「氷の壁が無くなった……！！」

「……この軍艦も使えるぞ……！！」

「……！！これじゃ…いつでもおれ達逃げられる……！！」

「！！オヤッさん……！！」

「………！！やっぱりウソだ！！！海軍の作戦だったんだ畜生ォ…！！」

「……」

沸き立つ傘下の海賊団。白ひげを見るクロコダイルはｷﾞﾘｯ…と葉巻を噛む。


「(“弱ェ男”か…勝手な事言いやがって…。勘弁しろよ、ワニ小僧…！！
おれだっておめェ…心臓一つの人間一人。
悪魔だの怪物だのと言われようとも…いつまでも“最強”じゃいられねェってんだよ……！！！)」

白ひげは胸の傷を抑える。


「(若ェ命をたった一つ未来につなげりゃお役御免でいいだろう……！？)」

「オヤジ…」

白ひげは処刑台で心配するエースを一瞥すると槍をｶﾞﾝｯとﾋﾞｰｸﾍｯﾄﾞに叩きつけた。


「おれと共に来る者は命を捨ててついて来い！！！」


「「「ウオオオオオオオおお！！！」」」

白ひげ海賊団、そして傘下の海賊達が歓声を上げる。白ひげはモビーディック号を飛び出した。


「行くぞォ～～～！！！！」

「構えろォ！！！暴れ出すぞ！！！世界最強の男がァ！！！！」

「“白ひげ”が…！！！動いたァ～～～！！！」

「オヤッさんに続けェ～～～！！！」

「オヤジに道を開けろォー！！！」


わああああああぁぁ！！


「スクアードの奴……！！海軍にダマされてオヤッさんを刺したんだ…！！！こんな間抜けな事はねェ！！」

「―――それは一体……！！どれ程辛ェ事だよ！！！」

「「「許さねェぞ“海軍”～～～～～っ！！！」」」

「………！！」


「おれは…何て事を……！！！すまねェ、オヤッさん……！！すまねェ………！！…………エース！！畜生ォ…！！
大好きなオヤッさんを……！！おれァ疑って……！！！」

「スクアード！！」

厳しい目をしたマルコは戦場に目を向けながらスクアードに話し掛ける。


「泣く事が報いる事かよい………！！」

「！」







「―――！！すげェなあのおっさん。刺されたのにっ！！」

ルフィは湾内に降り立った白ひげに驚いていた。


「………く！！」

「ルフィ君」

「とにかく今はエースだ！！！」

「ジンベエ！！アレをご覧ナサーブル！！いつの間にか敵は全員広場へ上がってるわ！！」

「んん…！！悪い予感しかせんわい。―――だが、オヤジさんが動いた！！もう考えとる場合じゃない」

ジンベエはそういうとルフィを追って走り出した。







「広場にゃ上げんぞ、“白ひげ海賊団”！！！」

「！！？」


ドゴォォン！！


「うわああああ！！」

「ジョン・ジャイアントだァ！！！」

「！」

巨人族の海兵、ジョン・ジャイアントが海賊をなぎ払う。そのまま、刀を白ひげに振り上げた。


「！！」


ガキィン！！！


「邪魔だなおい…！！」

「ここは通すわけにいかんのだァ！！」

「……」

ががっ！！白ひげは槍を地面に刺すと空気を掴んだ。


「ぬう！！！」

「！！？え…！！？バランスが………」

ｸﾞﾗｯとジョン・ジャイアントの体が揺らぐ。


「わァ！！！地面が傾く！！！」

「オヤッさんには近づくなァ～～～！！！」

「うわァ」

それと平行するようにマリンフォードにいる海兵や海賊達もバランスを失い、地面に這いつくばる。


「地震所じゃねェ！！！」

「島ごと海も！！！傾いてるんだ！！！」

「うわああああぁぁ」

「ﾌｯﾌｯﾌｯﾌｯﾌ！！何てデタラメなジジイだよ！！！」

「うわァ！！立ってられねェ！！！」

「町が崩れる！！」

「うわああああ！！」


ドォン！！！


「……………！！」

白ひげはバランスを崩したジョン・ジャイアントを振動で殴りつける。振動がジョン・ジャイアントの身体をﾋﾞｷﾋﾞｷと破壊した。
そして振動はそのまま地面を駆け抜ける。


「止まらねェ！！うわっ！！」

「ぎゃああああ！！」

「やっちまえ、オヤジィ～～～！！」

白ひげの振動が処刑台に真っ直ぐ伸びる。


「処刑台に届くぞ！！！行け！！ぶっ壊せェ～～～！！！」


ズドォォン！！！！


「よっしゃァア！！！」

海賊達から歓声が上がる。砂煙の舞った。海兵が声を上げる。


「町が！！！」

「！？処刑台には当たってない！！！」

「何で逸れたんだ！？」

「「「あ」」」

海賊達が処刑台を見て、声を上げる。


「「「“三大将”！！！」」」

処刑台を守るように手を前に出す三大将。三人の力で白ひげの振動は逸らされたのだ。


「さっさと包囲壁張らねェからだ」

「お前の氷のせいじゃろうがい…！！！」

「オー…君が溶かせばいいよォー……！！サカズキ」








マリンフォード広場

「……政府が謀ったのか」

『―――内部を乱し、外から攻め立てる。政府の常套手段です』

「「「！」」」

ハンコックが呟いた言葉に細かな紙となっていたジンが姿を現わす。これで七武海が全員広場に集まった。


「「……」」

「ﾌﾌ…知ったような口だなァ。まるで“されたことがある”みてェじゃねェか……なァ、“渡り鳥”」

ﾆﾔﾆﾔと笑いながらドフラミンゴがジンを見下ろす。ジンはドフラミンゴに軽蔑の目を向けた。


『……』

「ﾌｯﾌｯﾌｯ。睨むこたっァはねェだろ。輪を乱される奴らが馬鹿なだけじゃねェか」

『……。ﾌｯ…』

ジンはｸｽｯと笑うとドフラミンゴに微笑んだ。


『ドンキホーテ・ドフラミンゴさん。貴方のおっしゃる通りです』

「ﾌﾌﾌｯ。やけに聞き分けがいいじゃねェか」

ドフラミンゴは眉をひそめる。ジンは金時計で時間を確認し、ｶﾁｬｯと蓋を閉じた。


『貴方と争うことは今の僕の利益にはなりません。なにより、無駄な体力は消費したくありませんので』

「キシシシ！相変わらず生意気な野郎だァな、渡り鳥ィ」

『……』

モリアが忌々しそうに声を上げる。ジンはその声を無視し、湾内に目を向けた。

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