白ひげ海賊団襲来
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――――――
―――
バーソロミュー・くまと出会った日のことは、今でも忘れない。
あれは“白紙の日 ”から2日程たった日のことだった。
『ーーーー貴方が“暴君”バーソロミュー・くま…ですか…』
ジンは柄も刃も白く、見かけよりも精度にこだわった小振りな“鎌”をくまに向ける。くまは聖書を捲りながら、戦闘体制を崩さないジンを見下していた。
「……。お前がノースブルーの“渡り鳥”か」
『…だとしたら、なんです』
ジンはくまを睨み付けながら、素っ気なく答える。くまは聖書を閉じた。
「――不運な男だ。お前は“背負わなくてもいいもの”を背負い。そのせいで政府に追われるだけで済まなくなった…」
『“黙りなさい”…!!』
ビリビリ…!!とくまの脳にジンの言葉が走る。
「……っ!」
『うっ!!』
ジンは“赤くなった”右目を抑えた。
「……。なかなかの拘束力だ。だが力が暴走してるせいか、集中出来ない様だな」
『……っ…ハァ。貴方には“関係ない”…!! 早々に立ち去って頂きます…!!』
「確かにお前達のことは知らない。だが、お前ももうここにいる理由はあるまい」
『!!――そんなことありません…!!』
ジンはくまに鎌で斬りかかる。
ガキィン…!!
『……なっ!!』
「無駄だ。おれの硬度は鉄以上、“紙”のお前には斬れん」
くまはそれだけ言うと手袋を外していない手でジンに殴りかかる。
『!!――“無数の聖書 ”…!!』
「……!」
ジンは細かな紙になり、くまの下から逃げ、距離を取る。
『ハァ…ハァ……』
「“紙”は“自然系 ”か。なかなか上手く使う」
『…っ。かの、“暴君”にお褒め頂けるとは、光栄ですね』
ジンはくまの言葉に笑って返した。
「……」
『“栞 ”!!』
くまは聖書を脇に抱え、手袋を外す。一方ジンの頭上には無数の栞が現れる。
『“強度、鋼”……!! 貴方のその硬さをこれで“貫きます”!』
ジンは鎌を持っていない手を前に出す。それを合図に無数の栞がくまに襲いかかった。くまは栞を見据えたかと思えば、ぐっと足を広げ四股を踏む。
「“紙”と“声”、2つの能力を組み合わせて来たか……“つっぱり圧力 砲”…!!」
くまが掌の肉球で大気を何度も弾く。弾かれた大気は肉球の形になり栞に当たった。
ボボボボボボボ!!
ジンの栞は肉球の形をした大気とぶつかり、破裂。紙は無残にも消えていった。
「だが、まだ甘い」
『……。“暴君”バーソロミュー・くま…。貴方も…ハァ…“能力者”でしたか』
「ああ。おれは“ニュキニュキの実”を食べた“肉球人間”。この肉球はあらゆるものを“弾き飛ばす”」
『……面白い能力ですね。……っ!!』
体の力が抜け倒れそうになる。ジンはザクッと鎌の柄を地面にさし、なんとか体制を保った。
『ハァ…ハァ…(くっ…体が思う様に動かない……)』
「……潮時か」
ポンッ!!
『!?』
ジンの視界からくまが消える。
「こっちだ」
気配を捉えようとした次の瞬間、ジンは体を両手で捕まれた。
『……ぐっ!!』
「……。さすがに限界を向かえた今のお前ではつまらんな」
ジンはくまの手から抜け出そうとするが体が動かない。
『……ハァ……ハァ…“離し”なさ……うぅ!!』
ジンは“コエコエの能力”を発動しようとして激しい頭痛に襲われる。
「止めておけ。それ以上の能力の使用は“死”を招くぞ」
『……ハァ…“関係な”…い。…“離”……ぐぅっ!!!』
くまの言葉を聞き入れず、能力を行使しようとしたジンにくまは手に力を入れることで阻んだ。
『…かはっ』
くまは少し力を緩める。ジンは荒く息を吐く。
「かなり弱っているな。能力が移ってから3日…。何の手も講じていないためか」
『……そんな暇を、与えないのは…貴方達ですよ』
自嘲気味に笑うジンの言葉にくまは納得した声を出した。
「なるほどな」
『?』
「すでに実験は始まっている様だ」
『実、験…?』
ジンの疑問にくまは答えず、息も絶え絶えのジンに問う。
「“渡り鳥”…お前はなぜ戦う?」
『……。僕は…ハァ…貴方達からお嬢様とお嬢様の夢を“護る”と決めた…!! それを、全うする…だけです!!!』
「“死人”を護るか。…だがそれ以上にお前が“背負い込んだもの”は大きい」
『……ハァ…ハァ』
「愚かだな」
『……ハァ…ははは』
「?」
