不思議なマジシャン
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その頃、一人行動のゾロは……
「それなりの刀しかねェか。しかも高ェから買えやしねェ」
少し前に出た武器屋からとぼとぼと歩くゾロは悪態をつきながら歩いていた。 とりあえず道なき道をかき分けて行く。すると、崖に着いた。
「ん? こっちじゃなかったか? 確かめしやが近くにあるはず……」
ゾロは見覚えがまるでない景色に首を傾げ、キョロキョロと辺りを見渡す。すると、夕日が輝く地平線をバックに自分を見ている人影を見つけた。
同時刻、ジンは散歩で街を回っていてたまたま景色のいい崖を見つけ、眺めていた。地平線に沈む夕日と上に広がる闇を見て心を震わせる。
そうして立っていると、ガサガサと林の方から不自然な音がした。ジンは気配から人だと判断する。
『僕の他にもお客さまがいらっしゃったみたいですね』
地平線を眺めるのをやめ、音と気配がする方に目を向ける。しばらくしてそこから出てきたのは緑頭の屈強な男。
刀をさしているところから剣士だろうと推測したが、3本の刀を見て首を傾げる。
『どこかで見た方ですね』
ジンの考えをよそにキョロキョロしている剣士。どうやらこちらに気づいたようで少し早足で歩み寄ってきた。
「……おい、ちょっといいか?」
とりあえず、道を聞かなければ、そう思いゾロは声をかける。
「!!」
さっきまで逆光でよく見えなかったが、この人物(たぶん女)は右側を覆う少し大きめの、どこぞの海賊みたいな眼帯をしていた。
『はい、何でしょうか?』
ジンはそんなことも気にせず、ゾロに笑顔で問いかけた。彼の姿に一瞬動揺していたゾロは彼の言葉に平静を取り戻す。
「ああ、すまねェ。ここらに酒が飲めるめしやがあるっと思うんだが、おまえ知らねェか?」
その問いにジンはきょとんとした顔でゾロを見て答えた。
『“めしや”ですか…?あの、僕がお世話になっているところなら分かりますが、こことは逆方向ですよ?』
「(やっちまった……)」
ゾロは、はぁっとため息をつき、頭を掻いた。その様子をみたジンはこんな屈強な男が道に迷っているのかっと、クスッと微笑む。
ゾロは少しムッとした顔になった。
『あっ、すみません。そんなつもりではないのです』
素直に頭を下げるジンにゾロは気にしてねェっよと呟く。二人の会話はそこで途切れ、少し間が空く。次の言葉を思案していたゾロにジンはあの…っと声をかける。
『僕も今から帰りますが、よろしければご一緒に“めしや”に行きませんか?』
「いいのか?」
『ええ、もちろん』
自分から頼むつもりでいたゾロはありがたいその話に快諾する。
「じゃあ、頼む」
ゾロが言うとジンは頷き、では参りましょう、とゾロを先導するように歩き始めた。ジンは歩きながらゾロの顔と3本の刀を失礼のない程度に交互に見る。
(たぶん、というか。確実に“海賊狩り、三刀流のゾロ”ですよね)
ほぼ正解だろうが、ジンはあえて聞くことにした。
『ところで、まだお名前をお伺いしていませんでした。よろしければ教えていただけますか?』
「ああ、そうだったな。おれはロロノア・ゾロ。海賊だ」
あっ、とゾロはいつもの癖で海賊ということまで明かしてしまったことに気づく。ジンは答えを得て納得。しかし思ったより親しみやすいゾロに好感を持った。
『大丈夫ですよ。と言いますかほぼ確信を持っての質問でした。麦わら一味の“海賊狩りのゾロ”はとても有名ですので』
「有名ねぃ…であんたは?」
『僕はジンと言います。ファミリーネームは控えさせてください』
“有名”という言葉と、名前を隠すジンに口角を吊り上げたゾロは尋ねる。
「それを知ってるってことは、ジンは賞金稼ぎか?」
この島にある手配書の壁のこともあり、ジンが自分を狙う賞金稼ぎであってもおかしくない。ゾロはそんなことを考える。
しかしジンからは殺気の欠片も感じない。一応用心はしているが、それも気疲れで終わりそうだな、なんて思っていたところだったので、少し気を引き締めなおす。
しかし、
『いえ、賞金稼ぎではありません』
とゾロの考えも虚しく、ジンは否定した。
「じゃあ、何者なんだ?」
『秘密です』
「…………」
ゾロはジンの返答にあきれたように視線をよこす。
『……あの、なんだか視線が痛いです。ロロノア・ゾロさん』
「いや…、ってかゾロでいい」
『あっ、すみません。これは癖なのです。不快ですか?』
「まぁ、かまわねぇが」
『ありがとうございます』
ジンはゾロにニコッと笑いかけると、道を曲がる。そこには見慣れた繁華街にめしやが見えた。
