皆さん、突然下船してしまい、大変申し訳ございません。
しかし、この下船は、僕自身の意思表示でもあります。

僕は、皆さんと共に旅をすることはできません。

皆さんといて、僕は改めて感じました。
仲間とはどれだけ素晴らしいのか。
そしてそれを感じたからこそ、僕は一緒にはいられないと結論に至りました。

僕は政府が“白紙の日(ﾌﾞﾗﾝｸﾍﾟｰﾊﾟｰ・ﾃﾞｲ)”と呼ぶその日に、大切な人から“声の能力”を受け継ぎました。
そしてその力を受け取ったあの日、僕はたくさんの人を消し去りました。
ただただ自分の怒りに任せて。ただただ悲しみに暮れて。

それが“声の能力”を持っていた彼女が、
もっとも嫌う行為だと知りながらも、あの時の僕は止まることができませんでした。

そして僕は、この行いをして初めて、この能力の恐ろしさに気付きました。
声ひとつで何もかもを思い通りにできるこの能力を、
無慈悲に、全てを奪い、消し去ることができるこの能力を、
彼女がどれだけ恐れていたのか、やっと理解したのです。


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