渡り鳥の仰ぐ空
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コンコンコン
「失礼します、クロスロード様。“面会の時間”ですので、ご移動願います」
『はい、今参ります』
部屋のドアがノックされ、ジンは返事を返す。
持っていた新聞を折り畳み、机に置くと部屋を出る。部屋の外には敬礼をした海兵が二人立っていた。
「それでは面会に際し、海楼石の錠をつけて頂きます」
『……』
ジンが両手を差し出すと、一人の海兵がジンの両手首に海楼石の錠をはめる。
それを確認したもう一人の海兵が歩き始めたのに続き、ジンも歩き始めた。
白ひげ海賊団と海軍が争った“頂上戦争”。あの日から、1ヶ月程経っていた。
ルフィと共に戦場から逃れたジンベエ。
ルフィを追うと戦場を出たハンコック。
赤髪との交戦を協定外だと言って戦場を去ったミホーク。
白ひげを殺し、能力を奪った黒ひげ。戦死したモリア……以上5名を除く七武海、
つまりドフラミンゴとジンだけが今もなお修繕が進められている海軍本部に留まっていた。
……と言っても、ジンは戦争以降ドフラミンゴの姿を見ていない。
ジンが部屋から出ないこともその要因のひとつではあるが、ドフラミンゴもまた別の思惑で本部内を動いているようだ。
その彼の行動が今の自分と交わることはないと感じたジンは、その存在を思考から除外した。
『(なにより、今日は待ちに待った日ですからね)』
ジンは歩きながらフッと、静かに微笑んだ。
今日は世界のトップとして絶対的な地位にいる“五老星”と面会するのだ。
―――面会の名目は“戦争で行った反逆行為”に対する尋問。
『(反逆も何も、僕は海軍に下った訳ではないのですが……)』
ため息交じりの心の声。そう言ってもこちらの都合など、彼ら(五老星)に通じることはないだろう。
ジンはふと足を止めた。視線は上へ注がれる。
そこには海のような真っ青な空が広がっていた。
【渡り鳥の仰ぐ空】
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