渡り鳥の仰ぐ空
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―――マリージョア行きの軍艦内。
『(……ルフィさんを助けたことに後悔はない。そう、きっとあの時動かなければ、今こうして動くことはできなかった)』
頂上戦争が終結して少ししてから、ジンはセンゴクを通じて“五老星”に懇談を持ちかけた。
あちらもジンと話したかったのだろう、すぐに面会時間の調整が始まった。
調整と言っても、五老星の都合のいい日を探すという意味で、それまでジンは本部の一室に留まっていた。
本部はほぼ壊滅状態で、まだ正常を取り戻すまでにはいたっていない。
建て直すまでの数日、“渡り鳥”が本部にいるということで外部に抑止力を持つという算段だったのだろう。
しかし結局はルフィが“マリンフォードで新時代への16点鐘”と新聞をにぎわる騒ぎが起きてしまった。
その事件を新聞で目にしたジンはルフィの生還を喜んだ。しかし同時にルフィの腕に残された“メッセージ”に複雑な心境になっていた。
『2年後…ルフィさんは進むために立ち止まることを決めた』
新聞に写るルフィの姿を思い出しながらジンは呟く。
『僕も…進まなければ。クオン達のためにも…』
――――コンコンコン
『!』
「まもなく、マリージョアに到着いたします。下艦の御用意を」
『…わかりました。戻っていただいて構いません』
「はっ!!」
ドアを挟んで海兵から報告を聞いたジンは海兵を帰すと、電伝虫を取り出す。
「――――はい、こちらトランプ」
『トランプ少将、クロスロードです』
「!」
『本日出発いたします。3時間後には、マリージョアに到着して頂けますか?』
「はっ!!問題ありません」
『では、よろしくお願いします』
ジンは電伝虫をしまう。
『さて…参りましょうか』
ジンは立ち上がる。
―――――赤い土の大陸(レッドライン) “聖地”マリージョア 五老星の部屋
「――――全く話題の尽きん男だな、“麦わらのルフィ”…ガープの孫といえば妙に納得だが」
「レイリーとは一体どういう繋がりが……?今更表舞台へ出て来るとも思えん…」
「ジンベエもいよいよ敵対したな…奴の“七武海”加入は種族間の和解を象徴していたのだが実に残念だ」
「“三大勢力”の均衡などもはや目も当てられん。“七武海”に空いた“二つ”の席をどう埋めるか」
「“新世界”の動きを少し待つべきだ。海賊達の中での勢力図も変わってくる筈。より影響力のある人材を選出せねば」
「…………」
「新世界では早速“黒ひげ”が動き出し、例の“億越えルーキー”の内一人がすでに餌食となった」
「奴は完全に“白ひげ”のナワバリを知り尽くしているからな」
「“四皇”の座を狙う海賊達の中では一歩リードという所だろう。“悪魔の実”を二つ食べた人間など“渡り鳥”くらいだと思っていたが」
「その“渡り鳥”ですら“悪魔の実”の譲渡方法は不明だ」
「進撃を止める当てがあるとすれば…“四皇”―――――もしくは“不死鳥のマルコ”及び“白ひげ”の残党達」
「厄介なのはいつも“D”だ…。ポートガスも然り、ここへ来て少々その名が人目に触れすぎている様だな」
五老星のそれぞれが、今後の世界に苦言を呈する。
「失礼いたします!!“七武海”クロスロード・ジン様がご到着いたしました!!」
「「「!」」」
「…来たか」
「奴をどうにかできればやり方はいくらでも考えられる。なんせ“声”だけで強者を従えることができるからな」
「……通せ」
「はっ!!」
海兵は敬礼をし、扉へ戻る。そして“海楼石”をつけたジンを五老星の部屋に招いた。
五老星の部屋に入ったジンはニコッと微笑む。
『初めまして、五老星の皆さん。 クロスロード・ ジンと… 』
「口上を垂れる暇はない」
「我々は一刻も速く秩序を戻さなければならない場面に来ている」
『……』
「今日この場にお前を呼んだのは他でもない」
「“七武海”クロスロード・ジン。今からお前に秩序の回復に努めてもらうためだ」
「まずは新世界に入り、暴れている海賊の“鎮圧”を行え」
「“声”の力を使えば容易いことだろう」
『フフ…』
「「「?」」」
ジンはクスクスと肩を震わせて笑った。五老星の一人が眉をひそめる。
「何がおかしい?」
『いえ、その一方的な物言い。本当に“政府”のトップですね』
「?」
『人を人として扱わない人達が世界を牛耳っているとは』
「口を慎め。貴様には取り囲む海兵共の姿が見えんのか?」
五老星の言葉でジンはあたりに目を配る。五老星を守るために配備された海兵は部屋を囲うように配置されている。
『この光景は、五老星ともあろう方々が僕のような小物を恐れているようにしか見えません』
「……貴様は先の我々との協定を破った。それについての謝罪があってもいいくらいだ」
『協定は破っていません。“麦わらのルフィ”並びに“死の外科医トラファルガー・ロー”は第三勢力。
