8人目の仲間
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モリア撃破より一日経過
「あのまま中庭で結局みんな丸一日寝ちまったな」
「――そりゃあ寝ずに夜通し戦ったわけだしよ」
ウソップとフランキーが話す。近くではルフィがワアワアと騒ぐ。
「腹へったぞサンジ~~~~~!!!」
「チーズでもかじってろ」
「チーズじゃダメだ!! おれはチーズじゃ動かねぇ!!」
『ルフィさんは、本当にお元気ですね』
「うお、ジン!? いきなり出てくんな!!びっくりするだろう」
『え、今は普通に歩いて来ただけですよ、サンジさん』
サンジの言葉にニコニコと笑顔で返すジン。一方、チーズをバクバク食べながら悲しんでいるルフィ。そんなルフィを見ながらウソップはなんでそんなに元気なんだ、おかしいっと腕を組みながら言った。
「おい、ジン……」
『どうかしましたか? サンジさん』
サンジは真顔でジンを見る。何か言いたげだったが何も言えなかった。
「……手ぇあいてんならこれを中庭に持ってけ」
ほらっと鍋の山をジンに渡すサンジ。ジンはおっとと言いながら受け取った。
「おい、ルフィ。食べたかったら、さっさと食事に必要な物を中庭へ運べ。被害者の会の連中、あそこ離れたがらねぇだろ、あっちでメシにするんだ」
『持って行きますね』
ジンの言葉におうっとサンジは言い、ジンは背を向け鍋を中庭に持って行くべく船を降りた。
「お前も、荷物持ちか」
『ええ。しかしフランキーさんの量には負けますよ』
船の下でフランキーと合流。話ながらルフィ達を待っていたら船からウソップとルフィの叫び声が聞こえた。
「「嵐がくるぞ―――!!」」
「ん?嵐?本当か!?」
『天気は良さそうですが…』
ジンは能天気そうに空を見上げた。
ルフィ達とも合流し、チョッパーとゾロがいる屋敷の中へ入る。
『お待たせしました』
「頼まれたものも持ってきたぞ」
「チョッパー!!」
「お!! ありがとう!!」
チョッパーはゾロから顔を上げルフィ達に答える。
「ジン、鍋をこっちに」
『はい、サンジさん』
ジンはサンジについて行き、鍋を下ろす。そしてフランキーと共に荷ほどきを手伝う。
「具合はどうだ?」
「こんなにダメージを残したゾロは初めてみた。命だって本当に危なかったよ……!!」
ルフィの問いにチョッパーは腕を組みながら言う。
「やっぱり、何かあったんじゃないかな。おれ達が倒れている間に…」
「…………」
「確かに“あの男”があのまま帰ったとは考えづらいものね」
「ルフィが異常に元気なのもおかしいよな」
「そればっかりはおれもわかんねぇ、なはははは」
ウソップの疑惑の視線に笑顔で答える。 そんなクルーの前にリスキー兄弟どーんと手を広げ話し出す。
「何が起きたか!! 実は見ちった!!!」
「おれも見ちった一部始終~~~!!」
「教えてやろう!! あの時何が起こったか」
「………!!」
『……サンジさん?』
「ジン、これそこに置いといてくれ」
ジンに荷物を渡しサンジはリスキー兄弟を捕まえ“来い”と外に連れ出した。
「ん?サンジ?」
その光景をルフィやウソップは不思議そうに見ていた。
「…………」
「―――って、わけなんだよ」
「おれぁ、悪ィが命はねぇと思ったねあの剣士」
「だから泣けちゃたよ――」
「マジ泣けちゃたよ―!!」
全てを聞いたサンジは眉間にシワを寄せながら煙を吹かす。
「……成程…――それでルフィが元気になってゾロがああなったのか…ムチャしやがる………」
息絶え絶えで“なにもな゙かった”と言うゾロを思い出しながらサンジはタバコを吸う。
「よーし!! 麦わらの一味の男の美談、みんなに話してこよう」
「待て!!」
リスキー兄弟は走り出したのをサンジは止める。
「ヤボなマネするな!! あいつは恩を売りたくて命はったわけじゃねぇ!!! 特に…自分の苦痛で仲間を傷つけたと知るルフィの立場はどうなる!!」
「「え…え~~~…!!?」」
