うわああああああ……！！！



マリンフォードが揺れる。海兵達は口々に叫んだ。

「マリンフォードが危ない！！！」

「“白ひげ”を止めろォ～～～～！！！」


ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ……！！


海軍本部大きなヒビが入る。マリンフォードの街も次々と崩れていった。


「本当に島ごと潰しちまう気だ！！！」

「「「オヤジィ～～～～～～～っ！！！！」」」

「オヤジを置いて行くなんていやだ！！一緒に帰ろう！！！」

「オヤジィ～～～！！」

「船長命令が聞けねェのか！！さっさと行けェ！！！アホンダラァ！！！」

白ひげはふん切りのつかないクルー達を怒鳴りつける。


「“白ひげ”を討ち取れェ！！！！」

「奴はもう瀕死だァ！！！」

ﾄﾞﾄﾞﾝﾄﾞﾄﾞﾝっと海兵は白ひげに砲撃する。しかし白ひげはそれを地震を付加した槍で薙ぎ払った。


「「「ぎゃああああ」」」


「急げ！！オヤジの言う通りにするんだよ！！」

「オヤジィ～！！」

「エース！！」

「………」

「出航の準備を！！船を出すぞォ～～～！！」

「マルコ隊長！！行きましょう！！」

「……オヤジ！！」

「センゴク元帥…！！」

ｶﾞﾗｯとガレキをどかしながら、センゴクは白ひげを見る。


「エースに気づかう事もなくなった今……奴は本気でこのマリンフォードを海に沈めるつもりだ！！！己の命と一緒にな……！！」

「ガープ中将！！ご無事で！！？」

頭から血を流しているガープがゆっくりと立ち上がる。


「時代に…“決着(ｹﾘ)”をか。頃合いじゃねェか…」





「キャプテンバギー！！映像電伝虫が意識を取り戻しました！！」

「よーし、映せ！！おれの雄姿！！このおれが“白ひげ”の首を取る瞬間をォ！！！」


――――シャボンティ諸島。


ｻﾞｻﾞｯと画面が揺れ、画面に色が現れる。映像を見ていた住人が叫んだ。


「あ、映ったァ―――！！」

「「「！！！」」」

「刺された“白ひげ”はどうなった！！？」

[あー]

「傘下の海賊達は全滅したのか！！？」

[あー]

「誰か映ったぞ！！！」

映像を見る人々から声が上がる。映像では、煙の先の人物が振り返った。


[こんにちは、お前達！！バギーだ！！！伝説の]

