幽霊船と動くガイコツ
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「ヨホホホホ!!! ハイどうもみなさん!! ごきげんよう!!!」
ブルックは帽子を上げるでヨホホと笑う。
「私、この度この船でご厄介になる事になりました。“死んで骨だけ”ブルックです!!! どうぞよろしく!!!」
「「「ふざけんな!!! なんだコイツは!!!」」」
みんなが一斉にブルックを否定する。
「ヨホホホおやおや手厳しィ――!!」
「ガイコツだ―――っ!!!」
「ガイコツが喋って動いてアフロなわけがねェ!!! これは夢だ、絶対夢だ!!!」
「ホントか!? よかった夢か―!!」
「悪霊退散、悪霊退散!!」
ビビりまくりのチョッパーとウソップは夢と思う事で現実逃避。しかし残念ながらブルックは相変わらずいる。
「おや、美しいお嬢さん。パンツ見せて貰ってよろしいですか?」
「やめんかセクハラガイコツ!!!」
ブルックはロビンに言う。ナミは自分の靴をガンッと思いっきり投げ、ブルックの頭に当てる。
「ヨホホホー」
ブルックは楽しそうに笑う。
「おい、ルフィ!!! こいつは何だ!!」
ブルックに指をさして怒るゾロに楽しそうな口調でルフィが答える。
「面白ぇだろ、仲間にした」
「したじゃねぇよ!! 認めるか!!!」
ゾロはルフィに怒鳴る。そしてその矛先がナミとサンジに向いた。
「おめぇらは一体なんの為についてったんだ!? こういうルフィの暴走を止める為だろうが!!!」
「「面目ねぇ」」
ゾロの正当な言葉にふたりは素直に謝った。
「しかも、ジンはどこに行きやがったんだ!?」
『お呼びですか? ゾロさん』
ゾロの問いと同時にジンが姿を現し、答えた。
「ギャァアアアア」
ナミは叫びまたジンを殴る。
『いっ、痛いですよ、ナミさん…』
「また突然出てこないでよ!!」
ブーブーと起こるナミ。ジンは頭をさすりながら、そう言われましても…っと言葉を濁す。
「おい、ジン!! てめぇルフィも止めずになにフラフラしてやがったんだ!!」
ゾロが頭に青筋立てて少し低いジンを見下ろす。
『僕はルフィさんに注意を促しましたよ…?』
「んな言葉が通じると思うんじゃねぇ!! そのせいであいつが変なガイコツ連れてきちまったじゃねぇか!!」
『えっ、僕の責任なんですか!?』
ゾロの怒りの矛先が自分に向いたことにジンは驚いた。
「ヨホホホ!! まぁそう熱くならずに!! どうぞ船内へ!! ディナーにしましょう!!!」
さも我が船のように入ろうとするブルックにルフィ、ロビン、ジン以外のクルーが叫ぶ。
「「「てめぇが決めんな!!!」」」
なんだかんだで一同はブルックと共に食堂へ。
サンジは料理に取りかかり、皆がそれぞれ適当に席に着く。ジンは入って来たドアに一番近い椅子に腰かけた。
「いやいや何と素敵なダイニング!! そしてキッチン!! これは素晴らしい船ですね!! ヨホホホ」
「そうさスーパーなおれが造った船だ! おめぇなかなか見る目あるじゃねぇか!」
「おい、馴れ合うなフランキー」
船を誉められ機嫌の良いフランキーにサンジはクギをさした。
「しかしお料理の方、楽しみですね。私ここ何十年もろくな物を食してないので……。もうお腹の皮と背中の皮がくっつく様な苦しみに耐えながら毎日を生きて来たのです。
お腹の皮も背中の皮もガイコツだからないんですけども、ヨホホホ!! スカルジョーク!!!」
ルフィは大笑いするが後のメンバーは冷たい反応を見せる。ジンは苦笑していた。
「――私、紳士ですので“食事を待つ”。そんな何気ない一時が大好きで」
そわそわしながらナイフとフォークを手にとるブルック。そしてカンカン、カカンと叩き始めた。
