渡り鳥の仰ぐ空
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
――――マリージョア 湾内
『“まぶしいですね”』
建物の中から出てきたジンは青空に輝く太陽に目を細める。
「!…クロスロード様、お一人で……」
『“ええ。一人で構わないと申しましたので。お気になさらずに”』
入り口前に立っていた兵士は、少し目を見開いたが、ジンの言葉に自然に頷いた。
「……。失礼いたしました。お気をつけてお帰り下さい」
『“ありがとうございます”』
ジンはニコッと微笑むと歩き出す。視線の先には太陽の光に当たりつやつやと輝く海軍の艦。
「クロスロードさん!」
『“お待たせしました。トランプ少将”』
そこに立つのは、頂上決戦時に声を掛けた将校、トランプ少将だった。トランプ少将はジンに気さくな笑顔を見せる。
『“コーティング船の手配ありがとうございます”』
「いえいえ。クロスロードさんの指示通りに用意したまでです。お話は弾みましたか?」
『“ええ、とても有意義でした”』
二人の会話風景を見た者は一様に“二人は知人”だと錯覚するだろう。それほど親しげな様子だった。
しかしそれは紛れもなく、ジンの“声の能力”によるものだった。
『“他の準備は?”』
「他の準備も万端ですよ。もう出られますか?」
『“ええ。お願いします”』
「はい、それでは船室の方へご案内します」
トランプ少将はジンを案内しようと道を開ける。しかしジンは待ってくださいと声をかけた。
『“甲板に行ってもいいですか?”』
「!構いませんが、コーティング船は初めてですか?」
『“いえ…”』
「?」
『“……トランプ少将、出発しましょう”』
ビリビリ…!!と一際強い“命令”がトランプ少将の頭に届く。トランプ少将はバッと敬礼する。
「!!―――失礼いたしました。ただちに出発いたします」
―――コーティング艦、甲板
「浮き袋を外したか!」
「はっ!!」
「帆を張れ!!潜水開始……!!」
「潜水開始!!」
甲板が慌ただしくなる中、艦は徐々に沈み始める。同時にシャボン玉が大きな艦を包みこんだ。
ゴボボボボボ……!!!
『(さすがに…絶景ですね)』
艦は海に潜って数分、太陽の光がまだ届くため、海の水がキラキラと輝く。その輝きはシャボンティ諸島よりも美しい光景と言える。
ジンは視線を景色からシャボンの膜へ移した。
『(コーティング船。あの時、みんなでこれに乗ることができれば…今頃……)』
ジンは奥歯を噛んだ。拳を固く握る。
『……ッ』
堅く握った拳に痛みが走った。その痛みにジンはゆっくりと拳を開く。
手のひらが少し切れていたようで、じわっと血がにじみ出ていた。
『……』
ジンは手のひらの血を見つめる青と赤の瞳。その瞳には強い意志が感じられる。
『“今度こそ…救ってみせる……”』
ジンは誓うように言葉を口にした。
.
『“まぶしいですね”』
建物の中から出てきたジンは青空に輝く太陽に目を細める。
「!…クロスロード様、お一人で……」
『“ええ。一人で構わないと申しましたので。お気になさらずに”』
入り口前に立っていた兵士は、少し目を見開いたが、ジンの言葉に自然に頷いた。
「……。失礼いたしました。お気をつけてお帰り下さい」
『“ありがとうございます”』
ジンはニコッと微笑むと歩き出す。視線の先には太陽の光に当たりつやつやと輝く海軍の艦。
「クロスロードさん!」
『“お待たせしました。トランプ少将”』
そこに立つのは、頂上決戦時に声を掛けた将校、トランプ少将だった。トランプ少将はジンに気さくな笑顔を見せる。
『“コーティング船の手配ありがとうございます”』
「いえいえ。クロスロードさんの指示通りに用意したまでです。お話は弾みましたか?」
『“ええ、とても有意義でした”』
二人の会話風景を見た者は一様に“二人は知人”だと錯覚するだろう。それほど親しげな様子だった。
しかしそれは紛れもなく、ジンの“声の能力”によるものだった。
『“他の準備は?”』
「他の準備も万端ですよ。もう出られますか?」
『“ええ。お願いします”』
「はい、それでは船室の方へご案内します」
トランプ少将はジンを案内しようと道を開ける。しかしジンは待ってくださいと声をかけた。
『“甲板に行ってもいいですか?”』
「!構いませんが、コーティング船は初めてですか?」
『“いえ…”』
「?」
『“……トランプ少将、出発しましょう”』
ビリビリ…!!と一際強い“命令”がトランプ少将の頭に届く。トランプ少将はバッと敬礼する。
「!!―――失礼いたしました。ただちに出発いたします」
―――コーティング艦、甲板
「浮き袋を外したか!」
「はっ!!」
「帆を張れ!!潜水開始……!!」
「潜水開始!!」
甲板が慌ただしくなる中、艦は徐々に沈み始める。同時にシャボン玉が大きな艦を包みこんだ。
ゴボボボボボ……!!!
『(さすがに…絶景ですね)』
艦は海に潜って数分、太陽の光がまだ届くため、海の水がキラキラと輝く。その輝きはシャボンティ諸島よりも美しい光景と言える。
ジンは視線を景色からシャボンの膜へ移した。
『(コーティング船。あの時、みんなでこれに乗ることができれば…今頃……)』
ジンは奥歯を噛んだ。拳を固く握る。
『……ッ』
堅く握った拳に痛みが走った。その痛みにジンはゆっくりと拳を開く。
手のひらが少し切れていたようで、じわっと血がにじみ出ていた。
『……』
ジンは手のひらの血を見つめる青と赤の瞳。その瞳には強い意志が感じられる。
『“今度こそ…救ってみせる……”』
ジンは誓うように言葉を口にした。
.