渡り鳥の仰ぐ空
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―――頂上戦争時、マリンフォード湾内
湾の先が見えた。ルフィさんは赤鼻の海賊により空へ逃げている。
―――――ドクンッ…!
途端に鼓動は大きく鳴り響く。それと同時に僕は我に返った。
“このままルフィさん達を逃がすために行動した場合、後々動きが取れなくなるのではないか”――と。
足を止め、頭に過った言葉を反芻(ハンスウ)する。
なぜなら彼らを安全に逃がすために僕が考えられる手だては、たったひとつしかなかったからだ。
しかし、この方法は政府の反感を買いかねない。
「うわああ、あっちじゃセンゴクと“黒ひげ”。こっちで赤犬と隊長達!!!戦いが終わらねェよォ~~!!」
「キャプテンバギー!!何とかしてくれ~」
「知るかアホー!!」
悲鳴と怒号が響き渡る中、僕は立ち尽くしていた。
こんな間際に来ても自分のことを優先しようとする自分と、どうしても止められない自分が葛藤する。
ザバァァァァン!!!
「「「!!?」」」
「え!!?」
「何だ、海の中から…船!!?」
「……!!?潜水艦!!?」
「誰の船だ!!?」
突然、湾内に潜水艦が現れた。そのフォルムは見知ったもので……。
『ロー…!?』
とても驚いた。
「麦わら屋をこっちへ乗せろ!!!」
「ム・ギ・ワラヤ~~~!?あァ!!?てめェ、誰だ小僧!!」
空に浮かぶピエロ顔の人が突然現れた潜水艦の主(アルジ)、ハートの海賊団船長トラファルガー・ローに怒鳴る。
「麦わら屋とはいずれは敵だが悪縁も縁!こんな所で死なれてもつまらねェ!!」
『……』
「そいつをここから逃がす!!!一旦おれに預けろ!!!――――おれは医者だ!!!」
―――助けられる命を助けなくて騎士を名乗れるか!!
『……!!』
ローの言葉と共にトールの叱咤が聞こえた気がした。途端、思考にかかっていた靄がパッと晴れる。
『馬鹿ですね、僕は。何を迷っていたのでしょう』
考えは決まった。もう迷いはない。
『“声のリミッター”を外します…』
「トラファルガー・ローです!!!“ノースブルー”のルーキー!!!
先日シャボンティ諸島“天竜人の一件”にて取り逃がした“麦わらのルフィ”と共犯の海賊!!潜水艦で救援に来た模様っ!!!」
ドドウン!!ドドン!!
潜水艦に向けて砲撃が放たれる。
「ロー船長!!」
「軍艦が沖から回り込んで来た!!」
ハートの海賊団クルーが叫ぶ。ローは空にいるバギーにルフィとジンベエを渡すように手を伸ばす。
「だからどこの馬の骨だってんだ」
「急げ!!!二人共だ、こっちへ乗せろ!!!」
渋るバギー。そんなバギーの耳にヒュンッと素早い音が聞こえた。焦げた匂いが鼻につく。
「ん??」
ドォ…ン!!
「!!!」
湾の先の何もない海の上で、巨大な爆発が起こった。バギーは自分の襟が焦げているのに目を見張る。
「置いてきなよォ~~~…“麦わらのルフィ”をさ~~~…!!」
「“黄猿”だ!!」
「――――ッ!!!?」
ロー達が叫ぶ。バギーは黄猿の攻撃に身体中の血の気が引いた。
「よしっ!!任せたぞ、“馬の骨”共~~!!せいぜい頑張りやがれ!!!」
「!」
身の危険を感じたバギーは、ロー達に向けポイッと二人を投げた。
「受け取れジャンバール!!」
「よし!それでいいんだ」
ペボは高く上げた両手の親指を立てる。
「海へ潜るぞ!!!」
「シャボンティじゃあ…よくも逃げてくれたねェ~…、トラファルガー・ロー~~~!!!」
「うわァ!!ひどい傷だよ。生きてるかな!!急ご…」
「“麦わらのルフィ”~~“死の外科医”ロー~…!!」
「くそ…」
黄猿の光がロー達に狙いを定める。ローがその光を見て奥歯を噛む、その瞬間だった。
「そこまでだァア~~~!!!!!」
大きな声が湾内に響き渡った。
「…………??」
「海兵!?」
「?」
「(コビー!!!)」
皆が疑問符を出す中、ヘルメッポは唯一、声を出した人間を心底心配していた。
その人物、コビーは赤犬の前に両手を広げ立ちふさがる。
赤犬は涙とケガによる出血でぐしゃぐしゃになったコビーに顔をしかめた。
「もうやめましょうよ!!!もうこれ以上戦うの!!!やめましょうよ!!!」
「何だコイツ…」
「……」
コビーの言葉に皆が手を止め、何が起こっているのか理解できないと顔を見合わせる。
コビーは身体中の力を振り絞って声を出した。
「命がも゛ったいだいっ!!!!」
―――――兵士一人一人に…!!帰りを待つ家族がいるのに!!!
