渡り鳥のユメ
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(……ここは…)
ジンが目を開けると“白い世界”が広がっていた。
辺りに目を向けてみても何もなくただ“白い”世界。
色が違うとすれば、天井と床。天井は終わりが見えないほど暗闇が広がっている。近くに行けば自分がそこに存在しているかも解らなくなる闇。
そして床には膝下くらいまで水がある。水自体は無色透明。しかし光の加減で緑にも蒼にも見える。
(…………いつ来ても不思議ですね)
天井は暗闇なのに何故か光を感じるジン。
そうここは彼が何度か来たことのある世界。しかしジンはこの世界の名も、何故存在するかも知らない。
否、わからないのだ。
(お嬢様……)
ジンはただただ静かな世界で音にならない言葉を紡ぎ目を閉じる。
時が止まったかのような世界に、ジンは何かの気配を後ろに感じ、振り向く。
そこには短い黒髪の少し小柄な少女がいた。
天井が暗いせいか顔は見えない。
しかしジンは少女を見て、はっきり心が動くのを感じた。
(…………お元気そうですね)
……………
少女の表情は読めないが少し悲しそうに感じた。
(…………)
ジンは少女に向けて手を伸ばした。しかしその手は彼女に届くまでに、止まる。
それはジンの意思ではなく、ジンと少女との間に大きなガラスがあるかの様に。または少女の意志で拒まれているかの様に。
届かない。
(………まだダメなのですね)
ジンは誰にも見せたことのない哀しい表情を浮かべる。しかしすぐに笑顔になり、ガラスの様なものから少女を見る。
(今日は姿が見れて嬉しかったです。僕は…必ずそちらへ行きます。待って居ていてください)
ジンが言い終わると同時に世界が、空間がなくなっていく。
足元が崩れる。ジンは少女に手を伸ばしたまま、再び意識を手放した。
【渡り鳥のユメ】