「ディーーナ~~アッ♪ ディーーナ~~アッ♪ カモンイェー」
「メーシ♪ メーシ♪」
大きな声で歌い出すブルック、それに乗ってルフィも歌い出す。
「うるせぇ、黙って待ってろ!!!」
「料理長!! ドリンクは牛乳でお願いしますよ!!」
サンジがイライラして怒鳴るがブルックはまったく気にしない。歌が一段落したらルフィがブルックに話しかける。
「ところでコロボックル」
「あ、ブルックです私。え―と…あっお名前まだ…」
「おれはルフィだ、ところでお前一体何なんだ?」
「どんだけ互いを知らねぇんだお前ら!!!」
『僕もあまり知らないと思いますが…』
「てめぇは黙ってろ!!」
(今日は怒られてばかりなのは気のせいでしょうか…)
「さぁ、ガイコツを追い出すのは後回しだ、ひとまず食え!」
どーんっと並べられる料理。みんなテーブルのある席につく。
「んまほ――!! おいブルックいっぱい食え!! サンジのメシは最高だぞ!!」
「私何だか…!! お腹より胸がいっぱいで…」
ふるふると震えるブルック。ふとロビンの食事に目を向ける。
「あ、お嬢さんのお肉少し大きいですね、替えて貰ってもよろしいですか?」
「おかわりあるから自分の食え!!!」
「“ヨミヨミの実”…!?」
「やっぱり“悪魔の実”か…」
「そうなのです! 私実は数十年前一度死んだのです」
顔や服がすごい勢いで汚れた顔をしたブルックが話す。
「まず、顔拭けよ。どう食ったらそんなに汚れるんだ」
サンジがナプキンを渡す。ブルックは顔を拭いた。
「ヨミヨミの実とは“ヨミがえる”つまり“復活人間”というわけで二度の人生を約束される。何とも不思議な能力でしてね!!」
つまようじで歯の間を掃除しながらブルックは続ける。
「私、その昔海賊だったのですが…あ、失礼。ゲップ!!
私の乗っていたさっきの船で仲間達と共にこの“魔の海”へ乗り込んで来たのですが………!! あ、失礼。ブッ!!」
「てめぇにマナーってもんをたたき込んでやりてぇ…」
サンジの嘆きもなんのその、ブルックは続ける。
「運悪く…恐ろしく強い同業者に出くわし戦闘で一味は全滅。当然私もそのとき死んでしまったのです!!」
「……」
「……生きている間はただのカナヅチになるだけのヨミヨミの能力でしたが、ついにその日、実の能力が発動しました
私の“魂”は“黄泉の国”より現世に舞い戻ったのです!!」
ブルックは顔を上げ天井を眺める。
「すぐに自分の死体に入れば蘇れるはずが、私の死んだこの海はごらんの様に霧が深く迷ってしまい、霧の中魂の姿でさ迷い続けること1年!!
自分の体を発見したときにはなんとすでに“白骨化”していたのです!!
びっくりして目が点になりましたよ。目玉ないんですけども!! ヨホホホ!!!」
「マヌケだなぁーゾロみてぇな奴だな」
「あのな」
ルフィの発言にゾロは心外だと言わんばかりに発言する。
「それで喋るガイコツの完成か! 白骨でも蘇っちまうところが“悪魔の実”の恐ろしい所だな」
「その“実”はもう役目を果たしてカナヅチだけ残ってんだろ? もう半分呪いじゃねぇか」
『一度だけ効力のある悪魔の実…そう言うのもあるのですね』
「しかし白骨死体にふつう毛は残らねぇよな。ガイコツがアフロって……」
「毛根強かったんです」
きっぱりと答えるブルック。まぁ、何でもいいが…っとゾロは呆れた顔で言う。
「じゃ、お前オバケじゃねぇんだな!? つまり!! 人間なのか? 人間じゃねぇけど!!」
ウソップの言葉にチョッパーはホッとする。
「ええ、私オバケ大嫌いですから!! そんなものの姿見たら泣き叫びますよ、私!!」
「あんた鏡見たことあるの?」
ナミが鏡をブルックに向ける。
「ギャー――!! やめて下さい、鏡は!!」