「どんだけ喋りてぇんだお前ら!!!」
うすうずうすうずするリスキー兄弟に怒鳴るサンジ。
息を整え、タバコを吹かしながら、屋敷に向けて歩く。
「みんな無事で何より…それでいいんだ。さぁ、メシにするぞ」
「こ……ここ……こいつら超クール……!!」
「なんて幸せな船長だ」
サンジを見送ったリスキー兄弟は感動していた。
「成程」
盗み聞きしたロビンは納得したように微笑んだ。
「おい!! お前ら二人!!」
「「!」」
「さっき何か知ってる様な事言ってなかったか? 何見たんだ?」
ルフィがリスキー兄弟に質問する。リスキー兄弟はさっきの調子ではなく、静かに親指を立てて言う。
「ヤボな事聞くな」
「みんな無事で……何よりだ」
「…?……何だ?」
リスキー兄弟はうすうずしながら去っていった。ルフィは?を浮かべ、ロビンは笑う。
「「「いただきま―――す!!!」」」
「んんんめ~~~!!!」」
「こんなうめぇ料理食った事ねぇ!!!」
「生きててよかったァ~~~~!!」
「たんまり作った!! 残すんじゃねぇぞ!!!」
ローラの海賊やルフィ達が食事にがっつく。ジンは端の席で静かにジュースを飲む。
「またコックさんの料理が食べられるなんて!! ホントにほっぺたが落ちる程おいしいです。
私!! ほっぺたないんですけど――!!!」
「黙って食えてめぇは!!!」
ブルックのジョークにフランキーが怒鳴る。周りの海賊達は大笑い。
「ヨホホホ、ホントに…あ 失礼!!ゲップ!! 先日も今日もお腹いっぱいごちそうになって私少し…太ったかも!!!」
「骨なのにィ!!?ってやかましいわっ!!!」
ブルックとフランキーの掛け合いにさらに腹を抱えて大笑いする海賊達。しまいにはフランキーもブルックも踊り出した。
「カンパイしてねぇのに結局宴になっちゃった」
チョッパーは肉を食べながらフランキーとブルックの方を見る。ナミははぁっとため息を着いた。二人はゾロに目を向ける。
「こんなにうるさいのに目も開けねぇなー」
「いつもは一番タフな男がね…」
「おいチョッパー、これ!!ゾロの分な、ししし!!」
「ルフィ」
チョッパー達の下にルフィが酒樽を抱えてやってきた。
「さぁ、のめ!!」
「飲ますな!!!」
「ゾロは酒が好きだから元気になるだろ!!!」
「どんな医学だ!? それ!!!」
ゾロに酒を飲まそうとするルフィをナミは殴って止め、チョッパーは叫ぶ。
「……肉は?」
「よしよし!!その“気持ち”だけもらっとくよ」
チョッパーはルフィを納得させる。 するとピアノの音がする。
ポロロン♪
「さて、BGMでも…」
「おい、お前バイオリン弾きじゃなかったのか?」
「ヨホホホ。楽器は全般いけますよ。あの…少し話は戻りますけど、実は私も“見ちった”のです…!! お二人の行動に心打たれました。仲間っていいですね……!!」
「お二人って言ってくれんなよ。おれはマヌケをさらしただけだ」
「いえ…あなたにも同じ覚悟があった」
騒がしい中、静かに話すブルックとサンジ。ブルックがピアノの音を確かめながら言う。
「何か一曲…いかがです? リクエストがあれば…」
「へぇ…何でもいけんのか?じゃあ…」
サンジがリクエストしようと思った瞬間、ブルックは軽快な音を奏でる。
「あ♪ ビンクス~の酒を~♪」
「お前、今リクエスト求めたよな!!?」
サンジは怒鳴るしかなかった。
「“ビンクスの酒”………どこかで聴いたと思ったら懐かしい唄…」
ロビンはグラスを手に取りながら言う。周りも“ビンクス酒”のBGMに宴はますます盛り上がる。
『………』
ジンはグラスを両手に遊ばせながら、周りを静かに見渡す。みんなボロボロだが心から宴を楽しんでいる。笑顔が絶えない宴にジンも静かにそしてどこか寂しそうに微笑む。
『こんな宴に出逢えることはもうないでしょうね』
「おーい!!ジン!!! こっち来いよ!マジック見せてくれ」
『はい、チョッパーくん。今、行きますよ』