僕が相手するべき者ではありませんでした』
「戦場にいる敵をいちいち選別せん。あいつらの目的は“白ひげ海賊団”と同じだった」
「同じ思想であるならば、敵とみなすのが定石だ」
『貴方達の定義と僕の定義は違います』
「自分の持つ力が世界の均衡をどれだけ揺るがすものか、理解している者の言葉とは思えん」
「“黒ひげ”も動き出した。世界の勢力図が変わる」
「よって我々は貴様の“能力”を保有しなければならない」
『……それも僕には関係ありません』
「「「!」」」
「勝手なことを…!!」
『勝手なのはどちらですか』
「!」
ジンの声色は周りの海兵達が寒気を覚える程にとても冷たいものだ。
『僕はあの戦場でのみ“七武海”として動く協定を結びました。戦争が終わった今、僕が貴方達に協力しなければならない要素は一つもありません』
「ならば貴様はなぜここに来た」
『僕が貴方達に会いに来たのは“鳥かご島”へ向かう前に確かめたいことがあったからです』
「?確かめたいことだと…?」
『お嬢様は本当に生きているのですか?』
「…………」
しぃんと静まり返る。ジンを見る五老星の目は相変わらず相手を値踏み、見下す色をしていた。
「ああ、生きている。今も“鳥かご島”で我々に協力している」
『能力を失った彼女を生かす意味が、貴方達にあるとは思えません』
「…“保護”だ。言葉を間違えるな。“赤目の一族”は絶滅危惧種。保護をして当たり前だろう」
『!……それが同じ人間に言うことですか』
ジンの拳が堅く握られる。微かに震えていた。
「保護を求めたのは“あちら”だ」
「その考えにお前が反した。それは“女”の意に沿わないのではないか?」
『……はぁ』
ジンはシルクハットを前に引き、ため息をつく。
『僕は、信じたかったのかもしれません』
「「「?」」」
『海軍にも命の重さを知り、戦いを拒む者がいることをあの場所で知ったから…』
「……」
『これを行使しなくて済めばいいと、思いました』
「?」
「何の話だ??」
『しかし貴方達がいつまでも白を切るのならば、僕はもう容赦はいたしません』
「「「!!」」」
「“渡り鳥”を下がらせろ!!」
不穏な空気を察した将校が指示を出した。五老星はジンをじっと見る。海兵達は銃をジンに向けた。
『……』
「変な動きをするな!撃つぞ!!」
『―――“僕以外の全て人間”…“動くことを禁止します”』
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『(……ルフィさんを助けたことに後悔はない。そう、きっとあの時動かなければ、今こうして動くことはできなかった)』
頂上戦争が終結して少ししてから、ジンはセンゴクを通じて“五老星”に懇談を持ちかけた。
あちらもジンと話したかったのだろう、すぐに面会時間の調整が始まった。
調整と言っても、五老星の都合のいい日を探すという意味で、それまでジンは本部の一室に留まっていた。
本部はほぼ壊滅状態で、まだ正常を取り戻すまでにはいたっていない。
建て直すまでの数日、“渡り鳥”が本部にいるということで外部に抑止力を持つという算段だったのだろう。
しかし結局はルフィが“マリンフォードで新時代への16点鐘”と新聞をにぎわる騒ぎが起きてしまった。
その事件を新聞で目にしたジンはルフィの生還を喜んだ。しかし同時にルフィの腕に残された“メッセージ”に複雑な心境になっていた。
『2年後…ルフィさんは進むために立ち止まることを決めた』
新聞に写るルフィの姿を思い出しながらジンは呟く。
『僕も…進まなければ。クオン達のためにも…』
――――コンコンコン
『!』
「まもなく、マリージョアに到着いたします。下艦の御用意を」
『…わかりました。戻っていただいて構いません』
「はっ!!」
ドアを挟んで海兵から報告を聞いたジンは海兵を帰すと、電伝虫を取り出す。
「――――はい、こちらトランプ」
『トランプ少将、クロスロードです』
「!」
『本日出発いたします。3時間後には、マリージョアに到着して頂けますか?』
「はっ!!問題ありません」
『では、よろしくお願いします』
ジンは電伝虫をしまう。
『さて…参りましょうか』
ジンは立ち上がる。
―――――赤い土の大陸(レッドライン) “聖地”マリージョア 五老星の部屋
「――――全く話題の尽きん男だな、“麦わらのルフィ”…ガープの孫といえば妙に納得だが」
「レイリーとは一体どういう繋がりが……?今更表舞台へ出て来るとも思えん…」
「ジンベエもいよいよ敵対したな…奴の“七武海”加入は種族間の和解を象徴していたのだが実に残念だ」
「“三大勢力”の均衡などもはや目も当てられん。“七武海”に空いた“二つ”の席をどう埋めるか」
「“新世界”の動きを少し待つべきだ。海賊達の中での勢力図も変わってくる筈。より影響力のある人材を選出せねば」
「…………」