「?」
「!……え!? おい、ちょっと待て!!」
そう言うとウソップとチョッパーはブルックを両方から抑える。
「鏡は………!!」
焦るブルック。ウソップとチョッパーは叫びに近い声をあげる。
「お前何で………!!」
「「鏡に映らねぇんだ!!?」」
「ほんとか―!?スゲー―――な!!!」
「「バ…バンパイアか!!!?」」
チョッパーは走ってウソップの後ろに逃げ出し、ナミは机の端に隠れる。サンジやフランキーは臨戦体勢になり、ルフィ、ゾロ、ロビン、ジンは動かなかった。
「よく見りゃお前“影”もねぇじゃねぇか!!!」
「うわ―本当だ!!! お前は実は何者なんだ――!!!」
「『………』」
ウソップとチョッパーが叫ぶ。ゾロとジンは静かにブルックを見据える。ブルックは静かに椅子座りなおし、ゆっくりとお茶を啜る。
「いや、落ちつくとこかよ!!」
「こっちは騒いでんだぞ、お前の事で!!!」
ガビーンっという効果音が聞こえてきそうな程サンジとウソップは気が抜ける。ブルックは静かに話し出す。
「全てを一気に語るには……私がこの海を漂った時間はあまりにも長い年月………!!!」
「…………」
「私がガイコツである事と……影がない事とは全く別のお話なのです」
ルフィはブルックの話に真剣な顔になる。
「続く」
「話せ!!今!!!」
ブルックに盛大に突っ込むサンジ。
「“影”は数年前、ある男に…奪われました」
「………奪われた?」
「……“影”を……?」
ロビンは何か思い当たるのか、考えを巡らす。
「お前が動いて喋ってる以上、今更何言おうと驚かねぇがそんな事があんのか?」
「あります。“影”を奪われるという事は光ある世界で存在できなくなるという事で、“直射日光”を浴びると私の体は消滅してしまうのです!!
“光”で地面に映るはずの“影”がない様に、鏡や写真などに私の姿が写る事もありません!
つまり私は光に拒まれる存在で!! 仲間は全滅!! “死んで骨だけ”ブルックです。どうぞよろしく!!」
ヨホホホと極めて明るいブルック。サンジは渋い顔で言う。
「何で明るいんだよ!!! 散々だな、お前の人生!」
「なのに“コツコツ”生きてきました!!骨だけに!!!」
「「うるせぇよ!!」」
サンジとフランキーが怒鳴る。
「ヨホホホホホホホ!ヨホホホホホホホ!!」
ブルックは両手を広げヨホホホと笑い続ける。
「おいおい、どうした大丈夫か」
悪霊退散グッズの十字架を構えながらもブルックの様子に不安を抱く。
「今日はなんて素敵な日でしょう!!!
“人に逢えた!!!”」
「「「!」」」
「今日か明日か日の変わり目もわからない、この深い霧暗い海で。
たった一人舵のきかない大きな船にただ揺られてさ迷うこと数十年!!
私、本っっ当に淋しかったんですよ!!!」
「………」
「淋しくて、怖くて……!!!
死にたかった!!!
長生きはするものですね!! 人は“喜び”!!
私にとってあなた達は“喜び”です!! ヨホホホ!!! 涙さえ涸れていなければ泣いて喜びたい所」
(人が“喜び”…)
「あなたが私を仲間に誘ってくれましたね!! 本当に嬉しかったのです。どうもありがとう
…だけど本当は断らなければ!!」
「おい!!何でだよ!!!」
ブルックの申し出にルフィは目が飛び出る程びっくりする。
「先程も話した様に私は“影”を奪われ、太陽の下では生きていけないこの体! 今はこの魔の海の霧に守られているのです」
ブルックはみんなに両手を広げて話す。
「あなた方と一緒にこの海を出ても私の体が消滅するのも時間の問題。私はここに残って“影”を取り返せる奇跡の日を待つ事にします!! ヨホホホ」
「何言ってんだよ、水くせぇ!!! だったらおれが取り返してやるよ!!