「目的はもう果たしているのに…!!!戦意のない海賊を追いかけ…!!止められる戦いに欲をかいて……!!!!
今手当すれば助かる兵士を見捨てて…!!!その上にまだ犠牲者を増やすなんて」
「……?」
「今から倒れていく兵士達は……!!!まるで!!!」
「……。コビーか…!!」
「バカじゃないですか!!?」
コビーは赤犬に、この戦場にいる人間に力いっぱい訴えた。その叫びから数秒沈黙、我に返った赤犬がコビーを見下ろした。
「……!!……あァ??誰じゃい貴様ァ……!!」
赤犬のマグマが足を踏み出したと同時に生き物のように動く。
「…“数秒”…無駄にした……。正しくもない兵は海軍にゃいらん…!!!」
「え…」
赤犬はコビーに向かってまた一歩進む。その腕は赤く毒々しいマグマで覆われていた。
「ああああああああ!!!」
―――ドン!!!
「「「え……!!」」」
「……!!!」
「……よくやった…若い海兵」
赤犬のマグマを剣一本で止めた男、“赤髪”のシャンクスが言った。
コビーは泡を吹いて倒れる。
「お前が命を懸けて生み出した“勇気ある数秒”は良くか悪くか、たった今、“世界の運命”を大きく変えた!!」
「急げ」
「急いで中へ!!!」
突然生まれた数秒の隙。ハートの海賊団クルー達は艦内にすべり込む。
「……」
黄猿はそんなハートの海賊団の動きを見ながら再び光を集めようとした。しかしガチャっと引き金を引く音がその手を止める。
「!」
「何もするな“黄猿”!!」
「おォ~っとっとォ。ベン・ベックマン~~~…!!」
黄猿は手をあげ、驚いたように声を上げた。
「え……!!?」
「あれは…あの船……!!」
「なんでここに……!!」
「“四皇”がいるんだよ…!!!」
海賊達が息を飲む。海兵達は叫んだ。
「「「“赤髪のシャンクス”だァ!!!」」」
「……」
「!」
シャンクスは剣を鞘に戻すと、一歩足を進める。そしてあわを吹いて倒れたコビーの側に転がっている麦わら帽子を手に取った。
「この戦争を終わらせに来た!!!」
シャンクスの登場に戦場は騒然としていた。
「赤髪ィ!!?ルフィを海賊の道に引きずり込んだ男」
「……!!」
ガープは眉をひそめシャンクスを見る。センゴクも同じような厳しい顔つきでシャンクスに目を向けていた。
「赤髪海賊団だァ~~~!!!」
「“四皇”カイドウとの小競り合いはつい昨日の事」
「その当人がもうここに……!!?」
海兵達は口々に言う。その声は悲鳴に近い。
「バギー!!」
「!ん!!?」
シャンクスは手に持っていた麦わら帽子を投げた。
「そいつをルフィに!!」
「“麦わら”!!?」
シャンクスから投げられた麦わら帽子を受け取ったバギーは首を傾げる。シャンクスはさらにダメ押しをした。
「お前にあげたい地図があるんだが」
「ホントかオイ!!待ってろ、今届ける」
うひょーっと目玉が飛び出す程喜んだバギーは潜水艦に向かう。
「お頭ァ、10年振りのルフィだぞ。一目見ておかねェのか!?」
ラッキー・ルウがシャンクスに尋ねた。シャンクスはルフィが乗る潜水艦に背を向ける。
「一目、会いてェなァ…」
―――この帽子をお前に預ける
「キャプテン!“四皇”珍しいけど、早く扉閉めて!!」
「ああ…待て何か飛んで来る!」
「!」
「だが…」
―――いつかきっと返しに来い。立派な海賊になってな
「今会ったら……約束が違うもんな、ルフィ」
「おどれ“赤髪”…!!!ドラゴンの息子を…!!!」
「……」
怒る赤犬。一方パキパキと身体を氷に変えた青キジが動き出そうとしている潜水艦に目標を定める。
ジンは大きく息を吸った。
『“全ての攻撃を禁止します!!!”』
.