ジンが息を切らしながら笑う。くまはそんなジンを不思議そうに見た。
『貴方は勘違いをしていますよ、“暴君”…バーソロミュー・くま。……僕は“背負った”んじゃない…!―――彼女の想いを“受け継いだ”んです…!!』
「………」
ジンは息を整えつつ、続ける。
『……だから、お嬢様には“手を出させません”……!!』
「……」
(もう少しだけ体が動けば…能力が使える)
ジンはグッと体に力を入れ様とした時、くまが話す。
「心配しなくていい」
『?』
「“おれ”の任務はお前を生きたまま連れ帰ることだ。“あの女”を連れ帰ることではない」
『??……僕を連れ帰る…?』
「そうだ。ペガパンクが欲してるのは“お前”だ」
『……どう言う…』
「“赤目の女”の一族の調査は粗方終えている」
ジンの言葉を遮る様にくまが話す。
「そこに“能力を二つ所有していても死んでいない能力者”が――お前が現れた」
ジンはくまの言いたいことを理解し、冷笑を浮かべる。
『…“僕”が、新しい…研究対象、と言う訳ですか……』
「そうらしいな。能力を二つ持つ人間はいない。前例がない分、あいつは隅々まで調べるはず…。ならばこの連続戦闘もおれとの戦闘も全ては実験と考えられる」
『…ハァ…なるほど。そう言うことですか…。貴方達は…本当に……、どこまで行っても、人を人として見ないのですね』
「……確かにな」
『……ハァ。では、僕が従えば…お嬢様には手を出さないと…?』
「あいつの興味は“お前”に移ったらしいからな。ここもこのまま閉鎖だ」
『……そうですか……。なら彼女は……』
ジンはそこでフッと力が抜け、だらりと手が下がる。そしてそのまま意識を手放した。
*
『………』
(次に起きた時はペガパンクの研究室で……本当に隅々まで調べられましたね)
ジンは苦い思い出に苦笑する。そして再びジンはくまを見た。
(そして僕が研究室から逃亡する際に手を貸して下さったのもバーソロミュー・くまでした)
なのに…
―――おれには時間がない
くまの横顔を、ジンの青い目がじっと見る。
(僕にはわからない。感情を…自分を無くし兵器となることを、なぜ貴方が望んだのか……)
ジンはシルクハットを前に少し下げ、くまから目を背けた。
『……貴方には諸々のお礼を言いたかったのですが…。本当に残念です』
―――
バーソロミュー・くまと出会った日のことは、今でも忘れない。
あれは“
『ーーーー貴方が“暴君”バーソロミュー・くま…ですか…』
ジンは柄も刃も白く、見かけよりも精度にこだわった小振りな“鎌”をくまに向ける。くまは聖書を捲りながら、戦闘体制を崩さないジンを見下していた。
「……。お前がノースブルーの“渡り鳥”か」
『…だとしたら、なんです』
ジンはくまを睨み付けながら、素っ気なく答える。くまは聖書を閉じた。
「――不運な男だ。お前は“背負わなくてもいいもの”を背負い。そのせいで政府に追われるだけで済まなくなった…」
『“黙りなさい”…!!』
ビリビリ…!!とくまの脳にジンの言葉が走る。
「……っ!」
『うっ!!』
ジンは“赤くなった”右目を抑えた。
「……。なかなかの拘束力だ。だが力が暴走してるせいか、集中出来ない様だな」
『……っ…ハァ。貴方には“関係ない”…!! 早々に立ち去って頂きます…!!』
「確かにお前達のことは知らない。だが、お前ももうここにいる理由はあるまい」
『!!――そんなことありません…!!』
ジンはくまに鎌で斬りかかる。
ガキィン…!!
『……なっ!!』
「無駄だ。おれの硬度は鉄以上、“紙”のお前には斬れん」
くまはそれだけ言うと手袋を外していない手でジンに殴りかかる。
『!!――“
「……!」
ジンは細かな紙になり、くまの下から逃げ、距離を取る。
『ハァ…ハァ……』
「“紙”は“
『…っ。かの、“暴君”にお褒め頂けるとは、光栄ですね』
ジンはくまの言葉に笑って返した。
「……」
『“
くまは聖書を脇に抱え、手袋を外す。一方ジンの頭上には無数の栞が現れる。
『“強度、鋼”……!! 貴方のその硬さをこれで“貫きます”!』
ジンは鎌を持っていない手を前に出す。それを合図に無数の栞がくまに襲いかかった。くまは栞を見据えたかと思えば、ぐっと足を広げ四股を踏む。
「“紙”と“声”、2つの能力を組み合わせて来たか……“つっぱり
くまが掌の肉球で大気を何度も弾く。弾かれた大気は肉球の形になり栞に当たった。
ボボボボボボボ!!