そういや誰かに取られたっつったな、誰だ!!?」
「…………!!?」
ルフィの申し出にブルックは驚く。
「どこにいるんだ!!」
「……あなた本当にいい人ですね、驚いた!!――しかしそれは言えません。
さっき会ったばかりのあなた達に“私のために死んでくれ”なんて言えるハズもない」
「敵が強すぎるって事か? 減るもんじゃなし、名前を言うくらいいいだろ」
「いいえ、言いません。……当てもないのです!! ヨホホホ
私の第二の人生が終わるまでに会えるかどうかもわかりません。もし次会った時にはと……私も戦いにハラに決めていますが」
そう言うと、ブルックは後ろのケースからバイオリンを取り出す。声色は明るく高い。
「それより歌を歌いましょう!!! 今日のよき出逢いの為に。私は楽器が自慢なのです!! 海賊船では“音楽家”をやってました!」
「え―――っ!!? 本当かぁ!!? 頼むから入れよバカヤロ―!!」
ルフィは目を輝かせながら喜ぶ。ブルックはヨホホホと笑う。
「では、楽しい舟唄を一曲いきましょうか!! ……!!!!」
ブルックがバイオリンを構えたまま、上を見ながら固まった。
「ギャアアアア!!」
「!!?」
「おい、何だ?どうした」
ブルックは思いっきり腰を抜かす。ガタガタと震えながら叫んだ。
「ゴ…ゴースト~~~~~~!!!!」
その言葉でクルーが後ろを見る。するとそこには壁から顔を出したゴースト。
「「うわ―――!!何かいる―――!!」」
ウソップとチョッパーは叫んだ。みんなも一瞬で戦闘体勢に入る。
「!!―見てください!! 前方が門で閉ざされました!!! 今の震動はコレです!!!」
そこにあったのは口のような何か、海王類に飲み込まれたと疑いそうな事態だ。
「これは門の裏側!! …という事は!! 船の後方を見てください!!!」
ブルックは船の後方に走る。クルーもついて船の後方に集まった。クルーたちは目の前の光景に目を見張る。
「……………!!!」
『島…ですか』
「…もしやあなた方は“流し墫”を海で拾ったなんて事は?」
「あ…!!」
ルフィは先程拾った発光弾入りの墫を思い出す。
「拾ったぞ!!!」
「それが罠なのです。この船はその時から狙われていたのです!!」
「狙うってどういう意味だ!? この船は今ずっとここに停まってたのに……なんで“島”がそこにあるんだよ!!!」
ルフィは柵の上に立ち、前に突然現れた島を見る。
「これは海をさ迷う“ゴーストアイランド”……!!!
“スリラーバーク”!!!!」
「!!?」
⇒あとがき
ブルックは帽子を上げるでヨホホと笑う。
「私、この度この船でご厄介になる事になりました。“死んで骨だけ”ブルックです!!! どうぞよろしく!!!」
「「「ふざけんな!!! なんだコイツは!!!」」」
みんなが一斉にブルックを否定する。
「ヨホホホおやおや手厳しィ――!!」
「ガイコツだ―――っ!!!」
「ガイコツが喋って動いてアフロなわけがねェ!!! これは夢だ、絶対夢だ!!!」
「ホントか!? よかった夢か―!!」
「悪霊退散、悪霊退散!!」
ビビりまくりのチョッパーとウソップは夢と思う事で現実逃避。しかし残念ながらブルックは相変わらずいる。
「おや、美しいお嬢さん。パンツ見せて貰ってよろしいですか?」
「やめんかセクハラガイコツ!!!」
ブルックはロビンに言う。ナミは自分の靴をガンッと思いっきり投げ、ブルックの頭に当てる。
「ヨホホホー」
ブルックは楽しそうに笑う。
「おい、ルフィ!!! こいつは何だ!!」
ブルックに指をさして怒るゾロに楽しそうな口調でルフィが答える。
「面白ぇだろ、仲間にした」
「したじゃねぇよ!! 認めるか!!!」
ゾロはルフィに怒鳴る。そしてその矛先がナミとサンジに向いた。
「おめぇらは一体なんの為についてったんだ!? こういうルフィの暴走を止める為だろうが!!!」
「「面目ねぇ」」
ゾロの正当な言葉にふたりは素直に謝った。