『表の扉はあちらです。後は……』
「ああ、もう大丈夫だ」
よかった、っとジンは笑う。
「サンキューな。助かった」
『いえ。僕もお話出来て楽しかったです』
僕はこっちなので、と店の裏側を指さす。
「ああ、じゃあな」
『ええ。またロロノア・ゾロさんにお会いできるのを楽しみにしてます』
「?」
ゾロは不思議そうな表情を浮かべるが、ジンは背を向けて歩いて行った。
「まぁ、いいか。まだいるかな、あいつら」
ゾロはボリボリと頭をかきながら、めしやもといバーに入って行った。
店の裏から中に入り、店主に借りた部屋に戻ったジンは考え事をしていた。
『ロロノア・ゾロ……。彼がいるということは、彼女も一緒なのですね』
カバンからマジックの道具を引っ張り出していた手を止め、カバンの中にある黒い箱を開けると、細工のある少し派手な仮面を取り出した。
『バレないでしょうか……。いや、たぶん彼女にはバレますね』
麦わらの船に乗っているのを最近知ったが、まさか同じ目に遭っているとは……ここで会うのは少し気が引ける。
『まぁ、それにしても今日はなかなかおもしろい展開でした。あのロロノア・ゾロが方向音痴だったなんて』
今思い出してもおかしくて、ジンはついクスッ笑みをこぼす。
コンコン
ドアがノックされる。気配からして店主のようだ。
「カッコウさん。準備できたかい?お客さんがお待ちですよ。」
『はい、今行きます』
ジンは仮面を手に、手品を仕込んだとは思えないさっきと同じ身なりでドアを開ける。ドアの先にいた店主は満面の笑みだった。
「昼間の広場での公演が効いたみたいでもう大繁盛だよ。子供もたくさんいるし」
『それはよかったです。役目は果たせそうですね』
「そんな、大助かりだよ。ところで、違う旅人さんも来ててね。話したら、ぜひ見たいと昼過ぎからずっといるんだ」
旅人、たぶん麦わら一味か。ということはロロノア・ゾロや彼女との再会も近い。
ジンは店主に気づかれないように考えを巡らし、その後、笑顔で答えた。
『そんな早くからいらっしゃってくださったのなら、盛大に行わないといけませんね。頑張ります』
「ああ、よろしく頼むよ!」
店主が背を向け店へ戻っていく。ジンは仮面をつけ、カッコウとして舞台に立つため、深呼吸した。
『そういえば、麦わら一味には確かかわいいお子さんがいましたね』
子供好きのジンは自然にほほが緩むのを抑えながら部屋を後にした。
「それなりの刀しかねェか。しかも高ェから買えやしねェ」
少し前に出た武器屋からとぼとぼと歩くゾロは悪態をつきながら歩いていた。 とりあえず道なき道をかき分けて行く。すると、崖に着いた。
「ん? こっちじゃなかったか? 確かめしやが近くにあるはず……」
ゾロは見覚えがまるでない景色に首を傾げ、キョロキョロと辺りを見渡す。すると、夕日が輝く地平線をバックに自分を見ている人影を見つけた。
同時刻、ジンは散歩で街を回っていてたまたま景色のいい崖を見つけ、眺めていた。地平線に沈む夕日と上に広がる闇を見て心を震わせる。
そうして立っていると、ガサガサと林の方から不自然な音がした。ジンは気配から人だと判断する。
『僕の他にもお客さまがいらっしゃったみたいですね』
地平線を眺めるのをやめ、音と気配がする方に目を向ける。しばらくしてそこから出てきたのは緑頭の屈強な男。
刀をさしているところから剣士だろうと推測したが、3本の刀を見て首を傾げる。
『どこかで見た方ですね』
ジンの考えをよそにキョロキョロしている剣士。どうやらこちらに気づいたようで少し早足で歩み寄ってきた。
「……おい、ちょっといいか?」
とりあえず、道を聞かなければ、そう思いゾロは声をかける。
「!!」
さっきまで逆光でよく見えなかったが、この人物(たぶん女)は右側を覆う少し大きめの、どこぞの海賊みたいな眼帯をしていた。
『はい、何でしょうか?』
ジンはそんなことも気にせず、ゾロに笑顔で問いかけた。彼の姿に一瞬動揺していたゾロは彼の言葉に平静を取り戻す。
「ああ、すまねェ。ここらに酒が飲めるめしやがあるっと思うんだが、おまえ知らねェか?」
その問いにジンはきょとんとした顔でゾロを見て答えた。
『“めしや”ですか…?あの、僕がお世話になっているところなら分かりますが、こことは逆方向ですよ?』
「(やっちまった……)」
ゾロは、はぁっとため息をつき、頭を掻いた。その様子をみたジンはこんな屈強な男が道に迷っているのかっと、クスッと微笑む。
ゾロは少しムッとした顔になった。
『あっ、すみません。そんなつもりではないのです』