チョッパーに呼ばれ、ニコッと笑顔で立ち上がるジン。宴の真ん中で踊るチョッパー達と共に紙の能力を使いながらいつもより、派手に立ち振舞った。
「おい!!ブルック!! この曲おれ知ってんぞ!!シャンクス達が唄ってた」
「昔の海賊達はみんなコレを唄ってました。辛い時楽しい時も……!! ヨホホホ」
ピアノを弾きながらルフィと話すブルック。ルフィが話を切り出す。
「お前さ、おれの仲間になるんだろ? な!!」
「……………」
「影帰ってきたもんな、日が当たっても航海できるだろ」
「……それなんですが、私一つ…言ってなかった事が…」
「何だ」
「“仲間”との……約束があるんです。それをまず果たさなければ私…男が立ちません……!!」
「ああ、ラブーンの事だろ!? 知ってるよ。フランキー達から聞いたからな!!」
「え…ああ…そうなんです。“ラブーン”…そういう名前のクジラなんですけど…――ある岬に……」
「だからよ、ブルック。おれ達双子岬でラブーンに会ってんだ、本当に!!」
「………え?」
ブルックは驚いてピアノのテンポが落ちる。海賊が指摘し、ブルックは持ち直した。
「あそこで50年ラブーンが仲間の帰りをずっと待ってるのは知ってた。だから驚いたよ!! あいつの待ち続けてる海賊達の生き残りがお前だってわかった時は……!!」
「………」
ブルックはルフィを呆然とみる。ブルックには周りの音は小さくルフィの言葉がやたら大きく響く。
「そしてお前はちゃんとまだ約束を覚えてる。これを知ったらラブーン喜ぶだろうな――!!!ししし!!」
「………ちょ…ちょっと待ってくださいよ!! ヨホホ…!びっくりした………!!唐突で。あなた達が本当に……!? ラブーンに会ったって!?」
「うん」
「50年も経ってるのに…!? 今もまだ…!!!あの岬で待っていてくれてるんですか!?ラブーンは……!!! ホントですか…?」
「うん」
「おれ達も証人だ!! 確かに会ったぞ」
「ああ」
「!」
ルフィに続き、サンジとウソップも話す。ブルックは頭の中がラブーンに対する想いでいっぱいだった。
「……!! 元気でしたか……?」
「元気だった」
「大きく…なってりんでしょうね……」
「山みてぇだったよ」
「ヨホホ……見てみたい……私達が別れた時なんかね……まだ小舟ほどの大きさでかわいかった。
ちょっと聞き分けが悪かったけど音楽好きでいい子でねぇ…今でも…まぶたを閉じるとその姿が…あっ、私まぶたなかった」
ブルックの指が微かに震える。
「頭にね……浮かぶんです」
ジャアァアン♪
鍵盤を大きく叩くように手をついたブルック。
「………!!!」
「そうですか……!! 彼は元気ですか……!!!ウオオオ…!!!」
涙を目一杯流すブルック。両手で顔を抑える。
「お―い、どうしたガイコツ―ピアノ弾いてくれ~!!」
海賊達が騒ぐ。ブルックは涙一杯でポツリポツリと話す。
「こんなに嬉しい日はない……」
ブルックはルンバ―海賊の仲間やラブーンを思い出す。
『………』
「おう! 何だ何だもっと弾けブルック!!」
「そうだ!!鼻わりばしで踊るんだ!! おれは!!」
フランキーとチョッパーから声がかかる。ブルックはヨホホと笑いながら、頭をパカッと開ける。
「……え―と」
「「え――!!? そうなってんのか!!?」」
サンジとウソップは頭の開くブルックに驚く。ルフィは嬉しそうに目をキラキラさせていた。ブルックが頭の中から取り出したのは“音貝 ”
「おお、空島のやつだ!」
「ご存じですか…私、ラブーンに会えたら“これ”を聞かせたいと。肌身離さず、持ってるんです」
「何が録音してあるのか」
「“唄”です。死んだ仲間達の生前の唄声…!! 我々は“明るく楽しく旅を終えた”というラブーンへのメッセージ。今、かけても構いませんか?」
「お―聴きてぇ!! そりゃラブーン喜ぶだろうな」
「では…」
カチャッという音と共に曲が流れ始める。ローラ達は知ってると喜び一緒に唄い出した。
―――どうせ死ぬなら……楽しい方がいい
―――“唄いませんか”?