「しかも、ジンはどこに行きやがったんだ!?」
『お呼びですか? ゾロさん』
ゾロの問いと同時にジンが姿を現し、答えた。
「ギャァアアアア」
ナミは叫びまたジンを殴る。
『いっ、痛いですよ、ナミさん…』
「また突然出てこないでよ!!」
ブーブーと起こるナミ。ジンは頭をさすりながら、そう言われましても…っと言葉を濁す。
「おい、ジン!! てめぇルフィも止めずになにフラフラしてやがったんだ!!」
ゾロが頭に青筋立てて少し低いジンを見下ろす。
『僕はルフィさんに注意を促しましたよ…?』
「んな言葉が通じると思うんじゃねぇ!! そのせいであいつが変なガイコツ連れてきちまったじゃねぇか!!」
『えっ、僕の責任なんですか!?』
ゾロの怒りの矛先が自分に向いたことにジンは驚いた。
「ヨホホホ!! まぁそう熱くならずに!! どうぞ船内へ!! ディナーにしましょう!!!」
さも我が船のように入ろうとするブルックにルフィ、ロビン、ジン以外のクルーが叫ぶ。
「「「てめぇが決めんな!!!」」」
なんだかんだで一同はブルックと共に食堂へ。
サンジは料理に取りかかり、皆がそれぞれ適当に席に着く。ジンは入って来たドアに一番近い椅子に腰かけた。
「いやいや何と素敵なダイニング!! そしてキッチン!! これは素晴らしい船ですね!! ヨホホホ」
「そうさスーパーなおれが造った船だ! おめぇなかなか見る目あるじゃねぇか!」
「おい、馴れ合うなフランキー」
船を誉められ機嫌の良いフランキーにサンジはクギをさした。
「しかしお料理の方、楽しみですね。私ここ何十年もろくな物を食してないので……。もうお腹の皮と背中の皮がくっつく様な苦しみに耐えながら毎日を生きて来たのです。
お腹の皮も背中の皮もガイコツだからないんですけども、ヨホホホ!! スカルジョーク!!!」
ルフィは大笑いするが後のメンバーは冷たい反応を見せる。ジンは苦笑していた。
「――私、紳士ですので“食事を待つ”。そんな何気ない一時が大好きで」
そわそわしながらナイフとフォークを手にとるブルック。そしてカンカン、カカンと叩き始めた。
「ディーーナ~~アッ♪ ディーーナ~~アッ♪ カモンイェー」
「メーシ♪ メーシ♪」
大きな声で歌い出すブルック、それに乗ってルフィも歌い出す。
「うるせぇ、黙って待ってろ!!!」
「料理長!! ドリンクは牛乳でお願いしますよ!!」
サンジがイライラして怒鳴るがブルックはまったく気にしない。歌が一段落したらルフィがブルックに話しかける。
「ところでコロボックル」
「あ、ブルックです私。え―と…あっお名前まだ…」
「おれはルフィだ、ところでお前一体何なんだ?」
「どんだけ互いを知らねぇんだお前ら!!!」
『僕もあまり知らないと思いますが…』
「てめぇは黙ってろ!!」
(今日は怒られてばかりなのは気のせいでしょうか…)
「さぁ、ガイコツを追い出すのは後回しだ、ひとまず食え!」
どーんっと並べられる料理。みんなテーブルのある席につく。
「んまほ――!! おいブルックいっぱい食え!! サンジのメシは最高だぞ!!」
「私何だか…!! お腹より胸がいっぱいで…」
ふるふると震えるブルック。ふとロビンの食事に目を向ける。
「あ、お嬢さんのお肉少し大きいですね、替えて貰ってもよろしいですか?」
「おかわりあるから自分の食え!!!」
「“ヨミヨミの実”…!?」
「やっぱり“悪魔の実”か…」
「そうなのです! 私実は数十年前一度死んだのです」
顔や服がすごい勢いで汚れた顔をしたブルックが話す。
「まず、顔拭けよ。どう食ったらそんなに汚れるんだ」
サンジがナプキンを渡す。ブルックは顔を拭いた。
「ヨミヨミの実とは“ヨミがえる”つまり“復活人間”というわけで二度の人生を約束される。何とも不思議な能力でしてね!!」
つまようじで歯の間を掃除しながらブルックは続ける。
「私、その昔海賊だったのですが…あ、失礼。ゲップ!!
