渡り鳥を探せ
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「じゃあ、ジンを追わねェと!!」
腕を組んで考えごとをしていたウソップが声を上げた。
「そうね、行きましょうか」
「よし! ジンを追うぞー!」
「おー!」
「ヨホホ~。でもこれが“幻”だなんて信じられませんねェ」
「敵の術中にしちゃ余裕だな、お前ら」
―――鳥かご島 海岸
ルフィ達は、ジンを追って海岸に出た。
足元は砂浜で波打つ海がある。パッとみればどこにでもある海岸のようだが、
地平線からのびるように見える、鳥かごの島の金色の格子が海の中だということを思い出せた。
そういえば、ここは海の底なのに明るいのね、とナミは呟いた。
しかし途端に、世界は薄暗くなった。上を見上げると、星のような光が見える。まるで夜だ。
「おおー! 星が見えるぞ!!」
「なんで急に夜になったんだ?」
「……これも幻なのか?」
「みなさん、あちらにジンさんが…!!」
「「「!」」」
ブルックが指をさす先に、ジンがいた。
手には果物はなく、流木の上に座って海を眺めていた。
そしてふと見ると暗闇から人が現れる。
「誰か来たぞ」
「あれは!!」
サンジは驚きの声をあげる。となりにいたウソップはサンジに言う。
「お、おい? サンジ。あいつが誰か知ってんのか!!?」
「わかる……」
「ええ!!」
「おれにはわかるぞ、あれは…“かわいいレディ”だ……!!」
「(……うわー、どうでもいい)」
ウソップは心底呆れた目でサンジを見ていた。
「"――――あなたは海兵さんですか?"」
『?』
ジンは、声をかけて来た少女に顔を向けた。
赤い瞳をもつ少女だった。
「"嘘はつかないで、教えてください"」
『……? ええ、僕は海兵ではありません。なぜそう思ったのですか?』
「隠れる必要がねェとはいえ、これは近くないか?」
「問題ねェんだろ?」
屈んで辺りを見渡しているウソップにゾロは首を鳴らしながら答える。
今、麦わらの一味は、ジン達からほんの少し離れたところにいた。
「"だって、ここは海軍の施設ですから"」
『え!?』
「"知らなかったのですか?"」
『はい。知りませんでした。そうかもしれないとは思いましたが……』
「"じゃあ、あなたはどなたなの? お名前を教えてくださいな"」
『僕は…クロスロード・ジンといいます……――――――っ!』
ジンは驚いた顔をした。
まるで本名を名乗る気がないのに口にしてしまったかのように。
「"クロスロード・ジンさんね"」
『ちょっと、待ってください、その名は……』
「"? 知られてはいけない名前なのですか?"」
『……そう、ですね。あまり名乗りたくはなかったです』
「"なぜ?"」
『僕が、“賞金首”だからです』
「"賞金首!!? あなたは悪い人なの?"」
『あ、いえ。その、まったく悪くないとは言えないのですが…そのはずみと言いますか…』
「"そうなんだ。じゃあ、悪いことをしようとして、“賞金首”になったわけじゃないのね"」
『ええ、まぁ……』
「"よかった! 悪い人じゃなくて"」
『ご理解いただけてよかったです。ただ、不思議ですね、貴女の前だと“嘘がつけない”みたいで』
「"あ……! それは…その、ごめんなさい!!"」
『?』
少女はジンに頭を下げた。
「ねェ、ロビン。あの子ってロビンが言ってた“赤目の子”よね」
「ええ……。やはりこの研究島にいたのね」
「なんてかわいいらしいレディなんだ…!!」
「お前はいいから黙ってろ!」
ロビンとナミのかたわらで、体をクネクネするサンジにウソップがツッコミを入れる。
その間もジンと少女の会話は続く。
『どうしたのです? なぜ、謝るのですか?』
「"嘘がつけないのは、私の“力”のせいだから、かな…"」
『“力”ですか?』
「"私の言葉には“力”があって、さっき"嘘をつかないで"と私が言ったからあなたは嘘がつけなかったのです"」
『そんな力が……』
「"でも、安心して。あなたが嫌なら聞いたことは決して口外はしませんから"」
『ありがとうございます』
「"でも、困ったわ。私はあなたをなんて呼べばいいのかしら?"」
少女は、両頬を両手で包み、困ったという顔をしていた。
『……。 ジンと呼んでいただけますか?』
「"呼んでもいいの?"」
『ええ、構いません。その代わり、お願いが一つあります』
「"お願い?"」
少女は不思議な顔をする。ジンはそんな少女に笑いかけた。
『貴方のお名前を教えてください』
「"それでいいのですか?"」
『ええ。お名前を伺いたいと思ったので』
「"それがお願いなんて…変な人ね。 わかりました。
私はクオンと言います"」
『クオン、素敵な名前ですね』
.