―――私…もし本当に蘇ったなら……届けます、必ず。
―――ラブーンも…船長も我々みんなが愛した“この唄”を……!!!
ブルックは唄を聞きながらルンバ―海賊団を思い出す。そしてルフィ達と共に唄う。みんなが大好きな“この唄”を…
―――ラブーン……!!! お前が50年もの間…そこで待っててくれていたなら…後1・2年だけ…辛抱してくれませんか?
―――私にも……海賊の意地がある!!! 壁に向かって待つお前とは、約束通り“正面”から再会したい!!!
ブルックは決意を固めた。唄が終わる。
「お―いガイコツ~~~も―唄わねぇのかぁ!?」
「もっぺんいこう!! もっぺん!!」
「わはははは」
「ヨホホホホホ…。かつて仲間達と共に命いっぱいに唄ったこの唄……ルンバ―海賊団“最後の大合唱”」
ブルックは音貝 を手に取る。
「…暗い暗い霧の海を一人さ迷った50年間……何度聴いた事でしょうか………」
ルフィやサンジ、ウソップは笑顔でブルックを見る。
「一人ぼっちの大きな船で……この唄は……唯一……私以外の“命”を感じさせてくれたのです。―――しかし今日限り私は新たな決意を胸にこの“音貝 )”を封印します」
頭をパコッと開けるブルック。
「封印~~~!!!」
「「え――っ!!? やっぱそうなってんのか!!?」」
頭に音貝 をしまうブルック。サンジとウソップは声を揃えてびっくりし、ルフィは目を輝かせ感動していた。
ブルックは再びピアノで音を奏でる。
「ラブーンが元気で待っていてくれるとわかった…影も戻った、魔の海域も抜けた…!!」
「よっ」
ごろんとブルックの話を聞きながら再びピアノの上に寝っ転がるルフィ。
「この貝に蓄えたみんなの唄声は…もう私が一人昔を懐かしむ為の唄じゃない!!……これは“ラブーンに届ける為の唄”!!!
辛くない日などなかった…希望なんか正直見えもしなかった。でもね、ルフィさん……」
ブルックは叫ぶ。
「私!!!生きててよかったァ!!!」
うおおおと大きな声で話す。
「本当に!! 生きててよかった!!!」
「そりゃそうだ」
「今日という日が!!! やって来たから!!!」
「………!!」
「あ 私仲間になっていいですか?」
「おう、いいぞ」
「「「!?」」」
「「「さらっと!!!入ったァ~~~!!!」」」
「ふふ!!」
『……ははは』
えええええっと壮絶に驚くクルー。ロビンとジンは笑っていた。 歓迎されるブルックはみんなに投げられたり45度と体をはったギャグをして場を大いに盛り上げる。
胸にはラブーンへの想いをいっぱいに詰めて。ラブーンに“唄”を届けるために。
―――――双子岬
ブオオオオオ!!!!