私の乗っていたさっきの船で仲間達と共にこの“魔の海”へ乗り込んで来たのですが………!! あ、失礼。ブッ!!」
「てめぇにマナーってもんをたたき込んでやりてぇ…」
サンジの嘆きもなんのその、ブルックは続ける。
「運悪く…恐ろしく強い同業者に出くわし戦闘で一味は全滅。当然私もそのとき死んでしまったのです!!」
「……」
「……生きている間はただのカナヅチになるだけのヨミヨミの能力でしたが、ついにその日、実の能力が発動しました
私の“魂”は“黄泉の国”より現世に舞い戻ったのです!!」
ブルックは顔を上げ天井を眺める。
「すぐに自分の死体に入れば蘇れるはずが、私の死んだこの海はごらんの様に霧が深く迷ってしまい、霧の中魂の姿でさ迷い続けること1年!!
自分の体を発見したときにはなんとすでに“白骨化”していたのです!!
びっくりして目が点になりましたよ。目玉ないんですけども!! ヨホホホ!!!」
「マヌケだなぁーゾロみてぇな奴だな」
「あのな」
ルフィの発言にゾロは心外だと言わんばかりに発言する。
「それで喋るガイコツの完成か! 白骨でも蘇っちまうところが“悪魔の実”の恐ろしい所だな」
「その“実”はもう役目を果たしてカナヅチだけ残ってんだろ? もう半分呪いじゃねぇか」
『一度だけ効力のある悪魔の実…そう言うのもあるのですね』
「しかし白骨死体にふつう毛は残らねぇよな。ガイコツがアフロって……」
「毛根強かったんです」
きっぱりと答えるブルック。まぁ、何でもいいが…っとゾロは呆れた顔で言う。
「じゃ、お前オバケじゃねぇんだな!? つまり!! 人間なのか? 人間じゃねぇけど!!」
ウソップの言葉にチョッパーはホッとする。
「ええ、私オバケ大嫌いですから!! そんなものの姿見たら泣き叫びますよ、私!!」
「あんた鏡見たことあるの?」
ナミが鏡をブルックに向ける。
「ギャー――!! やめて下さい、鏡は!!」
「?」
「!……え!? おい、ちょっと待て!!」
そう言うとウソップとチョッパーはブルックを両方から抑える。
「鏡は………!!」
焦るブルック。ウソップとチョッパーは叫びに近い声をあげる。
「お前何で………!!」
「「鏡に映らねぇんだ!!?」」
「ほんとか―!?スゲー―――な!!!」
「「バ…バンパイアか!!!?」」
チョッパーは走ってウソップの後ろに逃げ出し、ナミは机の端に隠れる。サンジやフランキーは臨戦体勢になり、ルフィ、ゾロ、ロビン、ジンは動かなかった。
「よく見りゃお前“影”もねぇじゃねぇか!!!」
「うわ―本当だ!!! お前は実は何者なんだ――!!!」
「『………』」
ウソップとチョッパーが叫ぶ。ゾロとジンは静かにブルックを見据える。ブルックは静かに椅子座りなおし、ゆっくりとお茶を啜る。
「いや、落ちつくとこかよ!!」
「こっちは騒いでんだぞ、お前の事で!!!」
ガビーンっという効果音が聞こえてきそうな程サンジとウソップは気が抜ける。ブルックは静かに話し出す。
「全てを一気に語るには……私がこの海を漂った時間はあまりにも長い年月………!!!」
「…………」
「私がガイコツである事と……影がない事とは全く別のお話なのです」
ルフィはブルックの話に真剣な顔になる。
「続く」
「話せ!!今!!!」
ブルックに盛大に突っ込むサンジ。
「“影”は数年前、ある男に…奪われました」
「………奪われた?」
「……“影”を……?」
ロビンは何か思い当たるのか、考えを巡らす。
「お前が動いて喋ってる以上、今更何言おうと驚かねぇがそんな事があんのか?」
「あります。“影”を奪われるという事は光ある世界で存在できなくなるという事で、“直射日光”を浴びると私の体は消滅してしまうのです!!
“光”で地面に映るはずの“影”がない様に、鏡や写真などに私の姿が写る事もありません!
つまり私は光に拒まれる存在で!! 仲間は全滅!! “死んで骨だけ”ブルックです。どうぞよろしく!!」
ヨホホホと極めて明るいブルック。サンジは渋い顔で言う。
「何で明るいんだよ!!! 散々だな、お前の人生!」
「なのに“コツコツ”生きてきました!!骨だけに!!!」
「「うるせぇよ!!」」
サンジとフランキーが怒鳴る。
「ヨホホホホホホホ!ヨホホホホホホホ!!」
ブルックは両手を広げヨホホホと笑い続ける。
「おいおい、どうした大丈夫か」
悪霊退散グッズの十字架を構えながらもブルックの様子に不安を抱く。
「今日はなんて素敵な日でしょう!!!