腕を組んで考えごとをしていたウソップが声を上げた。
「そうね、行きましょうか」
「よし! ジンを追うぞー!」
「おー!」
「ヨホホ~。でもこれが“幻”だなんて信じられませんねェ」
「敵の術中にしちゃ余裕だな、お前ら」
―――鳥かご島 海岸
ルフィ達は、ジンを追って海岸に出た。
足元は砂浜で波打つ海がある。パッとみればどこにでもある海岸のようだが、
地平線からのびるように見える、鳥かごの島の金色の格子が海の中だということを思い出せた。
そういえば、ここは海の底なのに明るいのね、とナミは呟いた。
しかし途端に、世界は薄暗くなった。上を見上げると、星のような光が見える。まるで夜だ。
「おおー! 星が見えるぞ!!」
「なんで急に夜になったんだ?」
「……これも幻なのか?」
「みなさん、あちらにジンさんが…!!」
「「「!」」」
ブルックが指をさす先に、ジンがいた。
手には果物はなく、流木の上に座って海を眺めていた。
そしてふと見ると暗闇から人が現れる。
「誰か来たぞ」
「あれは!!」
サンジは驚きの声をあげる。となりにいたウソップはサンジに言う。
「お、おい? サンジ。あいつが誰か知ってんのか!!?」
「わかる……」
「ええ!!」
「おれにはわかるぞ、あれは…“かわいいレディ”だ……!!」
「(……うわー、どうでもいい)」
ウソップは心底呆れた目でサンジを見ていた。
「"――――あなたは海兵さんですか?"」
『?』
ジンは、声をかけて来た少女に顔を向けた。
赤い瞳をもつ少女だった。
「"嘘はつかないで、教えてください"」
『……? ええ、僕は海兵ではありません。なぜそう思ったのですか?』
「隠れる必要がねェとはいえ、これは近くないか?」
「問題ねェんだろ?」
屈んで辺りを見渡しているウソップにゾロは首を鳴らしながら答える。
今、麦わらの一味は、ジン達からほんの少し離れたところにいた。
「"だって、ここは海軍の施設ですから"」
『え!?』
「"知らなかったのですか?"」
『はい。知りませんでした。そうかもしれないとは思いましたが……』
「"じゃあ、あなたはどなたなの? お名前を教えてくださいな"」
『僕は…クロスロード・ジンといいます……――――――っ!』
ジンは驚いた顔をした。
まるで本名を名乗る気がないのに口にしてしまったかのように。
「"クロスロード・ジンさんね"」
『ちょっと、待ってください、その名は……』
「"? 知られてはいけない名前なのですか?"」
『……そう、ですね。あまり名乗りたくはなかったです』
「"なぜ?"」
『僕が、“賞金首”だからです』
「"賞金首!!? あなたは悪い人なの?"」
『あ、いえ。その、まったく悪くないとは言えないのですが…そのはずみと言いますか…』
「"そうなんだ。じゃあ、悪いことをしようとして、“賞金首”になったわけじゃないのね"」
『ええ、まぁ……』
「"よかった! 悪い人じゃなくて"」
『ご理解いただけてよかったです。ただ、不思議ですね、貴女の前だと“嘘がつけない”みたいで』
「"あ……! それは…その、ごめんなさい!!"」
『?』
少女はジンに頭を下げた。
「ねェ、ロビン。あの子ってロビンが言ってた“赤目の子”よね」
「ええ……。やはりこの研究島にいたのね」
「なんてかわいいらしいレディなんだ…!!」
「お前はいいから黙ってろ!」
ロビンとナミのかたわらで、体をクネクネするサンジにウソップがツッコミを入れる。
その間もジンと少女の会話は続く。
『どうしたのです? なぜ、謝るのですか?』
「"嘘がつけないのは、私の“力”のせいだから、かな…"」
『“力”ですか?』
「"私の言葉には“力”があって、さっき"嘘をつかないで"と私が言ったからあなたは嘘がつけなかったのです"」
『そんな力が……』
「"でも、安心して。あなたが嫌なら聞いたことは決して口外はしませんから"」
『ありがとうございます』
「"でも、困ったわ。私はあなたをなんて呼べばいいのかしら?"」
少女は、両頬を両手で包み、困ったという顔をしていた。
『……。 ジンと呼んでいただけますか?』
「"呼んでもいいの?"」
『ええ、構いません。その代わり、お願いが一つあります』
「"お願い?"」
少女は不思議な顔をする。ジンはそんな少女に笑いかけた。
『貴方のお名前を教えてください』
「"それでいいのですか?"」
『ええ。お名前を伺いたいと思ったので』
「"それがお願いなんて…変な人ね。 わかりました。
私はクオンと言います"」
『クオン、素敵な名前ですね』
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