湾の先が見えた。ルフィさんは赤鼻の海賊により空へ逃げている。
―――――ドクンッ…!
途端に鼓動は大きく鳴り響く。それと同時に僕は我に返った。
“このままルフィさん達を逃がすために行動した場合、後々動きが取れなくなるのではないか”――と。
足を止め、頭に過った言葉を反芻(ハンスウ)する。
なぜなら彼らを安全に逃がすために僕が考えられる手だては、たったひとつしかなかったからだ。
しかし、この方法は政府の反感を買いかねない。
「うわああ、あっちじゃセンゴクと“黒ひげ”。こっちで赤犬と隊長達!!!戦いが終わらねェよォ~~!!」
「キャプテンバギー!!何とかしてくれ~」
「知るかアホー!!」
悲鳴と怒号が響き渡る中、僕は立ち尽くしていた。
こんな間際に来ても自分のことを優先しようとする自分と、どうしても止められない自分が葛藤する。
ザバァァァァン!!!
「「「!!?」」」
「え!!?」
「何だ、海の中から…船!!?」
「……!!?潜水艦!!?」
「誰の船だ!!?」
突然、湾内に潜水艦が現れた。そのフォルムは見知ったもので……。
『ロー…!?』
とても驚いた。
「麦わら屋をこっちへ乗せろ!!!」
「ム・ギ・ワラヤ~~~!?あァ!!?てめェ、誰だ小僧!!」
空に浮かぶピエロ顔の人が突然現れた潜水艦の主(アルジ)、ハートの海賊団船長トラファルガー・ローに怒鳴る。
「麦わら屋とはいずれは敵だが悪縁も縁!こんな所で死なれてもつまらねェ!!」
『……』
「そいつをここから逃がす!!!一旦おれに預けろ!!!――――おれは医者だ!!!」
―――助けられる命を助けなくて騎士を名乗れるか!!
『……!!』
ローの言葉と共にトールの叱咤が聞こえた気がした。途端、思考にかかっていた靄がパッと晴れる。
『馬鹿ですね、僕は。何を迷っていたのでしょう』
考えは決まった。もう迷いはない。
『“声のリミッター”を外します…』
「トラファルガー・ローです!!!“ノースブルー”のルーキー!!!
先日シャボンティ諸島“天竜人の一件”にて取り逃がした“麦わらのルフィ”と共犯の海賊!!潜水艦で救援に来た模様っ!!!」
ドドウン!!ドドン!!
潜水艦に向けて砲撃が放たれる。
「ロー船長!!」
「軍艦が沖から回り込んで来た!!」
ハートの海賊団クルーが叫ぶ。ローは空にいるバギーにルフィとジンベエを渡すように手を伸ばす。
「だからどこの馬の骨だってんだ」
「急げ!!!二人共だ、こっちへ乗せろ!!!」
渋るバギー。そんなバギーの耳にヒュンッと素早い音が聞こえた。焦げた匂いが鼻につく。
「ん??」
ドォ…ン!!
「!!!」
湾の先の何もない海の上で、巨大な爆発が起こった。バギーは自分の襟が焦げているのに目を見張る。
「置いてきなよォ~~~…“麦わらのルフィ”をさ~~~…!!」
「“黄猿”だ!!」
「――――ッ!!!?」
ロー達が叫ぶ。バギーは黄猿の攻撃に身体中の血の気が引いた。
「よしっ!!任せたぞ、“馬の骨”共~~!!せいぜい頑張りやがれ!!!」
「!」
身の危険を感じたバギーは、ロー達に向けポイッと二人を投げた。
「受け取れジャンバール!!」
「よし!それでいいんだ」
ペボは高く上げた両手の親指を立てる。
「海へ潜るぞ!!!」
「シャボンティじゃあ…よくも逃げてくれたねェ~…、トラファルガー・ロー~~~!!!」
「うわァ!!ひどい傷だよ。生きてるかな!!急ご…」
「“麦わらのルフィ”~~“死の外科医”ロー~…!!」
「くそ…」
黄猿の光がロー達に狙いを定める。ローがその光を見て奥歯を噛む、その瞬間だった。
「そこまでだァア~~~!!!!!」
大きな声が湾内に響き渡った。
「…………??」
「海兵!?」
「?」
「(コビー!!!)」
皆が疑問符を出す中、ヘルメッポは唯一、声を出した人間を心底心配していた。
その人物、コビーは赤犬の前に両手を広げ立ちふさがる。
赤犬は涙とケガによる出血でぐしゃぐしゃになったコビーに顔をしかめた。
「もうやめましょうよ!!!もうこれ以上戦うの!!!やめましょうよ!!!」
「何だコイツ…」
「……」
コビーの言葉に皆が手を止め、何が起こっているのか理解できないと顔を見合わせる。
コビーは身体中の力を振り絞って声を出した。
「命がも゛ったいだいっ!!!!」
―――――兵士一人一人に…!!帰りを待つ家族がいるのに!!!
