渡り鳥と海へ
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それから半時。昼御飯を済ませた後、ジンは船内を案内してもらうことになった。
「おれが案内してやるよ」
「ダメよ! ゾロはこの船でさえ迷うんだから案内なんてできないわ。サンジくん案内してあげて」
「はぁい、ナミさーん…ってヤロウの案内かよ…」
「おまえ、ジンのこと女だって思ってたじゃねぇか」
「うるせぇ、ウソップ!! この見た目で女じゃねのがおかしいんだよ!」
『そういえば、あの時は申し訳ありませんでした。黒足のサンジさん』
「勘弁してくれ…ヤロウの手握ったなんて忘れてェ」
ふらふらと壁に寄り掛かかるサンジ。あの状況を思い出しみんな笑う。
「とりあえず!サンジくんが案内してね」
「何でサンジなんだぁ?」
「それはナミさんがおれを頼りにしてくれているってことだ!! 愛だ!!」
「しあわせだな、おまえは…」
メロリーンとハートを飛ばすサンジをあきれた言葉で返すウソップ。
「よし、ジン。夕飯までに案内してやる。行くぞ」
『はい。ありがとうございます』
サンジとジンは食堂から上に行き、ゾロの筋トレグッズのある見張り台から下に降りていく。
「あっちにチョッパーの医務室があって、そうそうここが図書館だ。ナミさんが海図を書いたり、ロビンちゃんの本が置いてるところだ」
『黒足のサンジさんは女性おふたりの話になるといきいきとしますね』
クスクスと笑うジン。当たり前だろっとサンジが言う。
『それにしても本が多いですね。触れてもいいですか?』
「あ? …ああ。かまわねぇと思うが」
コツコツと本棚の方に向うジンは端にある本の背表紙に触れる。手に取るのかと思ったサンジを尻目に、ジンは本棚にある本の背表紙を一冊一冊なぞる様に“触れ”ていく。一段終わるとまた下の一段に触れる。最後の段の端の本を触れ終わるとジンがふうっと息をついた。
『お待たせしました』
「かまわねぇが、何をしてたんだ?」
『はい、“転写 ”です』
「コピー?」
『そういえば、これはお話していませんでした。僕、悪魔の実の能力者なのです』
「はっ? ほんとか!?」
『ええ。僕は“カミカミの実”を食べた紙人間です』
「?」
そう言い、ジンは右手をサンジの前に出す。サンジが手に目向ける。すると手が白い紙になっていた。
「これは…」
『そう、僕自身が紙です。分類で言うとロギアですね』
「これがロギアか。ってことは全身紙なのか?」
『ええ。紙人間です』
「想像がつかねェ…。で、さっきのコピーってのは?」
『ここの本を僕の中に写しました』
「なんだそりゃ??」
『こういうことです』
そう言うとジンはいつの間にか元に戻った右手を胸に当てる。するとジンの胸から一冊の本が現れた。
『これが転写です。一番上、右端の本と全く同じものです』
そういうとジンはサンジに本を渡す。サンジは同じ本を取り見る。内容はもちろん、紙の質もまったく同じだった。
「…すごい能力だな」
『まあ、これはオートの能力なのでふと触ってもコピーしてしまうのですが…』
「へぇ…ってそれはやばいんじゃねぇのか?」
『ええ。以前うっかり海軍の機密事項に触れてしまいました』
その言葉に脱力したサンジ。
「……おい。おまえの額が上がったのって」
その言葉をクスッと笑ったジンはサンジの言葉を遮る。
『まぁ、それだけではありませんが。さて、行きまょうか?』
「あっ…ああ」
夕食後…
ルフィたちからジンへの勧誘の嵐が済んだ食堂ではサンジは洗い物をし、ナミは椅子にもたれジュースを飲みながらいった。
「で、結局。ジンのペースだったのね」
「すいません…」
「まぁ、いいわ。簡単にわかるとは思っていなかったし」
「でも、なんか気になるんだよな、あいつ…」
「ん? 何が気になったの?」
「いえ、わかんねぇけど、引っかかるって言うか…」
「ふーん」
深夜。みんなが寝静まった頃にジンは舳先に足を運ぶ。 今のジンはシルクハットをかぶっていないため、ピンクシルバーの髪が月夜に照され淡く輝く。
ジンは、雲ひとつない月が輝く空ではなく海を見る。そして誰に話す訳もなく呟いた。
『僕を仲間にですか…』
そんな資格あるわけないのに……
『なぜ、“賭け”に乗ってしまったのでしょうか』
……本当は仲間を望んでいるから?