「「「またお前かァァァー――――！！」」」





―――マリンフォード オリス広場

「海岸へ急げェ～～～！！」

「海賊達を逃がすな！！」

「ひとりでも多く討ち取れェ～～～！！」


ﾄﾞﾄﾞﾝﾄﾞﾄﾞﾝ…！！！


広場から逃走する海賊達、そしてそれを追う海兵達でマリンフォードは混乱していた。しかし、海兵達の前には白ひげが立ちはだかる。


「お前らの相手は…！！！このおれ一人だァ！！！」

「「「………！！！？」」」


ドゴォォォォン……！！



「ジョズ隊長ォ～～～～！！！」

「まだ生きてるんでしょ！！？一緒に…うわ！！？」

「ブレンハイム！ジョズを運んでくれ！！」

氷漬けになったジョズをクルー達は必死で運ぶ。




「麦わらボーイ！！何をつったんでオッチャブル！！」

「エース！！」

イワンコフの呼びかけと同時に、ルフィはエースを呼ぶ。エースは白ひげを見たまま立ち尽くしていた。


「行こう！！おっさんの覚悟が無駄になる！！」

「……っ！！わかってる！！無駄にァしねェ！！」

エースはそう言うと拳を振り上げた。

「お前らどけェ！！！」

「「「うわああああああ」」」

「……！」

エースは周辺の海兵達焼き払う。そして誰もいなくなったその場所で、白ひげに向けて土下座をした。

「……ﾊｧ……ﾊｧ…」

「……言葉はいらねェぞ……」

「……」

「……ひとつ聞かせろ、エース……」

「…？」

「おれがおやじでよかったか？」

「勿論だ……！！！！」

エースはためらいもなく、はっきりと大きな声で言った。


「グラララララ…」

白ひげは本当にうれしそうに笑った。





「走れ～～～船に走れ～～～！！」

「エースさん、ルフィ君、前を走れ！！」

「「ジンベエ」」

白ひげに別れを告げたエースとルフィはジンベイと合流する。ジンベエの目からは涙が零れている。

「お前さん達ァ、狙われておる！！一人でも多く生き残る事がオヤジさんの願いじゃ！！」

白ひげ海賊団は攻撃と後退を繰り返し、徐々に海岸へ向かう。

「軍艦を奪ったぞォ～～～～！！早く乗れェ！！！」

「急ぐのじゃルフィ…！！」

ハンコックは息をのんで、白ひげ海賊団の撤退を見守っていた。


「本気で逃げられると思うちょるんかい……！！めでたいのう」

「サカズキ大将！！」

「処刑台が破壊されてるぞ！！」

「エースはどうなったんだ！！？白ひげを映してくれ！！」

「危ねェ！！“赤犬”だ！！」

「「「うわああああああ！！？」」」


ドゴォォォォン……！！


赤犬のマグマの拳が容赦なく後退する海賊達を襲った。


「エースを解放して即退散とは、とんだ腰抜けの集まりじゃのう、白ひげ海賊団。船長が船長…それも仕方ねェか……！！
白ひげは所詮…先の時代の“敗北者”じゃけェ…！！！」

「！！」

「エース！！？」

ｻﾞｯ！！っとエースは表情が凍りつき足を止める。


「ﾊｧ…ﾊｧ…“敗北者”……？」

「？」

「取り消せよ……！！今の言葉…！！」

エースは赤犬を睨んだ。


「おい、よせ！エース！！立ち止まるな！」

「エース！！！」

「あいつはオヤジをバカにしやがった……」

「エース！！！！」

「お前の本当の父親に阻まれ“王”になれず終いの永遠の“敗北者”が“白ひげ”じゃァ。どこに間違いがある…！！」

赤犬は言いきると、さらに付け足した。


「オヤジ、オヤジとゴロツキ共に慕われて…家族まがいの“茶番劇”で海にのさばり…」

「やめろ……！！」

「……何十年もの間君臨すれど“王”にはなれず…何も得ず！！終いにゃあ口車に乗った息子という名の“バカ”に刺され…！！それを守るために死ぬ！！！
実に空虚な人生じゃあありゃせんか？」

「やめろ……！！！！」

エースは怒鳴った。イゾウが叫ぶ。


「のるなエース！！戻れ！！！」

「オヤジはおれ達に生き場所をくれたんだ！！！お前にオヤジの偉大さの何がわかる！！！」

炎を身体から発するエース。赤犬は己の腕をマグマに変える。


「人間は正しくなけりゃあ生きる価値なし！！！お前ら海賊に生きる場所はいらん！！！」

「！！」

「“白ひげ”は敗北者として死ぬ！！！ゴミ山の大将には誂え向きじゃろうが！！」


―――おれを救ってくれた人をバカにすんじゃねェ！！！


「“白ひげ”はこの時代を作った大海賊だ！！！！
―――この時代の名が！！“白ひげ”だァ！！！！」

「やめろ！エース！！」

制止の声もむなしく、エースは赤犬に立ち向かった。赤犬もそれに応戦する。


ｼﾞｭﾜ……！！


「！！！うわぁああ」

エースはマグマに焼かれ、地面に倒れ込む。皆は驚いた。


「エースが焼かれた！！？」

「エース！！」

「“自然系”じゃいうて油断しちょりませんか？お前はただの“火”。わしは“火”を焼き尽くす“マグマ”じゃ！！
わしと貴様の能力は完全に上下関係にある！！！」

「エー……ス…！！……うっ……」

エースの下に行こうとしたルフィは膝から崩れ地面に座り込んでしまった。


「おい、ルフィ君！！お前さん、もう限界じゃ！！」

「ﾊｧ……ﾊｧ……？」

息を整えるルフィの目にﾋﾗﾘと紙が落ちる。


「あ、エースの…ビブルカード…」

「“海賊王”Ｇ(ｺﾞｰﾙﾄﾞ)・ロジャー、“革命家”ドラゴン！！この二人の息子達が義兄弟とは恐れ入ったわい……！！
貴様らの血筋はすでに“大罪”！！！誰を取り逃がそうが！“貴様ら兄弟”だけは絶対に逃がさん！！！
―――よう見ちょれ…」

赤犬はそういうとｷﾞﾛｯと視線をルフィに向ける。エースはﾊｯとした。


「…おい！！待て！！！」

「！！！」

「ルフィ！！！！」

ルフィは気配を感じ顔を上げる。しかしその時にはすでに赤犬のマグマが迫って来ていた。


「！！！」


ｺﾞｫ……ドン！！！


「！！！」

エースの身体がマグマの拳に貫かれている。


「え」

ルフィは己の目を疑った。



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