「新世界では早速“黒ひげ”が動き出し、例の“億越えルーキー”の内一人がすでに餌食となった」
「奴は完全に“白ひげ”のナワバリを知り尽くしているからな」
「“四皇”の座を狙う海賊達の中では一歩リードという所だろう。“悪魔の実”を二つ食べた人間など“渡り鳥”くらいだと思っていたが」
「その“渡り鳥”ですら“悪魔の実”の譲渡方法は不明だ」
「進撃を止める当てがあるとすれば…“四皇”―――――もしくは“不死鳥のマルコ”及び“白ひげ”の残党達」
「厄介なのはいつも“D”だ…。ポートガスも然り、ここへ来て少々その名が人目に触れすぎている様だな」
五老星のそれぞれが、今後の世界に苦言を呈する。
「失礼いたします!!“七武海”クロスロード・ジン様がご到着いたしました!!」
「「「!」」」
「…来たか」
「奴をどうにかできればやり方はいくらでも考えられる。なんせ“声”だけで強者を従えることができるからな」
「……通せ」
「はっ!!」
海兵は敬礼をし、扉へ戻る。そして“海楼石”をつけたジンを五老星の部屋に招いた。
五老星の部屋に入ったジンはニコッと微笑む。
『初めまして、五老星の皆さん。 クロスロード・ ジンと… 』
「口上を垂れる暇はない」
「我々は一刻も速く秩序を戻さなければならない場面に来ている」
『……』
「今日この場にお前を呼んだのは他でもない」
「“七武海”クロスロード・ジン。今からお前に秩序の回復に努めてもらうためだ」
「まずは新世界に入り、暴れている海賊の“鎮圧”を行え」
「“声”の力を使えば容易いことだろう」
『フフ…』
「「「?」」」
ジンはクスクスと肩を震わせて笑った。五老星の一人が眉をひそめる。
「何がおかしい?」
『いえ、その一方的な物言い。本当に“政府”のトップですね』
「?」
『人を人として扱わない人達が世界を牛耳っているとは』
「口を慎め。貴様には取り囲む海兵共の姿が見えんのか?」
五老星の言葉でジンはあたりに目を配る。五老星を守るために配備された海兵は部屋を囲うように配置されている。
『この光景は、五老星ともあろう方々が僕のような小物を恐れているようにしか見えません』
「……貴様は先の我々との協定を破った。それについての謝罪があってもいいくらいだ」
『協定は破っていません。“麦わらのルフィ”並びに“死の外科医トラファルガー・ロー”は第三勢力。
僕が相手するべき者ではありませんでした』
「戦場にいる敵をいちいち選別せん。あいつらの目的は“白ひげ海賊団”と同じだった」
「同じ思想であるならば、敵とみなすのが定石だ」
『貴方達の定義と僕の定義は違います』
「自分の持つ力が世界の均衡をどれだけ揺るがすものか、理解している者の言葉とは思えん」
「“黒ひげ”も動き出した。世界の勢力図が変わる」
「よって我々は貴様の“能力”を保有しなければならない」
『……それも僕には関係ありません』
「「「!」」」
「勝手なことを…!!」
『勝手なのはどちらですか』
「!」
ジンの声色は周りの海兵達が寒気を覚える程にとても冷たいものだ。
『僕はあの戦場でのみ“七武海”として動く協定を結びました。戦争が終わった今、僕が貴方達に協力しなければならない要素は一つもありません』
「ならば貴様はなぜここに来た」
『僕が貴方達に会いに来たのは“鳥かご島”へ向かう前に確かめたいことがあったからです』
「?確かめたいことだと…?」
『お嬢様は本当に生きているのですか?』
「…………」
しぃんと静まり返る。ジンを見る五老星の目は相変わらず相手を値踏み、見下す色をしていた。
「ああ、生きている。今も“鳥かご島”で我々に協力している」
『能力を失った彼女を生かす意味が、貴方達にあるとは思えません』
「…“保護”だ。言葉を間違えるな。“赤目の一族”は絶滅危惧種。保護をして当たり前だろう」
『!……それが同じ人間に言うことですか』
ジンの拳が堅く握られる。微かに震えていた。
「保護を求めたのは“あちら”だ」
「その考えにお前が反した。それは“女”の意に沿わないのではないか?」
『……はぁ』
ジンはシルクハットを前に引き、ため息をつく。
『僕は、信じたかったのかもしれません』
「「「?」」」
『海軍にも命の重さを知り、戦いを拒む者がいることをあの場所で知ったから…』
「……」
『これを行使しなくて済めばいいと、思いました』
「?」
「何の話だ??」
『しかし貴方達がいつまでも白を切るのならば、僕はもう容赦はいたしません』
「「「!!」」」
「“渡り鳥”を下がらせろ!!」
不穏な空気を察した将校が指示を出した。五老星はジンをじっと見る。海兵達は銃をジンに向けた。
『……』
「変な動きをするな!撃つぞ!!」
『―――“僕以外の全て人間”…“動くことを禁止します”』
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