ジンの栞は肉球の形をした大気とぶつかり、破裂。紙は無残にも消えていった。
「だが、まだ甘い」
『……。“暴君”バーソロミュー・くま…。貴方も…ハァ…“能力者”でしたか』
「ああ。おれは“ニュキニュキの実”を食べた“肉球人間”。この肉球はあらゆるものを“弾き飛ばす”」
『……面白い能力ですね。……っ!!』
体の力が抜け倒れそうになる。ジンはザクッと鎌の柄を地面にさし、なんとか体制を保った。
『ハァ…ハァ…(くっ…体が思う様に動かない……)』
「……潮時か」
ポンッ!!
『!?』
ジンの視界からくまが消える。
「こっちだ」
気配を捉えようとした次の瞬間、ジンは体を両手で捕まれた。
『……ぐっ!!』
「……。さすがに限界を向かえた今のお前ではつまらんな」
ジンはくまの手から抜け出そうとするが体が動かない。
『……ハァ……ハァ…“離し”なさ……うぅ!!』
ジンは“コエコエの能力”を発動しようとして激しい頭痛に襲われる。
「止めておけ。それ以上の能力の使用は“死”を招くぞ」
『……ハァ…“関係な”…い。…“離”……ぐぅっ!!!』
くまの言葉を聞き入れず、能力を行使しようとしたジンにくまは手に力を入れることで阻んだ。
『…かはっ』
くまは少し力を緩める。ジンは荒く息を吐く。
「かなり弱っているな。能力が移ってから3日…。何の手も講じていないためか」
『……そんな暇を、与えないのは…貴方達ですよ』
自嘲気味に笑うジンの言葉にくまは納得した声を出した。
「なるほどな」
『?』
「すでに実験は始まっている様だ」
『実、験…?』
ジンの疑問にくまは答えず、息も絶え絶えのジンに問う。
「“渡り鳥”…お前はなぜ戦う?」
『……。僕は…ハァ…貴方達からお嬢様とお嬢様の夢を“護る”と決めた…!! それを、全うする…だけです!!!』
「“死人”を護るか。…だがそれ以上にお前が“背負い込んだもの”は大きい」
『……ハァ…ハァ』
「愚かだな」
『……ハァ…ははは』
「?」
ジンが息を切らしながら笑う。くまはそんなジンを不思議そうに見た。
『貴方は勘違いをしていますよ、“暴君”…バーソロミュー・くま。……僕は“背負った”んじゃない…!―――彼女の想いを“受け継いだ”んです…!!』
「………」
ジンは息を整えつつ、続ける。
『……だから、お嬢様には“手を出させません”……!!』
「……」
(もう少しだけ体が動けば…能力が使える)
ジンはグッと体に力を入れ様とした時、くまが話す。
「心配しなくていい」
『?』
「“おれ”の任務はお前を生きたまま連れ帰ることだ。“あの女”を連れ帰ることではない」
『??……僕を連れ帰る…?』
「そうだ。ペガパンクが欲してるのは“お前”だ」
『……どう言う…』
「“赤目の女”の一族の調査は粗方終えている」
ジンの言葉を遮る様にくまが話す。
「そこに“能力を二つ所有していても死んでいない能力者”が――お前が現れた」
ジンはくまの言いたいことを理解し、冷笑を浮かべる。
『…“僕”が、新しい…研究対象、と言う訳ですか……』
「そうらしいな。能力を二つ持つ人間はいない。前例がない分、あいつは隅々まで調べるはず…。ならばこの連続戦闘もおれとの戦闘も全ては実験と考えられる」
『…ハァ…なるほど。そう言うことですか…。貴方達は…本当に……、どこまで行っても、人を人として見ないのですね』
「……確かにな」
『……ハァ。では、僕が従えば…お嬢様には手を出さないと…?』
「あいつの興味は“お前”に移ったらしいからな。ここもこのまま閉鎖だ」
『……そうですか……。なら彼女は……』
ジンはそこでフッと力が抜け、だらりと手が下がる。そしてそのまま意識を手放した。
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『………』
(次に起きた時はペガパンクの研究室で……本当に隅々まで調べられましたね)
ジンは苦い思い出に苦笑する。そして再びジンはくまを見た。
(そして僕が研究室から逃亡する際に手を貸して下さったのもバーソロミュー・くまでした)
なのに…
―――おれには時間がない
くまの横顔を、ジンの青い目がじっと見る。
(僕にはわからない。感情を…自分を無くし兵器となることを、なぜ貴方が望んだのか……)
ジンはシルクハットを前に少し下げ、くまから目を背けた。
『……貴方には諸々のお礼を言いたかったのですが…。本当に残念です』