『静かですね……』

呟いたその言葉は誰に言った訳でもなく、開いた窓の外にとけて消える。今は比較的自由な時間で円卓の部屋に留まっている七武海はジンとミホークのみ。
海軍の大参謀、つるも今は姿を見せず、部屋端に囲う様に立つ将校クラスでない海兵達が監視するだけだった。

「か…“海賊女帝”ボア・ハンコック様…！！　到着されました！！」

扉を守る海兵の舞い上がった声にジンは思考を止める。ミホークも目を開けた。

『不動の“女帝”ついに到着ですか』

ジンは自然に入口へ目を向ける。

「まったくわらわをどれだけ歩かせる気じゃ…！！」

入口の方からｶﾂｶﾂと甲高いヒールの音と不機嫌な女性の声が聞こえる。そして海兵達の黄色悲鳴を従え、黒髪の絶世の美女が部屋に現れた。




【“海賊女帝”ボア・ハンコック】