「今日はやけに上機嫌だな…」
とラブーンが双子岬で喜ぶ。クロッカスは嬉しそうにラブーンに話しかけた。
「あのまま中庭で結局みんな丸一日寝ちまったな」
「――そりゃあ寝ずに夜通し戦ったわけだしよ」
ウソップとフランキーが話す。近くではルフィがワアワアと騒ぐ。
「腹へったぞサンジ~~~~~!!!」
「チーズでもかじってろ」
「チーズじゃダメだ!! おれはチーズじゃ動かねぇ!!」
『ルフィさんは、本当にお元気ですね』
「うお、ジン!? いきなり出てくんな!!びっくりするだろう」
『え、今は普通に歩いて来ただけですよ、サンジさん』
サンジの言葉にニコニコと笑顔で返すジン。一方、チーズをバクバク食べながら悲しんでいるルフィ。そんなルフィを見ながらウソップはなんでそんなに元気なんだ、おかしいっと腕を組みながら言った。
「おい、ジン……」
『どうかしましたか? サンジさん』
サンジは真顔でジンを見る。何か言いたげだったが何も言えなかった。
「……手ぇあいてんならこれを中庭に持ってけ」
ほらっと鍋の山をジンに渡すサンジ。ジンはおっとと言いながら受け取った。
「おい、ルフィ。食べたかったら、さっさと食事に必要な物を中庭へ運べ。被害者の会の連中、あそこ離れたがらねぇだろ、あっちでメシにするんだ」
『持って行きますね』
ジンの言葉におうっとサンジは言い、ジンは背を向け鍋を中庭に持って行くべく船を降りた。
「お前も、荷物持ちか」
『ええ。しかしフランキーさんの量には負けますよ』
船の下でフランキーと合流。話ながらルフィ達を待っていたら船からウソップとルフィの叫び声が聞こえた。
「「嵐がくるぞ―――!!」」
「ん?嵐?本当か!?」
『天気は良さそうですが…』
ジンは能天気そうに空を見上げた。
ルフィ達とも合流し、チョッパーとゾロがいる屋敷の中へ入る。
『お待たせしました』
「頼まれたものも持ってきたぞ」
「チョッパー!!」
「お!! ありがとう!!」
チョッパーはゾロから顔を上げルフィ達に答える。
「ジン、鍋をこっちに」
『はい、サンジさん』
ジンはサンジについて行き、鍋を下ろす。そしてフランキーと共に荷ほどきを手伝う。
「具合はどうだ?」
「こんなにダメージを残したゾロは初めてみた。命だって本当に危なかったよ……!!」
ルフィの問いにチョッパーは腕を組みながら言う。
「やっぱり、何かあったんじゃないかな。おれ達が倒れている間に…」
「…………」
「確かに“あの男”があのまま帰ったとは考えづらいものね」
「ルフィが異常に元気なのもおかしいよな」
「そればっかりはおれもわかんねぇ、なはははは」
ウソップの疑惑の視線に笑顔で答える。 そんなクルーの前にリスキー兄弟どーんと手を広げ話し出す。
「何が起きたか!! 実は見ちった!!!」
「おれも見ちった一部始終~~~!!」
「教えてやろう!! あの時何が起こったか」
「………!!」
『……サンジさん?』
「ジン、これそこに置いといてくれ」
ジンに荷物を渡しサンジはリスキー兄弟を捕まえ“来い”と外に連れ出した。
「ん?サンジ?」
その光景をルフィやウソップは不思議そうに見ていた。
「…………」
「―――って、わけなんだよ」
「おれぁ、悪ィが命はねぇと思ったねあの剣士」
「だから泣けちゃたよ――」
「マジ泣けちゃたよ―!!」
全てを聞いたサンジは眉間にシワを寄せながら煙を吹かす。
「……成程…――それでルフィが元気になってゾロがああなったのか…ムチャしやがる………」
息絶え絶えで“なにもな゙かった”と言うゾロを思い出しながらサンジはタバコを吸う。
「よーし!! 麦わらの一味の男の美談、みんなに話してこよう」
「待て!!」
リスキー兄弟は走り出したのをサンジは止める。
「ヤボなマネするな!! あいつは恩を売りたくて命はったわけじゃねぇ!!! 特に…自分の苦痛で仲間を傷つけたと知るルフィの立場はどうなる!!」
「「え…え~~~…!!?」」
「どんだけ喋りてぇんだお前ら!!!」
