白ひげ海賊団襲来

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海軍本部
――時刻はちょうど12時、正午を刻む。

「処刑3時間前です。罪人を処刑台へ送ります!!」

「階段を上れ……!!」

「……」

両腕を海楼石の錠と鎖で繋がれたエースは、階段に足をかける。この階段を上るまでが罪人に与えられた最後の生の時間。
カツン…カツン…と一歩ずつ上がる階段は長いのかそれとも短いのか。幾人の罪人が、自らの足で階段を上り終えた先にある“死”へ行ったのか。
つい、そんな事を考えてしまいそうになる。



―――いいか、ルフィ


エースは階段をおぼろ気に見つめながら、海の見えるあの場所、あの日を思い出していた。


―――おれ達は絶対に、くいのない様に生きるんだ!!


――うん!!


エースの記憶に浮かぶのは、自分と同じ様に海を見つめる弟。そして力強く、自分の言葉に答える声。

「止まれ」

「門を開けるぞ」

ガチャっとエースを挟む様に立つ処刑人のひとりが、巨大な扉の鍵を開ける。


ガコ……


ゆっくりと分厚く重い扉が開かれる。 外の光が扉から漏れ、エースは一瞬目を瞑った。



―――いつか必ず海に出て!! 思いのままに生きよう!!

 

扉が人が通れる程まで開く。 エースは目を開け、外を見た。

「………」

大好きな海は正義の門に阻まれていたが、空はもう一度見ることが出来た。カツン…とエースはゆっくり一歩を踏み出す。それと同時にあの日ルフィに言った言葉が頭に響いた。


―――“誰よりも自由に!!!”







シャボンティ諸島。

海軍本部のある島、“マリンフォード”には主に海兵達の家族が暮らす大きな町がある。現在住人達には避難勧告が出ており、避難先のシャボンティ諸島からモニターによって人々は公開処刑の様子を見守っていた。
各所より集まった記者やカメラマンもまた、ここから世界へ情報を一早く伝えるべく身構えている。

「おい、見ろ!! エースが出てきたぞ!!」

ひとりの記者の言葉に観衆の視線がモニターに注がれた。エースが処刑台に繋がれる。これで準備は整った。
しかし“白ひげ海賊団”の動向は結局わからぬままで緊張は隠せない。そんな緊張感のある雰囲気を纏いながら、せまる処刑の時間までとうとう……3時間を切っていた―――







マリンフォード“海軍本部”

「緊張を解くな!!! 何が起きてもあと3時間!! そこで全てが終わる!!!」

巨人の海軍中将、ジョン・ジャイアントがその巨体を生かした声量で士気を煽る。それに呼応して海軍将校達が手に手に武器を掲げ、自身を鼓舞した。

「皆様はこちらで待機してください。作戦はお知らせした通りです!!」

将校の最後の説明を受ける5人の七武海は港から見える軍隊の最前列に並ぶ。この戦局で鍵となるであろう彼らは、正義の門のはるか先からやって来る、“白ひげ”を今か今かと待つ。
10万もの海兵、そして50隻の船がひしめくマリンフォード。その広場の最後尾に高くそびえる処刑台には、事件の中心人物“白ひげ海賊団”2番隊隊長、ポートガス・D・エースが運命の刻を待つ―――

その眼下で処刑台を堅く守るのは海軍本部“最高戦力”――3人の“海軍大将”。今考え得る限りの正義の力が、エース奪還を阻止する為、“白ひげ海賊団”を待ち構える。
――そして“次期七武海”としてのその力に加わることとなった“渡り鳥”クロスロードジンも戦場に立っていた。

『見晴らしは悪くない様ですね』

七武海と同じ場所に立つジンはシルクハットを少し上げ、青い目で辺りを見渡した。

『……』

(それにしても、僕が七武海とは…)

ジンは神妙な面持ちで左手に収まっている金時計を見る。

「キシシシ。なんだびびってんのか、“渡り鳥”ィ」

モリアが見下す様に笑いかける。ジンは息をつき、静かに言った。

『ご心配なく。僕はこの程度で恐怖は感じませんので』

「ケッ…つまんねェ」

モリアはそっぽを向く。ジンは金時計のフタを閉じた。

(それにしても……)

ジンはチラッと視線を一瞬隣に立つハンコックに向ける。

(ルフィさんはここに来るのだろうか)

ジンが見るハンコックはまっすぐ正義の門を見据えていた。まるで彼を、ルフィを待っているかの様に。ジンは視線を港に戻した。

(ルフィさん……貴方とは戦いたくないですね)
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