素直に頭を下げるジンにゾロは気にしてねェっよと呟く。二人の会話はそこで途切れ、少し間が空く。次の言葉を思案していたゾロにジンはあの…っと声をかける。
『僕も今から帰りますが、よろしければご一緒に“めしや”に行きませんか?』
「いいのか?」
『ええ、もちろん』
自分から頼むつもりでいたゾロはありがたいその話に快諾する。
「じゃあ、頼む」
ゾロが言うとジンは頷き、では参りましょう、とゾロを先導するように歩き始めた。ジンは歩きながらゾロの顔と3本の刀を失礼のない程度に交互に見る。
(たぶん、というか。確実に“海賊狩り、三刀流のゾロ”ですよね)
ほぼ正解だろうが、ジンはあえて聞くことにした。
『ところで、まだお名前をお伺いしていませんでした。よろしければ教えていただけますか?』
「ああ、そうだったな。おれはロロノア・ゾロ。海賊だ」
あっ、とゾロはいつもの癖で海賊ということまで明かしてしまったことに気づく。ジンは答えを得て納得。しかし思ったより親しみやすいゾロに好感を持った。
『大丈夫ですよ。と言いますかほぼ確信を持っての質問でした。麦わら一味の“海賊狩りのゾロ”はとても有名ですので』
「有名ねぃ…であんたは?」
『僕はジンと言います。ファミリーネームは控えさせてください』
“有名”という言葉と、名前を隠すジンに口角を吊り上げたゾロは尋ねる。
「それを知ってるってことは、ジンは賞金稼ぎか?」
この島にある手配書の壁のこともあり、ジンが自分を狙う賞金稼ぎであってもおかしくない。ゾロはそんなことを考える。
しかしジンからは殺気の欠片も感じない。一応用心はしているが、それも気疲れで終わりそうだな、なんて思っていたところだったので、少し気を引き締めなおす。
しかし、
『いえ、賞金稼ぎではありません』
とゾロの考えも虚しく、ジンは否定した。
「じゃあ、何者なんだ?」
『秘密です』
「…………」
ゾロはジンの返答にあきれたように視線をよこす。
『……あの、なんだか視線が痛いです。ロロノア・ゾロさん』
「いや…、ってかゾロでいい」
『あっ、すみません。これは癖なのです。不快ですか?』
「まぁ、かまわねぇが」
『ありがとうございます』
ジンはゾロにニコッと笑いかけると、道を曲がる。そこには見慣れた繁華街にめしやが見えた。
『表の扉はあちらです。後は……』
「ああ、もう大丈夫だ」
よかった、っとジンは笑う。
「サンキューな。助かった」
『いえ。僕もお話出来て楽しかったです』
僕はこっちなので、と店の裏側を指さす。
「ああ、じゃあな」
『ええ。またロロノア・ゾロさんにお会いできるのを楽しみにしてます』
「?」
ゾロは不思議そうな表情を浮かべるが、ジンは背を向けて歩いて行った。
「まぁ、いいか。まだいるかな、あいつら」
ゾロはボリボリと頭をかきながら、めしやもといバーに入って行った。
店の裏から中に入り、店主に借りた部屋に戻ったジンは考え事をしていた。
『ロロノア・ゾロ……。彼がいるということは、彼女も一緒なのですね』
カバンからマジックの道具を引っ張り出していた手を止め、カバンの中にある黒い箱を開けると、細工のある少し派手な仮面を取り出した。
『バレないでしょうか……。いや、たぶん彼女にはバレますね』
麦わらの船に乗っているのを最近知ったが、まさか同じ目に遭っているとは……ここで会うのは少し気が引ける。
『まぁ、それにしても今日はなかなかおもしろい展開でした。あのロロノア・ゾロが方向音痴だったなんて』
今思い出してもおかしくて、ジンはついクスッ笑みをこぼす。
コンコン
ドアがノックされる。気配からして店主のようだ。
「カッコウさん。準備できたかい?お客さんがお待ちですよ。」
『はい、今行きます』
ジンは仮面を手に、手品を仕込んだとは思えないさっきと同じ身なりでドアを開ける。ドアの先にいた店主は満面の笑みだった。
「昼間の広場での公演が効いたみたいでもう大繁盛だよ。子供もたくさんいるし」
『それはよかったです。役目は果たせそうですね』
「そんな、大助かりだよ。ところで、違う旅人さんも来ててね。話したら、ぜひ見たいと昼過ぎからずっといるんだ」
旅人、たぶん麦わら一味か。ということはロロノア・ゾロや彼女との再会も近い。
ジンは店主に気づかれないように考えを巡らし、その後、笑顔で答えた。
『そんな早くからいらっしゃってくださったのなら、盛大に行わないといけませんね。頑張ります』
「ああ、よろしく頼むよ!」
店主が背を向け店へ戻っていく。ジンは仮面をつけ、カッコウとして舞台に立つため、深呼吸した。
『そういえば、麦わら一味には確かかわいいお子さんがいましたね』
子供好きのジンは自然にほほが緩むのを抑えながら部屋を後にした。