うすうずうすうずするリスキー兄弟に怒鳴るサンジ。
息を整え、タバコを吹かしながら、屋敷に向けて歩く。
「みんな無事で何より…それでいいんだ。さぁ、メシにするぞ」
「こ……ここ……こいつら超クール……!!」
「なんて幸せな船長だ」
サンジを見送ったリスキー兄弟は感動していた。
「成程」
盗み聞きしたロビンは納得したように微笑んだ。
「おい!! お前ら二人!!」
「「!」」
「さっき何か知ってる様な事言ってなかったか? 何見たんだ?」
ルフィがリスキー兄弟に質問する。リスキー兄弟はさっきの調子ではなく、静かに親指を立てて言う。
「ヤボな事聞くな」
「みんな無事で……何よりだ」
「…?……何だ?」
リスキー兄弟はうすうずしながら去っていった。ルフィは?を浮かべ、ロビンは笑う。
「「「いただきま―――す!!!」」」
「んんんめ~~~!!!」」
「こんなうめぇ料理食った事ねぇ!!!」
「生きててよかったァ~~~~!!」
「たんまり作った!! 残すんじゃねぇぞ!!!」
ローラの海賊やルフィ達が食事にがっつく。ジンは端の席で静かにジュースを飲む。
「またコックさんの料理が食べられるなんて!! ホントにほっぺたが落ちる程おいしいです。
私!! ほっぺたないんですけど――!!!」
「黙って食えてめぇは!!!」
ブルックのジョークにフランキーが怒鳴る。周りの海賊達は大笑い。
「ヨホホホ、ホントに…あ 失礼!!ゲップ!! 先日も今日もお腹いっぱいごちそうになって私少し…太ったかも!!!」
「骨なのにィ!!?ってやかましいわっ!!!」
ブルックとフランキーの掛け合いにさらに腹を抱えて大笑いする海賊達。しまいにはフランキーもブルックも踊り出した。
「カンパイしてねぇのに結局宴になっちゃった」
チョッパーは肉を食べながらフランキーとブルックの方を見る。ナミははぁっとため息を着いた。二人はゾロに目を向ける。
「こんなにうるさいのに目も開けねぇなー」
「いつもは一番タフな男がね…」
「おいチョッパー、これ!!ゾロの分な、ししし!!」
「ルフィ」
チョッパー達の下にルフィが酒樽を抱えてやってきた。
「さぁ、のめ!!」
「飲ますな!!!」
「ゾロは酒が好きだから元気になるだろ!!!」
「どんな医学だ!? それ!!!」
ゾロに酒を飲まそうとするルフィをナミは殴って止め、チョッパーは叫ぶ。
「……肉は?」
「よしよし!!その“気持ち”だけもらっとくよ」
チョッパーはルフィを納得させる。 するとピアノの音がする。
ポロロン♪
「さて、BGMでも…」
「おい、お前バイオリン弾きじゃなかったのか?」
「ヨホホホ。楽器は全般いけますよ。あの…少し話は戻りますけど、実は私も“見ちった”のです…!! お二人の行動に心打たれました。仲間っていいですね……!!」
「お二人って言ってくれんなよ。おれはマヌケをさらしただけだ」
「いえ…あなたにも同じ覚悟があった」
騒がしい中、静かに話すブルックとサンジ。ブルックがピアノの音を確かめながら言う。
「何か一曲…いかがです? リクエストがあれば…」
「へぇ…何でもいけんのか?じゃあ…」
サンジがリクエストしようと思った瞬間、ブルックは軽快な音を奏でる。
「あ♪ ビンクス~の酒を~♪」
「お前、今リクエスト求めたよな!!?」
サンジは怒鳴るしかなかった。
「“ビンクスの酒”………どこかで聴いたと思ったら懐かしい唄…」
ロビンはグラスを手に取りながら言う。周りも“ビンクス酒”のBGMに宴はますます盛り上がる。
『………』
ジンはグラスを両手に遊ばせながら、周りを静かに見渡す。みんなボロボロだが心から宴を楽しんでいる。笑顔が絶えない宴にジンも静かにそしてどこか寂しそうに微笑む。
『こんな宴に出逢えることはもうないでしょうね』
「おーい!!ジン!!! こっち来いよ!マジック見せてくれ」
『はい、チョッパーくん。今、行きますよ』