「目的はもう果たしているのに…!!!戦意のない海賊を追いかけ…!!止められる戦いに欲をかいて……!!!!
今手当すれば助かる兵士を見捨てて…!!!その上にまだ犠牲者を増やすなんて」
「……?」
「今から倒れていく兵士達は……!!!まるで!!!」
「……。コビーか…!!」
「バカじゃないですか!!?」
コビーは赤犬に、この戦場にいる人間に力いっぱい訴えた。その叫びから数秒沈黙、我に返った赤犬がコビーを見下ろした。
「……!!……あァ??誰じゃい貴様ァ……!!」
赤犬のマグマが足を踏み出したと同時に生き物のように動く。
「…“数秒”…無駄にした……。正しくもない兵は海軍にゃいらん…!!!」
「え…」
赤犬はコビーに向かってまた一歩進む。その腕は赤く毒々しいマグマで覆われていた。
「ああああああああ!!!」
―――ドン!!!
「「「え……!!」」」
「……!!!」
「……よくやった…若い海兵」
赤犬のマグマを剣一本で止めた男、“赤髪”のシャンクスが言った。
コビーは泡を吹いて倒れる。
「お前が命を懸けて生み出した“勇気ある数秒”は良くか悪くか、たった今、“世界の運命”を大きく変えた!!」
「急げ」
「急いで中へ!!!」
突然生まれた数秒の隙。ハートの海賊団クルー達は艦内にすべり込む。
「……」
黄猿はそんなハートの海賊団の動きを見ながら再び光を集めようとした。しかしガチャっと引き金を引く音がその手を止める。
「!」
「何もするな“黄猿”!!」
「おォ~っとっとォ。ベン・ベックマン~~~…!!」
黄猿は手をあげ、驚いたように声を上げた。
「え……!!?」
「あれは…あの船……!!」
「なんでここに……!!」
「“四皇”がいるんだよ…!!!」
海賊達が息を飲む。海兵達は叫んだ。
「「「“赤髪のシャンクス”だァ!!!」」」
「……」
「!」
シャンクスは剣を鞘に戻すと、一歩足を進める。そしてあわを吹いて倒れたコビーの側に転がっている麦わら帽子を手に取った。
「この戦争を終わらせに来た!!!」
シャンクスの登場に戦場は騒然としていた。
「赤髪ィ!!?ルフィを海賊の道に引きずり込んだ男」
「……!!」
ガープは眉をひそめシャンクスを見る。センゴクも同じような厳しい顔つきでシャンクスに目を向けていた。
「赤髪海賊団だァ~~~!!!」
「“四皇”カイドウとの小競り合いはつい昨日の事」
「その当人がもうここに……!!?」
海兵達は口々に言う。その声は悲鳴に近い。
「バギー!!」
「!ん!!?」
シャンクスは手に持っていた麦わら帽子を投げた。
「そいつをルフィに!!」
「“麦わら”!!?」
シャンクスから投げられた麦わら帽子を受け取ったバギーは首を傾げる。シャンクスはさらにダメ押しをした。
「お前にあげたい地図があるんだが」
「ホントかオイ!!待ってろ、今届ける」
うひょーっと目玉が飛び出す程喜んだバギーは潜水艦に向かう。
「お頭ァ、10年振りのルフィだぞ。一目見ておかねェのか!?」
ラッキー・ルウがシャンクスに尋ねた。シャンクスはルフィが乗る潜水艦に背を向ける。
「一目、会いてェなァ…」
―――この帽子をお前に預ける
「キャプテン!“四皇”珍しいけど、早く扉閉めて!!」
「ああ…待て何か飛んで来る!」
「!」
「だが…」
―――いつかきっと返しに来い。立派な海賊になってな
「今会ったら……約束が違うもんな、ルフィ」
「おどれ“赤髪”…!!!ドラゴンの息子を…!!!」
「……」
怒る赤犬。一方パキパキと身体を氷に変えた青キジが動き出そうとしている潜水艦に目標を定める。
ジンは大きく息を吸った。
『“全ての攻撃を禁止します!!!”』
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