紅い瞳がクルーを見る。
「目が紅い…!!?」
ルフィが驚く。ウソップが腕を組みながら聞く。
「オーズんときに見せてた目だな」
『そうです。しかし“これ”は僕の物ではありません。譲り受けた物です』
「「「!!?」」」
「目を譲り受けたっていうのかよ……!?」
サンジは驚き目を見開く。
『そうです……信じては頂けませんか?』
「信じろって言ったって“コエコエ”の能力だって怪しいもんだろ」
フランキーが言う。ジンは苦笑し、立ち上がる。
『なら、“コエコエ”の能力から証明してみましょう』
ジンは右目を眼帯で軽く抑えながらロビンをみる。
『ロビン。あそこのお花をひとつ使わせて頂いてよろしいでしょうか?』
花壇に咲いている花。ロビンのものだ。
「…? ええ。構わないわ」
ジンはロビンから了解を得てまだ蕾の花を取る。それをみんなに見せるように立つ。
「なんで花を?」
『実験です』
ナミは困惑を他所にジンは続ける。
『今、この瞬間にこの蕾が開き花が開くとしたらどう思いますか?』
「?」
「おいジン!!? なっ、何言ってんだ…それはまだ育て中の花だぜ? そんな簡単に…」
ウソップの言葉をよそにジンは眼帯を右目から離す。そして他の花には聞こえないくらいの“声”を出す。
『花よ。蕾から花を“咲かせて”ください』
ジンの言葉を受けた花は蕾から花を咲かす。
「「「………!!?」」」
「すっげぇ!!」
「マジックじゃないのか…?」
『…こうも出来ますよ。…花よ、“枯れて消えなさい”』
さっきまで満開だった花はみるみる枯れ、霧散する。ジンの手元には花はなくなっていた。
「「「………」」」
その光景に息を飲むクルーたち。ジンは眼帯をつけなおす。みんなの反応に淡く微笑んだ。
『では、次にこの目が僕の物でない理由です』
ジンは一枚の紙を宙に浮かす。手配書だ。それを見るクルーたち。
「!!?両目とも蒼い…」
『そうです。僕は元々両目とも蒼です。譲り受けた方は紅い瞳でした』
「……目と能力の関係性は?」
『この“目”がコエコエの能力の元です。つまりこの目を開いているときだけ能力を“発動”出来るのです』
ナミの問いに答えながら空を見上げる。
「政府はこの事を知っているのね」
『知っています。と言っても上層部の僅かな人間です。七武海ではバーソロミュー・くまが知っています。他はどうかはわかりません』
「それでも問題ね……」
『はい。状況はとても悪いです』
ロビンと問答をかわすジン。
「なんでだ?」
「悪魔の実の中でも軍事的に利用されたら最悪の部類に入る能力だからよ」
「?」
チョッパーの問いにロビンは顔を青くしながら話す。
「なぁ、バレてんならなんでお前はその声の能力を隠したんだ? 眼帯に海楼石まで仕込んで隠す必要があったのか?」
黙っていたゾロが声を出す。ジンはゾロを見つめ答える。
『それは、この能力が危険だからです』
「悪魔の実なんてどれもあぶねぇじゃねぇか」
『そうですね。しかしこの“声”の能力は生きている物全てに影響する力を持っているのです。この意味…お分かりですか?』
「……?」
「……人間にも効くから!?」
『半分正解です。しかし少し足りません』
「?」
ナミが答えた。ジンはナミに振り向き目を下に伏せる。
『この能力は“声”だけで相手を支配し、“生死”を操れるのです』
「「「……!?」」」
『簡単に言えば、今すぐ“死になさい”っと言えば皆さん死にます』
「なっ!!?」
「ひぃ―!!?」
「………」
ガタンっと席を立つクルーたち。ルフィとゾロとロビンは動かない。
「死にたくねぇ!?」
ガタガタと震えるウソップとチョッパー。ジンは眼帯に触れる。
『これを外していれば…の話です』
「そっ、そうか…」
「びびらせるな」
「絶対効くのか…?」
安心するウソップやフランキー。サンジが尋ねる。
『それは人によりますね。しかし僕と話せば話す程、僕が能力を発動する時間が長ければ長い程、精度は上がります』
「だから封印したと…??」
『残念ながら“封印”とはまではいきません。“抑制”程度です』
「ヨホホ…なるほど、では例え眼帯を外してなくても近くに長くいれば徐々に効力が現れるということですね」
『はい、その通りです』
ブルックの言葉で皆は一様にジンの決意を思い出す。
“仲間は作らない”
ルフィはダンッと立つ。
「ジン!! お前はおれの…」
ジンはルフィに手を向け話すのを制す。
『ルフィさん!! 今、僕にその言葉は言わないでください』
「………」
『もう少し時間をください…』
「「「……」」」
「………待って、雨がくる」
ナミが空を見上げる。するとポツンポツンと雨が降り始めた。すぐに大雨になる。
「うわっ、急だな!!」
「荒れるのか?」
「ううん。大丈夫! 通り雨よ。やり過ごしましょう」
「なら、とりあえず中に入りましょう。濡れた体を拭かないと」
「おう!!」
ダダッ船内へ走るクルー。しかしルフィとジンはお互い動かず、向き合ったまま雨に打たれている。ゾロが気づいて声をかけようとしたが思い留まり、見守る。
ルフィは麦わら帽子を手で抑えながらジンを見る。
「………」
『………』
「わかった、まだ言わねぇ。お前から言うまで待つ。賭けの途中だしな。けどなジン…もっとおれ達を信用していいんだぞ!!」
『………』
ジンは戸惑いの目でルフィを見る。ルフィはシシシと無邪気に笑う。その光景を見てゾロは口角を上げる。そして大きな声で呼ぶ。
「おい、二人共早く、中に入れ!!」
「おう!!」
『……はい』
「ほらよ。」
『ありがとうございます』
とりあえず、着替えも兼ねて女部屋と男部屋に戻ったクルー。ゾロはジンにタオルを投げた。
「なんだ、しおらしいな」
『…雨にあたり過ぎただけです』
シルクハットを置きバレッタを外し髪を拭くジン。 ポンっとゾロは頭にタオルを掛けているジンの頭に手を乗せる。
『…?』
「てめぇが思ってる程おれ達はやわじゃねぇよ」
『………そう、ですか』
ゾロの言葉にジンは小さな声で答えるとタオルの隙間から外をみた。