チョッパーに呼ばれ、ニコッと笑顔で立ち上がるジン。宴の真ん中で踊るチョッパー達と共に紙の能力を使いながらいつもより、派手に立ち振舞った。
「おい!!ブルック!! この曲おれ知ってんぞ!!シャンクス達が唄ってた」
「昔の海賊達はみんなコレを唄ってました。辛い時楽しい時も……!! ヨホホホ」
ピアノを弾きながらルフィと話すブルック。ルフィが話を切り出す。
「お前さ、おれの仲間になるんだろ? な!!」
「……………」
「影帰ってきたもんな、日が当たっても航海できるだろ」
「……それなんですが、私一つ…言ってなかった事が…」
「何だ」
「“仲間”との……約束があるんです。それをまず果たさなければ私…男が立ちません……!!」
「ああ、ラブーンの事だろ!? 知ってるよ。フランキー達から聞いたからな!!」
「え…ああ…そうなんです。“ラブーン”…そういう名前のクジラなんですけど…――ある岬に……」
「だからよ、ブルック。おれ達双子岬でラブーンに会ってんだ、本当に!!」
「………え?」
ブルックは驚いてピアノのテンポが落ちる。海賊が指摘し、ブルックは持ち直した。
「あそこで50年ラブーンが仲間の帰りをずっと待ってるのは知ってた。だから驚いたよ!! あいつの待ち続けてる海賊達の生き残りがお前だってわかった時は……!!」
「………」
ブルックはルフィを呆然とみる。ブルックには周りの音は小さくルフィの言葉がやたら大きく響く。
「そしてお前はちゃんとまだ約束を覚えてる。これを知ったらラブーン喜ぶだろうな――!!!ししし!!」
「………ちょ…ちょっと待ってくださいよ!! ヨホホ…!びっくりした………!!唐突で。あなた達が本当に……!? ラブーンに会ったって!?」
「うん」
「50年も経ってるのに…!? 今もまだ…!!!あの岬で待っていてくれてるんですか!?ラブーンは……!!! ホントですか…?」
「うん」
「おれ達も証人だ!! 確かに会ったぞ」
「ああ」
「!」
ルフィに続き、サンジとウソップも話す。ブルックは頭の中がラブーンに対する想いでいっぱいだった。
「……!! 元気でしたか……?」
「元気だった」
「大きく…なってりんでしょうね……」
「山みてぇだったよ」
「ヨホホ……見てみたい……私達が別れた時なんかね……まだ小舟ほどの大きさでかわいかった。
ちょっと聞き分けが悪かったけど音楽好きでいい子でねぇ…今でも…まぶたを閉じるとその姿が…あっ、私まぶたなかった」
ブルックの指が微かに震える。
「頭にね……浮かぶんです」
ジャアァアン♪
鍵盤を大きく叩くように手をついたブルック。
「………!!!」
「そうですか……!! 彼は元気ですか……!!!ウオオオ…!!!」
涙を目一杯流すブルック。両手で顔を抑える。
「お―い、どうしたガイコツ―ピアノ弾いてくれ~!!」
海賊達が騒ぐ。ブルックは涙一杯でポツリポツリと話す。
「こんなに嬉しい日はない……」
ブルックはルンバ―海賊の仲間やラブーンを思い出す。
『………』
「おう! 何だ何だもっと弾けブルック!!」
「そうだ!!鼻わりばしで踊るんだ!! おれは!!」
フランキーとチョッパーから声がかかる。ブルックはヨホホと笑いながら、頭をパカッと開ける。
「……え―と」
「「え――!!? そうなってんのか!!?」」
サンジとウソップは頭の開くブルックに驚く。ルフィは嬉しそうに目をキラキラさせていた。ブルックが頭の中から取り出したのは“
「おお、空島のやつだ!」
「ご存じですか…私、ラブーンに会えたら“これ”を聞かせたいと。肌身離さず、持ってるんです」
「何が録音してあるのか」
「“唄”です。死んだ仲間達の生前の唄声…!! 我々は“明るく楽しく旅を終えた”というラブーンへのメッセージ。今、かけても構いませんか?」
「お―聴きてぇ!! そりゃラブーン喜ぶだろうな」
「では…」
カチャッという音と共に曲が流れ始める。ローラ達は知ってると喜び一緒に唄い出した。
―――どうせ死ぬなら……楽しい方がいい
―――“唄いませんか”?