ジンはそれに首を横に振る。
『違う。仲間はいらない』
そう、今はダメだ
『今、“彼ら”に僕は弱みを見せてはいけない』
そっと右目の眼帯に触れる。左目をゆっくり閉じると自分にいい聞かせるように呟く。
『僕は必ず“ラフテル”に行きます。貴女との、この約束は必ず守ります』
ジンは目をあけると月が目に写った。しかしジンは光る月を嫌うようにスッと目を背け、船内へ消えていった。
「彼ら…? 今は…? 約束…?」
見張り台からその光景を見ていたクルーは静かに、聞こえた単語を繰り返した。
⇒あとがき
「おれが案内してやるよ」
「ダメよ! ゾロはこの船でさえ迷うんだから案内なんてできないわ。サンジくん案内してあげて」
「はぁい、ナミさーん…ってヤロウの案内かよ…」
「おまえ、ジンのこと女だって思ってたじゃねぇか」
「うるせぇ、ウソップ!! この見た目で女じゃねのがおかしいんだよ!」
『そういえば、あの時は申し訳ありませんでした。黒足のサンジさん』
「勘弁してくれ…ヤロウの手握ったなんて忘れてェ」
ふらふらと壁に寄り掛かかるサンジ。あの状況を思い出しみんな笑う。
「とりあえず!サンジくんが案内してね」
「何でサンジなんだぁ?」
「それはナミさんがおれを頼りにしてくれているってことだ!! 愛だ!!」
「しあわせだな、おまえは…」
メロリーンとハートを飛ばすサンジをあきれた言葉で返すウソップ。
「よし、ジン。夕飯までに案内してやる。行くぞ」
『はい。ありがとうございます』
サンジとジンは食堂から上に行き、ゾロの筋トレグッズのある見張り台から下に降りていく。
「あっちにチョッパーの医務室があって、そうそうここが図書館だ。ナミさんが海図を書いたり、ロビンちゃんの本が置いてるところだ」
『黒足のサンジさんは女性おふたりの話になるといきいきとしますね』
クスクスと笑うジン。当たり前だろっとサンジが言う。
『それにしても本が多いですね。触れてもいいですか?』
「あ? …ああ。かまわねぇと思うが」
コツコツと本棚の方に向うジンは端にある本の背表紙に触れる。手に取るのかと思ったサンジを尻目に、ジンは本棚にある本の背表紙を一冊一冊なぞる様に“触れ”ていく。一段終わるとまた下の一段に触れる。最後の段の端の本を触れ終わるとジンがふうっと息をついた。
『お待たせしました』
「かまわねぇが、何をしてたんだ?」
『はい、“
「コピー?」
『そういえば、これはお話していませんでした。僕、悪魔の実の能力者なのです』
「はっ? ほんとか!?」
『ええ。僕は“カミカミの実”を食べた紙人間です』
「?」
そう言い、ジンは右手をサンジの前に出す。サンジが手に目向ける。すると手が白い紙になっていた。
「これは…」
『そう、僕自身が紙です。分類で言うとロギアですね』
「これがロギアか。ってことは全身紙なのか?」
『ええ。紙人間です』
「想像がつかねェ…。で、さっきのコピーってのは?」
『ここの本を僕の中に写しました』
「なんだそりゃ??」
『こういうことです』
そう言うとジンはいつの間にか元に戻った右手を胸に当てる。するとジンの胸から一冊の本が現れた。
『これが転写です。一番上、右端の本と全く同じものです』
そういうとジンはサンジに本を渡す。サンジは同じ本を取り見る。内容はもちろん、紙の質もまったく同じだった。
「…すごい能力だな」
『まあ、これはオートの能力なのでふと触ってもコピーしてしまうのですが…』
「へぇ…ってそれはやばいんじゃねぇのか?」
『ええ。以前うっかり海軍の機密事項に触れてしまいました』
その言葉に脱力したサンジ。
「……おい。おまえの額が上がったのって」
その言葉をクスッと笑ったジンはサンジの言葉を遮る。
『まぁ、それだけではありませんが。さて、行きまょうか?』
「あっ…ああ」
夕食後…
ルフィたちからジンへの勧誘の嵐が済んだ食堂ではサンジは洗い物をし、ナミは椅子にもたれジュースを飲みながらいった。
「で、結局。ジンのペースだったのね」
「すいません…」
「まぁ、いいわ。簡単にわかるとは思っていなかったし」
「でも、なんか気になるんだよな、あいつ…」
「ん? 何が気になったの?」
「いえ、わかんねぇけど、引っかかるって言うか…」
「ふーん」
深夜。みんなが寝静まった頃にジンは舳先に足を運ぶ。 今のジンはシルクハットをかぶっていないため、ピンクシルバーの髪が月夜に照され淡く輝く。
ジンは、雲ひとつない月が輝く空ではなく海を見る。そして誰に話す訳もなく呟いた。
『僕を仲間にですか…』
そんな資格あるわけないのに……
『なぜ、“賭け”に乗ってしまったのでしょうか』
……本当は仲間を望んでいるから?
ジンはそれに首を横に振る。
『違う。仲間はいらない』
そう、今はダメだ
『今、“彼ら”に僕は弱みを見せてはいけない』
そっと右目の眼帯に触れる。左目をゆっくり閉じると自分にいい聞かせるように呟く。
『僕は必ず“ラフテル”に行きます。貴女との、この約束は必ず守ります』
ジンは目をあけると月が目に写った。しかしジンは光る月を嫌うようにスッと目を背け、船内へ消えていった。
「彼ら…? 今は…? 約束…?」
見張り台からその光景を見ていたクルーは静かに、聞こえた単語を繰り返した。
⇒あとがき