“人に逢えた!!!”」
「「「!」」」
「今日か明日か日の変わり目もわからない、この深い霧暗い海で。
たった一人舵のきかない大きな船にただ揺られてさ迷うこと数十年!!
私、本っっ当に淋しかったんですよ!!!」
「………」
「淋しくて、怖くて……!!!
死にたかった!!!
長生きはするものですね!! 人は“喜び”!!
私にとってあなた達は“喜び”です!! ヨホホホ!!! 涙さえ涸れていなければ泣いて喜びたい所」
(人が“喜び”…)
「あなたが私を仲間に誘ってくれましたね!! 本当に嬉しかったのです。どうもありがとう
…だけど本当は断らなければ!!」
「おい!!何でだよ!!!」
ブルックの申し出にルフィは目が飛び出る程びっくりする。
「先程も話した様に私は“影”を奪われ、太陽の下では生きていけないこの体! 今はこの魔の海の霧に守られているのです」
ブルックはみんなに両手を広げて話す。
「あなた方と一緒にこの海を出ても私の体が消滅するのも時間の問題。私はここに残って“影”を取り返せる奇跡の日を待つ事にします!! ヨホホホ」
「何言ってんだよ、水くせぇ!!! だったらおれが取り返してやるよ!!
そういや誰かに取られたっつったな、誰だ!!?」
「…………!!?」
ルフィの申し出にブルックは驚く。
「どこにいるんだ!!」
「……あなた本当にいい人ですね、驚いた!!――しかしそれは言えません。
さっき会ったばかりのあなた達に“私のために死んでくれ”なんて言えるハズもない」
「敵が強すぎるって事か? 減るもんじゃなし、名前を言うくらいいいだろ」
「いいえ、言いません。……当てもないのです!! ヨホホホ
私の第二の人生が終わるまでに会えるかどうかもわかりません。もし次会った時にはと……私も戦いにハラに決めていますが」
そう言うと、ブルックは後ろのケースからバイオリンを取り出す。声色は明るく高い。
「それより歌を歌いましょう!!! 今日のよき出逢いの為に。私は楽器が自慢なのです!! 海賊船では“音楽家”をやってました!」
「え―――っ!!? 本当かぁ!!? 頼むから入れよバカヤロ―!!」
ルフィは目を輝かせながら喜ぶ。ブルックはヨホホホと笑う。
「では、楽しい舟唄を一曲いきましょうか!! ……!!!!」
ブルックがバイオリンを構えたまま、上を見ながら固まった。
「ギャアアアア!!」
「!!?」
「おい、何だ?どうした」
ブルックは思いっきり腰を抜かす。ガタガタと震えながら叫んだ。
「ゴ…ゴースト~~~~~~!!!!」
その言葉でクルーが後ろを見る。するとそこには壁から顔を出したゴースト。
「「うわ―――!!何かいる―――!!」」
ウソップとチョッパーは叫んだ。みんなも一瞬で戦闘体勢に入る。
「!!―見てください!! 前方が門で閉ざされました!!! 今の震動はコレです!!!」
そこにあったのは口のような何か、海王類に飲み込まれたと疑いそうな事態だ。
「これは門の裏側!! …という事は!! 船の後方を見てください!!!」
ブルックは船の後方に走る。クルーもついて船の後方に集まった。クルーたちは目の前の光景に目を見張る。
「……………!!!」
『島…ですか』
「…もしやあなた方は“流し墫”を海で拾ったなんて事は?」
「あ…!!」
ルフィは先程拾った発光弾入りの墫を思い出す。
「拾ったぞ!!!」
「それが罠なのです。この船はその時から狙われていたのです!!」
「狙うってどういう意味だ!? この船は今ずっとここに停まってたのに……なんで“島”がそこにあるんだよ!!!」
ルフィは柵の上に立ち、前に突然現れた島を見る。
「これは海をさ迷う“ゴーストアイランド”……!!!
“スリラーバーク”!!!!」
「!!?」
⇒あとがき