―――私…もし本当に蘇ったなら……届けます、必ず。
―――ラブーンも…船長も我々みんなが愛した“この唄”を……!!!
ブルックは唄を聞きながらルンバ―海賊団を思い出す。そしてルフィ達と共に唄う。みんなが大好きな“この唄”を…
―――ラブーン……!!! お前が50年もの間…そこで待っててくれていたなら…後1・2年だけ…辛抱してくれませんか?
―――私にも……海賊の意地がある!!! 壁に向かって待つお前とは、約束通り“正面”から再会したい!!!
ブルックは決意を固めた。唄が終わる。
「お―いガイコツ~~~も―唄わねぇのかぁ!?」
「もっぺんいこう!! もっぺん!!」
「わはははは」
「ヨホホホホホ…。かつて仲間達と共に命いっぱいに唄ったこの唄……ルンバ―海賊団“最後の大合唱”」
ブルックは
「…暗い暗い霧の海を一人さ迷った50年間……何度聴いた事でしょうか………」
ルフィやサンジ、ウソップは笑顔でブルックを見る。
「一人ぼっちの大きな船で……この唄は……唯一……私以外の“命”を感じさせてくれたのです。―――しかし今日限り私は新たな決意を胸にこの“
頭をパコッと開けるブルック。
「封印~~~!!!」
「「え――っ!!? やっぱそうなってんのか!!?」」
頭に
ブルックは再びピアノで音を奏でる。
「ラブーンが元気で待っていてくれるとわかった…影も戻った、魔の海域も抜けた…!!」
「よっ」
ごろんとブルックの話を聞きながら再びピアノの上に寝っ転がるルフィ。
「この貝に蓄えたみんなの唄声は…もう私が一人昔を懐かしむ為の唄じゃない!!……これは“ラブーンに届ける為の唄”!!!
辛くない日などなかった…希望なんか正直見えもしなかった。でもね、ルフィさん……」
ブルックは叫ぶ。
「私!!!生きててよかったァ!!!」
うおおおと大きな声で話す。
「本当に!! 生きててよかった!!!」
「そりゃそうだ」
「今日という日が!!! やって来たから!!!」
「………!!」
「あ 私仲間になっていいですか?」
「おう、いいぞ」
「「「!?」」」
「「「さらっと!!!入ったァ~~~!!!」」」
「ふふ!!」
『……ははは』
えええええっと壮絶に驚くクルー。ロビンとジンは笑っていた。 歓迎されるブルックはみんなに投げられたり45度と体をはったギャグをして場を大いに盛り上げる。
胸にはラブーンへの想いをいっぱいに詰めて。ラブーンに“唄”を届けるために。
―――――双子岬
ブオオオオオ!!!!
「今日はやけに上機嫌だな…」
とラブーンが双子岬で喜ぶ。クロッカスは嬉しそうにラブーンに話しかけた。